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悪の教典 上 (文春文庫) |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
2012.8.10 第一刷
初出 別冊文藝春秋2008.7~2010.7
単行本 2010.7
ノベルズ 2011.11
著者は1959年大阪生まれ。京大経済学部卒。1996年、ISOLAが日本ホラー大賞。
共感能力が欠如した主人公「蓮実誠司」。凡人ならば、どんな人生を歩んだのだろうか。彼は天才的な知能の持ち主に生まれてしまった。その結果、幼い時より他人の感情を読みそれに合わせる能力を身につけ、他人をコントロールする能力も身につけてしまう。天才であるが故か高い次元で全ての事を達観してしまい、より高みを求め己の欲求を実現するための手段を選ばなくなる。
京大をひと月で中退しアメリカへ留学。MBAを取った後、アメリカで会社務めを始めるが、経営陣を陥れようとして逆に罠にはめられてしまう。自分を超える能力、存在に叩きのめされアメリカを追われた屈辱は忘れられない事のはず。日本に戻り日本での教職務めが天職だと気付いたというような表現があったが本当かな。
出来れば「脱獄、アメリカ行、復讐」という続編が読みたい。
ところで共感能力欠如といえば、和民の社長あたりもそうではないか?そうとしか思えない。などと行きつけの飲み屋でこの本を貸してくれた人物を相手に話をしたら、「あそこまでデカくなる企業の経営者なんて大概そんなもの」と返事が却ってきた。
(2012.11 野田文庫)