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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

ドラフト・デイ

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先日、レンタルで観てみた。ケビン・コスナー主演。米国のNFLのドラフトを描いた映画。よくできた面白い映画でした。

ケビン・コスナーはクリーブランド・ブラウンズのゼネラルマネージャー役。2014年春のドラフトを舞台としていて、現役の選手やOBも多数登場してくるので、たぶんチームの成績や状況も現実を鑑みながら映画を作ってあると思う。前年のクリーブランド・ブラウンズの成績は地区で4位。つまり最下位である。2008年から最下位が続いている。であるからケビン・コスナーが演じるゼネラルマネージャーは窮地に追い込まれている。それに加えてクリーブランド・ブラウンズの名監督であった父親を亡くしたばかり。隠しているが法務担当の同僚とは恋仲で彼女は妊娠。公私ともに心の乱れ思い悩みがあるという設定になっており、そこを他チームのゼネラルマネージャーから突かれドラフトで窮地に追い込まれるところから話は進む。

ただ楽しむためには少しNFLのドラフトについて知識が必要かと思う。知っていればより楽しめる、というか初見で面白いとは思ったのだが、ドラフトの仕組みが分からずネットで知識をつけて何度も映画を見直した。つまり何度見ても面白いともいえる。

せっかくNFLのドラフトについて調べたのでメモとして残しておく。

米国のNFLではドラフトはウェーバー方式を完全実施している。ウェーバー方式とは前年の成績下位チームから優先的に指名権を得て行使していくというもの。

各ラウンド(順)ごとに指名する球団に制限時間を与え、その間に指名する選手を決定するが、指名権のトレードが時間内に行われる事もある。

ラウンドは7順目まであり各ラウンドでウェーバー方式で前年順位の低い順から指名していく。1ラウンド32チーム。単純に掛け算すれば224人がドラフトで指名されることになる。指名権のトレードとは各ラウンドで指名する権利をやり取りする。例えば1順目の第1番目の権利を得るためにその年の2順目の権利を放棄し交渉相手に渡すこともあれば、来年の1順目の権利を渡すこともある。つまり同じ年の1順目で複数回の指名権を得る球団も出て来ることになるし、1順目で出てこない球団もある。今年有利な指名権を得たとしても、その代りに放棄した来年、再来年はドラフトで不利になる。

交渉はドラフトが始まる前に前もって行うのが普通かと思うが、各ラウンドが開始されてからも続く。指名時間の10分間という制限時間内に球団どうしが交渉し、権利を取得した球団がそのラウンドで指名権を行使することもある。ドラフトは一般公開の場で行われ会場には各球団の関係者だけでなく観客が詰めかけお祭り騒ぎ。

面白いのは指名を決定する球団の責任者であるゼネラルマネージャーとそのスタッフはその場におらず会場には球団の代理人しかいないこと。代理人は電話で誰を指名するかゼネラルマネージャーから連絡を受け、それを指定の用紙に書き込み係りに渡し、係りは舞台に立つコミッショナーに渡しコミッショナーが舞台で発表する。そういう儀式がある。観客も会場にいる球団関係者も裏でどんな駆け引きが行われているのか分からない。その場で突然指名権を行使する球団が変わったり、予想外の者が指名されたりと部外者である観客やバーや家庭でテレビを観ている支援者、なによりドラフトにかけられる学生はその成り行きに一喜一憂する。

この映画の面白さは裏での交渉の場と表の会場で起こることを同時進行で見せていくことにある。裏での交渉はまるで掛け金を積み上げるギャンブル、会場はそれを観ている観客、テレビの解説者は予想屋と化す。老練な経験を積んだゼネラルマネージャーは新米のゲネラルマネージャーをトレードで翻弄し、前期成績が振るわず立場が危ういゼネラルマネージャーにはその焦りを突こうとするチームが出て来る。まるでポーカーの心理戦を見ているような雰囲気になる。ポーカーのギャンブラーを描いたスティーブ・マックウィーンのシンシナティキッド、ビリヤードを描いたポール・ニューマンのハスラー。映画の佳境はそんな雰囲気なのだ。


(2015年12月)
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