投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

ハート・ロッカー

ハート・ロッカー DVD
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン


 ケーブルテレビで観た映画。パック契約で月替わりで映画が観れるのだが、観たことのある有名どころよりは観たことのない映画をと思い録画で観ている。その中では面白かった映画。

 キャスリン・ビグロー監督による2008年のアメリカ映画。イラクを舞台としたアメリカ軍爆弾処理班を描いた戦争アクション。砂漠の中で800mの距離を隔てての狙撃手どおしの対峙シーンは見ごたえがある。

 わりと淡々とその日常を描いているのでハリウッド映画によくあるアクション映画とは全く別。彼らと共に戦場にいる感じ。彼らの仕事は路上に仕掛けられた「即席爆発装置(IED)」と呼ばれる爆弾の解体、爆破の作業。なんだろう、例えが悪いが第二次世界大戦の日本の神風特攻隊が美しく潔く見えた。それほど即席爆発装置は悪辣。例えば人がその即席爆発装置となる、なるのではなくされる。

 イラクでは街中に米兵とイラクの市民は共存している。普通の暮らしを市民はしている。しかしその中に敵対分子が混ざっている。その区別はつかない。その怖さ。

 思い出したのは私が会ったことのない伯父の話。伯父は中国戦線で亡くなった。農家の次男に生まれ、出来がよかったので早稲田大学の夜学に進学。昼間は書生をしながら通っていたという。体調を崩し帰省し農家を手伝ってはいたが思うところあって中国へ渡る。青島(チンタオ)で徴集。そのまま陸軍に入り言葉が出来たため斥候として任を遂行中に戦死した。状況はハート・ロッカーとよく似ていて、周りは皆一般人が普通に暮らしている。ある村の近郊。村の様子を見に伯父は数人で斥候として出て行ったそうだ。皆笑顔で挨拶してくるので気の緩みもあったのだろう村の奥に入ったのが失敗。ゲリラに囲まれてしまう。寺の敷地に立て籠もり銃撃戦。異変に気付いた本体が村に駆け付けた時は叔父は戦死した後だった。

 私が幼かった頃は当時の中国戦線からの復員者が村にまだ存命で、ときどき中国の話しをしてくれた。幼い子供に差し障りのない程度の話しだったのだろうけど。365日の内360日は大規模な戦闘も無い状態。ただその360日の日常が異常なのだそうだ。いったいどこの誰と戦争しているのか分からない状態。昨日敵だった連中が今日は降伏してきて味方になるという。共産党なんて見たこともないが中華民国軍でさへめったに見ない。軍隊なのか何なのか分からない連中が跋扈する、戦国時代みたいな感じだったと言っていたような気がする。

 そんな昔話を思い出させてくれた映画。

(2017年2月)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「映画」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事