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人失殺語

温泉地殺人事件シリーズに矢印が向き、
地元ものが良いなぁ~と思っていたら、
その温泉地名の隣に本作を発見、こっちを先にした。



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太宰と同じ津軽出身の大学生・谷明人は自然を破壊する
全存在を敵と見なし、過激な環境テロ活動に走った。
第一の犠牲者は青森の黄金崎不老ふ死温泉で発見される。
大企業を経営する彼の実父・重則だった。
さらに明人は、戦慄の首都圏テロを予告。
だがその裏で、太宰治ファンの美少女が相次いで失踪。
両者を結ぶ驚愕の真相は!志垣警部は陰謀を見抜けるか?
警視庁温泉殺人課File25。
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序盤は太宰ファンで津軽出身の大学生・谷明人と、
その年上彼女の杏奈が太宰のウンチクを語り合うので、
登場人物を通した著者の太宰論が楽しめる。

やがて2人は別れてしまうのだが、
自分の境遇を太宰に重ねた明人が自殺する前に、
環境破壊を生業とする輩に鉄槌を下す事を仄めかし、
その最初の標的が自分の父親であると告げていた。

元カレの言葉が杏奈の胸にしこりを残す矢先、
明人の父親が黄金崎不老ふ死温泉で遺体となって発見される。
まさか本当に明人が実父を殺害した・・・?
そこへ明人から手紙が届き・・・

相次ぐ美少女失踪事件の捜査を追う志垣警部。
失踪美少女たちは無類の太宰ファンだった・・・
温泉遺体の息子もまた無類の太宰ファンである。
これらの事件に繋がりがあるのか・・・

シリーズもので前作話が会話の端に出てきたりして、
その辺の大きな背景を知らない部分が惜しい。
シリーズものは数巻を通じて奥行きが描かれるので、
志垣警部の深みは1作だけでは物足りないかな。

事件の真相は意外な感じで明かされていく。
(ほとんどの小説はそうなんだろうけど)
呆気ないような気もするし、思惑を外された感もある。
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狂犬遺恨

もぐらも読み終わってしまったし、
他作品には縁がないと思っていたけど、
古本屋の安棚に数冊あって、興味本位で手を伸ばした。



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警視庁強行犯担当・神条俊輔は自分の妻子を殺した
銀行強盗の永倉を7年間、追い続けている。
復讐に燃える神条は、その非情な逮捕手口から
裏社会では「狂犬」と恐れられている。
そして永倉一味が沖縄にいるとの情報を得た神条は……。
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案の定、この作品もドッカンバッタンの漫画的構成。
主人公の神条は警視庁強行犯担当の無骨な男。
過去に凶悪犯に妻子を殺された恨みを腹に抱え、
今も逃亡し続けている永倉を自らの手で捕らえ、
妻子の敵を討とうと考えていた。

月日とともに永倉の痕跡も途絶えたかに思えた矢先、
凶悪な事件が起こり、そこに永倉の影を感じる神条・・・
率先して現場へ乗り込むのだが、それは敵の罠であった。
裏社会で狂犬と恐れられ、頭の切れる神条をおびき出し、
その隙に永倉の配下たちが、あちこちで事件を起こす。

警察に一味の情報が漏れている事を逆手に、
自分たちと似たような男達を配下に収め、
影武者のように事件をおこしていく。
混乱する警察を嘲笑うかのように計画を遂行する永倉だが、
その策略にいち早く気づくのは狂犬こと神条だった。

神条の執念が永倉を追い詰めて行くのだが・・・

狂犬と恐れられる主人公という設定の割に、
その渾名の所以となるような凶暴性が主人公に重ならない。
もぐらシリーズでは無敵ぶりが多彩に描かれていたけど、
こっちはイマイチ凄さが伝わってこなかったなぁ・・・

相変わらずのB級路線で荒唐無稽な物語だけど、
読みやすさだけはピカイチで軽く読み終えられる。
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漠男女還

そんなにハマっているわけでもないのに、
古本屋に新しめのやつがあると手を伸ばしてしまう。



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異様な暑さに目を覚ますと、「僕」は砂漠にいた。
そこへ突如降ってきたのは、ありふれた電話BOXだった。
いったいなぜ?混乱したまま電話ボックスに入り、
助けを求めて119番に電話をかける。
だが、そこで手にした真実はあまりにも不可解で…。
過去と現在が交錯する悪夢のような世界から、
「僕」は無事に生還することができるのか。
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気がつくと砂漠にいる男。日光の暑さを感じつつ、
広大な場所で原因を思い出そうとしている所へ、
突如、天から電話ボックスが降り立った。
助けを呼ぼうと119へ電話を掛けてみるのだが、
「気がついたら砂漠にいた」という言葉に、
悪戯電話だと相手は取り合ってくれない。

灼熱の砂漠を歩き回るのは自殺行為である。
彼に出来ることはボックス内で直射日光を遮り、
誰かに助けを求めることだが、電話を掛けるにも、
持ち金は電話数回分しか持ち合わせていない。

ボックス内には意味深な落書き・・・
そんな彼のいる電話ボックスのベルが鳴った。
相手の女性はボートの上で遭難しているらしい。
自分と似たような状況で気がついたら遭難していたという。

物語は主人公の過去と現在を巡り、
そこに119の応答相手と遭難女の電話が交じる。
そして少しずつ謎が明らかになっていくのだが・・・

ちょっと終わり方がなぁ・・・
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劣勢逆転

ドラマが始まった頃には積冊してあったが、
とりあえずドラマ全話を観終えてから読み始めた。
たいていは原作の方が上回るけど、これはドラマが上だな。



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大手ライバル企業に攻勢をかけられ業績不振にあえぐ青島製作所。
リストラが始まり歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がる。
かつての名門チームも、今やエース不在で崩壊寸前。
廃部でコストは浮くが…社長が、選手が、監督が、技術者が、
それぞれの人生とプライドをかけて挑む奇跡の大逆転とは。
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ドラマの方が人物の描き方が高かった気がする。
野球しかり、カメラセンサーの技術力表現しかり、
活字で魅せるよりも映像の方が分かりやすい点が多く、
あのドラマのCG的打球云々があっても尚、
場面の広がりや人物達の表情、舞台の臨場感など、
想像力の及ばない部分での表現が映像から伝わってきた。

とはいえ、この作家さんの安定的構成はいつもながらで、
いろいろな部分でスッキリと本を閉じられた。
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陽溜彼女

よく目立つ棚で見かけていたなぁ~と記憶にあり、
格安古本セールの時に確保していたもの。



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幼馴染みと十年ぶりに再会した俺。
かつて「学年有数のバカ」と呼ばれイジメられっ子だった彼女は、
モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。
でも彼女、俺には計り知れない過去を抱えているようで・・・
その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと
走りはじめる!誰かを好きになる素敵な瞬間と、
同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。
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おすすめ本とか、話題の本とかで見かけていたけど、
早々に物語のカラクリに気づいてしまい、
きっとそうなんだろうな~と思っていたら案の定だった。
気づかなければ、もう少し楽しめたんだろうけど、
トントン拍子の展開とか、彼女の秘められた過去とか、
なんだかあまりにも予想通りの展開に残念感が漂った。
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虐殺回避

なんとか大賞に選ばれてたな、と記憶していて、
古本屋に並んだのを発見して確保、気合いを入れて上下巻と思ったら、
下巻に突入する頃には頁をめくる手が止まらなかった。



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(上)イラクで戦う米国人傭兵と、日本で薬学専攻の大学院生。
まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、
全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。
アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。
そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方は―
人類の未来を賭けた戦いを、緻密なリアリティと圧倒的な
スケールで描き切り、その衝撃的なストーリーで出版界を
震撼させた超弩級エンタテインメント。
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(下)研人に託された研究には、想像を絶する秘密が・・・。
一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、
人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。
人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を
乗り越えて、いよいよクライマックスへ・・・
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上巻は少し退屈したけど、途中から加速。これは面白かった。

父親の形見のメッセージを浮けとる薬学大の学生・研人
まるで自分の不幸を予知していたかのような父の言葉に、
不審に思いながらも謎のPCの秘密を追い求める・・・

一方、絶望的な病を抱える息子の医療費を確保するために、
過酷な任務に就く傭兵イエーガーは、米国大統領の密命で、
極秘任務の地に赴くのだが、そこで彼ら傭兵チームが見たのは・・・

銃撃戦あり、知略あり、緊迫した駆け引きあり、
爆破に脱出、新人類の出現に、世界危機も含んで・・・
いやはやなエンタテインメントが繰り広げられます。
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喫茶交遊

以前、自転車ものと思って読んだら肩すかし。
今度は珈琲話と思って読んだら・・・またしても。



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物語は「初恋」で始まり「再恋」で終わる―。
東京のちいさな商店街にある喫茶店『珈琲屋』の主人・行介は、
あることで人を殺した。当時、行介の恋人だった冬子は
別の男性と結婚したが、行介が出所すると冬子は離婚していた。
冬子に何があったのか…。商店街に暮らす人々が『珈琲屋』で
語った人間ドラマを七編収録。情感溢れる連作短編集。
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ミステリーぽい仕立てのようで、恋愛話のようで、
物事解決屋のような雰囲気もありつつ、
珈琲屋に足を運ぶ人々の日常が交差する・・・
いまひとつ盛り上がりに欠け、珈琲話は皆無でした。
主人公に魅力も感じられず淡白な印象のまま終了・・・。
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胴長犬謎

この作家さんは全作制覇する予定。
薄めの短篇集。文体がいつもとひと味違う構成。



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大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから
自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。
「僕」は彼女の心の病を治すため、
異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。
彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち、
日々の対話を経て症状は快方に向かっていったが…。ほか三篇。
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主人公の僕と、自閉的少女のマリとの会話がメイン。
何気に話したダックスフントのお話に興味をもつマリ。
少女に会うと物語の続きを紡ぎ始める僕・・・
その2人の会話の文体が、あの作家を連想させる。
いつものハードボイルドタッチではないけれど、
この作家さんのポテンシャルが煌めいている。
強烈な印象はないけど、空気感が残るんだなぁ。
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伝承背負

タイトルとあらすじに惹かれてチョイス。
柔道技を連想するけど、そっちじゃ無いんだな・・・。



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「セオイ」―
それは、悩める人々が最後に頼ると噂される謎の伝承技である。
技の使い手の鏡山零二と助手の美優は西新宿の裏路地に居を構え、
人知れず老若男女を救っていた。だがある時、
有名作家の事故死との関連でベテラン刑事に目をつけられ、
執拗につきまとわれる。必ずしも無関係とは言いがたいのだが…。
鏡山はやがて、美女連続殺人事件に絡んだ恐ろしい
陰謀の渦中にのみ込まれていく・・・
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伝承技セオイと、その使い手、悩みを抱える人々、
そして、主人公に迫る黒幕の意外な素性・・・
黒幕との終盤の攻防がなぁ・・・あっさりしすぎた感が強かった。
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舞田十四

古本屋でひとみ11歳~を購入後、
別の古本屋でひとみ14歳~も見つけてしまい、
あんまり古本屋で見かけない事もあって確保してしまった。



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「通りすがりの舞田ひとみですよ」
中学生になった舞田ひとみは皮肉度も上昇!?
彼女は退屈な日々に倦む女子中学生三人組と共に
刺激を求め日常に潜む謎に挑む!募金詐欺の女は死体で発見され、
激痩せした英語講師は幽霊を見たと言い張り、
はたまたヤバすぎる誘拐事件にも巻き込まれ・・・。
十四歳の青春と本格ミステリの醍醐味を詰め込んだ第二弾!
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前作がタイトルに偽りありならば本作も同じだよなぁ。
叔父で刑事の舞田歳三が出てこないと思ったら、
今度はひとみの小学時代の同級生の語りで物語が綴られる。

水泳部をやめて退屈な日々を過ごす高梨愛美璃(えみり)は、
親友の織本凪沙(なぎさ)に頼まれて、
共通の友人である萩原夏鈴(かりん)と共に、
凪沙の祖母を募金詐欺で騙した女の尻尾をつかむべく、
募金詐欺女の動向を探り、姿をみつけて尾行していく。

そんな尾行の最中、小学時代の同級生ひとみと遭遇し、
一見のんびりしているけど洞察力の優れたひとみの言葉に、
募金詐欺女捜査の即席探偵にひとみも加えられる事に・・・


ミステリーもゆるく、構成もゆるく、主役も薄く・・・
ライトノベルのような軽い感じで物語が描かれる。
11歳だったひとみの成長、母親の素性と存在・・・
もっともっと物語を奥深く出来そうな材料を並べた割に、
淡々と進んで大きな何かが起きるでもなく終わってしまった。

この続編も構想があるらしいけど、
次作こそ正真正銘タイトルどおりの主人公、展開にしてほしい。
ひとみの勘や洞察力の凄さの定義もないもんなぁ・・・
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