楽しみの泉を探してジャングルライフを満喫中!
Jungle Fire Water
金騎士団
書店で表紙絵を見て矢印を抱き、
遠方の古本屋を訪れた時に発見、速攻で抱えてレジへ。

=============================
(上)地上げの脅威に晒される、四谷の孤児院「若葉ホーム」。
肩を寄せ合って暮らす六人の少年たちの元に、ある時から
「黄金の騎士団」と名乗る謎の人物名義の生活資金が届けられる。
認知症で失踪癖のある院長に代わり、目付け役になった
ホームのOB外堀公一は、騎士団の驚くべき正体を・・・
=============================
(下)実は、早老症の天才少年を核とする少年だけの
投資家集団だった「黄金の騎士団」。目的は莫大な資金を元に、
子どもが自治するユートピアを創ることだった。
ところが、シカゴ市場で快進撃を続ける「騎士団」の前に、
世界的な大財閥オッペンハイマー家の総帥が立ちはだかる。
未完の痛快経済小説!
=============================
物語の始まりは主人公の外堀公一が企業研修で、
無人島のような場所で軍隊のような過酷な日々を送っている。
そこに孤児院で自分を育ててくれた恩人が入院したとの報せが入り、
公一は上司に見舞いに行きたいと告げるが、遠回しの恐喝を受ける。
クビを覚悟で研修を脱走し、恩人の入院している病院を訪れる。
そこで自分が育った孤児院の窮状を耳にし、
久しぶりに孤児院「若葉ホーム」を訪れることにする。
園長は認知症と失踪壁を抱え、大人の役目を果たせず、
公一が名付け親となったりした馴染みの少年達が、
独自で生活作業を分担して暮らしているのだった。
施設は国の援助も打ち切られ、地上げ屋の脅迫も受けていた。
公一は若葉ホームと子供達を守るため、施設に住み込み、
お目付役として少年達のリーダーとして意気込むのだが、
施設には「黄金の騎士団」と名乗る組織から、
匿名の寄付金が届けられ、資金面での問題は解決していた。
お金が入り用な時にタイミングよく寄付が届けられ、
公一は黄金の騎士団の素性を暴こうと密かに調べ始める。
この騎士団暴きが物語の大きな核になると思いきや、
早々に騎士団は子供達の自作自演であることが明かされ、
その収入源は子供達が作った保険制度だという。
数十円という掛け値で学校生活の様々な物事に対し、
級友たちの相談に乗り、保険を制定し補償しているという。
子供達の間で評判になり、やがて先生をも巻き込み、
学校内でも許容されていたが話が膨らみすぎて問題になり、
子供達の保険は大人の抑制を受けてしまうことになる。
孤児達のお目付役として信頼されてはいるものの、
施設に援助をすることも出来ずに悶々とする公一は、
ある日、子供達の何人かの姿が見かけなくなることに気づき、
彼らの行方を捜す中で、ある建物内で失踪中の園長を発見、
その建物の奥に秘密基地があることを突き止める。
奥の隠し部屋にはコンピューターが並び、
孤児の中で既に亡くなったものと思い込んでいた、
早老病の天才少年の姿を発見する。
黄金の騎士団の莫大な資産は、その少年を筆頭にして、
海外とのコンタクトを取り、投資を行っていたのだった。
投資の危険度を心配し、子供達に継続の中断を助言するが、
早老病の天才少年は自分の短い命の限りを悟り、
自身の命を投資して施設に巨大な資金をもたらそうと計画する。
世の中の情勢を予測し、快進撃をつづける騎士団だったが、
そこに世界的な大財閥オッペンハイマー家の総帥が立ちはだかる。
クライマックスへ向けて物語が大きく膨らんだところで、
著者急逝のため物語は未完で終わってしまう。
物語の結末は分からないけれど、これはこれで充分満足。
その後の展開は読者の予想に任せて無限に広がり、
棚上げになっていた関係性なども、予測して楽しめば良い。
子供達が描いた、子供のための理想郷の話も面白いし、
どんな展開が作者の胸にあったのだろう・・・。
遠方の古本屋を訪れた時に発見、速攻で抱えてレジへ。


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(上)地上げの脅威に晒される、四谷の孤児院「若葉ホーム」。
肩を寄せ合って暮らす六人の少年たちの元に、ある時から
「黄金の騎士団」と名乗る謎の人物名義の生活資金が届けられる。
認知症で失踪癖のある院長に代わり、目付け役になった
ホームのOB外堀公一は、騎士団の驚くべき正体を・・・
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(下)実は、早老症の天才少年を核とする少年だけの
投資家集団だった「黄金の騎士団」。目的は莫大な資金を元に、
子どもが自治するユートピアを創ることだった。
ところが、シカゴ市場で快進撃を続ける「騎士団」の前に、
世界的な大財閥オッペンハイマー家の総帥が立ちはだかる。
未完の痛快経済小説!
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物語の始まりは主人公の外堀公一が企業研修で、
無人島のような場所で軍隊のような過酷な日々を送っている。
そこに孤児院で自分を育ててくれた恩人が入院したとの報せが入り、
公一は上司に見舞いに行きたいと告げるが、遠回しの恐喝を受ける。
クビを覚悟で研修を脱走し、恩人の入院している病院を訪れる。
そこで自分が育った孤児院の窮状を耳にし、
久しぶりに孤児院「若葉ホーム」を訪れることにする。
園長は認知症と失踪壁を抱え、大人の役目を果たせず、
公一が名付け親となったりした馴染みの少年達が、
独自で生活作業を分担して暮らしているのだった。
施設は国の援助も打ち切られ、地上げ屋の脅迫も受けていた。
公一は若葉ホームと子供達を守るため、施設に住み込み、
お目付役として少年達のリーダーとして意気込むのだが、
施設には「黄金の騎士団」と名乗る組織から、
匿名の寄付金が届けられ、資金面での問題は解決していた。
お金が入り用な時にタイミングよく寄付が届けられ、
公一は黄金の騎士団の素性を暴こうと密かに調べ始める。
この騎士団暴きが物語の大きな核になると思いきや、
早々に騎士団は子供達の自作自演であることが明かされ、
その収入源は子供達が作った保険制度だという。
数十円という掛け値で学校生活の様々な物事に対し、
級友たちの相談に乗り、保険を制定し補償しているという。
子供達の間で評判になり、やがて先生をも巻き込み、
学校内でも許容されていたが話が膨らみすぎて問題になり、
子供達の保険は大人の抑制を受けてしまうことになる。
孤児達のお目付役として信頼されてはいるものの、
施設に援助をすることも出来ずに悶々とする公一は、
ある日、子供達の何人かの姿が見かけなくなることに気づき、
彼らの行方を捜す中で、ある建物内で失踪中の園長を発見、
その建物の奥に秘密基地があることを突き止める。
奥の隠し部屋にはコンピューターが並び、
孤児の中で既に亡くなったものと思い込んでいた、
早老病の天才少年の姿を発見する。
黄金の騎士団の莫大な資産は、その少年を筆頭にして、
海外とのコンタクトを取り、投資を行っていたのだった。
投資の危険度を心配し、子供達に継続の中断を助言するが、
早老病の天才少年は自分の短い命の限りを悟り、
自身の命を投資して施設に巨大な資金をもたらそうと計画する。
世の中の情勢を予測し、快進撃をつづける騎士団だったが、
そこに世界的な大財閥オッペンハイマー家の総帥が立ちはだかる。
クライマックスへ向けて物語が大きく膨らんだところで、
著者急逝のため物語は未完で終わってしまう。
物語の結末は分からないけれど、これはこれで充分満足。
その後の展開は読者の予想に任せて無限に広がり、
棚上げになっていた関係性なども、予測して楽しめば良い。
子供達が描いた、子供のための理想郷の話も面白いし、
どんな展開が作者の胸にあったのだろう・・・。
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異家族集
人気ランキングに挙がっていたのを見かけ、
そのうち見つけたらと思っていたら古本発見。
あらすじに惹かれて早めに手に取った。

=============================
父は泥棒、母は結婚詐欺師。僕はパスポート偽造屋で働いており、
弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。
一家はそれなりに平和に暮らしていたが、
ある日、母が結婚詐欺のターゲットに逆に誘拐されてしまう。
犯人に呼び出された父と僕は、偽札が詰まった紙袋を持って
母を助けに向かうが―。巧妙な伏線が張り巡らされ、
驚きと涙なくしては読めない結末を迎える表題作を始め、
現代の家族のかたちを描ききった傑作小説集。
=============================
表題作at Home、日曜日のヤドカリ、リバイバル、
共犯者と一風変わった家族を題材にした4つの短篇集。
◎at Home
泥棒の父、結婚詐欺師の母、ゲームオタクの弟、
そして主人公の僕はパスポート偽造の印刷所に勤めている。
母親が身体を使って結婚詐欺を行っているにも関わらず、
息子達も夫も平然と割り切っているというのが不思議で、
ずっと引っかかって読み進めると、その意味が分かる。
結婚詐欺で金銭をだまし取ろうとしたある日、
母はいつまでも帰宅せず、家族に不安が広がった頃、
母の電話番号で見知らぬ男から電話が掛かってくる。
家族が力を合わせ母親救出作戦を決行するのだが・・・
家族という定義とは・・・を少し考える物語。
◎日曜日のヤドカリ
丁寧語で会話する父と娘。
これまた不思議な家族の物語だな、と思っていると、
小学生の娘を連れた女性と結婚した話で納得。
妻が同窓会に出掛けて戻らなくなった日に、
娘と同年代の男の子が父親の所在を探しにやってくる。
その子の父親も同じ日から戻っていないという。
もしや?まさか・・・
◎リバイバル
53歳の私は居酒屋でアルバイトをし、
休日は日雇いの現場に行って、
ヤクザへの借金を返し続けていた。
借金分はすでに返済し終えているのだが、
ヤクザの脅しで利息分を払い続けていた。
払い続けていれば生活に安息がもたらされていた。
ある日、ヤクザから借金を棒引きする話が舞い込む。
不法入国している東南アジアの女性と偽装結婚すること。
その女は身籠っていて、子供が生まれたら離婚していいという。
困惑しつつも言葉の通じない女と同居生活を始める私。
ヤクザの私情に利権、自身の過去と女の気持ち、
それらが交錯して私は・・・
◎共犯者たち
20年前に家を出た父親と、主人公の青年が、
年に一度、川原で会って親子の会話を交わしていた。
今年もその日が近づいたある日のこと・・・
妹の息子・拓真を預かることになった。
娘と遊ばせた後、風呂に入れようと衣服を脱がすと、
拓真の身体には無数の痣があった。虐待されているのか?
問うと、蹴るのが遊びだと母親が言ったのだという。
かつて精神病を患ったことがある妹、
拓真の事を思い、娘の旦那に連絡して引き取りに来てもらう。
妹夫婦の関係は既に崩壊していて別居生活していたらしい。
旦那は妹の性格に問題があるというのだが・・・
父の思い、妹の思い、家族の在り方・・・
血の繫がり=家族では無いという物語ばかり。
心と心で紡がれた個性的な家族という共有価値の意味。
短篇集なのでサクサクと読み終えてしまった。
やっぱり僕は長編作のほうが好みなのかなぁ・・・。
そのうち見つけたらと思っていたら古本発見。
あらすじに惹かれて早めに手に取った。

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父は泥棒、母は結婚詐欺師。僕はパスポート偽造屋で働いており、
弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。
一家はそれなりに平和に暮らしていたが、
ある日、母が結婚詐欺のターゲットに逆に誘拐されてしまう。
犯人に呼び出された父と僕は、偽札が詰まった紙袋を持って
母を助けに向かうが―。巧妙な伏線が張り巡らされ、
驚きと涙なくしては読めない結末を迎える表題作を始め、
現代の家族のかたちを描ききった傑作小説集。
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表題作at Home、日曜日のヤドカリ、リバイバル、
共犯者と一風変わった家族を題材にした4つの短篇集。
◎at Home
泥棒の父、結婚詐欺師の母、ゲームオタクの弟、
そして主人公の僕はパスポート偽造の印刷所に勤めている。
母親が身体を使って結婚詐欺を行っているにも関わらず、
息子達も夫も平然と割り切っているというのが不思議で、
ずっと引っかかって読み進めると、その意味が分かる。
結婚詐欺で金銭をだまし取ろうとしたある日、
母はいつまでも帰宅せず、家族に不安が広がった頃、
母の電話番号で見知らぬ男から電話が掛かってくる。
家族が力を合わせ母親救出作戦を決行するのだが・・・
家族という定義とは・・・を少し考える物語。
◎日曜日のヤドカリ
丁寧語で会話する父と娘。
これまた不思議な家族の物語だな、と思っていると、
小学生の娘を連れた女性と結婚した話で納得。
妻が同窓会に出掛けて戻らなくなった日に、
娘と同年代の男の子が父親の所在を探しにやってくる。
その子の父親も同じ日から戻っていないという。
もしや?まさか・・・
◎リバイバル
53歳の私は居酒屋でアルバイトをし、
休日は日雇いの現場に行って、
ヤクザへの借金を返し続けていた。
借金分はすでに返済し終えているのだが、
ヤクザの脅しで利息分を払い続けていた。
払い続けていれば生活に安息がもたらされていた。
ある日、ヤクザから借金を棒引きする話が舞い込む。
不法入国している東南アジアの女性と偽装結婚すること。
その女は身籠っていて、子供が生まれたら離婚していいという。
困惑しつつも言葉の通じない女と同居生活を始める私。
ヤクザの私情に利権、自身の過去と女の気持ち、
それらが交錯して私は・・・
◎共犯者たち
20年前に家を出た父親と、主人公の青年が、
年に一度、川原で会って親子の会話を交わしていた。
今年もその日が近づいたある日のこと・・・
妹の息子・拓真を預かることになった。
娘と遊ばせた後、風呂に入れようと衣服を脱がすと、
拓真の身体には無数の痣があった。虐待されているのか?
問うと、蹴るのが遊びだと母親が言ったのだという。
かつて精神病を患ったことがある妹、
拓真の事を思い、娘の旦那に連絡して引き取りに来てもらう。
妹夫婦の関係は既に崩壊していて別居生活していたらしい。
旦那は妹の性格に問題があるというのだが・・・
父の思い、妹の思い、家族の在り方・・・
血の繫がり=家族では無いという物語ばかり。
心と心で紡がれた個性的な家族という共有価値の意味。
短篇集なのでサクサクと読み終えてしまった。
やっぱり僕は長編作のほうが好みなのかなぁ・・・。
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翌桧援団
ドラマが入っている事は知りつつも、
そこまで期待していなかったので見る事は無かった。
本作を読み終えて・・・録画しとけば良かったなぁ。

=============================
(上)藤巻大介、四十五歳、総務課長。
ワンマン社長直命の出向先は「あすなろ大学応援団」。
団員ゼロで廃部寸前の『団』を救うため、
大介は特注の襟高学ランに袖を通す決意をする。
妻と娘は呆れるが、社長の涙とクビの脅しに、
返事は「押忍!」しかありえない。団旗を掲げ太鼓を叩き、
オヤジ団長・大介は団員集めに奔走する。
=============================
(下)地獄の合宿を終え『団』として成長した大介と団員たち。
しかし初陣直前、鼓手・健太の父が危篤に陥る。
軋轢を抱え向き合う父子に、大介が伝えられることはあるのか。
人生の岐路に立つ若い団員たち、重い荷を負うオトナたち、
そして同じ時代を生きるすべてのひとに、届けオヤジの応援歌!
=============================
あすなろ応援団OBの社長の命令で、
45歳にして大学に通い、応援団長を務めることになる藤巻大介。
学ランを着て登校する父親の姿に娘は呆れ果て、妻は困惑。
クビの脅しに渋々、応援団の活動を始める藤巻の前に、
厳つい言動と風貌のOBが表れ、団の伝統を教え込まれる。
部員確保の為、チャラい娘の彼氏を無理矢理引き込み、
男社会に反対する美人教師の差し向けた女子部員を引き受け、
唯一の望みは真面目な顔つきの健太のみだが・・・
ありえない設定、色物的な配役、応援団・・・
この内容で面白くなるのか疑問に思いつつ、
期待薄のまま読み始めたら、徐々に引き込まれた。
ところどころ物語性の強すぎる場面があったりするけど、
物語の芯の部分は熱く、心が緩んでしまいそうだった。
オトコ社会、オンナ社会と分け隔てるのでは無く、
オトコ+オンナ=オトナであるという会話が良かった。
誰かを応援するという気持ちがこんなにも深く、
情熱的な意味合いがあるとは思わなかったなぁ~。
期待しなかった分、良い印象が強まった作品でした。
そこまで期待していなかったので見る事は無かった。
本作を読み終えて・・・録画しとけば良かったなぁ。


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(上)藤巻大介、四十五歳、総務課長。
ワンマン社長直命の出向先は「あすなろ大学応援団」。
団員ゼロで廃部寸前の『団』を救うため、
大介は特注の襟高学ランに袖を通す決意をする。
妻と娘は呆れるが、社長の涙とクビの脅しに、
返事は「押忍!」しかありえない。団旗を掲げ太鼓を叩き、
オヤジ団長・大介は団員集めに奔走する。
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(下)地獄の合宿を終え『団』として成長した大介と団員たち。
しかし初陣直前、鼓手・健太の父が危篤に陥る。
軋轢を抱え向き合う父子に、大介が伝えられることはあるのか。
人生の岐路に立つ若い団員たち、重い荷を負うオトナたち、
そして同じ時代を生きるすべてのひとに、届けオヤジの応援歌!
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あすなろ応援団OBの社長の命令で、
45歳にして大学に通い、応援団長を務めることになる藤巻大介。
学ランを着て登校する父親の姿に娘は呆れ果て、妻は困惑。
クビの脅しに渋々、応援団の活動を始める藤巻の前に、
厳つい言動と風貌のOBが表れ、団の伝統を教え込まれる。
部員確保の為、チャラい娘の彼氏を無理矢理引き込み、
男社会に反対する美人教師の差し向けた女子部員を引き受け、
唯一の望みは真面目な顔つきの健太のみだが・・・
ありえない設定、色物的な配役、応援団・・・
この内容で面白くなるのか疑問に思いつつ、
期待薄のまま読み始めたら、徐々に引き込まれた。
ところどころ物語性の強すぎる場面があったりするけど、
物語の芯の部分は熱く、心が緩んでしまいそうだった。
オトコ社会、オンナ社会と分け隔てるのでは無く、
オトコ+オンナ=オトナであるという会話が良かった。
誰かを応援するという気持ちがこんなにも深く、
情熱的な意味合いがあるとは思わなかったなぁ~。
期待しなかった分、良い印象が強まった作品でした。
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捻女景色
古本屋の安価棚で一気に買い集めた。
薄めの本なので、次々と手に取ってしまう。

=============================
自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝は実家を出て、
群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。
誰からも干渉されない自由に閉じ篭もる野枝だが、
その心の隙に気さくな方言で話す女医の沢音が入り込み…。
横浜と会津出身の二人の女性の呼び合う心を描く
「うつくすま ふぐすま」を併録。
=============================
容姿に自信も無く取り柄も無い野枝は、
見た目が干渉されないラジオの仕事では饒舌になれた。
地元を飛び出し、仙台でラジオの仕事を続け、
番組の終了と共に、ラジオの仕事を探し群馬へやってくる。
歪んだ性格を抱えつつローカルFM局を担当し、
リスナーからのお便りに明るく饒舌に応対をしていくと、
それなりに人気も出てきて自身へのお便りなども増えてくる。
しかし、2時間番組を終えると陽気な笑みは消え、
殻に閉じこもった己が生活を満たしていた。
そんなある日、飲み屋で女医と知り合う。
誰からも干渉されたくない野枝に対し、
女医の沢音は気さくに野枝の懐に入り込んでくる。
嫌悪感を募らせつつも、沢音の電話に応じている自分。
これといった趣味も無く、冒険心もない野枝は、
心の中に唯一付き合った事のある彼の面影が残っている。
彼が自分の前に現れるのではないかという幻想を抱きつつ、
気持ちに蓋をするような野枝の生活に沢音が入り込む。
アクティブな沢音やリスナーとの関わりの中で、
自身の中に眠っていた気持ちに気づいていく。
ちょっとクセがありつつも、誰の心にも良そうな人物。
信頼とか、信用とか、絡み合い築き上げるような関係性は、
何もしない人には難しい問題でもある。面倒なのか怖いのか。
その微妙な心情と葛藤が重すぎない空気感で描かれている。
◎うつくすまふぐすま
信金勤めの中野香奈は彼と別れ、
同姓同名の女性との友情を大事にする。
男に女性らしさを求められる事に嫌気がさしていて、
それなのに対抗意識みたいな気持ちが湧き出てきて、
無理をして女性的行動をしてしまうのだった。
これもまた、ちょっとひねくれつつも、
誰かの心の中にありそうな物語。
面白いけど他の作品と比べると余韻が薄いかな・・・。
薄めの本なので、次々と手に取ってしまう。

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自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝は実家を出て、
群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。
誰からも干渉されない自由に閉じ篭もる野枝だが、
その心の隙に気さくな方言で話す女医の沢音が入り込み…。
横浜と会津出身の二人の女性の呼び合う心を描く
「うつくすま ふぐすま」を併録。
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容姿に自信も無く取り柄も無い野枝は、
見た目が干渉されないラジオの仕事では饒舌になれた。
地元を飛び出し、仙台でラジオの仕事を続け、
番組の終了と共に、ラジオの仕事を探し群馬へやってくる。
歪んだ性格を抱えつつローカルFM局を担当し、
リスナーからのお便りに明るく饒舌に応対をしていくと、
それなりに人気も出てきて自身へのお便りなども増えてくる。
しかし、2時間番組を終えると陽気な笑みは消え、
殻に閉じこもった己が生活を満たしていた。
そんなある日、飲み屋で女医と知り合う。
誰からも干渉されたくない野枝に対し、
女医の沢音は気さくに野枝の懐に入り込んでくる。
嫌悪感を募らせつつも、沢音の電話に応じている自分。
これといった趣味も無く、冒険心もない野枝は、
心の中に唯一付き合った事のある彼の面影が残っている。
彼が自分の前に現れるのではないかという幻想を抱きつつ、
気持ちに蓋をするような野枝の生活に沢音が入り込む。
アクティブな沢音やリスナーとの関わりの中で、
自身の中に眠っていた気持ちに気づいていく。
ちょっとクセがありつつも、誰の心にも良そうな人物。
信頼とか、信用とか、絡み合い築き上げるような関係性は、
何もしない人には難しい問題でもある。面倒なのか怖いのか。
その微妙な心情と葛藤が重すぎない空気感で描かれている。
◎うつくすまふぐすま
信金勤めの中野香奈は彼と別れ、
同姓同名の女性との友情を大事にする。
男に女性らしさを求められる事に嫌気がさしていて、
それなのに対抗意識みたいな気持ちが湧き出てきて、
無理をして女性的行動をしてしまうのだった。
これもまた、ちょっとひねくれつつも、
誰かの心の中にありそうな物語。
面白いけど他の作品と比べると余韻が薄いかな・・・。
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逃亡男女
一気に買って、一気に読みまくり。

=============================
「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」
軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、
退屈な精神病院からの脱走を決意。
名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、
彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。
道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、
車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。
=============================
躁病で博多の精神病院に入れられた花は、
毎日飲み続ける薬によっていずれ廃人になると逃亡を決意。
その場に居合わせた鬱病男なごやんを無理やり引きつれ逃げる。
なごやんのオンボロ車で九州をあてもなく南下していく突発旅。
なごやんは名古屋出身を隠し標準語を話すのだが、
あるとき親が訪れて、名古屋人というのがばれてしまい、
それから「なごやん」というあだ名がつけられる。
「東京オタク」の彼は九州転勤で鬱になったらしい。
そんな都会オタクのなごやんと地元愛を持つ花ちゃんの、
博多弁と標準語の会話を中心にしつつのロードノベル。
時折、幻聴に悩まされ、癇癪を起こす花ちゃんを、
優しく包み込むように励ますなごやん。
あても無くほうぼうを車で駆け抜け、万引きしたり、
食い逃げしたり、無免許の花ちゃんに運転を教え、
怖そうな人の車にぶつけて、そのまま逃げたり、
病院を訪れて嘘をついて薬を処方してもらおうとしたり・・・
恋愛方面に傾かない男女の友情が描かれていて、
性別を越えて空間をともにする人間交流の美と澱が、
交互に沸き上がっては沈下するような温もりがいい。

=============================
「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」
軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、
退屈な精神病院からの脱走を決意。
名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、
彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。
道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、
車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。
=============================
躁病で博多の精神病院に入れられた花は、
毎日飲み続ける薬によっていずれ廃人になると逃亡を決意。
その場に居合わせた鬱病男なごやんを無理やり引きつれ逃げる。
なごやんのオンボロ車で九州をあてもなく南下していく突発旅。
なごやんは名古屋出身を隠し標準語を話すのだが、
あるとき親が訪れて、名古屋人というのがばれてしまい、
それから「なごやん」というあだ名がつけられる。
「東京オタク」の彼は九州転勤で鬱になったらしい。
そんな都会オタクのなごやんと地元愛を持つ花ちゃんの、
博多弁と標準語の会話を中心にしつつのロードノベル。
時折、幻聴に悩まされ、癇癪を起こす花ちゃんを、
優しく包み込むように励ますなごやん。
あても無くほうぼうを車で駆け抜け、万引きしたり、
食い逃げしたり、無免許の花ちゃんに運転を教え、
怖そうな人の車にぶつけて、そのまま逃げたり、
病院を訪れて嘘をついて薬を処方してもらおうとしたり・・・
恋愛方面に傾かない男女の友情が描かれていて、
性別を越えて空間をともにする人間交流の美と澱が、
交互に沸き上がっては沈下するような温もりがいい。
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袋小路男
この作家にハマって次々読んでいる。

=============================
高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、
大谷日向子の思いは募っていった。
大学に進学して、社会人になっても、
指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。
それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。
他「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。
=============================
◎袋小路の男
高校の頃から憧れていた1つ年上の先輩、
小田切孝を12年間一途に想い続ける女性の物語。
イケメンで頭も良いけど要領の悪い小田切は、
大学を2年浪人、新宿のジャズバーでバイトをしていた。
そんな彼の視線に射抜かれて恋してしまう私だが、
彼はそんな事を気にもせずに淡々と軽口をたたいていた。
私は大阪の会社に就職し、恋人がいた時期もあったが、
心の中にはずっと彼の存在がありつづけていた。
そんな折りに大阪でばったりと彼と再会する。
バーテンダーをしながら小説家を目指す彼と私の微妙な関係。
彼が骨折して入院した際は、大阪からお見舞いに毎週通った。
そして東京へ転勤となり、私と彼の物理的な距離は縮まるのだが、
心の距離は未だに袋小路状態・・・。
ある日、彼の小説が二次選考まで残ったと報告を受ける。
そのお祝いで2人で飲み、酔いつぶれた彼は私の部屋で寝ている。
そんな彼の横で文庫本を片手に長い気持ちを抱いている。
この作家さんは男女間の友情?交流?共有関係?を描くのが上手い。
けっこうな頻度で男女の微妙かつ自然な関係性が描かれている。
女性作家だけど、文体にチックは出ていないし、
男女の心理描写も自然体のような感じで描かれている。
この絶妙な空気感が好きで、次々読んでしまうのかなぁ~。
◎小田切孝の言い分
前作を別視点で描いた物語。
別視点だけど、物語が大きく変化する訳でもなく・・・かな。
◎アーリオ オーリオ
40歳の独身男と中学生の姪の手紙による心の交流。
ゴミ処理場に務める松尾哲の趣味は天体観測。
ある日、兄に頼まれて姪の美由と出掛ける事になり、
出掛け先が思い浮かばず池袋のプラネタリウムに行く。
星の知識を教えたり雑談を交わして打ち解けると、
美由はメールでやりとりしたいと言ってくる。
煩わしさを浮かべた哲は手紙ならいいと答えると、
後日、美由から手紙が届くのだった。
返事を待つ、美由へ簡単な返信を送ると、
忘れた頃に再び美由から手紙が届き文通が続いて行く。
姪と文通している事に違和感を抱きつつも、
返信を待つ純朴な姪に応えてやる大人の責任も抱く。
弟との文通が続き、星の知識を増やして行く娘を見て、
兄もこの関係性に違和感を抱き、哲を呼び出す。
純真で清廉な乙女心を宿す美由の想いは、
異性という視点ではなく、話し相手という視点。
それが親子間で満たされないからなのか、
その辺は微妙だけど、大人と子供のピュアな関係性が、
じんわりと広がり、星雲の彼方で光粒となって輝いている。

=============================
高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、
大谷日向子の思いは募っていった。
大学に進学して、社会人になっても、
指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。
それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。
他「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。
=============================
◎袋小路の男
高校の頃から憧れていた1つ年上の先輩、
小田切孝を12年間一途に想い続ける女性の物語。
イケメンで頭も良いけど要領の悪い小田切は、
大学を2年浪人、新宿のジャズバーでバイトをしていた。
そんな彼の視線に射抜かれて恋してしまう私だが、
彼はそんな事を気にもせずに淡々と軽口をたたいていた。
私は大阪の会社に就職し、恋人がいた時期もあったが、
心の中にはずっと彼の存在がありつづけていた。
そんな折りに大阪でばったりと彼と再会する。
バーテンダーをしながら小説家を目指す彼と私の微妙な関係。
彼が骨折して入院した際は、大阪からお見舞いに毎週通った。
そして東京へ転勤となり、私と彼の物理的な距離は縮まるのだが、
心の距離は未だに袋小路状態・・・。
ある日、彼の小説が二次選考まで残ったと報告を受ける。
そのお祝いで2人で飲み、酔いつぶれた彼は私の部屋で寝ている。
そんな彼の横で文庫本を片手に長い気持ちを抱いている。
この作家さんは男女間の友情?交流?共有関係?を描くのが上手い。
けっこうな頻度で男女の微妙かつ自然な関係性が描かれている。
女性作家だけど、文体にチックは出ていないし、
男女の心理描写も自然体のような感じで描かれている。
この絶妙な空気感が好きで、次々読んでしまうのかなぁ~。
◎小田切孝の言い分
前作を別視点で描いた物語。
別視点だけど、物語が大きく変化する訳でもなく・・・かな。
◎アーリオ オーリオ
40歳の独身男と中学生の姪の手紙による心の交流。
ゴミ処理場に務める松尾哲の趣味は天体観測。
ある日、兄に頼まれて姪の美由と出掛ける事になり、
出掛け先が思い浮かばず池袋のプラネタリウムに行く。
星の知識を教えたり雑談を交わして打ち解けると、
美由はメールでやりとりしたいと言ってくる。
煩わしさを浮かべた哲は手紙ならいいと答えると、
後日、美由から手紙が届くのだった。
返事を待つ、美由へ簡単な返信を送ると、
忘れた頃に再び美由から手紙が届き文通が続いて行く。
姪と文通している事に違和感を抱きつつも、
返信を待つ純朴な姪に応えてやる大人の責任も抱く。
弟との文通が続き、星の知識を増やして行く娘を見て、
兄もこの関係性に違和感を抱き、哲を呼び出す。
純真で清廉な乙女心を宿す美由の想いは、
異性という視点ではなく、話し相手という視点。
それが親子間で満たされないからなのか、
その辺は微妙だけど、大人と子供のピュアな関係性が、
じんわりと広がり、星雲の彼方で光粒となって輝いている。
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砂教王国
数週間前に書店で見かけたのが、もう?と古本発見。
そんなお得感も長く積冊したら意味が薄れてしまうんだなぁ。
上下巻ものは「読むぞ」という意気込みが必要で、
なかなか手に取りづらいけど、今月は上下巻ものをなるべく読んだ。

=============================
(上)全財産は3円。
私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落。
寒さと飢えと人々からの侮蔑。段ボールハウスの設置場所を求め、
辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、
「新興宗教創設」を閃かせた。社会の隅からの逆襲が始まる!
=============================
(下巻)三人で立ち上げた新興宗教団体「大地の会」は
私が描いた設計図どおりに発展。それどころか会員たちの熱狂は、
思惑を超えて膨れ上がっていく。奇跡の生還と劇的な成功。
だが、そこで私を待っていたのは空虚な祝祭と不協和音だった。
人間の底知れる業と脆さを描ききった傑作長編、慟哭の結末!
=============================
山崎遼一41才は、大手証券会社をクビになり、
妻にも逃げられ、借金を重ねて住むところを放棄、
所持金たった3円のホームレスになってしまった。
食うものもままならず、ゴミ漁り等をして飢えを凌ぐ日々。
そんな中、段ボールハウスの設置場所として訪れた公園で、
寡黙で美形のホームレス男・仲村と出会う。
仲村は定期的にコンビニなどを訪れ、期限切れの食品を手に入れていた。
公園を訪れる怪しげな占い師・錦織龍斎に誘われて、
さくらのアルバイトをしている内に彼の話術を学び、
彼が留守にした時に、見よう見まねで占いを行い、
遼一の占いに感動した客から思わぬ大金を手に入れる。
いつの間にか金を手にしていた遼一に龍齋は競馬を唆し、
龍齋の助言を信用して買った馬券は紙くずとなる。
残りの金を自分の判断に任せて馬券を買うと、
奇跡的に大穴を当てて、一気に所持金が跳ね上がった。
その金で飲み食いしようと唆す龍齋を無視し、
世間に対しての逆襲として新興宗教を興すことを決意。
世話になった美形の仲村、話術に長けた龍齋と共に、
新興宗教「大地の会」を設立する。
ホームレス話から大金を当てて新興宗教を興すまでが、
丁寧すぎるぐらいに遅々として描かれ、物語が進まないが、
大地の会を興して、口コミ式で相談者が増え、
会員が増えて軌道に乗り出すと一気にテンポが上がる。
世間を揺るがす程の勢いを持ち、大金を得た遼一だったが、
やがて自身が作り上げた宗教に足元をすくわれるはめに陥る。
物語が大きく動いて転じ、トラブルが起きて、
ここから更に面白くなるだろうと思っていた後半だけど、
なんだか肩すかしのように淡々と結末へ向かって行き、
尻すぼみ感を抱いたまま物語が終わってしまった。
最後にもうひとひねり、ふたひねりあれば、
大絶賛という感じで満足できたのに惜しいなぁ・・・。
そんなお得感も長く積冊したら意味が薄れてしまうんだなぁ。
上下巻ものは「読むぞ」という意気込みが必要で、
なかなか手に取りづらいけど、今月は上下巻ものをなるべく読んだ。


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(上)全財産は3円。
私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落。
寒さと飢えと人々からの侮蔑。段ボールハウスの設置場所を求め、
辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、
「新興宗教創設」を閃かせた。社会の隅からの逆襲が始まる!
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(下巻)三人で立ち上げた新興宗教団体「大地の会」は
私が描いた設計図どおりに発展。それどころか会員たちの熱狂は、
思惑を超えて膨れ上がっていく。奇跡の生還と劇的な成功。
だが、そこで私を待っていたのは空虚な祝祭と不協和音だった。
人間の底知れる業と脆さを描ききった傑作長編、慟哭の結末!
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山崎遼一41才は、大手証券会社をクビになり、
妻にも逃げられ、借金を重ねて住むところを放棄、
所持金たった3円のホームレスになってしまった。
食うものもままならず、ゴミ漁り等をして飢えを凌ぐ日々。
そんな中、段ボールハウスの設置場所として訪れた公園で、
寡黙で美形のホームレス男・仲村と出会う。
仲村は定期的にコンビニなどを訪れ、期限切れの食品を手に入れていた。
公園を訪れる怪しげな占い師・錦織龍斎に誘われて、
さくらのアルバイトをしている内に彼の話術を学び、
彼が留守にした時に、見よう見まねで占いを行い、
遼一の占いに感動した客から思わぬ大金を手に入れる。
いつの間にか金を手にしていた遼一に龍齋は競馬を唆し、
龍齋の助言を信用して買った馬券は紙くずとなる。
残りの金を自分の判断に任せて馬券を買うと、
奇跡的に大穴を当てて、一気に所持金が跳ね上がった。
その金で飲み食いしようと唆す龍齋を無視し、
世間に対しての逆襲として新興宗教を興すことを決意。
世話になった美形の仲村、話術に長けた龍齋と共に、
新興宗教「大地の会」を設立する。
ホームレス話から大金を当てて新興宗教を興すまでが、
丁寧すぎるぐらいに遅々として描かれ、物語が進まないが、
大地の会を興して、口コミ式で相談者が増え、
会員が増えて軌道に乗り出すと一気にテンポが上がる。
世間を揺るがす程の勢いを持ち、大金を得た遼一だったが、
やがて自身が作り上げた宗教に足元をすくわれるはめに陥る。
物語が大きく動いて転じ、トラブルが起きて、
ここから更に面白くなるだろうと思っていた後半だけど、
なんだか肩すかしのように淡々と結末へ向かって行き、
尻すぼみ感を抱いたまま物語が終わってしまった。
最後にもうひとひねり、ふたひねりあれば、
大絶賛という感じで満足できたのに惜しいなぁ・・・。
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写眞館渦
写真という文字に惹かれて、初めて手に取った作家さん。
他作で古本屋にも様々なタイトルが並んでいるわけで、
いつか読みたいと思いつつ後の楽しみにしていたんだけど、
最初の一冊としては微妙だったりもして・・・

=============================
(上巻)古い写眞館住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。
変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。
それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。
不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊」は泣いていると言う。
謎を解くことになった英一は・・・
=============================
(下巻)人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。
たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光の様子がおかしい。
友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主、小暮さんの幽霊に
会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、
各々が封印してきた過去が明らかになる。感動の結末へ。
=============================
青春もので、家族もので、ミステリーもあって、
心霊現象的だけどハートフルな背景もあって、
それなりに物語の世界を楽しんだけれど、
期待値が異常に上がりすぎての初読1作品目だったので、
なんとなく物足りなさを感じてしまった。
写真話がいろいろ出て来るかと思っていたけど、
出てくる事は出て来るけど、踏み込んだ内容でもなく、
全体的に「ふ~ん」という感じかなぁ。
いつか代表作を読んでみたいとは思うけど、
いつになるのやら・・・。
他作で古本屋にも様々なタイトルが並んでいるわけで、
いつか読みたいと思いつつ後の楽しみにしていたんだけど、
最初の一冊としては微妙だったりもして・・・


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(上巻)古い写眞館住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。
変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。
それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。
不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊」は泣いていると言う。
謎を解くことになった英一は・・・
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(下巻)人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。
たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光の様子がおかしい。
友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主、小暮さんの幽霊に
会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、
各々が封印してきた過去が明らかになる。感動の結末へ。
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青春もので、家族もので、ミステリーもあって、
心霊現象的だけどハートフルな背景もあって、
それなりに物語の世界を楽しんだけれど、
期待値が異常に上がりすぎての初読1作品目だったので、
なんとなく物足りなさを感じてしまった。
写真話がいろいろ出て来るかと思っていたけど、
出てくる事は出て来るけど、踏み込んだ内容でもなく、
全体的に「ふ~ん」という感じかなぁ。
いつか代表作を読んでみたいとは思うけど、
いつになるのやら・・・。
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沖待男女
続けざまの続けざま。同じ作家ばかり。
たまには薄めの本を乱読するのも良いね。

=============================
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。
そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。
約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。
仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く(沖で待つ)
命の恩人から進められた見合いに応じたものの、
やってきた相手は鼻持ちならない男だった。(勤労感謝の日)
短篇「みなみのしまのぶんたろう」を併録。
=============================
◎勤労感謝の日
阿呆な会社に腹を立てて辞めたのはいいけれど、
バブル崩壊後に職にも就かず、実家住まいの36歳の女に、
恩人から見合い話を進められ受けてみることに、
しかし相手はデブで非常識な事を訪ねてくる不快男だった。
見合い席を飛び出し、町へ出て親しい後輩女を呼び出し飲みに行く。
この先輩後輩を超越した関係性が清々しい。
◎沖で待つ
同期入社でいろんな時間を共有した男女の友情物語。
性別を超越して気心を通わせたデブの太っちゃん。
そんな彼が不慮の事故で死んでしまった。
彼とふざけ半分で語り合った死んだ後に気がかりなこと。
自分が死んだ後、彼がどうしても処理してほしいこととは・・・
自宅のパソコンのHDDを破壊すること。
彼女は太っちゃんとの約束を果たすため彼の部屋に忍び込む。
相変わらず男女の恋愛を交えない友情構成が美しいなぁ。
◎みなみのしまのぶんたろう
絵本を前提に描かれたような平仮名ばかりの物語だけど、
その内容は遠巻きに誰かを指しているようないないような・・・
たまには薄めの本を乱読するのも良いね。

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仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。
そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。
約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。
仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く(沖で待つ)
命の恩人から進められた見合いに応じたものの、
やってきた相手は鼻持ちならない男だった。(勤労感謝の日)
短篇「みなみのしまのぶんたろう」を併録。
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◎勤労感謝の日
阿呆な会社に腹を立てて辞めたのはいいけれど、
バブル崩壊後に職にも就かず、実家住まいの36歳の女に、
恩人から見合い話を進められ受けてみることに、
しかし相手はデブで非常識な事を訪ねてくる不快男だった。
見合い席を飛び出し、町へ出て親しい後輩女を呼び出し飲みに行く。
この先輩後輩を超越した関係性が清々しい。
◎沖で待つ
同期入社でいろんな時間を共有した男女の友情物語。
性別を超越して気心を通わせたデブの太っちゃん。
そんな彼が不慮の事故で死んでしまった。
彼とふざけ半分で語り合った死んだ後に気がかりなこと。
自分が死んだ後、彼がどうしても処理してほしいこととは・・・
自宅のパソコンのHDDを破壊すること。
彼女は太っちゃんとの約束を果たすため彼の部屋に忍び込む。
相変わらず男女の恋愛を交えない友情構成が美しいなぁ。
◎みなみのしまのぶんたろう
絵本を前提に描かれたような平仮名ばかりの物語だけど、
その内容は遠巻きに誰かを指しているようないないような・・・
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馬鹿弱者
薄めの本ということもあって、連読しちゃってる。
ずっと知らなかった作家さんだったので、知らない喜びを感じている。

=============================
気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上女性・額子に夢中。
だが突然、結婚を決意した彼女に捨てられてしまう。
失意に落ちるなか何とか大学を卒業し就職するが、
ヒデはいつしかアルコール依存症になり、周囲から孤立。
一方、額子も不慮の事故で大怪我を負い、離婚を経験する。
全てを喪失し絶望の果て、男女は再会する。
長い歳月を経て、ようやく二人にも静謐な時間が流れはじめる。
=============================
気ままな大学生活を送るヒデは勝気な年上女の額子と出会う。
男気のような口調と淡泊な性格の額子に傾倒し、欲望を発散させるが、
2年目のある日、唐突に結婚する事になったと一方的に告げられ、
公園の木に醜態を晒した状態で放置され捨てられる。
失意を乗り越え大学を卒業したヒデは数年後、家電量販店員になっていた。
大学時代からの友人である加藤とその恋人との交流で翔子を紹介され、
やがてヒデと翔子は付き合うのだが、翔子はヒデの酒癖が気になっていた。
ある日、ヒデは加藤から酒乱であるという事を指摘されるのだが、
自分自身には身に覚えのない悪癖だった。そして酒癖は悪化していく。
ヒデの酒癖を心配していた翔子だが、彼が会社も退職し、
飲んだくれて暴言を吐き続けるヒデについて行けず去って行く。
全てを酒で失ったヒデは、酒を断とうと思うのだが、
弱い心が決心を後回しにして、とことん落ちぶれていく。
そんな時に、かつて額子に紹介された彼女の母の飲み屋へ足を運ぶ。
全てを失ったヒデは、額子の母との会話で温かみを覚える。
額子の母に額子の近況を訪ねてみると、結婚後に職場の事故で
不自由な躰になり、その事が要因となって離婚したと教えられる。
かつて愛した恋人は変わり果てた姿になっていた。
勝気な口調は消え、白髪に覆われて老婆のような容姿である。
ぼそっぼそっとしか会話にならない時間を過ごす。
ラーメン屋で働いていたヒデは休みのたびに額子の元を訪れる。
そうして額子との会話を重ねるごとに、二人の心は癒えていく・・・
若年期の欲望的な促進力のある愛が砕かれて、
失意と葛藤の坂を転げ落ちていく男。
恋人にも友人にも職場にも見離され、
ごみのような自身に塞ぎ込み、光明を探すものの、
その在処さえ見失った堕落した道の中、
かつて欲望を注いだ愛の変わり果てた姿に会う。
変わらぬ愛というものを多くの人は語りたがるが、
この物語では変わり果てた愛の存在に真意を見つけ出す。
飾りのようなものを全て無くした二人がお互いの存在に、
かけがえのない心を見つける切なくも美しい愛の物語。
美しい・・・そこは微妙だな。
ずっと知らなかった作家さんだったので、知らない喜びを感じている。

=============================
気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上女性・額子に夢中。
だが突然、結婚を決意した彼女に捨てられてしまう。
失意に落ちるなか何とか大学を卒業し就職するが、
ヒデはいつしかアルコール依存症になり、周囲から孤立。
一方、額子も不慮の事故で大怪我を負い、離婚を経験する。
全てを喪失し絶望の果て、男女は再会する。
長い歳月を経て、ようやく二人にも静謐な時間が流れはじめる。
=============================
気ままな大学生活を送るヒデは勝気な年上女の額子と出会う。
男気のような口調と淡泊な性格の額子に傾倒し、欲望を発散させるが、
2年目のある日、唐突に結婚する事になったと一方的に告げられ、
公園の木に醜態を晒した状態で放置され捨てられる。
失意を乗り越え大学を卒業したヒデは数年後、家電量販店員になっていた。
大学時代からの友人である加藤とその恋人との交流で翔子を紹介され、
やがてヒデと翔子は付き合うのだが、翔子はヒデの酒癖が気になっていた。
ある日、ヒデは加藤から酒乱であるという事を指摘されるのだが、
自分自身には身に覚えのない悪癖だった。そして酒癖は悪化していく。
ヒデの酒癖を心配していた翔子だが、彼が会社も退職し、
飲んだくれて暴言を吐き続けるヒデについて行けず去って行く。
全てを酒で失ったヒデは、酒を断とうと思うのだが、
弱い心が決心を後回しにして、とことん落ちぶれていく。
そんな時に、かつて額子に紹介された彼女の母の飲み屋へ足を運ぶ。
全てを失ったヒデは、額子の母との会話で温かみを覚える。
額子の母に額子の近況を訪ねてみると、結婚後に職場の事故で
不自由な躰になり、その事が要因となって離婚したと教えられる。
かつて愛した恋人は変わり果てた姿になっていた。
勝気な口調は消え、白髪に覆われて老婆のような容姿である。
ぼそっぼそっとしか会話にならない時間を過ごす。
ラーメン屋で働いていたヒデは休みのたびに額子の元を訪れる。
そうして額子との会話を重ねるごとに、二人の心は癒えていく・・・
若年期の欲望的な促進力のある愛が砕かれて、
失意と葛藤の坂を転げ落ちていく男。
恋人にも友人にも職場にも見離され、
ごみのような自身に塞ぎ込み、光明を探すものの、
その在処さえ見失った堕落した道の中、
かつて欲望を注いだ愛の変わり果てた姿に会う。
変わらぬ愛というものを多くの人は語りたがるが、
この物語では変わり果てた愛の存在に真意を見つけ出す。
飾りのようなものを全て無くした二人がお互いの存在に、
かけがえのない心を見つける切なくも美しい愛の物語。
美しい・・・そこは微妙だな。
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