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努力作家

タイトルも気になる。作家名も気になる。
作品は風変わりなものばかり。古本屋で探し続けていたけど、
どこでも見つけられずに書店にて購入。



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僕には小説しかない、小説家になるしかないんだ・・・。
作家を目指して早9年経つが、一向に芽が出ない。
平凡な会社員の僕には過ぎた妻と幼い長男がいて、
家族の生活を支える身だ。時折よぎる不安。
だけど、僕には才能がある。そう信じている!
果たして作家志望の男・伊留香総一郎は夢を叶えられるのか!?
感涙必至!覆面作家の虚実入り乱れたデビュー秘話小説。
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素性を明かしていない覆面作家の自伝的小説という不思議な内容。
しかもタイトルとは真逆内容。困窮に耐え夢を負い続ける男の話。

作家に憧れつづける伊留香総一郎は会社員で妻子持ち。
睡眠時間を削って作品作りに没頭する毎日を送っている。
そんな彼をひたむきに支え続けてきた妻だったが、
一向に入賞の気配のない夫に「そろそろ」と切り出すが・・・

幼少時からあまたの小説を読み漁り、作文も得意だった。
大学では文芸同人誌サークルの部長を務め、
就職後は小さな会社を点々とし、営業職に就くものの、
一時昇格したと思いきや歩合ノルマの影響で給与も減る一方。
困窮した生活の中、作品作りの材料となりそうな機会を求め、
思いついたアイデアをノートに書き込み情熱を燃やし続けている。

同期投稿者のライバルたちは次々とデビューしていく中、
自分だけがまるで芽が出ない。誘いの連絡も皆無である。
家族の生活を支えるために一時は断筆を妻に誓ったものの、
同じような一日を繰り返す人生に生き甲斐を見失ってしまう。
そして再び、夢を追いかけるために必死に作品作りに励み、
作品を投稿しつづける。そしてついに出版社から連絡が入る。
「似たような作品を書いて送っていただけますか?」

夢を追いかける夫、それを支える妻。
作家の扉が見え始めた頃の妻の思いやりに胸が熱くなる。
努力しつづけていれば、いつかは報われるという、
サクセスストーリーで一気に読み終えて読後感も良かった。


で、ある程度の満足感を抱いて本を閉じたけれど、
こうやって思い返して感想みたいなのを書いていると、
なんとなくハートフルな展開のに作為を感じるような・・・
事実を元にしたフィクションとあとがきにもあるように、
もしかしたら構成的に話を盛っているのでは?

本書はとにかく努力、努力、努力。
そんな簡単には作家にはなれませんよ。
これぐらいやっても報われない人がいますよ。
そういう事を伝えたい物語なのかも知れない。

でも、なんかなぁ~努力と才能は異なるような気もして、
努力をしないで大成した作家もいると思うし、
作家になってから努力をした方もいるような気もする。


作家になるための狭き門をくぐり抜けてデビューし、
目の肥えた方々の見込みを経て世に出される作品の数々。
それだけ厳しい道を経て形になった物語なのに、
時折、金が惜しいと思うような内容のものもあるんだよな。
そもそも、世界的に有名な作品なんかでも、
多くの出版社に断られ続けて、どうにか引っかかった物が、
全世界で破格の売り上げを記録したというのも少なくない。

努力、才能、そして・・・運も必要。
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繰替過去

この作家さんは初めて。
評判作も棚にあったけど、あらすじを読んでこちらを手に取る。



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もし、現在の記憶を持ったまま十カ月前に戻れるとしたら――。
この夢のような「リピート」に成功し、人生の「やり直し」に
臨もうとしている、年齢も職業もバラバラの十人の男女。
彼らは一人、また一人と、次々と不審な死を遂げていきます。
誰が「リピーター」を殺しているのか?
家族にも警察にも相談できないまま、
独自の捜査を行う彼らが辿りついた衝撃の真相とは・・・。
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ある日、大学4年生の圭介に男から電話がかかってくる。
物腰のやわらかな口調で唐突に地震を予告した男は、
再び電話すると告げて電話を切る。
悪戯電話だと決めつけた圭介だったが、男の予言どおり、
指定された時刻に地震が発生し、再び男から電話が入る。

男は予め未来に起こることが分かっていると明かし、
無作為に人選した数人に同じ連絡をしていると言って、
圭介にもリピート体験(時間旅行)に参加して欲しいと告げる。
ある決められた日から過去の決められた日への時間旅行。
過去の自分に現在の記憶を持ったまま還れるということで、
男は時間旅行のことをリピートと名付けていた。

半信半疑のまま指定された日に集会場所へ赴くと、
自分と同じように誘われた数名が集まっていた。
トリックだと疑うもの、信じて情報を集め、
競馬などで大金を稼ぎ未来を変えようとするもの、
失敗した受験に再び挑もうとするもの、
懸念を抱えたままリピートは実行されるのだった。

未来を知りつつ現在を生きるという不思議な感覚に、
最初は戸惑う圭介だったが、事前計画を遂行しつつ、
リピート同行者の数人と連絡を取り合い情報交換し、
唯一の女性リピーターとの仲も深めていく。

やり直しの人生を謳歌する圭介だったが、
リピート仲間が事故に遭って亡くなってしまう。
しかし、それは連鎖の始まりだった。
あるものは自殺、あるものは殺害というように、
同行者がひとりずつ死んで行く・・・。

主謀者の男が怪しいと調査を始める圭介だったが、
男にはアリバイがあった。なにかの歯車が狂っている?
誰かが何かを隠している?信じられるのは誰?


物語の序盤は緩やかに進み、リピートで過去へ戻って、
それぞれが有意義な人生を楽しみ始めた所での死亡者。
そして死の連鎖。犯人は誰?理由は何?
中盤から終盤に掛けてミステリー色が強くなり、
頁をめくる速度も高まっていくのだが・・・
終盤の展開がなぁ・・・あ~あ、そういう話?とがっかり。
そしてラストの結末も後味が悪く残念感に満たされた。

後半の展開が良ければ数段印象も膨らむ所なのに、
あの流れで、あの終わり方だと萎んだ風船気分でしわしわ・・・。
話題になっている作品への興味の芽も引っ込んでしまった感じ。
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謎女酒場

1作目は合わなかったけど、映画化された2作目なら、
シリーズ作だし、面白いのかも?と思って手に取ってみた。



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いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、
見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を受けた。
伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。
疑問を感じながらも依頼を果したのだが、
その帰り道、何者かによって殺されそうになった。
ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは、依頼人と同じ名の女が、
地上げ放火事件ですでに殺されていたことだった。
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映画予告のCMなどで見かけた場面が無かったりしたので、
映画版と小説は内容に違いがあるのでしょう。

シリーズ2作目。舞台は札幌ススキノ、主人公は便利屋の「俺」。
いつも入り浸っているバーに一本の電話がかかってくる。
コンドウキョウコと名乗る女は、俺の仕事を何故か知っていて、
口座に金を振り込んだと言って一方的に依頼を告げる。

不審に思いつつ彼女の依頼に従って行動すると、
その帰り、駅のホームで何者かに線路に突き飛ばされる。
ことなきを得るものの、この奇妙な依頼人を不審に思い、
コンドウキョウコという女性の調査を続けて行くと、
地上げのための放火で死んでいることが判明する。

その放火犯も不審な死を遂げていた。
危険な目に遭いつつも聞き込みを続けていくうちに、
札幌のタウン誌社長が殺された事件に行きあたる。
亡くなった社長の若い妻が超美人であること、
夫の死後、地上げ後の施主と恋仲になっているという。
地上げ放火で亡くなったものも少なくなく、
俺は謎の依頼人と、事件の背景を探り続けて行く・・・


一作目が思っていたほど面白いと思わず、
それっきりで終わろうとも思っていたのだが、
映画が好評だったらしいというのを小耳に挟み、
じゃあ原作となった二作目を読んでみようかな?
というミーハー心で読み始めた。

前作よりも物語性が濃くなりミステリー要素も重なり、
謎の依頼女の招待は?そこに秘められた背景は?と、
頁をめくる手は加速していくものの、
なんなんだろう?主人公の魅力なのかな?会話なのかな?
物語の読後感とかもあるのかな?ホードボイルドは好きで、
いろんな小説を読んでいるけど、ちょっとこのシリーズは
相性が悪いのかな~。じゃあ三作目と思わなかったんだなぁ。
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髭印琥珀

某ウイスキー工場の売店にて購入。
その後、古本屋でよく目にしたので早まったかな?とも思ったが、
まぁ、気持ちが湧いている時に読んだ方が良いのでしょう。



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いつの日か、この日本で本物のウイスキーを造る――。
大正7年、ひとりの日本人青年が単身スコットランドに渡った。
竹鶴政孝24歳。異国の地で、ウイスキー造りを学ぶ彼は、
やがて生涯の伴侶となる女性リタと出会う。
周囲の反対を押し切って結婚した二人。
竹鶴は度重なる苦難にも負けず夢を追いリタは夫を支え続けた。
“日本のウイスキーの父”の情熱と夫婦の絆を描く。増補新装版。
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先日読み終えた「望郷」がリタを主人公にした伝記的小説で、
こちらは竹鶴を主人公にした伝記的小説というような内容。
大筋は望郷で味わっているため、流れは把握しているものの、
重点が変わることで、また違った味わいがあった。

望郷で描かれた養女の存在に全く触れられておらず、
これを読みながらネットなどを調べたりして、
小説として、史実として、文献として興味を広げつつ、
遠い過去の熱き人々達の想いに想いを馳せて楽しんだ。

この人がいなければ誕生は無かったかも?
物語や史実を味わうたびに、その全ての人々の関わりが、
大きな一歩を生み出したことが分かるし、
それぞれの相容れぬ思いなどもまた背景があったりして、
偶然や奇跡、必然と信念が巡り会った物語であることが分かる。


今や世界でも称讃されているという日本の味は、
この時代の多くの人の想いが熟成された証なのでしょう。
酒的な知識は全く持っていないけれど、
グラスに注いだ琥珀色を明かりに向けて掲げ、
そして香りを胸一杯に味わい、再びグラスを掲げる。
そうしているだけで物語の情景がゆっくりを巡っていく。

さて、まだ他にも関連書籍や小説があるみたいだ。
古本屋では見つけられなかったし、書店に足を運ぶとしよう。
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漂流童記

シーナHPの著作を語る対談でM氏が褒めていたので、
久しぶりにシーナ本でも読んでみようと古本屋にてゲット。



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ぼくのおじいさんが若い頃暮らしていた南の島でのこと。
島の祈祷師のいう「歩く魚」を追い求めて、
遠い海へと乗り出すことにした。
一隻のカヌーに水と食料を積み、島の少年二人、少女一人と。
荒れ狂う嵐の海、無人島への漂着、サカナ人間の攻撃、
そして空飛ぶ「鳥人間」が住む島へ・・・。
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祖父から聞いた話を読者に語り聞かせる体裁で物語は始まり、
とある島の少年時代の祖父と島の暮らしや人々が描かれる。
そして祈祷師から聞いた「歩く魚」に興味を持った行動派の少年が、
物々交換でカヌーを手に入れ、未知の島を訪れようと決意する。

島の少年二人に誘われて少年祖父もカヌーに乗り込む。
そこへ少年達と親しい少女も駆け寄り4人の旅が始まる。
水や食料など用意周到に旅立ったものの、
伝え聞いた未知の島はなかなか現れない。食料も減るばかり・・・

そして嵐がやってきた。運良く無人島へ漂着した四人は、
島の中を探索し、どうにか湧き水の場所を確保し、
食料を手に入れ、協力しながら島探検を続ける。
そうやって奥地へ進んだ際に、巨大な鳥に遭遇する。

食料として近づく少年達だったが、
彼らの声に反応する鳥に愛着を抱き始め、
巨鳥も何故か彼らの後をついてくる。
4人と1羽の不思議な生活が続く中、探索した海岸で、
自分たちのカヌーが打ち上げられているのを発見。


カヌーを修繕し、無人島を脱出する計画を進めていくが、
彼らの頭には巨鳥をどうしようかという想いが巡る。
そんな葛藤に苛まれる中、巨鳥の群れが現れ、
彼らの思いを知ってか知らずか仲間の巨鳥は群れに加わる。

懸念を払拭し無人島を脱出した彼らは再び大海原を進む。
いろいろな出来事が巡り、彼らの視界に大きな船が飛び込んでくる。
軽快しながら近づいていくと、船人たちは皆、人間の胴体に魚の顔である。
頭上を見上げると鳥だと思っていたものが翼を持った人間だった。

船人たちに捕らわれ彼らの島へ連行されるが、
少年の一人が何となく魚人間たちの言葉が分かるらしく、
カタコトで会話を交わすと、少年達に危険性が無い事が分かり、
少年達は彼らの島を自由に歩き回る事が可能になる。

魚人間だと思っていた島人は魚の被り物をしていたのだった。
翼を持った人間も、大きな翼を手に持って空を舞っているのだった。
そうやってカタコトで交流を深めていくうちに島人とも仲良くなり、
少年達は自分たちの島がある方角を彼らに伝えるのだった・・・。


漂流物語といえば、危機の連続や、飢餓に苦しむとか、
仲間達との亀裂、意見の偏り、分裂などが定番のようだが、
この物語は大きな危機もないし、残虐な描写も、絶命感もない。
ちょっとした問題毎も、どこか童話のような空気感で穏やかな感じ。
シーナ独特の名前などが列挙されて想像力が刺激される。

M氏が面白かったというので期待値が膨らんでしまい、
なんとなく物足りない読後感が気持ちの上で漂流していた。
と、いうかM氏が絶賛したもので、こりゃ凄いと思ったものが、
無いような気もするんだよなぁ・・・。好き嫌いの問題かな。
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望郷里多

朝ドラ関心でこの小説の存在を知り、
古本屋で探していたら、再版文庫が書店に並ぶようになった。
と、いうことはそろそろ古本に流れてくる?なんて期待を込め、
ぶらり足を運んでみたら案の定。新版ものが見つかった。



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スコットランドのカウン家4人姉弟の長女として生まれたリタ。
病弱でこもりがちだった少女時代を経て、
第一次世界大戦で初恋の人を失い、失意の底にいた彼女は、
日本人で初めてモルトウイスキーの製造法を学びにやってきた
竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を
献身的に支え続けたリタの心のよりどころとは―。
ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、妻リタの人生を
モデルに描いた感動の長篇伝記小説。
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長篇小説として史実とは微妙に異なっているらしいが、
ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、妻リタの伝記として、
大きな流れを味わうのには適した内容だと思う。

病弱で学校に通えなかった幼少期。
家の手伝いとピアノばかり弾いて家に籠りきりのリタ。
快活で勝ち気な次女はそんな姉に嫌味たっぷり。

親同士の交流から道筋の決められた許嫁的男女間。
相手を慮るあまりに心と裏腹の行動をとる若い二人、
その蟠りが解け、おのずと恋に落ちた二人だったが、
温もり始めの恋路を戦争が経ち、女は神に故郷へ祈る。
その祈りもむなしく打ち砕かれ塞ぎ込んでいた時に、
熱い思いを胸に異国を訪れた男の笑顔に癒される。


朝ドラでは描かれていない幼少期のリタの病弱ぶり、
次女の陽気で勝ち気な性格、姉への対抗心。
三女の穏やかぶり、弟の士官興味からの強者への憧れ、
開業医である温厚な父、献身的に支える母の大きな背中。
引き籠もり気味のリタを快方に向かわせた恋、戦争失意・・・

リタの幼少~青春期の背景が描かれる事で、
何故、故郷を離れ極東の地へ赴く決意をしたのかや、
竹鶴との運命的な出会いへの導きも分かりやすい。
小説ということで細かい部分に相違はあるのだろうけど、
竹鶴の多難に満ちた人生と、恵まれた交流を知る事が出来る。


いろんな人の思いが交差して日本にウイスキーが誕生した。
若い頃、何も知らずに見た目の格好良さや名前の響き、
大人の男への憧れなども抱きつつ、繁華街でウイスキーを口にした。
酔うため、騒ぐために飲んでいるだけだった酒に嫌気がさし、
二十代の後半には酒を飲む事も、機会も避けるようになったけど、
今頃になって、何も分かっていなかった自分を思い出し、
朝ドラ機会に久しぶりにウイスキーを購入ちびっている。

終盤にさしかかった本書を鞄に入れ、
向かった先はニッカの工場だった。
いろんな情景に思いを馳せながらの試飲。
それは数年前に訪れた時の気持ちとは色合いが異なった。

グラスに注がれた琥珀色の液体を眺め、舌を湿らせつつ、
本書を読み終え、続けざまに売店で購入して来た
別作家の一冊を読み始めた。
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爆弾小僧

往年のプロレスファンなら矢印出現のタイトル。
表紙絵の下に彼らしきイラストもあるし・・・
どんな繫がりがあるのかと思ったら、えっ、その程度?



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体を鍛えることが趣味の中年オヤジと、
ふくよかな女警官の凸凹コンビが、いやいやながらも手を組んだ。
頭脳ならぬ筋肉で迷宮入りしそうな事件に挑む。
推理を楽しみながら、筋トレ理論にも詳しくなれて
まさに一石二鳥!?読めばムキムキ、痛快ユーモアミステリー。
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刑組犯対課の新米巡査・鏡愛香はふくよかな体型で、
挨拶代わりの体型ネタをあしらいつつ上司と行動を共にする。
しかし上司の菅牟田は理由をつけては現場放棄して姿を消す。
その彼が彼女のサポートとして寄越したのが、
マッチョ男で情報屋の相賀大だった。

相賀は愛香の母の元カレで、幼少時の記憶が薄く残る。
あまり良い印象を持っていない愛香は、
相賀に言われるまま車に同行するのだが、
行く先々で待つのは相賀が依頼された筋トレ講習会だった。
筋トレとは程遠い体型の愛香で筋トレレクチャーが行われ、
その筋トレ理論が事件解決のヒントになり解決に導いてしまう。

連作短編のような形態で事件と筋肉理論が披露され、
読者は愛香と同じように筋トレ理論を教え込まれて行く。

なんでタイトルにレスラー名があるのかは、
愛香がたまたま見たスポーツ新聞に載っていたのが、
このレスラーで、その風貌に相賀が似ているということ。


この作家さんの描く物語は好きで次々と買い集めているのだが、
今回のやつは他のと比べると、ちょっと満足度が低かったかな。
日米で活躍した爆弾小僧のその後のような・・・
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醜女美讐

けっこう前に積冊に加えて月日が経ってしまった。
表紙の雰囲気が後回しにさせる何かがあるんだろうなぁ。



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田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。
彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。
周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。
思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、
整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。
そのとき亡霊のように甦ってきたのは、
ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった―。
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不細工を越えた畸形的な醜さで生まれた和子は、
実の母親にすらブスと罵られながら育った。
和子には智子という姉がいるが、彼女の外見は普通で、
両親の愛情は姉にばかり注がれていた。

ある事件が要因となって親子の縁を切られ、
町を追われた和子は母方の祖母の養子となり東京の短大へ進学する。
その際に田淵和子から鈴原未帆と改名し忌々しい家族への拒絶を表す。
卒業後の就職活動も書類審査は通過するものの、面接で必ず落とされた。
結果的に人前に出ることの無い工場の製造ラインが職場となる。

機械的な業務をこなしていた未帆だったが、
やはり上司や同僚からは奇異的な視線を集め、
遠回し的な嫌がらせも受けていた。
自暴自棄になった未帆は風俗店で働こうと足を運ぶのだが、
そこでも醜貌が理由で断られてしまう。
しかし、仮面をつけた格好での風俗に出会い、
そこで地道に働き、その資金で整形外科を訪れる。

一重を二重にする手術を行った未帆は、
金で自分のコンプレックスが薄れることに感動し、
それからは風俗で稼いだ金を全て整形手術に充てていく。
そうして年月とともに未帆は完璧な美貌を手に入れる。


町工場を退職し、その美貌を武器に、
かつて断られた風俗店へ再び足を運ぶ未帆。
その変貌した美しさの裏に未帆の過酷な人生をみた男は、
彼女の為にVIP相手の風俗を紹介し未帆は大金を得ていく。

そしてある程度の資金が集まった所で、
自分を追い出した故郷へ復讐に訪れるのだった。



世の中で交わされるキレイゴトの醜さと、
その容貌ゆえに卑屈にならざるを得なかった女の、
執念と悲哀に満ちた破滅と優越の物語。
これもまた一風変わったシンデレラストーリーで、
ガラスの靴ならぬ医療メスによって人生に転機が訪れ、
周りの羨望を浴びる王女のような存在になる。

醜女だった未帆が美貌を手に入れ復讐する。
ストーリーも分かりやすくテンポも良いので読みやすい。
しかし、読後は世の中に整形美女がウヨウヨいるのでは?
なんて思いが充満し、TV画面の女性に疑念を抱いてしまった。
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囲女探偵

数年前の雑誌のミステリー小説特集で、
いろいろ紹介されていた中の一つ。表紙絵が記憶に残っていて、
古本屋で「ああ、これだな」と手を伸ばした。



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元刑事でフリーライターの柚木草平は私立探偵でもある。
今回もち込まれたのは、女子大生轢き逃げ事件。
車種も年式も判明したのに、車も犯人も発見されていないという。
被害者の姉の依頼で調査を始めたところ、
話を聞いた被害者の同級生が殺害される。
私生活でも調査でも、出会う女性は美女ばかりで、
事件とともに柚木を悩ませる。人気シリーズ第一弾。
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38歳の柚木草平は元刑事でフリーライターをしながら、
警察が捜査を諦めたような事件を追う私立探偵でもある。
マスコミなどでも有名な妻と10歳の娘とは別居中・・・
特捜時代に知り合った美人キャリアで元上司の吉島冴子から、
難航事件で困っている人たちを紹介され調査を行っている。

今回の依頼は被害者の姉である島村香絵の依頼で、
女子大生だった妹・由美を轢き逃げした犯人探しと事件の真相。
警察は轢き逃げ事故として処理し、解決したと言うのだが、
犯行時間帯、轢き逃げした車種などが判明したにも関わらず、
その車の行方も、犯人も見つかっていないのだという。

事故が起きた時間帯に妹が出歩く事が信じられない香絵は、
妹が事件に巻き込まれて殺害されたのでは?との疑いも抱いていた。
由美が亡くなったのが婚約破断のあとという事で、
一流会社に勤める元婚約者が怪しいのではとも告げてくる。

由美の部屋にあった手帳から交遊関係に目処を付け、
タイミングの合った順で聞き込みを始める草平。


文章立ての雰囲気はパーカーの翻訳版といった感じ。
そして主人公が聞き込み先で軽い誘惑的話術を行うのも似ている。
まぁスペンサーのような頑強な雰囲気は漂っていないけど、
どういう訳か出会う女性に好かれてしまう風貌なのだろう。

出てくる女性のほとんどが美人らしく。
仕事を斡旋している元上司の冴子とは不倫関係だし、
聞き込み先にいる女性も美人、由美の友人女性も美女・・・
とにかく次から次へと美女との接点が生まれていき、
それが好意的な線へと変わりそうな芽生えもあったり・・・

登場人物たちが物語の展開に合わせて構築され、
場面を繋いで結末へ向かうハードボイルドタッチの探偵もの。
ストーリーも分かりやすく、主人公の背景を小出しにして、
シリーズ展開していく流れも良いけれど、
それにしても美女ばかりに囲まれた主人公の活躍に、
なんだか斜に構えてしまう気持ちが明滅するんだな・・・。

まぁ、事件解決後にへへ~んが訪れるけど。
とりあえず続編も読んでみようかなぁ。
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車女元彼

一気に集めて読み順はタイトルや表紙絵で決定。
薄めの本は手に取りやすいから比較的積冊期間が短く、
その間に厚めの本の積冊が増えていく・・・



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昔の男はオレンジ色のTVRタスカンに乗って現れた。
会いたくなんかなかった。ただどうしてもその車が見たかった。
以来、男は次から次と新しい車に乗ってやってくるようになる。
ジャガー、クライスラー、サーブ、アストンマーティン、
アルファロメオ・・・。長い不在を経て唐突に始まった
奇妙で不確かな関係の行き着く先は。
勤め人時代を描いたエッセイ及び掌編小説「ダイナモ」併録。
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車好き女ゆうこの元カレはいまや売れっ子の音楽プロデューサー。
カマキリのような風貌の本条は、ゆうこの車好きを知っていて、
手に入れた新車を餌に会おうと電話してきた。
あんなヤツに会いたくない・・・だけど、その車は見たい・・・。

新車に心躍らせつつ、本条との無駄話に悪態をつく彼女。
車への純粋な思いとともに、恋人でも友人でもなくなった男と、
旧知の仲という微妙な関係が点と点を結んで物語が広がる。
連作短編のような形式で綴られ、本条が車を買い換えると、
それを餌に誘ってくる。その誘惑に悪態をつきつつ会うゆうこ。

車好きな人とか、車種に憧れを抱く人なら楽しみも倍増なのかな?
ほとんど車知識が無く、興味もあまり持っていないので、
その車種に対する主人公の思い入れは「ふ~ん」という感じ。
分からないなりに気になるので、出てきた車種はそのつどネット検索し、
こういう車かぁ~と画像を開いて時折眺めながら読んだ。

男と女の微妙な関係が今回も展開される。
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