楽しみの泉を探してジャングルライフを満喫中!
Jungle Fire Water
国雪宿民
結果的に書店購入になった作品を古本屋で探していた時に、
本作を見かけていて、安価棚に並んだのを見て手を伸ばした。

=============================
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。
享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、
その生涯は未だ多くの謎に包まれている―。
期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、
そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは…
小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
=============================
97歳で亡くなった画家・丹生雄武郎(にうゆうぶろう)。
高齢になって世間に認められ、日本を代表する画家となった彼は、
新潟のある沿岸域にある町の寂れた民宿「雪国」の主人でもあった。
画家としての名声が逆に彼の謎に包まれていた過去を炙り出す要因になり、
その中で彼が殺人狂であることが明かされていく・・・。
物語の構成は「さらば雑司ヶ谷」に似ている部分もあり、
実際に起きた事件や歴史を匂わせる人物が登場したり、
引用、パスティーシュ、オマージュ、リスペクトが含まれた内容。
本作を見かけていて、安価棚に並んだのを見て手を伸ばした。

=============================
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。
享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、
その生涯は未だ多くの謎に包まれている―。
期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、
そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは…
小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
=============================
97歳で亡くなった画家・丹生雄武郎(にうゆうぶろう)。
高齢になって世間に認められ、日本を代表する画家となった彼は、
新潟のある沿岸域にある町の寂れた民宿「雪国」の主人でもあった。
画家としての名声が逆に彼の謎に包まれていた過去を炙り出す要因になり、
その中で彼が殺人狂であることが明かされていく・・・。
物語の構成は「さらば雑司ヶ谷」に似ている部分もあり、
実際に起きた事件や歴史を匂わせる人物が登場したり、
引用、パスティーシュ、オマージュ、リスペクトが含まれた内容。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
装幀顔面
本屋に行って表紙の装幀だけ眺めているのも楽しい。
いろんな書体、いろんな絵、写真、いろんな紙、色・・・
そんな仕事ばかりを長年続けている方の作品集的回顧録。

=============================
人気ブックデザイナーが明かす、本づくりの舞台裏。
30年間に手がけた装丁10,000冊。
読者を魅了するデザインはいかに発想され、作られていくのか?
その本の内容にもっともふさわしい「かたち」を探り続ける、
鈴木成一デザイン室、驚きの制作秘話。
=============================
どんな経緯でイラストレーターに発注し、
どんな思いを込めてデザインされたのか、
その制作側の裏話と創造に込められた意図が明かされ、
いろいろとタメになるデザイン本。
薄めの本で、簡潔な文章で語られているけど、
本当はこの数倍の思い入れが綴ることが出来るのでしょう。
デザインとイラストレーターに関して書かれていることが多いけど、
紙質やインクの印刷方法なども多少書かれていて面白い。
いろんな書体、いろんな絵、写真、いろんな紙、色・・・
そんな仕事ばかりを長年続けている方の作品集的回顧録。

=============================
人気ブックデザイナーが明かす、本づくりの舞台裏。
30年間に手がけた装丁10,000冊。
読者を魅了するデザインはいかに発想され、作られていくのか?
その本の内容にもっともふさわしい「かたち」を探り続ける、
鈴木成一デザイン室、驚きの制作秘話。
=============================
どんな経緯でイラストレーターに発注し、
どんな思いを込めてデザインされたのか、
その制作側の裏話と創造に込められた意図が明かされ、
いろいろとタメになるデザイン本。
薄めの本で、簡潔な文章で語られているけど、
本当はこの数倍の思い入れが綴ることが出来るのでしょう。
デザインとイラストレーターに関して書かれていることが多いけど、
紙質やインクの印刷方法なども多少書かれていて面白い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
拾物連作
この作家さんは古本屋にあまり並んでいなくて、
未読作を見つけると確保していた。確保すると新鮮感があったりして、
先に確保したものよりも先に読み始めることも・・・

=============================
対人関係に自信が持てないバイト店員、
イベント司会ばかりの女優、喧嘩早く転職を繰り返す元不良、
いじめが原因で三年間引きこもっている元高校生、
恋人の死にうちひしがれる悲嘆の女性。人生に躓いた人たちが、
「ひろいもの」をすることで自己改革を始める。
セカンドバッグ、サングラス、警察手帳、
ハンドグリップ、腕時計―。
思いが込められた道具を拾った人々に運命の転機が訪れ、
主人公たちは変わっていく。五人の物語をオムニバスで
綴っていきながらそれぞれの話がリンクしていく。
読んだ後、気持ちが前向きになるハートウォーム・ストーリー。
=============================
○セカンドバック
接客に自信のない鞄屋のアルバイト男が拾ったのは、
紙袋に入った高級セカンドバックだった。
素材に興味を持ち、調べるうちに知識が増えた彼は、
自分で調べた知識を自然に客に話しはじめていた・・・。
○サングラス
イベントの司会ばかりの売れない女優が拾ったのは、
酔って植え込みに転倒した時に手に触れたサングラス。
あるとき、そのスポーツタイプのサングラスをかけた彼女は、
無性に走りたい欲求に駆られ・・・
○バッチ
短気のせいで転職を繰り返す男が拾ったのは、
公園に落ちていた警察手帳だった。
持ち主へ返そうと思いつつも手帳の効力に魔が差し、
手帳を使って揉め事に首を突っ込んでいく・・・
○ハンドグリップ
引き籠もり男が近隣夫婦の揉め事に首を突っ込み、
その夫の恨みが怖くて、仕返しに怯える日々を過ごす。
そんなある夜、ゴミ置き場でハンドグリップを見つけ・・・
○ウオッチ
恋人の急逝にうちひしがれる女性は、
彼との思い出の場所を訪れる日々を送っている。
彼の住んでいたアパートへ越した彼女は、
散歩の途中で彼が欲しがっていた物によく似た腕時計を拾う。
それぞれが独立した短編の形を取りながらも、
各編に他の話の人物が登場したりして連作にもなっている。
拾い物をすることで、人生が今までと少し変わる。
ほんのちょっとの出来事が気持ちを膨らませ、
モノではないナニモノカを見つける物語。
この作家さんは、こういうキッカケハートフル作品が多いね。
読みやすいし、読後感が良いのも好きな理由。
未読作を見つけると確保していた。確保すると新鮮感があったりして、
先に確保したものよりも先に読み始めることも・・・

=============================
対人関係に自信が持てないバイト店員、
イベント司会ばかりの女優、喧嘩早く転職を繰り返す元不良、
いじめが原因で三年間引きこもっている元高校生、
恋人の死にうちひしがれる悲嘆の女性。人生に躓いた人たちが、
「ひろいもの」をすることで自己改革を始める。
セカンドバッグ、サングラス、警察手帳、
ハンドグリップ、腕時計―。
思いが込められた道具を拾った人々に運命の転機が訪れ、
主人公たちは変わっていく。五人の物語をオムニバスで
綴っていきながらそれぞれの話がリンクしていく。
読んだ後、気持ちが前向きになるハートウォーム・ストーリー。
=============================
○セカンドバック
接客に自信のない鞄屋のアルバイト男が拾ったのは、
紙袋に入った高級セカンドバックだった。
素材に興味を持ち、調べるうちに知識が増えた彼は、
自分で調べた知識を自然に客に話しはじめていた・・・。
○サングラス
イベントの司会ばかりの売れない女優が拾ったのは、
酔って植え込みに転倒した時に手に触れたサングラス。
あるとき、そのスポーツタイプのサングラスをかけた彼女は、
無性に走りたい欲求に駆られ・・・
○バッチ
短気のせいで転職を繰り返す男が拾ったのは、
公園に落ちていた警察手帳だった。
持ち主へ返そうと思いつつも手帳の効力に魔が差し、
手帳を使って揉め事に首を突っ込んでいく・・・
○ハンドグリップ
引き籠もり男が近隣夫婦の揉め事に首を突っ込み、
その夫の恨みが怖くて、仕返しに怯える日々を過ごす。
そんなある夜、ゴミ置き場でハンドグリップを見つけ・・・
○ウオッチ
恋人の急逝にうちひしがれる女性は、
彼との思い出の場所を訪れる日々を送っている。
彼の住んでいたアパートへ越した彼女は、
散歩の途中で彼が欲しがっていた物によく似た腕時計を拾う。
それぞれが独立した短編の形を取りながらも、
各編に他の話の人物が登場したりして連作にもなっている。
拾い物をすることで、人生が今までと少し変わる。
ほんのちょっとの出来事が気持ちを膨らませ、
モノではないナニモノカを見つける物語。
この作家さんは、こういうキッカケハートフル作品が多いね。
読みやすいし、読後感が良いのも好きな理由。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
塔歪都市
未読作家の本を手に取るキッカケは
タイトルか装幀のどちらかに興味を抱くかどうかだろう。
話題作とかは別だけど。本書はタイトルに惹かれて手に取った。

=============================
雨の降りしきる港湾地区。
埋め立て地に置かれた冷凍コンテナから、
十四人の男女の凍死体が発見された!
睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、
それは始まりに過ぎなかった―。
機捜所属の女性刑事クロハは、想像を絶する悪意が巣喰う、
事件の深部へと迫っていく。
=============================
ネット上の仮想世界でアゲハと名乗り、
匿名人物達と交流を楽しむクロハの職業は機捜刑事。
男社会の中での風当たりは強いものの、
彼女には男に負けない意思と射撃の腕があった。
彼女には同居する姉とその息子がいて、
現実社会の癒しを二人から受けていた。
ある日、室内で惨殺体となって発見された現場に居た際、
別の要請が入って現場を離れ、急いで埋立地に向かう。
冷凍コンテナからは14人の男女遺体が発見されていた。
捜査の結果、自殺サイトを利用した集団自殺と判明し、
そのサイトを運営する鼓動と名乗る管理者に問い合わせるが・・・
時を同じくして仮想世界にも変化が訪れ、
ある者が現れたことで不穏な空気が立ちこめる。
現実社会にも素性の知れない男が現れ、クロハに接触してくる。
タカハシと名乗る男は集団自殺が何者かの仕業であるという。
集団自殺の事を調べて行くうちに、
参加しなかった人物の存在を突き止める。
集団自殺サイトによって洗脳された彼女は、
死への渇望に焦がれる日々を送っていた。
彼女の自殺を阻止しようと接触を試みるが、
クロハを目の敵にする上司の横槍が入り・・・
仮想世界の住人たちの素性、
事件との関連性、謎の人物の動き・・・
そしてクロハを襲う悲劇・・・
仮想世界と現実世界の共通点・・・
ある程度、想像した範疇で物語は進むのだが、
最後の対決場面はもう少し緊迫感が続いて欲しかったかな。
次作も既に出ているようなので、
いつか読みたいと思う。
タイトルか装幀のどちらかに興味を抱くかどうかだろう。
話題作とかは別だけど。本書はタイトルに惹かれて手に取った。

=============================
雨の降りしきる港湾地区。
埋め立て地に置かれた冷凍コンテナから、
十四人の男女の凍死体が発見された!
睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、
それは始まりに過ぎなかった―。
機捜所属の女性刑事クロハは、想像を絶する悪意が巣喰う、
事件の深部へと迫っていく。
=============================
ネット上の仮想世界でアゲハと名乗り、
匿名人物達と交流を楽しむクロハの職業は機捜刑事。
男社会の中での風当たりは強いものの、
彼女には男に負けない意思と射撃の腕があった。
彼女には同居する姉とその息子がいて、
現実社会の癒しを二人から受けていた。
ある日、室内で惨殺体となって発見された現場に居た際、
別の要請が入って現場を離れ、急いで埋立地に向かう。
冷凍コンテナからは14人の男女遺体が発見されていた。
捜査の結果、自殺サイトを利用した集団自殺と判明し、
そのサイトを運営する鼓動と名乗る管理者に問い合わせるが・・・
時を同じくして仮想世界にも変化が訪れ、
ある者が現れたことで不穏な空気が立ちこめる。
現実社会にも素性の知れない男が現れ、クロハに接触してくる。
タカハシと名乗る男は集団自殺が何者かの仕業であるという。
集団自殺の事を調べて行くうちに、
参加しなかった人物の存在を突き止める。
集団自殺サイトによって洗脳された彼女は、
死への渇望に焦がれる日々を送っていた。
彼女の自殺を阻止しようと接触を試みるが、
クロハを目の敵にする上司の横槍が入り・・・
仮想世界の住人たちの素性、
事件との関連性、謎の人物の動き・・・
そしてクロハを襲う悲劇・・・
仮想世界と現実世界の共通点・・・
ある程度、想像した範疇で物語は進むのだが、
最後の対決場面はもう少し緊迫感が続いて欲しかったかな。
次作も既に出ているようなので、
いつか読みたいと思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
精神決壊
以前から気になりつつ上下巻というのに二の足を踏んでいた。
某雑誌の対談を読んで矢印が大きくなって読みたくなった。

=============================
(上)地方都市で妻子と平凡な暮らしを送る
会社員の沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、
自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。
一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、
殺人の夢想を孤独に膨らませていた。
ある日、良介は忽然と姿を消した。
無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。
許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
=============================
(下)戦慄のバラバラ殺人―
汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、
生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。
悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、
一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。
そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、
「悪魔」がその姿を現した!
00年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。
=============================
独特な表現で構築される個性的な文章構成。
最初のうちは読み辛さを感じて抵抗もあったけど、
そのアクというかクセに慣れてくる。中毒性のある文体。
でも延々と何冊も読み続けるには気力が必要な感じ。
沢野良介は優秀な兄を持ち、幼少時から劣等感を抱いていた。
製薬会社に入社し、妻と子のいる家庭も築き上げたが、
劣等感の捌け口としてネット日記に不平不満を書き連ねていた。
その記事を偶然見つけた妻は良介の兄・崇と会うたびに、
夫の隙を見て、彼の内に秘めた闇の存在を相談するようになる。
崇は頭脳明晰でエリート街道を駆け上がり外交官を経て、
今は国会図書館で働く公務員。複数の美女と交際していて、
何不自由の無い暮らしを送っているように見えるのだが、
その心には空虚が広がり、生きる意義を見失っていた。
妻が自分の目を盗んで兄と会話している事に感づいた良介は、
妻と崇の不倫を疑い、二人への反感を募らせていく・・・。
そんなある日、良介の記事に何者からのコメントが寄せられていた。
666という相手は共感を綴り、一度会って話をしたいという。
一方、いじめに苦しむ中学生の北崎友哉は、
いじめ相手の携帯から交際相手の女子と撮った
淫らな画像を盗みとり、ネットに流出させて報復する。
同級生の女子は引き籠もり、いじめ相手は犯人探しを始める。
明確な証拠もないままに再びいじめられる友哉は、
殺人行為という夢想を孤独に膨らませていくのだった。
ネットに殺害夢想を書き連ねていた友哉へ、
何者からのコメントが入り、手助けをしようと言う。
そして友哉は指定された場所へ赴き男と会うのだった。
良介の妻から不倫を疑われていると相談を受けた崇は、
共に出張で大阪を訪れた際に良介と会って話をするのだが、
その日から良介は行方不明になってしまう。
しばらくして良介はバラバラ遺体となって発見される。
警察の調べに妻は良介が行方不明になった当日、
兄の崇が良介と会っていることを告げ、崇への嫌疑を募らせる。
ブログへ書き込んでいた666も崇だと思い込んでいた。
当日、良介と会った後、不倫相手と一夜を過ごしていた崇は、
警察にアリバイを問われ、身柄を拘束されてしまう。
良介と崇の父は仕事人間だったが定年後、
鬱病を発症し、母は夫の介護に疲れ始めていた。
そんな時に息子の惨殺死という受け入れがたい事実に、
精神異常をきたしていく。そんな中、父親は自殺してしまう。
精神異常を起こし衝突が多くなったことで、
良介の妻は子供を連れて実家へ逃避する。
証拠不十分で釈放された崇は母の介護をしながら、
事件の真相を追い、自ら調査を始めて行くのだが・・・
崇が生への意欲を失っているという心情が
冒頭に描かれているため、読者は良介殺害犯人はまさか?
良介の妻が思うように666とは崇のこと?
友哉を導いたのも崇?という疑惑を膨らませて読み進み、
物語はそんな思惑の外側から大きく動かされるようになる。
平凡な人生が些細な事がキッカケで歯車が狂い始め、
その一途はタイトルのとおり決壊していく様を描いている。
秀逸な物語だと思ったけど、読み終えるとどっと疲れも感じた。
最後の場面はあえて曖昧にしたんだろうなぁ・・・
某雑誌の対談を読んで矢印が大きくなって読みたくなった。


=============================
(上)地方都市で妻子と平凡な暮らしを送る
会社員の沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、
自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。
一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、
殺人の夢想を孤独に膨らませていた。
ある日、良介は忽然と姿を消した。
無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。
許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
=============================
(下)戦慄のバラバラ殺人―
汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、
生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。
悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、
一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。
そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、
「悪魔」がその姿を現した!
00年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。
=============================
独特な表現で構築される個性的な文章構成。
最初のうちは読み辛さを感じて抵抗もあったけど、
そのアクというかクセに慣れてくる。中毒性のある文体。
でも延々と何冊も読み続けるには気力が必要な感じ。
沢野良介は優秀な兄を持ち、幼少時から劣等感を抱いていた。
製薬会社に入社し、妻と子のいる家庭も築き上げたが、
劣等感の捌け口としてネット日記に不平不満を書き連ねていた。
その記事を偶然見つけた妻は良介の兄・崇と会うたびに、
夫の隙を見て、彼の内に秘めた闇の存在を相談するようになる。
崇は頭脳明晰でエリート街道を駆け上がり外交官を経て、
今は国会図書館で働く公務員。複数の美女と交際していて、
何不自由の無い暮らしを送っているように見えるのだが、
その心には空虚が広がり、生きる意義を見失っていた。
妻が自分の目を盗んで兄と会話している事に感づいた良介は、
妻と崇の不倫を疑い、二人への反感を募らせていく・・・。
そんなある日、良介の記事に何者からのコメントが寄せられていた。
666という相手は共感を綴り、一度会って話をしたいという。
一方、いじめに苦しむ中学生の北崎友哉は、
いじめ相手の携帯から交際相手の女子と撮った
淫らな画像を盗みとり、ネットに流出させて報復する。
同級生の女子は引き籠もり、いじめ相手は犯人探しを始める。
明確な証拠もないままに再びいじめられる友哉は、
殺人行為という夢想を孤独に膨らませていくのだった。
ネットに殺害夢想を書き連ねていた友哉へ、
何者からのコメントが入り、手助けをしようと言う。
そして友哉は指定された場所へ赴き男と会うのだった。
良介の妻から不倫を疑われていると相談を受けた崇は、
共に出張で大阪を訪れた際に良介と会って話をするのだが、
その日から良介は行方不明になってしまう。
しばらくして良介はバラバラ遺体となって発見される。
警察の調べに妻は良介が行方不明になった当日、
兄の崇が良介と会っていることを告げ、崇への嫌疑を募らせる。
ブログへ書き込んでいた666も崇だと思い込んでいた。
当日、良介と会った後、不倫相手と一夜を過ごしていた崇は、
警察にアリバイを問われ、身柄を拘束されてしまう。
良介と崇の父は仕事人間だったが定年後、
鬱病を発症し、母は夫の介護に疲れ始めていた。
そんな時に息子の惨殺死という受け入れがたい事実に、
精神異常をきたしていく。そんな中、父親は自殺してしまう。
精神異常を起こし衝突が多くなったことで、
良介の妻は子供を連れて実家へ逃避する。
証拠不十分で釈放された崇は母の介護をしながら、
事件の真相を追い、自ら調査を始めて行くのだが・・・
崇が生への意欲を失っているという心情が
冒頭に描かれているため、読者は良介殺害犯人はまさか?
良介の妻が思うように666とは崇のこと?
友哉を導いたのも崇?という疑惑を膨らませて読み進み、
物語はそんな思惑の外側から大きく動かされるようになる。
平凡な人生が些細な事がキッカケで歯車が狂い始め、
その一途はタイトルのとおり決壊していく様を描いている。
秀逸な物語だと思ったけど、読み終えるとどっと疲れも感じた。
最後の場面はあえて曖昧にしたんだろうなぁ・・・
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
楽園帆布
話題作で人気作で気になっていた一冊。
この方の作品も初読。噂どおりの内容だった。

=============================
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、
ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。
そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。
持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、
手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。
ライバルは日本人研究者・早川織絵。
ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは―。
=============================
とある日本の美術館。監視員の早川織絵は未婚の母で、
高校生の娘とは微妙な関係ながらも平穏な日々を送っていた。
そんな時、日本でルソー展を開催しようとする動きが水面下であり、
ニューヨーク近代美術館の男から出された条件というのが、
かつて熱心なルソー研究家だった織絵が交渉人となる事だった。
チーフ・キュレーターである男の名はティム・ブラウン。
織絵は彼の名を久しぶりに耳にし、過去の記憶を巡らせる。
物語は織絵の視点からティムの視点へ移り過去へ遡っていく・・・
その業界では有名なコレクターである老人バイラーからの依頼は、
ルソーの作とされている絵画の真贋を判定する事だった。
ニューヨーク近代美術館のアシスタント・オペレーターであるティムは、
招待の手紙を見て、名を間違えて届いたものという思いを隠し、
代表には招待の事を隠したまま休暇を取って旅立った。
バイラーに招かれたのはティムの他にもう一人いた。
日本人女性の早川織絵は新進気鋭のルソー研究者らしい。
バイラーは二人に絵画の真贋を見極める期間を7日間とし、
その間に、ある本を一日一章ずつ読んで欲しいと告げる。
本の内容を読み終えた上で真贋を判定し、
バイラーが納得する解釈を告げた者に取扱権利を与えるという。
その一冊の本で明かされるのはルソーの物語。
独特な絵を描き続けながら評価される事も無かったルソー。
彼の貧しい生活を支える一人の女性、そして友人・・・
彼の絵を認めていたピカソ・・・
秘められた過去が明らかになったとき、
その奥に潜んでいた別の物語が浮かび上がる・・・。
まとまりすぎ、出来過ぎな感は拭えないものの、
ひとつの物語として世界観に惹き込まれたし、
そんな背景があったかもしれないという空想が、
あの平面的なルソーの絵の奥行きを表しているような気もする。
名前も知っているし、絵も見た事があるけど、
あの絵がルソーというのはぼやけて覚えていた。
かつて美術系専門学校生だった時代に無意識に描いた絵のタッチが、
ルソーに似ていたのを改めて知り、不思議な気持ちに駆られた。
どこかで潜在的に記憶に留めていたのだろうか・・・
密林、濃い色彩、平面的なタッチ・・・
先生方が褒めていたのは、無意識に似たタッチだったのかなぁ~
ほとんど絵画の知識は無いけれど、目に映る以上にその向こうには、
作者を取り巻く物語が下地になって描かれているのかもしれない。
この方の作品も初読。噂どおりの内容だった。

=============================
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、
ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。
そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。
持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、
手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。
ライバルは日本人研究者・早川織絵。
ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは―。
=============================
とある日本の美術館。監視員の早川織絵は未婚の母で、
高校生の娘とは微妙な関係ながらも平穏な日々を送っていた。
そんな時、日本でルソー展を開催しようとする動きが水面下であり、
ニューヨーク近代美術館の男から出された条件というのが、
かつて熱心なルソー研究家だった織絵が交渉人となる事だった。
チーフ・キュレーターである男の名はティム・ブラウン。
織絵は彼の名を久しぶりに耳にし、過去の記憶を巡らせる。
物語は織絵の視点からティムの視点へ移り過去へ遡っていく・・・
その業界では有名なコレクターである老人バイラーからの依頼は、
ルソーの作とされている絵画の真贋を判定する事だった。
ニューヨーク近代美術館のアシスタント・オペレーターであるティムは、
招待の手紙を見て、名を間違えて届いたものという思いを隠し、
代表には招待の事を隠したまま休暇を取って旅立った。
バイラーに招かれたのはティムの他にもう一人いた。
日本人女性の早川織絵は新進気鋭のルソー研究者らしい。
バイラーは二人に絵画の真贋を見極める期間を7日間とし、
その間に、ある本を一日一章ずつ読んで欲しいと告げる。
本の内容を読み終えた上で真贋を判定し、
バイラーが納得する解釈を告げた者に取扱権利を与えるという。
その一冊の本で明かされるのはルソーの物語。
独特な絵を描き続けながら評価される事も無かったルソー。
彼の貧しい生活を支える一人の女性、そして友人・・・
彼の絵を認めていたピカソ・・・
秘められた過去が明らかになったとき、
その奥に潜んでいた別の物語が浮かび上がる・・・。
まとまりすぎ、出来過ぎな感は拭えないものの、
ひとつの物語として世界観に惹き込まれたし、
そんな背景があったかもしれないという空想が、
あの平面的なルソーの絵の奥行きを表しているような気もする。
名前も知っているし、絵も見た事があるけど、
あの絵がルソーというのはぼやけて覚えていた。
かつて美術系専門学校生だった時代に無意識に描いた絵のタッチが、
ルソーに似ていたのを改めて知り、不思議な気持ちに駆られた。
どこかで潜在的に記憶に留めていたのだろうか・・・
密林、濃い色彩、平面的なタッチ・・・
先生方が褒めていたのは、無意識に似たタッチだったのかなぁ~
ほとんど絵画の知識は無いけれど、目に映る以上にその向こうには、
作者を取り巻く物語が下地になって描かれているのかもしれない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
政孝呼男
小説じゃないけど全部「読んだ」ので・・・

=============================
連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなった竹鶴政孝と
その妻リタの喜怒哀楽に富んだ人物伝とその他。
=============================
朝ドラ興味で小説関連本を読み漁り、
その流れで手を伸ばしたムック本。
竹鶴氏の交流人物や歴史、経緯が記され、
当時の従業員たちの回想対談なども掲載されている。
小説もドラマも脚色が施されているけれど、
そんな脚色をする必要もないぐらいに波瀾万丈な人生である。
人に恵まれた事による成功でもあるし、
信念を貫く意志の強さが導きでもあるし、
強力な支えがあった事も要因なのだろう。
いずれにせよ、この方なくして
日本ウヰスキーの誕生は無かったかも知れない。
隅々まで読み終えてから、帰省時に実家に置いてきた。
朝ドラ興味で母親も熱心に頁をめくっていた。

=============================
連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなった竹鶴政孝と
その妻リタの喜怒哀楽に富んだ人物伝とその他。
=============================
朝ドラ興味で小説関連本を読み漁り、
その流れで手を伸ばしたムック本。
竹鶴氏の交流人物や歴史、経緯が記され、
当時の従業員たちの回想対談なども掲載されている。
小説もドラマも脚色が施されているけれど、
そんな脚色をする必要もないぐらいに波瀾万丈な人生である。
人に恵まれた事による成功でもあるし、
信念を貫く意志の強さが導きでもあるし、
強力な支えがあった事も要因なのだろう。
いずれにせよ、この方なくして
日本ウヰスキーの誕生は無かったかも知れない。
隅々まで読み終えてから、帰省時に実家に置いてきた。
朝ドラ興味で母親も熱心に頁をめくっていた。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
後悔戻男
片っ端から未読古本収集して積冊も増え、
さてどの順序で読もうかとふと考える。発表順?確保順?
いやいやタイトル惹かれ順でいいでしょうと本作を手に取る。

=============================
一発屋の作家・新居航生に突然届いたタイムスリップの案内状。
学生時代にいじめられっ子だったこと、彼女にこっぴどく
振られたことなど、やり直したい過去がある航生は、
詐欺だと知りながらも、申し込む。異色タイムスリップ小説。
=============================
タイムスリップものを最近読んだよなぁ~と思いつつ、
そういうのに矢印が向く時期なのかも?と読み始める。
先日読んだ小説は、過去のある日に今の知識を持ったまま還る話で、
そのタイムスリップに選ばれた人たちが謎の死を遂げて、
ミステリー色が濃くなり・・・という内容だったが、
今作は、当人の後悔している過去に戻って、やり直すという話。
主人公の男は一発屋の作家。ヒット作を出した事で、
多少の貯蓄があり、生活に困窮しているわけでもないが、
次作の意欲も構想もなく、怠惰な日々を送っていた。
そんな彼の元にある研究機関から手紙が届く。
一定の金額を出すとタイムスリップを体験できるという。
貯蓄もあり、物語題材に飢えていた彼は過去の後悔もあり、
早速コンタクトを取り、タイムスリップ体験を申し込む。
回数を重ねる度に支払い体験金額は増えるのだが、
虐められっこ時代に戻ってイジメに毅然と対応したこと、
彼女に酷い振られ方をした時点に戻って、自分から振ったこと、
池で溺れた子を見捨てずに救助の行動をしたこと、
次々と後悔時点をやり直し、葛藤と後悔を沈める彼だったが、
やはり気になるのは、このタイムスリップの謎であった。
これが詐欺だったら本にして発表するつもりの彼は、
真実を探るため、過去変更による現在を知る調査に出る・・・。
読み始めに浮かんだ、もしかして?の通りのオチだけど、
そういう部分を踏まえても、それなりに引き込まれ読みやすかった。
ミステリーだとオチが分かると展開が覚めてしまうけど、
この物語は作家男が怠惰な生活から脱却するための「戻る」であり、
そちらの課程を味わうための物語なのでしょう。
さて、「戻る」ときたら「巡る」のタイトルも惹かれるなぁ。
次はそれを読もうかなぁ~でも、違うのに手を出すような気も・・・
さてどの順序で読もうかとふと考える。発表順?確保順?
いやいやタイトル惹かれ順でいいでしょうと本作を手に取る。

=============================
一発屋の作家・新居航生に突然届いたタイムスリップの案内状。
学生時代にいじめられっ子だったこと、彼女にこっぴどく
振られたことなど、やり直したい過去がある航生は、
詐欺だと知りながらも、申し込む。異色タイムスリップ小説。
=============================
タイムスリップものを最近読んだよなぁ~と思いつつ、
そういうのに矢印が向く時期なのかも?と読み始める。
先日読んだ小説は、過去のある日に今の知識を持ったまま還る話で、
そのタイムスリップに選ばれた人たちが謎の死を遂げて、
ミステリー色が濃くなり・・・という内容だったが、
今作は、当人の後悔している過去に戻って、やり直すという話。
主人公の男は一発屋の作家。ヒット作を出した事で、
多少の貯蓄があり、生活に困窮しているわけでもないが、
次作の意欲も構想もなく、怠惰な日々を送っていた。
そんな彼の元にある研究機関から手紙が届く。
一定の金額を出すとタイムスリップを体験できるという。
貯蓄もあり、物語題材に飢えていた彼は過去の後悔もあり、
早速コンタクトを取り、タイムスリップ体験を申し込む。
回数を重ねる度に支払い体験金額は増えるのだが、
虐められっこ時代に戻ってイジメに毅然と対応したこと、
彼女に酷い振られ方をした時点に戻って、自分から振ったこと、
池で溺れた子を見捨てずに救助の行動をしたこと、
次々と後悔時点をやり直し、葛藤と後悔を沈める彼だったが、
やはり気になるのは、このタイムスリップの謎であった。
これが詐欺だったら本にして発表するつもりの彼は、
真実を探るため、過去変更による現在を知る調査に出る・・・。
読み始めに浮かんだ、もしかして?の通りのオチだけど、
そういう部分を踏まえても、それなりに引き込まれ読みやすかった。
ミステリーだとオチが分かると展開が覚めてしまうけど、
この物語は作家男が怠惰な生活から脱却するための「戻る」であり、
そちらの課程を味わうための物語なのでしょう。
さて、「戻る」ときたら「巡る」のタイトルも惹かれるなぁ。
次はそれを読もうかなぁ~でも、違うのに手を出すような気も・・・
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
炎上君達
ずっと気になっていた作家さんを初読。
短編集だけど、味があるしユーモアも効いてて良い感じ。

=============================
散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。
その携帯に届いたメールに何の気なしに返信した私は、
返信メールに励まされ、毎日やりとりし始める。(空を待つ)
我々は足が炎上している男の噂話ばかりしていた。
ある日、銭湯にその男が現れて―。(炎上する君)
何かにとらわれ動けなくなってしまった私たちに訪れる、
小さくも大きな変化。奔放な想像力が紡ぎだす愛らしい物語。
=============================
女性作家の描く、いかにもオンナ的な文章が少し苦手で、
性別を感じさせない文体、構成の女性作家がいないものかと思っていた。
それで出会ったのがイトヤマさんだったりしたのだけど、
この方もまた女性チックの感じさせずに素敵な感じである。
○太陽の上
「太陽」という中華料理屋の上階に住むあなたは、ひとり。
読み手に対して設定を与え、物語が動き始めていく。
引き籠もり生活。女将の声、関係・・・
○空を待つ
散歩で拾った誰かの携帯電話。
何気に本人になりすまし持ち主の友人とメールを交わす。
冗談のつもりで始めたメールだったが、返信内容に励まされ・・・
やがて意外な事実に気づくことに・・・
○甘い果実
作家志望の本屋でバイトする主人公は、
作家の山崎ナオコーラが気になって気になって、
勝手にライバル視して嫌悪感を抱いたりするのだが、
彼女のサイン会に行って・・・
○炎上する君
足が炎上する男の噂話をする2人の女。
色気も浮いた話もない地味な生活を送っていたのだが、
ある日、銭湯で炎上する男を目撃し行方を探す。
炎上男との出会いが地味な生活を心を焦がし始める。
○トロフィーワイフ
祖父の遺産で暮らす祖母と孫の会話物語。
若い頃に苦労し、高齢になってようやく成功した男が、
連れ添った妻と別れて若い妻を手に入れる。
○私のお尻
美しいお尻を持つパーツモデルの物語。
チャームポイントだったお尻が逆に他へのコンプレックスに・・・
○船の街
失恋を機に思い立って船の街へ行こうと決意する話。
○ある風船の落下
寓話のような話。ストレスが要因で発症する風船病。
発病した人は病状レベルによって浮く人、浮かぶ人、宙へ向かう人、
そして破裂する人もいる。主人公も発病し空へ浮かんでいく。
様々な人が空に浮かび、距離を保って生きていた。
干渉する、されるは破裂への行為なのだが・・・
いろんなタイプの話が詰まった短編集。
ありそうな話、ありえなくない話。架空の話。ファンタジー。
個人的には表題作が一番好きだなぁ。
短編集だけど、味があるしユーモアも効いてて良い感じ。

=============================
散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。
その携帯に届いたメールに何の気なしに返信した私は、
返信メールに励まされ、毎日やりとりし始める。(空を待つ)
我々は足が炎上している男の噂話ばかりしていた。
ある日、銭湯にその男が現れて―。(炎上する君)
何かにとらわれ動けなくなってしまった私たちに訪れる、
小さくも大きな変化。奔放な想像力が紡ぎだす愛らしい物語。
=============================
女性作家の描く、いかにもオンナ的な文章が少し苦手で、
性別を感じさせない文体、構成の女性作家がいないものかと思っていた。
それで出会ったのがイトヤマさんだったりしたのだけど、
この方もまた女性チックの感じさせずに素敵な感じである。
○太陽の上
「太陽」という中華料理屋の上階に住むあなたは、ひとり。
読み手に対して設定を与え、物語が動き始めていく。
引き籠もり生活。女将の声、関係・・・
○空を待つ
散歩で拾った誰かの携帯電話。
何気に本人になりすまし持ち主の友人とメールを交わす。
冗談のつもりで始めたメールだったが、返信内容に励まされ・・・
やがて意外な事実に気づくことに・・・
○甘い果実
作家志望の本屋でバイトする主人公は、
作家の山崎ナオコーラが気になって気になって、
勝手にライバル視して嫌悪感を抱いたりするのだが、
彼女のサイン会に行って・・・
○炎上する君
足が炎上する男の噂話をする2人の女。
色気も浮いた話もない地味な生活を送っていたのだが、
ある日、銭湯で炎上する男を目撃し行方を探す。
炎上男との出会いが地味な生活を心を焦がし始める。
○トロフィーワイフ
祖父の遺産で暮らす祖母と孫の会話物語。
若い頃に苦労し、高齢になってようやく成功した男が、
連れ添った妻と別れて若い妻を手に入れる。
○私のお尻
美しいお尻を持つパーツモデルの物語。
チャームポイントだったお尻が逆に他へのコンプレックスに・・・
○船の街
失恋を機に思い立って船の街へ行こうと決意する話。
○ある風船の落下
寓話のような話。ストレスが要因で発症する風船病。
発病した人は病状レベルによって浮く人、浮かぶ人、宙へ向かう人、
そして破裂する人もいる。主人公も発病し空へ浮かんでいく。
様々な人が空に浮かび、距離を保って生きていた。
干渉する、されるは破裂への行為なのだが・・・
いろんなタイプの話が詰まった短編集。
ありそうな話、ありえなくない話。架空の話。ファンタジー。
個人的には表題作が一番好きだなぁ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
僕言琥珀
ウイスキー関連本を古本屋で探していた時、
そういえば、この方も・・・と棚を見て発見。

=============================
シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。
そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?
『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、
老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?
蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。
二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、
そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々―。
芳醇かつ静謐なエッセイ。
=============================
まぁ、いわゆる旅行記ですね。
琥珀の液体に、かの地の風景に情景に想いを馳せ、
そこに集う人々と会話をし、観察し、時を味わう。
薄い一冊だし、特別難しい内容でも無くすぐに読み終えた。
そういえば、この方も・・・と棚を見て発見。

=============================
シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。
そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?
『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、
老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?
蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。
二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、
そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々―。
芳醇かつ静謐なエッセイ。
=============================
まぁ、いわゆる旅行記ですね。
琥珀の液体に、かの地の風景に情景に想いを馳せ、
そこに集う人々と会話をし、観察し、時を味わう。
薄い一冊だし、特別難しい内容でも無くすぐに読み終えた。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ | 次ページ » |