
入社した頃、周囲の人が「ホンキ校正をとるぞ」と言っているのを聞いて、印刷機でちゃんと印刷するから「本気校正」なんだと勝手に解釈していた。この誤解が解けるまで2~3年はかかった。実際は「本紙校正」と「本機校正」の二つの言い方があり、「本紙」は最終と同じ用紙・インキを使って印刷するもの。定義的にはその二つの条件を満たしていれば(用紙だけでいい場合も)どこで印刷してもかまわず、だいたいは自社ではなく外注先の平台校正用機で刷ってもらったものを言う。「本機」はそれプラス予定されている実際の印刷機械で刷るというもので、面付されていれば最終と同じ条件なので正確な仕上がりが想定される。色校正はもっと広義で、ケミカルベースの簡易校正もその範疇に入ってくる。
今回は写真のバラ校正と言えど、正に本気の「本機校正」だった。コモリのL240で用紙はニューVマットで、スミ+副版に指定したのはDIC508。バラ校正とは写真のあがりだけ見たい時に、使用サイズの写真を寄せ集めて色校正を取る場合を言う。朝会社に着いたらとりあえず着替えて印刷現場へ。既に刷り出しがでていて、印刷オペレータの方がスミのベタ濃度を加減している最中だった。
ベタの濃度というのはインキの乗り具合で、同じスミでもその値によって見え方が異なってくる。反射率が異なるので見た目の色が薄い濃いだけじゃなく、色合いや艶なども異なってくる。濃度が高ければ艶もでてきて良さそうだけど、インキが乾かず用紙の裏にインキが付く「裏移り」が起こるし、何よりも指定した濃度よりもどんどん濃くなりすぎて正しい色再現ができなくなる。そのために適正の濃度範囲というものがある。
印刷オペレータから「適正濃度は最低でも1.8は欲しいけど、どうしても黒くなりすぎるような気がして」と言われ、1.7前後の状態のものを見せてもらった。パッと見はなかなか良い感じだが、印刷の難しいところは、実際の刷り終った後からまた色が変わるというところ。これをドライダウンというのだけれど、インキが乾くことにより艶や発色が落ちたりするということらしい。時には色の見え方がかなりかわってくる。くどいようだがそのためにも適正濃度というものがあり、本来はその範囲に収まるよう製版側で調整しておくべきなのだ。
副版の濃度と合わせてスミも調整しつつ、ベタ濃度を1.8まであげてもらってどうにかOKを出した。僕の写真自体もともと暗めの色調だったので、印刷オペレータからすれば暗すぎるという印象だったようだ。でも確かに若干スミがのりすぎていて、ちょっと暗くあがりすぎている。昼休みにヘクサン(8/4ブログ参照)と一緒に刷り上がりを吟味。全体的に黒くなってきていることから、副版を生成するバッチ処理の過程で70パーセントあたりを若干明るくすることにした。そして来週にもう一度手を入れる必要がないか1点1点チェックすることに。
一応は見れるものに仕上がったと思う。スミ単色より色の深みがあるし、不安だったシャドウ部のディティールもギリギリのところで出ている。それでも製版の難しさを痛感したし、印刷機を操るのは大きな象をなだめつつ曲芸をさせるくらい大変なことだと思った。とにかく朝から疲れる一日だった。
今回は写真のバラ校正と言えど、正に本気の「本機校正」だった。コモリのL240で用紙はニューVマットで、スミ+副版に指定したのはDIC508。バラ校正とは写真のあがりだけ見たい時に、使用サイズの写真を寄せ集めて色校正を取る場合を言う。朝会社に着いたらとりあえず着替えて印刷現場へ。既に刷り出しがでていて、印刷オペレータの方がスミのベタ濃度を加減している最中だった。
ベタの濃度というのはインキの乗り具合で、同じスミでもその値によって見え方が異なってくる。反射率が異なるので見た目の色が薄い濃いだけじゃなく、色合いや艶なども異なってくる。濃度が高ければ艶もでてきて良さそうだけど、インキが乾かず用紙の裏にインキが付く「裏移り」が起こるし、何よりも指定した濃度よりもどんどん濃くなりすぎて正しい色再現ができなくなる。そのために適正の濃度範囲というものがある。
印刷オペレータから「適正濃度は最低でも1.8は欲しいけど、どうしても黒くなりすぎるような気がして」と言われ、1.7前後の状態のものを見せてもらった。パッと見はなかなか良い感じだが、印刷の難しいところは、実際の刷り終った後からまた色が変わるというところ。これをドライダウンというのだけれど、インキが乾くことにより艶や発色が落ちたりするということらしい。時には色の見え方がかなりかわってくる。くどいようだがそのためにも適正濃度というものがあり、本来はその範囲に収まるよう製版側で調整しておくべきなのだ。
副版の濃度と合わせてスミも調整しつつ、ベタ濃度を1.8まであげてもらってどうにかOKを出した。僕の写真自体もともと暗めの色調だったので、印刷オペレータからすれば暗すぎるという印象だったようだ。でも確かに若干スミがのりすぎていて、ちょっと暗くあがりすぎている。昼休みにヘクサン(8/4ブログ参照)と一緒に刷り上がりを吟味。全体的に黒くなってきていることから、副版を生成するバッチ処理の過程で70パーセントあたりを若干明るくすることにした。そして来週にもう一度手を入れる必要がないか1点1点チェックすることに。
一応は見れるものに仕上がったと思う。スミ単色より色の深みがあるし、不安だったシャドウ部のディティールもギリギリのところで出ている。それでも製版の難しさを痛感したし、印刷機を操るのは大きな象をなだめつつ曲芸をさせるくらい大変なことだと思った。とにかく朝から疲れる一日だった。
