空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

ソチ五輪・男子シングル

2014-02-15 16:00:11 | フィギュアスケート
歴史が動く瞬間に立ち会ったのだ、という感慨。

SPは録画だけして寝てしまったのですが(結果を知ってから全部見た)
フリーは第一滑走から最終滑走まで全部生中継で見ました。
考えてみたら、学生時代を含めて初めての経験だったかもしれません。

4年に1度の、オリンピック。
この舞台が現役最後の演技になる選手だっている。
その「特別」な舞台を、きちんと見届けたいと思った。

何はともあれ。

羽生結弦選手、金メダル獲得おめでとう!!

まさに、4年前、バンクーバー五輪終了時に、一体誰が予想し得たでしょうか。
いや、1年前でも無理だったと思う。(勿論当時彼は既にワールドメダリストでしたが)

まだ19歳。何か本当に、頂点まで「駆け上がった」という印象。
冗談でなく、翼を持っていたんだなあと、今更思う。

形容が「凄い」しか言えない自分のボキャブラリーが悲しいんですが、…凄すぎる。

本田君がいて、高橋君がいて、織田君や小塚君がいて、
そういう先達が切り開いてきた道を滑走路にして、大きく飛び立っていった印象です。
その瞬間を、見られてよかった。


そして、そういう、日本男子フィギュアスケートの歴史の1ページ、ということ以上に、私には、

一つの時代が終わって、新しいステージに突入したのだ。

という思いが離れなくて、全選手の演技が終了した頃には泣けて泣けて仕方がなかった。


去年だったかな、一昨年だったかな、世界選手権でジュベールが好演技をした後に、
Twitterでジョニー・ウィアーが「Our generation still can do it.」とつぶやいていて、
それにいたく感動したのだけれど、
今回のオリンピックは、「Our generation」の時代が終わり、
「New generation」たちが主役に躍り出た、まさにその「世代交代」を目の当たりにさせられた
舞台だったと思った。

金メダルの羽生結弦は19歳、銅メダルのデニス・テンは20歳。
他にも7位のハン・ヤンや、9位のジェイソン・ブラウンの演技を見ながら。
あ、フィリピン代表のマルティネス君もとっても良かった!

オリンピックで若手が躍動するのは、珍しいことじゃない。(女子なんかしょっちゅうだし。)
若手の躍進を見ることができるのは嬉しい。これからが楽しみになるし。
でも、そういう「これからが楽しみだねえ」という温いものじゃなく、
既に主役はそういう世代に移っていたのだ、と思い知らされたような感じ。


私がプルシェンコを好きだったのは12年前。
高橋大輔を好きになったのは9年前。
ジュベールや、アボットや、ベルネル。ずーっとずっと好きだった面々が、
まだたくさんリンクにいてくれて、良い演技をしてくれて。
彼らが中心となって輝きを放った時代の、フィナーレ。

既にライサチェクやジョニーやバトルやランビエールは競技の場にはおらず、
織田君も12月に現役を退いた。
(Twitter見ていると皆それぞれの立場で試合を見ていて、
そのコメントがとっても楽しかったんだけど)

彼らの演技が大好きだった。彼らがこの五輪の舞台に立ってくれて良かった。

エフゲニー・プルシェンコ
棄権をニュースで知り、映像も見て。
今はただ、寂しくて仕方がない。
12年前、私が好きだったジェーニャは、無敵の少年だった。不可能なんかないように見えた。
それから12年、いろいろなものと戦い続けた彼の、去り際。
ロシアの国内選考に思うところはいろいろあるけれど、それとは別に、
お疲れ様でした。大好きだったよ。

ジェレミー・アボット
遅咲きだったからあんまり実感が無いけど、彼も十分、ベテランで。
ジャンプが決まらなくて残念なところもあったけれど、素晴らしいフリープログラムだった。
いつだって一生懸命な姿と、派手なところはないけれど、高貴で神聖でさえある演技。
その全てをオリンピックの場で見せてくれた。
演技前も演技中も演技後も、泣かされた。

トマシュ・ベルネル
彼も、もどかしい選手だった。
溢れる才能はあるのに! それを発揮しつくしてくれたら頂点とれるのに!
豪快なジャンプも、小粋なプログラムも、不敵な笑顔も、全部大好きだ。
4回転を2本入れてくるあたりが彼の意地でしょうね。東京ワールドを思い出した。

ブライアン・ジュベール
闘う男。
絶対に逃げずに、4回転を跳び続けた男。
その不器用さも含めて、大好きだった。

そして、高橋大輔
いや正直、今年のプログラムがそんなに好きじゃないんだけど(まだ言うか)
そしてジャンプで悔しかったところもいっぱいあるだろうけれども、
ここで、あの演技と、あの笑顔を見られて良かった。
思いは、伝わる。
バンクーバーから4年間、彼が伝えようとしてくれた「思い」は、確かに受け取った。
優しい笑顔。
ただ、ありがとう。


ずーっと彼らを好きだった数年間があった。
四回転の魅力も、男子シングルならではの楽しさも、彼らが教えてくれた。
五輪の舞台で見せてくれた、集大成。



パトリック・チャンにはこれからもラスボスでいてほしいので、
Our generationにはカウントしないでおく! 実際まだ若いし!(23歳)
ハビエル・フェルナンデスも同じく! 実際まだ若いし!(22歳)

Pちゃんの演技は正直「無念」でねえ…完成形の「四季」が見たかったんだ。
五輪ってやっぱり特別なんだろうね。
だからこその、あの笑顔。痛々しかった。
男子シングルの歴史は「チャン(が四回転を跳び始める)以前」と「以後」に
分けられるんじゃないかと思ってしまうぐらいの存在の選手。
この3年間、ずっとずっと「高い壁」で居続けてくれた。
まだ、見ていたいから。彼がどこまで行くのか。

ハビーはねえ…銅メダル行けたんじゃないかと思ったら、ジャンプの跳び過ぎですかorz
いや、日本人は結構見慣れてま(以下自粛…できてない)


ミハル・ブレジナ。フローラン・アモディオ。
こんなところで終わらないでね!

ケヴィン・レイノルズは、団体戦のほうが良かったのが無念……。

ペーター君(リーバース)、マヨロフ、健闘。
ミーシャ・ジーやヘンドリクスの演技は楽しかった~。ユーロ勢万歳。

町田樹。
初出場、だよね? オリンピックどころか、世界選手権の代表も未経験で。
彼自身にはいろいろ無念はあるだろうけれども、彼の底力に感嘆した。
入賞おめでとう! 良い「火の鳥」でした。



そして、今回の主役だったNew generationたち。

ハン・ヤンの高くて速いジャンプ、
ジェイソン・ブラウンの、場を掌握する力。(オオトリとしてふさわしい「リバーダンス」でした)
これからが楽しみです。
二人とも、過去に好きだった色んな選手を思い出させてくれるし。


デニス・テン。
世界選手権で2位になったと思ったら、体調不良や怪我やで四大陸台落ちしたりするし、
実はかなり心配していたんですが。
あの局面で力を発揮できるのは、去年のワールドの経験が生きたんだと思う。
一つ、階段を登った印象。来季以降も、主役でいてください。

羽生結弦。
彼の「凄さ」は、どこにあるんだろう。
ジャンプ、表現力(表現欲?)、柔軟性、スピード、クレバーさ、闘志。
どれをとっても素晴らしい。
昨夜の彼は、既に「王者」の風格を纏っていた。
これからは追われる立場。
でもきっと彼は、まだまだ追い続ける。守りの姿勢には入らないだろう。
彼の素晴らしさが、既に「完成」されたレベルにあるにもかかわらず、
まだ「未完成」「これからまだ伸びる」と思わせてしまう。
その可能性、アグレッシブさ、熱量。


昨夜、確かに男子シングルは、新たな時代に突入した、と感じた。
そこには痛みや切なさも伴って、ともすれば感傷的になるのだけれど、
今は、羽生の偉業達成と、新たな時代の幕開けを寿ぎたいと思う。

おめでとう。
そしてかかわったすべての選手に、感謝を。
素晴らしい大会でした。
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2 コメント

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世代交代・・・ (まるさん)
2014-02-17 16:16:55
 安藤美姫さんの記事にコメントさせて頂いたものです。
 本当に丁寧に試合と一人一人についてコメントされていて胸が打たれました。特にデニス・テンには余り誰も触れてくれないので。私も彼は大好きです。何とも言えない「正統派の香り」が漂ってくるから。スケートの技術もそうですが、クラシックバレエを見ている様な魅力を感じるのです。今シーズンの不調を乗り越えてしっかりと合わせて来てくれたことは本当に素晴らしかった。

 町田選手、七年位前に日米対抗戦で「白鳥の湖」を滑っていたのが昨日の様・・・なんて立派になっちゃったんだ。「哲学者」なんて言われてるのも微笑ましい。本当に実力で勝ち取ってメダルに肉薄してくれたことはうれしいです。

 大ちゃん。本当はソチに臨む事も苦しかったろうし、怪我は完治して無かったと思うけど、本当に澄み渡った表情でショートもフリーに見事に滑りきったと思います。彼は今出来る最善を尽くしたのでしょうね。
 あの曲と音に乗って美しく、しなやかに踊る彼を見られなくなるのは本当に寂しい。ショーなどでは見られるでしょうが・・・。でも本当にお疲れ様と言ってあげたいです。

 ゆづは余りに凄すぎて言葉が出なかったです。何であんなに物凄いSPを見たのは初めて。フリーで失敗はあったkど一寸安心した位です。彼も人の子だったんだ、という気持ちとこれからも続けてくれるだろうという期待と。
 プルシェンコの託した思いをきっと受け止めていると信じます。

 パトリックは何だか辛そうでした。彼の背負うものの重さは判りませんが、彼の世界観や卓越したスケート技術が発揮されたとは言えなかったですね。彼が本気出したらどんな点数になるか判らないという高みに行って欲しかったです。

 長くなりましたが、最も楽しみにしていた種目が終わってしまいました。正直これで私の中でソチは終わったと思います。女子シングルに関してはどういう結果でも私は納得しますよ。また、どういう結果もありうると感じています。
 またの記事の更新を楽しみにしています。
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ありがとうございます。 (Julie)
2014-02-19 12:54:42
>まるさん

丁寧なコメントありがとうございます。
特にテン君に関して同意いただけたのが私も嬉しいです。

女子も…きっと色んな感慨を持ちながら見ることになると思っています。
個人的にはコストナー贔屓なので、きっとまたハラハラしてしまうでしょうけれど。
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