空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

雪組「蒼穹の昴」

2022-10-06 15:22:00 | 観劇(タカラヅカ)
最初に原作読んでから、そろそろ干支が一回りすることにびびってます(出版自体はもっと前だ)。

https://blog.goo.ne.jp/julie_shanghai_venice/e/96c415bf69449aff267c1a9530db17ef

『蒼穹の昴』
『珍妃の井戸』
『中原の虹』
『マンチュリアン・リポート』までは、
わりと一気に読んでいて、今回の上演発表から、
『天子蒙塵』
『兵諫』
を読みました。

この十年くらいの間に、浅田次郎がすっかり苦手になって(爆)
特に『王妃の館』『壬生義士伝』と、タカラヅカの浅田次郎原作作品が立て続けに「嫌い」(出来不出来ではなく)だったので、演目発表では正直辛かったのです。
おまけに、演出家も苦手な先生だし(きっぱり)。
ただ、原田先生の作る「画面」は好きなので、原作の物語力と、原田先生の演出力が上手く融合すればいいな〜と思ってました。

結論から言うと、そんなに嫌いじゃないです。泣いたし。
でもあっちこっちで解釈違いがあってね…めんどくさい原作読者のタワゴトですけどね。

最新刊まで読んでるので、主人公の文秀と春児、玲玲の現在地は更新されてるわけですよ。
旅立ちを前向きに演出しても「帰ってくる時はああいう形だからな…」と思わずにはいられない。それはどうしても。
文秀の妻子を【なかったこと】にするのも妥当だと思います。そのまま描かれたら辛いだけだし。
玲玲→譚嗣同の感情も、あれが限界だと思う。『天子蒙塵』の回想の中で「愛する人」って言っちゃってるけど。

咲ちゃん@梁文秀
私は、ダントンとかナポレオンとか、ヒーローやってる咲ちゃんが大好きなので、今回もすごく好き。
何せ皆同じ衣装なので(笑)咲ちゃんの鬼スタイルが効いてます。
ヒーローだけど、地に足ついた誠実さもあるのが素敵。
そしてフィナーレ最高!もっと踊って〜

あーさ@李春雲(春児)。
こういう、汚れなき役をやると逆に魔性の存在になりますよね。
春児の慟哭に泣きました。
実質ヒロインだし。
蘭琴とか黒牡丹との絆が描かれてたのも良かったよね。

宦官の衣装と官僚の衣装を、もうちょっと分かりやすく分けてほしかった…

自宮のくだりは、原作はもっとしつこいので、すみれコードに基づいてマイルドにしてるのは分かるんですが、もーーーっと略しても大丈夫だったと思うよ?
「シティーハンターに引き続き、大変やな咲ちゃん…」と思っちゃったよ。

喧嘩別れの場面は良かった。
チェとエヴァだったのかこの2人!(『エヴィータ』)
プチブルの革命家と、最底辺出身の傾城の美女(違)

そう、どうしても実質ヒロインは春児になってしまうが故に、割りを食った(知ってた)、
ひらめちゃん@玲玲。

賢くて可愛くて、悪い役ではないし、最後にコンビ2人で旅立ちシーンになるのも良いのですが、この壮大な物語の中ではどうしても役が小さい。

和希そら@順桂
上手いねえ〜綺麗だねえ〜。
二幕、順桂の歌が場面を動かす力を持っていて、舌を巻きました。
なるほど、そう使ってきたかと。

縣くん@光緒帝
諏訪さん@譚嗣同

この辺も美味しかっただけに、最後の「友よ」が分散しちゃったのが惜しい。
原作通りに光緒帝にするか、
玲玲をヒロインとして立てるために譚くんを重視するか、
役の重さ的に順桂にするか。
春児を前面に出すか。
たくさんいすぎてふわっとしちゎった感じ。

カチャ@李鴻章
ヒロさん@西太后

ここが最大の解釈違い!!
ヒロさんの歌は素晴らしかったし、カチャもラストの登場が痺れるほどカッコよかった。
特にカチャは最近大劇場で女役が多すぎる、かもしれない。
それでも、西太后はカチャで見たかった。
威厳とか迫力だけでなく、痛々しいほどの線の細さが欲しいのよ。
その細い肩に全てを背負う覚悟をした女の物語が見たかったのよ。
最後にまた全部丸投げされてしまう不条理と、だからこそ春児が全てを捧げるに値する圧倒的な魅力をカチャにやってほしかったのよ。
カチャの美女役がまた見たい〜というただのワガママです。
ドラマ版の田中裕子のイメージに引きずられていることは否定しません。

あすくん@岡圭之介
夢白さん@ミセス・チャン
壮海くん@トーマス・バートン

出すならもうちょっと丁寧に扱って〜。
ちゃんと自己紹介させて、狂言回しに使ったほうがわかりやすかったんじゃないかなあ。

そう、今回ものすごく「ベルばらっぽい…」と思いながら見ていたんですが。
「〇〇さん」呼び、「尊い命」連呼、そして何より、専科さん中心の会話シーンが多すぎる〜
セリはまぁまぁ使われてたけど、盆、フィナーレ含めほぼ仕事してないよね?
カーテン前芝居も多かった気がする。

専科さんの出演者が多いから階段降りも大変。
でもその分、ひらめちゃんのソロが長く聞けたから良しとしよう。
ヒロさん、汝鳥さま、はっちさん、京さん、まりんさん、カチャと、皆さすがの上手さと存在感だったんですけどね。

ひらめちゃん、
『ファントム』のベラドーヴァのソロとか、『ひかり降る路』のダントン夫人とか好きだったので、咲ちゃんの相手役に就任してくれて本当に嬉しかった。
どうかお幸せに。

気になったこと①名前問題
梁文秀は「リャン・ウェンシュー」、春児は「チュンル」、蘭琴は「ランチン」、
李鴻章は「りこうしょう」、袁世凱は「えんせいがい」、
歴史上の人物と主人公周りで分けてるのかと思ったら、
康有為は「カン・ヨーウェイ」
気になるし引っかかる…

気になったこと②呼び方問題
ここに文秀の字「史了(シーリアオ)」まで入れたら大混乱になるのは分かる、だから全員が「文秀(さん)」呼びなのは仕方ない…仕方ないが…
玲玲とか春児が名前で呼ぶのが立場上違和感。
ドラマ版での「にいさん」呼びが萌えだったので、それ踏襲してくれたら嬉しかったな。

気になったこと③
タイトル「昴」かやたら出てきますが…
あんなに明るくないだろう!
おまけに夕暮れに出てくる一番星なら、ほぼ確実に金星だろう!
(すばるは星団なので、そもそも一つ星ではない…)

あ、フィナーレは素晴らしかった!
和希そらの歌も、男役群舞の咲ちゃんも、タラシあーさも、デュエダンも!!




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