goo blog サービス終了のお知らせ 

空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

宙組「神々の土地」「クラシカル・ビジュー」

2017-09-16 16:50:09 | 観劇(タカラヅカ)
好きな組のトップさんが、好きなジェンヌさんであるという幸せ。

宙組が好き、だった感情と、まぁ様が好き、だった感情は、別々のものだった。
だから、それを同時に抱くことができたこの3年間は、幸せなものだったとつくづく思う。

そしてキルヒアイス@銀英伝も、アンドレ@ベルばらも好きだったけれど、
私は「トップスター・朝夏まなと」が好きだったのだと、退団発表の日に実感した。
(そして「やめちゃやだ、行かないで」と動揺した。)
ラダメス@王家が、ビル@シェイクスピアが、右京@王妃の館が、
そしてトート@エリザが。正面からみりおんを口説いて口説き落としてしまう、
あの熱量と甘さとタラシぶりが、大好きだった。


【神々の土地 -ロマノフたちの黄昏-

ウエクミ先生の新作。
見た時点では私のこの辺の時代の予備知識は、池田理代子『オルフェウスの窓』だけで、
後は細かい部分に、他組だけど「カラマーゾフの兄弟」とか「黒い瞳」とか
「ロシアン・ブルー」とか(雪組ばっかりやな…)を思い出すだけだったんだけど、
このブログを書いている時点では、ウエクミ先生にインスパイアを与えたという
『最後のロシア大公女マーリヤ』を読み終えているので
(読み始めてしまったが故に、読み終わるまでブログ書けなかった…)
上手く歴史をアレンジしたな~としみじみ実感している。

退団公演である、ことを抜きにして、純粋に面白かった。

ただ、全体に漂う静謐な美しさは、退団公演ならでは、なのだと思う。

ドミトリー@まぁ様の、研ぎ澄まされた美しさと、
相手役・イリナ@うらら様(ゆうりちゃん、よりこっちの呼び方が好き)の、凄絶な美しさ。

「美しいものを見るのは、価値のあること」byジナイーダ@せーこちゃん

革命下の、一見、脳天気なまでの唯美主義は、失われることが前提であるからこそ、輝きを放つ。

ただ、私は、この2人に割って入ることを許されなかったオリガ@まどかちゃんの哀しみに、
感情移入して物語を見ていた。

賢いオリガ。聡明で健気なオリガ。
曇りの無い目を持っていたからこそ、ドミトリーに惹かれ、
まっすぐに物事を見たからこそ、イリナを崇拝し、彼女に憧れ、
その賢さ故に、2人に引導を渡し、
愛情の深さ故に、自分の運命から逃れられなかった。

自らを犠牲にして愛する者を救おうとしたドミトリーが生き延び、
彼が守りたかったイリナや、彼を一途に思ったオリガが、(物語では描かれないものの)
結果的に無残な最期を迎えることになったという歴史の皮肉。
(今、ドミトリーの姉の自伝を読んで、イリナのモデルになった人物の最期の
あまりの惨さに衝撃を受けている。皇帝一家の末路も悲惨だけど)

フェリックス@真風(ユスポフ、と聞くと、『オルフェウス』のレオニード・ユスーポフしか出ませんが)
がドミトリーらを主体的に巻き込んでいったのに、
最終的には彼こそが傍観者になるという展開も皮肉だよなあ。と思う。

そして憎々しいだけに見えたアレクサンドラ皇后@凛きらが最後に発露する苦悩とか
(あれは、オリガが母親を見捨てられないのがよくわかって更にかわいそうだった…)
完全なる敵!であったラスプーチン@愛ちゃん(まさに怪演!)が
今際に見せた復讐者としての顔とか、一面的でない世界観がものすごく好き。

ゾバール@ずんちゃんの狭量さと暴力性が革命の本質を暗示しているようでもあり、
ラッダ@リサちゃんとコンスタンチン@あっきーの悲恋が泣かせた。
…ミーチャの使い方は「脚本、鬼…」と思ったけどね。

皇太后@すっしーさんとか、クセニア@まいらちゃんとか、そしてせーこちゃんと、
宮廷の女性たちも貫禄と知性があって、この辺は女性脚本家ならではだよなあと思う。

皇帝@松風さんは、「いい人なんだけど皇帝向いてない…」って頭を抱えたくなる感じがリアルで。

重層的な世界観だからこそ、その登場人物誰からも愛される、という、
主人公の役柄の難しさ。

「朝夏まなと」の全ての引き出しを見られた気がします。

クライマックス、ラスプーチンと対峙するシーンは圧巻でしたし、
うらら様との雪原でのダンスシーンはひたすらに眼福。
サヨナラ作品が良作って、幸せなことですよね。

ところで、まどかちゃんはちゃんとソロがあるのに、
うらら様は見事に、「踊るだけ」で歌がなくて、その潔さに苦笑。
歌わないうらら様。最強でした。
(「薄倖の未亡人」だもんな。これを演じてうらら様の右に出られる人はいないもんね)


【クラシカル・ビジュー】

オーソドックスで美しいショーだったので、実はあんまり言うことがない。
後悔が無いように、目を見開いてまぁ様を見ていた。

うらら様との美しすぎるデュエットダンス、
真風との男役同士でのデュエットダンス(あのリフトにびっくり!)
女の子いっぱいはべらせて(笑)の群舞、
花組育ちであることがよくわかる黒燕尾、
本当に上手くなった伸びやかな歌声。

朝夏まなとが好きだった。
「顔が好き」から始まって(毎回言ってるが)、
好きな組に「まぁ君」が来た時のこと、扱いが微妙でモヤモヤしたこと、
トップになって嬉しかったこと、みりおんとのコンビが大好きだったこと、
うらら様との並びが麗しかったこと、まどかちゃんを見る視線が優しかったこと、
真風との並びが楽しかったこと。

全部全部、大切な思い出になっていく。

これからもきっと、宙組が大好き。
だからこそ、愛ちゃんもずんちゃんも、宙にいてくれる人たちが幸せであってくれますように。
(ずんちゃん推しですが、キキちゃんが来た後の愛ちゃんの扱いに心を痛めています。
『不滅の棘』見たいよう~)

コメントを投稿