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鷙鳥は群れず

朝踊暮吟十五年 飄身漂泊難船に似たり 他時争ひて鵬翼を生ずるを得ん 一挙に雲を排して九天に翔けん

対中円借款

2006-06-08 | 中国
今日の産経新聞より

小泉首相に申す 「誠意」が通じない国 櫻井よしこ

小泉純一郎首相は6日、凍結中の対中円借款を解除、約740億円の供与を決めた。同日、中国外務省はこれを「不十分」とし「両国関係の改善と発展のために具体的で誠実な行動」を求めた。

中川昭一農水相が「なんでまた援助を再開するのか正直言って分からない」と語ったように、国民にとっても分からない。

援助再開は現状打開のためという見方がある。日中関係を”打開”するのであれば、援助の使い道はむしろ逆でなければならない。援助は日本の譲歩としてではなく、中国の譲歩を引き出すためにこそ用いるべきなのだ。

そもそもなぜ、援助は凍結されたのか。それには十分かつ正当な理由があった。日本国民は、中国の横暴に心底憤っているのであり、援助凍結はその表現だ。反日デモ、領海侵犯、尖閣領有宣言、東シナ海の海底資源の略奪、日本の国連常任理事国入りへの執拗な反対工作、靖国神社参拝での内政干渉、際限のない軍事力の増強等々。

これらすべてで、日本国民は中国に疑問を抱き憤っている。

巨額の赤字に苦しむなか、国内では義務教育費や医療費まで削減し、ようやく捻出したおカネを発展途上国の援助に当ててきた。その貴重な国民の税金を、日本を貶める中国に、なぜ与えるのかと国民が想うのは当然だ。こうした疑問を解き、援助再開で納得を得るには、中国こそが「具体的で誠実な行動」を示さなければならないのだと、日本政府は直截に中国に伝えることだ。そうした行動を中国側にとらせる梃子としてこそ、経済援助を使うべきなのだ。

振りかえれば、日中外交には思わず臍をかむ多数の失敗が目につく。

まず、靖国神社問題での失敗だ。ソ連の弱体化に伴って中国は、80年代半ばには対日戦略をそれまでの友好政策から強攻策へと切りかえていく。

日本軍国主義復活への批判さえ始めた。そして85年8月15日には南京の「大虐殺殉難同胞記念館」などが公開された。

同日、中曽根康弘首相は靖国神社を公式参拝した。それ以前は問題にしなかった靖国参拝を中国政府は厳しく批判。中曽根氏は翌年から靖国参拝を見送ったのは周知のとおりだ。氏が日本人の心の問題を犠牲にして中国に妥協したことが、今日までに尾を引き、日本の国益を損ねている。

次の失敗は皇室外交だ。89年の天安門事件で国際社会は中国に経済制裁を科し。それを、91年、先頭に立って解除したのは日本だった。中国のために骨を折ったつもりが、日本は思いがけないしっぺ返しを受ける。

92年2月、中国が領海法を定め、尖閣諸島を中国領としたのだ。日本の領土を奪う中国に日本はしかし、またもや、スジを曲げて譲歩し、同年10月、日本の持てる最高最善の外交カードを切り、天皇皇后両陛下のご訪中を実現させたのだ。

国内の強い反対に抗して断行されたご訪中だったが、その効果は当時も今も疑わしい。天皇陛下との会見で江沢民は「歴史を戒めとする」と発言。

そして95年には、銭其琛外相が、中国は日本に対する国家賠償は放棄したが「その中に個人の賠償は含まれていない」「賠償請求は中国国民の権利」だと述べた。

同年5月、江沢民はモスクワで日本軍は中国人3500万人を死傷させたと演説。9月には人民大会堂で、右の虚構の数字を入れて再び日本を批判し、日本による直接の被害は1000億ドル(12兆円)、間接的な被害は5000億ドル(60兆円)と語った。

その先に今年4月2日の「中国民間対日賠償請求連合会」の設立がある。反日運動の象徴の童増氏が日中戦争当時の民間人の被害と損害賠償を求めて作ったもので、
中国共産党が公認し、中国共産党、政府、軍のOBが多数、名前を連ねた。歴史問題をカードにする中国外交は一貫しているのだ。

靖国での妥協も、経済援助も、日本側はそれを日本の中国に対する”誠意”と考える。しかし、中国にその誠意は届かない。中国から見れば、日本の誠意は、中国の力への日本の屈服でしかない。眼前の状況の改善に汲々として戦略を欠く日本は、徹底徹尾、戦略の国、中国に翻弄されるばかりだ。

経団連の新会長、御手洗富士夫氏が靖国問題は日中関係の妨げになっていないと
述べた。眼前の利益のために己の心や、譲ってならない国益を投げ捨てることの愚を悟らせる発言だ。中国の横暴さも理不尽さも、小泉首相よりは、国民のほうが敏感に感じとっている。だからこそ、中国の罠にはまり、国民の想いとかけ離れた対処をすれば、己の政治生命が危うくなることに、小泉首相も与党も気づかなければならない。

以上引用


ODA

2006-06-04 | 中国
 凍結中だったた対中円借款を解除するようです。
外務省のHPによると
 「対中ODAは、1979年に開始され、これまでに有償資金協力(円借款)を約3兆1331億円、無償資金協力を1457億円、技術協力を1446億円、総額約3兆円以上のODAを実施してきました。」とあります。しかし、同じ外務省HPの政府開発援助大網の援助実施の原則にはこうあります。

援助実施の原則

 上記の理念にのっとり、国際連合憲章の諸原則(特に、主権、平等及び内政不干渉)及び以下の諸点を踏まえ、開発途上国の援助需要、経済社会状況、二国間関係などを総合的に判断の上、ODAを実施するものとする。

(1) 環境と開発を両立させる。
(2) 軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。
(3) テロや大量破壊兵器の拡散を防止するなど国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその国内資源を自国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきであるとの観点から、開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う。
(4) 開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。

 上記を見てもわかるように、中国に対して円借款凍結解除するなんておかしな話です。7月にロシアで開かれる主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で胡錦濤との日中首脳対話のためのお土産でしょう。援助実施の原則なんか全く関係なしです。中国の軍事費が年々増加し、ロシアの近代兵器をODAの資金で買い集め、周辺諸国、世界の脅威になっているのは厳然たる事実です。元々中国は1949年の建国以来、毛沢東ら中国共産党は核と軍事力を以って大国になることを国是として、清朝最盛期の版図を取り戻そうとしているのです。そこには沖縄も含まれ、そういう兆候はもう何年も前から随所にみられます。

 例えば、1992年に領海法という法律を作り、東シナ海は沖縄トラフまでが自国の海域決め勝手に主張し、領海侵犯を繰り返しています。実際、中国は70年代、80年代に南シナ海でベトナムやフィリピンを相手に軍事力で西沙諸島と南沙諸島の実効支配を打ち立ててきた事実があるのです。

 去年8月には徐勇・北京大学歴史学部教授が中国誌「世界知識」で、沖縄が日本の領土になったのは琉球王国に対する侵略の結果であり、第2次世界大戦後の米国からの返還も国際法上の根拠を欠き「主権の帰属は未確定」とする研究者の論文を掲載しています。

 今年3月には中国外務省の秦剛副報道局長が定例会見で「釣魚島(日本領・尖閣諸島)は中国固有の領土であり、日本の領土ではない」と公の場で、日本の領土に対する野心を露にしています。

 言い出したらキリがないですが、援助されている中国が、援助している立場の日本に靖国・教科書問題等で内政干渉し、その援助で増大した軍事力を背景に日本の領土や資源を脅かそうとしているのです。よく中国・韓国は戦後補償のあり方でドイツを見習えみたいなことを言います。ドイツ与党キリスト教民主同盟(CDU)は対中開発援助を打ち切る方針を決めたそうなので、日本もドイツを見習って円借款は中止しますくらい言えばいいのにと思うのです。また、旧日本軍化学兵器処理問題で日本政府は2000年以降、970億円を投じて化学兵器の発掘、回収事業を実施し、事業総額は2000億円以上と言われており、中国は遺棄化学兵器が30万発以上も眠っていると言っています。中国からすればODAにかわる新たな財源確保と言ったところでしょうが、日本の外務省も中国様にお金を払いたくてしょうがないって感じがひしひしと伝わってきます。これは当時外相だった河野洋平がしっかり調査もせず、全部まとめて日本が処理すると中国に約束したことが原因です。

 陸奥宗光や小村寿太郎とまではいかなくても、もう少し国権意識をもって外交にあたるべきではないのかなと思います。