EXOTIC GARDEN

耐寒性の亜熱帯植物の紹介や、その他諸々の話題を取り上げていきます。

雑記 2020 ヤシの木育ちすぎて曲がり角 山口では伐採、観光資源の宮崎は植え替え

2019-09-08 20:33:08 | 日記
 ヤシの木育ちすぎて曲がり角 山口では伐採、観光資源の宮崎は植え替え

 これは正確にはワシントンヤシではなく、近似種のワシントンヤシモドキのことではないか。せっかくオキナヤシモドキという和名があるのに、ワシントンヤシモドキなどという、英名をそのままカタカナ表記した名称を使うのか。とはいえ、こんな場所で文句を言ってもしょうがないので、いくつか意見を書いてみたい。
 ご指摘のとおり、関東以西で露地植えで越冬するヤシ科の品種の中では、おそらく最も生育が早く、多量に施肥を続けていけば年速1m近くも生育するのだ。さいわい根張りが激しく、強風に遭っても容易には倒れない。管理費がかさむというような記述もあったが、多数分枝する通常の樹木と比較して安く済むはずだ。枝分かれしないから剪定は枯れ葉を除去するだけだし、乾燥にも強いので水やりも不要だ。

 コメント欄を読んでみると・・

 「記事の樹木は、ワシントニアパームと言って・・」。さっき書いた通り、これは英名をそのまま読んだものだ。

 「ワシントニアパームは、強風が吹くと枝が根元から落ちてきます。」と書いてあったが、葉柄のことか? 枝分かれしないので 枝は存在しない筈だ。

 「存続を訴える声があるなら、植え替えも必要かも知れないが、日本でのヤシはあの実がなるというのも聞かないし」。生育が早いし、毎年多量の種子が結実するうえ、発芽率も高い。おまけに生育も早くて比較的強健なので、植え替えなどするくらいなら、ある程度の高さになったら撤去して実生苗を植えたほうがよかろう。ヤシの実がなるというのを聞かないということについては、ほかのコメンテーターも指摘していたように、ココヤシその他のことを言っているのだろう。ヤシ科は3000種近くもあるし、品種によって耐寒性その他がまったく異なるのだ。なお、ココヤシは完熟すると自然落果するらしく、あのでかい、人頭大の果実が落果してきたら危険極まりないので、その点ではオキナヤシモドキのほうが安全なのだ。

 「ヤシの木は、いざ捨てるということになると大変な厄介者で、かなりの不燃性で火事でも燃えない性質があるので、電動のこぎりでかなり小さく切り刻んで燃やさないと燃えてくれない。防火林としては良いにしても捨てるとなると手こずることになる。」と書いてあるが、かつて自宅で4mくらいのオキナヤシモドキを撤去してから燃やしたことがあるが、かなり激しく燃えたものだ。燃えにくいのは水分が残っているからだろう。わざわざ電動のこぎりなど使って切り刻まなくてもよく燃える筈だ。

 「日本のやる事は小手先でやるからダメなんです。長い年月を考慮しない所に問題がある。アメリカのように土地が広い所は良いですが、狭い土地に巨木はどうしても無理でしょう?」
 オキナヤシモドキは分枝しないから、占有する面積も比較的狭く、また、いくら日本が米国よりも国土面積が狭いとはいえ、公共の場所では植え場所は十分あるし、じっさい学校や病院や老人ホームなどの公共施設ではよく植栽されているのだ。

 「元植木屋から言わせていただくと、ヤシ科はやめた方がよかったと思います。伐採するのも困りますし、抜根しようもんなら根が半端ではないです。時間が掛かります。切った幹の部分もかなりの年月保水しているので、中々腐らず、枯れず、下手したら芽がでます。」
 まず、「ヤシ科はやめた方がよかったと思います。」と言っていますが、さっきも書いたように、ヤシ科の品種は多種多様であり、品種ごとに性質がまったく異なります。それらを十把ひとからげに論ずるというのは乱暴でしょう。伐採するのも困ります。とも言っているが、分枝しないし、たいていは株も増えないので、成長点から下側で切断してしまえば確実に枯死するので、処分するのも比較的楽だと思う。切った幹の部分もかなりの年月保水しているので、なかなか腐らず、とも書いているが、ヤシ科の品種には多肉植物のような保水組織はないので、そんな長期間保水することはできないと思う。

 「ヤシだけではない、フェニックスとかも同様になっている。宮崎ではこの2つの木が特に県央から県南はどこに行っても見かけるぐらいとても県民には身近な木である。特にフェニックスは宮崎県の木になっているぐらいだ。」
 このフェニックスというのは恐らくカナリーヤシのことだと思うが、フェニックスというのは品種名ではなく、フェニックス属という属名を指す名称なのだ。

 「日本人の品質改良で、高くならないヤシがサイパンやロタにありました。実の収穫がしやすいようにと聞きました。一斉に植え替えも大変だから、今度からはその背の高くならない品種にしてはどうでしょう。」
 これはたぶん、幹が高くならないのではなく、幹が低いうちから開花結実するように品種改良されたココヤシのことではないかと思われます。幹を高くならないようにすることはおそらく不可能ではないかと思われます。せいぜい、施肥を少なめにして成長速度を抑制するくらいでしょうか。しかもココヤシは耐寒性が弱いので、沖縄のような南洋諸島くらいでないと露地越冬は不可能でしょう。なお、沖縄どころか台北でさえ、完熟前に落果してしまいます。完全な熱帯でないと完熟しないらしいです。

 「いつも思いますが、日本の道路沿いに植えられているヤシの木はかわいそう。木の上部の葉がパサパサになって、栄養が行き渡っていないと感じます。土地の気候にそぐわないものを植えるからです。南国ムードを出したかったのでしょうが、見た目の華やかさばかりを優先せずに、もっと日本らしいもので、華やかさが出るものを植えればいいと思う。」
 どの品種のことなのか不明なのでよくわからないが、国内でも順応してよく生育するものもあるし合わないものもある。なお、この、オキナヤシモドキも含めて、温帯原産の大部分は、熱帯では生育不良か枯死してしまうのだ。
 
 「カリフォルニアのパームツリーも育ち過ぎだよね。あれ、ハリケーンでも来たらバキバキ折れそうで心配。」だということだが、すくなくとも幹が風で折れる可能性は低い。ヤシ科、といっても品種によりけりだが、幹が頑強で、頂部にロープをくくりつけてトラックで牽引してもなかなか倒れないのだ。

 「アメリカかぶれが植樹の理由。日本を西洋みたいにしたいという考えは根本的に誤りである。」
アメリカかぶれかどうかは知らないが、この品種は街路樹だけではなく、関東以西の暖地ではスーパーの駐車場やトヨタビスタでも良く植栽されているし、学校や病院などの公共施設でもしばしば見かける。これだけ普及しているのは理由があり、発芽率が高くて生育が早く、ということはそれだけ生産性が高い。つまり利益が出やすいというわけだ。移植にも強く、なにしろ、幹を切断してそのまま地面に置いておけば発根してしまうほど強健なのだ。
 西洋みたいにしたいということだが、西洋産の品種は、せいぜいチャボトウジュロとクレタンナツメヤシくらいしか存在しない。
 アメリカかぶれを批判しているが、和名を使わず英名をそのままカタカナ表記するという習性こそ批判してほしいものだ。

 「植え替えやめて捨てる。代わりにフェニックスロレベニーにすればよいんだ。日本の気候じゃ3m位にしかならないし。」
 これはシンノウヤシと思われるが、耐寒性がいまひとつなので、厳冬に襲われたら枯れ込んでしまうか、へたをすると枯死しかねないという感じがする。

 「どうせ、その地方の土建屋さんやら偉い人やらが、当時ハワイやら西海岸やら見て廻ってテンションMAXとなり、その絶望的な田舎のセンスでもって、地元の最高の景色を台無しにしてしまったんだろうなぁ…って思う。」
 地元の土建屋さんは、ヤシ科の品種について無知だと思うしそんなことはしていない筈だ。ハワイやら見てと書いてあるが、ハワイは熱帯なのでオキナヤシモドキの生育には適さないのだ。

 「元妻の母国が遠い南国ですが、日本の観光地で見かけるヤシは別の種類で全く南国のイメージがわきません、日本は四季があるのですからそれを大切に観光に活かせれば良いのでは?」
 ヤシ科の品種は多種多様であり、国内に多数あるワジュロやトウジュロやカンノンチクもヤシ科の品種であるし、南国の印象だけがヤシ科の品種の特徴だというわけではないのだ。オキナヤシモドキは異国的な雰囲気が魅力であるし、この品種は熱帯には適さず、むしろ国内のような四季がある環境の方が適しているのだ。上述したように、温帯に自生しているヤシ科の品種の大部分は、熱帯では生育が悪くなるうえ、枯死することも珍しくないのだ。

 「日本の九州にも自生するシュロに変えたらいいだけ。ワシントンヤシほど高くはならないし、同じく寒さにも強い。」
 シュロは熱帯では枯死してしまうし、寒さに強いというよりも、冬に寒くなる環境でないと生育が悪くなる。じっさい、関東以西の暖地よりも東北のような冷涼地の方が生育は良好なのだ。 具体的には、ワジュロとトウジュロのことだと思うが、国内ではあちこちで植栽されているため、それだけ価値が低い。なお、ワジュロとトウジュロも生育は遅いものの、かなり高くなる。

 「ワシントニアではなくビスマルキアヤシにすれば成長も遅いしヤシ目的でマニアが訪れる「聖地」にもなりそうだが...高級品種だから苗代が高騰してしまうか...」
 ビスマルキアヤシとはビスマルクヤシだと思うが、これは耐寒性がいまひとつで、九州最南端の指宿くらいが露地越冬可能な北限のような気がする。移植にも弱いうえ、生育も遅く、実生からだと時間がかかり過ぎるので現実的ではなかろう。

 「強風や台風のときは、あの大きな葉は高いところが落ちてくるので、正直不安。品種改良でミニヤシの木のようなものはできないものかな?」
 幹は頑強で容易には折れないが、困ったことに葉柄に鉤状の刺があるので、枯れ葉が落下すればたしかに危険だ。品種改良でのミニヤシは困難だろうが、矮化剤を使って小型化するというのなら可能だろう。品種改良には手間と時間、すなわち費用が掛かるが、矮化剤はすぐに使えるし、おまけに耐寒性が強くなるというまことに好都合な副作用もあるのだ。
 ただ、オキナヤシモドキの魅力は、あの雄大さにこそあるので、そんなことをするくらいなら、別の品種に替えた方がよさそうだ。

 「良い木だけど 日本の風土には合ってないのかな。一気に南国ムード出るけど」
 しつこいが、この品種は熱帯ではなく、温帯産だ。したがって、すくなくともハワイのような熱帯よりかは、本州の暖地のほうが適している。冬はある程度冷えた方が生育は良くなるので、九州よりも本州のほうが向いていると感じる。じっさい適応できなければ、そもそもそんな高木にまで生育しない筈だ。

 「地球温暖化なのでこれからもっと成長します。東南アジアみたいに食文化が変わるかもね。」
 今後も排出量の削減が進まず、野放図に排出され続けたとしても、百年後でさえ亜熱帯にまで温暖化するとは思えないし、そもそもこの品種は熱帯産ではないので、そんなことになったら生育は悪くなってしまうだろう。

 「南の島に自生するヤシの木もほとんどは入植者が持ち込んだ物みたいですね。用途はいろいろあるんですけど日本ではね。」というが、南の島がどこなのか不明なのでよくわからないが、そんな話は初めて知った。
 なお、英語のサイトには、あらゆる品種についての自生地が表示された地図が多数存在するが、これらの大部分が持ち込まれたものだという解説は見たことがない。

 「私は東北地方在住なのでヤシの木、見ると南国でいいなあと呑気に考えてしまいます。やはり維持管理大変なのですね」
 しつこいが、耐寒性の強いヤシ科の品種も色々あるし、関東以西の暖地よりも東北のほうが生育が良好な品種もあるのだ。

 「ヤシの木って元々日本に生息している植物ですか?あまり詳しくないのですが・・・外来種なら伐採すべきです。」
 それを言うなら、食用の野菜や果物でも、日本原産の品種は少数派なのであり、これらも駆除せよというのか?

 「宮崎出身ですが、幼い頃は「道路の真ん中にヤシの木が生えているのが普通」だと思っていたし、たまに帰省して空港や国道並ぶヤシの木を見ると「帰ってきたなぁ」と思います。(中略)いつまでも続くような昼下がりの時間(日向時間)と、揺れるヤシの木。のんびりとした県民性。街中だけじゃなくて、宮崎に暮らす人の心にも、ヤシの木は根付いているように思います。」
 根付くかどうかはともかく、外来種であろうがなかろうが、価値があれば植栽すればいいのだ。種子があちこちに飛散して野生化してしまいそうなら、駆除すべしというのなら同意する。

 「宮崎ならまだしも、寒さに弱い木を山口県に植えたのがおかしな話です。安全にも、自然にもよくないなら景観なんか関係なしにさっさと伐採すべきです。」
 しつこいが、この品種は宮崎よりも山口のほうが向いている。寒さに弱くはないし、冬にあまり暖かいと生育は悪くなるのだ。

 「うちの仕事場にもこのワシントンヤシが10本くらいあります。もう植えて50年くらいになるそうですが、定期的に高所作業所車で、葉の剪定をしています。あの葉ですが、植木屋さんに聞くと、葉を取りすぎると、さらに上に伸びて背が高くなるのだそうで。葉を除けないと、落下の心配があって、その兼ね合いが難しいとのことでした。うちの仕事場のものは高さはビルの3階くらいの高さがありますが、折れないのですか? と植木屋さんに聞いたら、大丈夫です、とのことではありましたが、、強風が吹くと結構揺れていて、大丈夫かなぁ、と思いながらいつもその下を通っています。」
 これもワシントンヤシではなく、ワシントンヤシモドキと思われるが、「葉を取りすぎると、さらに上に伸びて背が高くなる」ということはなく、葉を除去しようがしまいが、関係なく伸びていくのだ。幹が折れるということは、絶対にないとまでは言い切れないが、よほどの突風、というか、衝撃波くらいでないと折れることはないだろう。

 「横須賀や新浦安のように、ビロウヤシやココスヤシに替えれば良い。成長が遅くワシントンヤシのように背が高くならない。夏になるとこの両地域に行き、南国感を味わっています。」
 ビロウもフェニックスと同様に、属名であり品種を特定する名称ではないから、ビロウ属のど品種のことなのか不明だ。生育が遅いのでワシントンヤシ(これもおそらくオキナヤシモドキのことだろう)よりかは手間がかからず適しているのかもしれない。ついでに触れておくが、ココスヤシも熱帯には適さないのだ。

 「パームツリー植えてるところ結構あるよね。USJやその周辺なんかだとハリウッドがカリフォルニアだから、その雰囲気を出したりしてて、植ってるだけで雰囲気がガラッと変わる。たまに自宅に生えてるのを見るから、すごいなと思うな。」
 同じワシントンヤシ属の品種ですら、ここで話題になっているオキナヤシモドキよりもオキナヤシのほうがでかくて迫力があるし、他の品種にももっとすごい品種はいろいろある。羽状葉の全長が20mを超える品種や、掌状葉の直径が5m近くに達するものもあるのだ。
 
 おわかりのように、まともな書き込みはあまりないし、似たような評言が続いたのでうんざりしてきたし、お読みになった読者も嫌気がしてきたと思うので終わりにします。





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