*** june typhoon tokyo ***

SWV @Billboard Live TOKYO


 親近感と佳曲に触れながら、グループの成熟と共鳴を再認識。

 いつ思い返しても、90年代のR&Bシーンは良質のメロディが溢れていたと感じる。そのことを毎回再認識させてくれるのが、90年代に「ウィーク」「ライト・ヒア/ヒューマン・ネイチャー」などのナンバー1ヒットを放ち、2005年の再結成からもグラミー・ノミネート作『アイ・ミスト・アス』を出すなどR&Bシーンに確固たる足跡を残してきた、ココ、タージ、リリーによるフィメール・ヴォーカル・グループ、SWV(Sisters With Voices)。当初は10月13・14日の連休に東京・豊洲PITで行なわれた都市型フェス〈SOUL CAMP〉に出演予定が、台風の影響であえなくキャンセル。だが、単独公演への来日は間に合ったということで、急遽ビルボードライブへ向かうことに。

 これまでにSWVのライヴを観賞したのは2012年(→「SWV@Billboard Live TOKYO」)と2016年(→「SWV@Billboard Live TOKYO」)の、ともにビルボードライブ東京での公演。「ウィーク」「ライト・ヒア」「アイム・ソー・イントゥ・ユー」「レイン」といった人気曲を軸にする構成は、目新しさという意味ではそれほど特出するところはないが、ヴォーカルとハーモニーで作り上げるハピネスな雰囲気とスッと沁み込みながら身体を揺らせる心地よいグルーヴで、ジョイフルなステージを演出。“ヴォイス”(声)に由来する“V”をグループ名に冠するに相応しい、芳醇なハーモニーをすずなりに聴かせてくれた。

 イントロダクションを経て「エニシング」から幕を開けると、タージがラップを繰り出しながら所狭しと動き回れば、リリーが“ハッピー”と叫び、ココがハイトーンで貫禄を発揮と、それぞれが阿吽の呼吸でフロアを盛り上げていく。台風の影響でフェスには出演出来なかったものの、日本での単独ステージが開催出来たことに感謝と喜びを表わしていた。

 「すべての男性に対しての歌を歌うわ、そうここにいるすべての男性にね」とタージとリリーが語りかけてからの「エイント・ノー・マン」、最前列にいたSWVの公演に常に駆け付けるという女性ファンをステージ上に上げて通訳させ「今日はみんなでこのショーを作りたいの、さあ立ち上がって、2階も3階もみんな見えるんだからね、さあ」と煽りながら始まった「ユーズ・ユア・ハート」、何も語らずともイントロがフロアに鳴った瞬間に歓声が上がるビッグヒット「ライト・ヒア」ほか、曲構成の大筋は変わらないものの、フロアとコミュニケーションをしながら、ナチュラルにヴォルテージを高めていく。瞬発力というよりも浸透力、成熟と程よいユニークなアクセントを施しながら、シームレスにグルーヴの波をキープしていく。

 90年代初期のSWVと“同世代ソング”ともいえるメアリー・J.ブライジ「ビー・ハッピー」のカヴァーといったSWVのライヴに足を運ぶファンたちの心をくすぐるようなセレクトをしたかと思えば、ライヴの定番ともなっているスウィッチの楽曲をリメイクした「ゼイル・ネヴァー・ビー」ではタージ、ココ、リリーがフロアをそれぞれ右・中央・左に区分けしてのコーラス対決で、コール&レスポンスとともに一体感と熱度を高めていく。さらに、フロアへと歩みを進めたリリーが客席で男性のデュエット相手を“物色”。マイクを向けられた外国人男性がリリーのリードに促されて“Killing Me Softly With His Song~”と美声を披露して歓声が沸き上がると、そのままロバータ・フラックで著名の、ここではフージーズ・カヴァー・ヴァージョン調で「キリング・ミー・ソフトリー」へ。バンドメンバーのソロ・パートを含めた長尺でフロアに興奮の熱と破顔を生み出して、本編はエンディングを迎えた。

 即座に始まった鳴りやまないクラップに、思った以上に早く反応してステージへカムバックしてきた3人とバンドメンバーがアンコールラストに奏でるのは、1993年の全米ナンバー1ソング「ウィーク」。意外性もなく聴きなれた楽曲ではあるが、一度ハーモニーを奏で始めれば、美しい粒立ちの果実のような瑞々しさときらめきがフロアに充溢するから不思議だ。圧巻のハイトーンで牽引するココに、茶目っ気とともにそれぞれの色で見事にハーモニーの質感を高めていくリリーとタジー。時を重ねても失わないグループの一体感という名の輝きが幾重にも織りなす、高揚と興奮に包まれたステージとなった。

 

◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Anything
02 You're The One
03 You're Always on My Mind
04 Use Your Heart
05 Right Here
06 Ain't No Man
07 M.C.E.(Man Crush Everyday)
08 Rain
09 I'm So Into You
10 Be Happy(Original by Mary J. Blige)
11 They'll Never Be(Switch“There'll Never Be”Remake)
12 If Only You Knew(Original by Patti LaBelle)
13 Killing Me Softly With His Song(most popular known as Roberta Flack's song)
≪ENCORE≫
14 Weak


<MEMBER>
SWV are:
Cheryl “Coko” Gamble(vo)
Tamara “Taj” George(vo)
Leanne “Lelee” Lyons(vo) 

(b)
Greg Clark Jr.(ds)
(key)

◇◇◇


 

 





 


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