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*** june typhoon tokyo ***

MICHAEL JACKSON TRIBUTE LIVE@代々木第一

■ マイケル・ジャクソン・トリビュート・ライヴ

Michaeljacksontribute

 “STAY GOLD, FOREVER Michael”
 
 マイケル・ジャクソン・トリビュート・ライヴ@国立代々木競技場第一体育館の初日の公演を観賞。アーティスト、バック・バンド、ダンサーなど総勢120名を超えるメンバーによる合計約50曲、約2時間半超のマイケル・ジャクソン&ジャクソンズのヒット・チューン満載のステージが、東京で行なわれた。監修はノーナ・リーヴスの西寺郷太。

 思えば、2010年11月29日の日本武道館にて衝撃の予告があった。AIの活動10周年を記念したスペシャル・ライヴ、“10th Anniversary Special Live「伝説NIGHT」at 日本武道館 with 超SPECIAL GUEST大勢!!!”のアンコールの合間に告げられたのは、“AIとジャクソンズによるマイケル・ジャクソン・トリビュート・ライヴ決定”のニュース。騒然とする場内。歓喜するも正直なところ半信半疑だった当時。案の定、その後に「そんな話はない」とツイッターで呟かれるなど一筋縄ではいかなかったようだが、紆余曲折を経てようやく実現にこぎつけて、今日を迎えることとなった。

 原宿駅に到着すると、すでにグッズ購入後と思われる“MICHAEL JACKSON”と大きく書かれた真紅の紙袋を持った人たちがいた。代々木体育館へ向かう人の波や会場には、それぞれの想いを込めたマイケルらしいいでたちやコスチュームの人たちで一杯だった。こんなに日常的にハットを被る人がいたのかと思うくらいの高いハット着用率、黒を基調としたファッション。50代から40代前後あたりが中心だが、20代前半も多く見受けられた。AIがステージに登場した時に大きな声援を送っていた人たちも多かったことを考えると、AIのファン(特に女性)の比率も高かったようだ。また、映画『ディス・イズ・イット』から本格的にマイケルに興味を持ったという人も少なくない感じだ。とはいえ、全般的には年代や性別に関わらず、あらゆる層の観客で席は埋められていた。世界的な人気はいまだ陰を知らず、ということをまざまざと見せつけられた感じだ。

 ショウは主に3部から構成されている。マドンナのツアー・ダンサーとして知られるケント・モリがプロデュースする“ダンス・ステージ”、マイケルを敬愛するアーティストたちによるマイケル・カヴァーで送る“ソング・ステージ”、今回38年ぶりとなる来日となったジャクソンズとAIによる“ジャクソンズ・ステージ”の3つだ。膨大な楽曲があるなかで、どのような選曲をし、どういった形で披露するか。その演出方法はいかなるものか。さまざまな思いが脳裏を行き来するなかで開演定刻の19時を迎えると、マイケルのツアー・ダンサーで振付師のトラヴィス・ペインがステージに登場。開会宣言をしてライヴはスタートした。

◇◇◇

Mjtl_01 “ダンス・ステージ”はケント・モリのプロデュースによるダンスのみで表現されるダンス・トリビュート・ステージ。1000人以上が参加したオーディションから選抜された約90名の、文字通りスペシャルなダンサーたちとともに送るダンサーズ・マイケル・ヒストリーだ。ケント・モリの激しいダンス・ソロを中心に、ケントと新進気鋭のRINOとの共演、COOL MINT crewとのシンクロ、トラヴィス・ペインとユーコ・スミダ・ジャクソン、ステイシー・ウォーカーによる「イン・ザ・クローゼット」、トラヴィスとケントによる「ザ・ドリル」など見どころが満載。ジャネットとマイケルを競演を再現した「スクリーム」、言わずもがなのスペクタクルとなった「スリラー」、さらにはダンサー全員で観客を興奮の渦へと巻き込む「スタート・サムシング」でヴォルテージも最高潮となるなかで、約40分の“ダンス・ステージ”は幕を下ろした。

 当初はケント・モリのソロ・ダンスが中心で、果たしてそれほどダンスに興味がない層を楽しませることが出来るのかと不安に思っていたが、それを見事に打ち消してくれたのがキッズ・ダンサーズだった。ジャクソン5時代へ一気に雪崩れ込ませた「帰ってほしいの」からのパートや、太目の悪ガキ風のキッズを中央に配して“WHO'S BAD?”とショートフィルムさながらに表現してみせた「バッド」から「スムース・クリミナル」までのパートなどを挟み込むことによって、長時間の観賞に耐えうるメリハリあるステージングを完成させたのは見事だった。

 “ソング・ステージ”では“最新”アルバム『MICHAEL』から『オフ・ザ・ウォール』までの楽曲のなかから順に遡っていきながら、名曲を披露していく。しっとりとしかしながら情熱的に歌い上げたクリスタル・ケイ「ユー・アー・ノット・アロン」、ゴスペルクワイアと一体感を作り出したスクープ・オン・サムバディ「ウィル・ユー・ビー・ゼア」、ユーコ・スミダ・ジャクソンのダンスをフィーチャーしたJUJUの「リメンバー・ザ・タイム」とそれなりに見どころもあったが、このステージで白眉だったのは、何と言ってもメイシー・グレイ「ユー・メイク・ミー・フィール」と久保田利伸「あの娘が消えた」だろう。
 独特の間としゃがれた声で完全にメイシーの世界観へ落とし込んだ「ユー・メイク・ミー・フィール」は圧倒的な貫禄。ただ上着の裾をヒラヒラとさせるだけで歓声を呼ぶのだから見事というほかない。マイケルをなぞらえるのではなく、“そんなことは端から出来っこないのよ”とでもいいたげに“あたしはあたしなりのマイケルを歌うわ”といったパフォーマンスで、観客の心を打ち抜いた。
 久保田利伸も同様に“パーティ・ピーポー”と観客に語りかけながら登場し、自らのスタンスで「あの娘が消えた」を熱唱。抜群の歌唱力で観客を唖然とさせた。マイケルが最後に涙したテイクで録音されたこの曲のラストを、久保田は一旦腰を屈めたブレイクを入れてから歌い、身震いさせるような感覚を多くの観客に与えたのだった。

Mjtl_00 そして、お待ちかねの“ジャクソンズ・ステージ”。約38年ぶりの来日……ということで、もちろん生ジャクソンズ初体験となる。ステージ奥には大きく“THE JACKSONS and AI”のロゴ。左からギターを持ったティト、AI、ジャッキー、マーロンがスタンドマイクの前に並ぶ。「キャン・ユー・フィール・イット」から怒濤のジャクソンズ・ワールドの開演だ。「帰ってほしいの」~「ABC」~「小さな経験」のメドレーはビートも速くあっという間に終わってしまったが、おなじみのダンス・パフォーマンスも飛び出す興奮のステージに、ヴォルテージが高まらない訳がない。「アイル・ビー・ゼア」では場内にやわらかなコーラスが響き、AIが一旦ステージ・アウトしての“オンリー”ジャクソンズによる「ハートブレイク・ホテル」で拳を突き上げ、「今夜はドント・ストップ」まで興奮がとめどなく続くなかで本編は終了した。

 暗転するとスクリーンには「アイル・ビー・ゼア」の歌詞が映し出される。オーディエンスが合唱してアンコールを待つと、しばらくしてからバンド・メンバーに続き、ジャクソンズとAIが登場。長い「シェイク・ユア・ボディ」で恍惚とも陶酔ともいえる何ともいえない感覚を抱きながら、終演を迎えた。その途中、マーロンが(AIに通訳してと頼みながら)「たぶん、今マイケルがここにいたら、こう言うでしょう。みんなも後についてきて言って」と言った後で、“ポゥ!”“ヒーヒー”とマイケルのシャウトのコール&レスポンスを促す。言葉の壁を超えて、マイケルへ捧げる想いが一つになった瞬間でもあった。

◇◇◇

 帰り際に多くの人から「感動した」との声を耳にしたライヴ。それにケチをつけるつもりは毛頭ないが、もう一人の客観的な自分のなかでは、これが完璧なものだったとは思えなかったことも事実だ。以下の記述は、個人的な性格によるものゆえ、ということでお許し願いたい。

Mjtl_02 まず“ダンス・ステージ”だが、上述のようにキッズ・ダンスのセクションを組み込んだことは素晴らしい効果となったといえる。少々気になったのは、使用されている楽曲(トラック)だ。インストやキャッチーなフックのフレーズが流れそのままコーラス・パートへ雪崩れ込むのかと思いきやすんなりとサビへは行かず、転調するなどして曲がどんどん変化していくため、多少スカしを食らった感じもした。楽曲の一部分を繋ぎ合わせるようにして作られているトラックだったので、いわゆる“マッシュ・アップ”トラックで、マイケル・ジャクソン楽曲を基にしたシルク・ドゥ・ソレイユ公演のために作られた『イモータル』的なトラックなのかもしれない(恥ずかしながら、まだ『イモータル』を聴いていないので解からないが)。革新的なサウンドで楽しめたのだが、1、2曲はフルとは言わないまでも長めに聴かせダンスを見させてもらってもよかった気もする。

 次に“ソング・ステージ”だが、今回のライヴで一番改善してもらいたいところといえば、ここになるか。ただ、間違えて欲しくないのは、シンガーたちのクオリティが……ということではない。質の高いシンガーが集うに越したことはないが、どちらかといえば、それよりも選曲に関して考慮すべきところがあったのではないかと感じた。
 JAY'DEとWISEによる「ブラック・オア・ホワイト」のようなダンサブルなミディアム・ナンバーもあったが、比較的ミディアムからスローの楽曲が多く揃えられた気がする。もちろん、マイケルの、特に中期以降に多く作られたバラードには名曲が多く残されているし、そういうミディアムからスローの楽曲を披露する場が必要だと考えれば、このセクションがそれに相応しいパートとなるのだろう。ビートの効いたダンサブルな楽曲を多く扱う“ダンス・ステージ”やジャクソンズ時代を中心に初期マイケルの楽曲を取り扱う“ジャクソンズ・ステージ”と楽曲が被らないなかでの選曲となれば、この“ソング・ステージ”にバラード系を配置するしかない。ただ、単純にアーティストが入れ替わって歌うスタイルが少々もの足りなく感じてしまったゆえ、個人的にはもう少しノリのいい曲をやってもいいのではないかと考えてしまったのだ。“ダンス・ステージ”で使用したとはいってもフルで使用してない楽曲ならば、ここで披露しても問題なかっただろう。「P.Y.T.」「アナザー・パート・オブ・ミー」「ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア」あたりはノリもいいだろうし、どうせやるのであればゴスペルをさらに駆使して「ヒール・ザ・ワールド」とかでもよかった。このあたりは、アーティストが歌いたい楽曲を選定したのか、予め与えられたのかが解からないので何ともいえないが……。
 もう一つ気になったのが、彼らの目線だ。多くのシンガーたちがステージ前方を伏目がちで見ながら歌っていた印象が強かった。もしかしたら歌詞らしきものが手前にあったのかもしれない。個人的には、もしそれが本当であれば、詞を覚えて歌って欲しかったというのはある。各自スケジュール調整をしながらこの場に集っていることは解かるが、そこは本番やリハーサルでは一切歌詞を見ずに準備していたマイケルに倣って欲しかった気がする。

 最後に、“ジャクソンズ・ステージ”。「帰ってほしいの」からのメドレーをもう少し長くやってもらいたかったというのもあるが、思った以上にマーロンがはしゃぎ、ジャッキーもそれに乗せられ、ティトも上機嫌にギターを弾くなど、現在のベスト・パフォーマンスを披露してくれた気がする。個人的には、「アイ・ウォナ・ビー・ホエア・ユー・アー」が聴けたので満足している。

 と、さまざま思うところはあるにせよ、最後に気づかされるのは、誰がどのような形で演じたとしても、後世に受け継がれるような名曲は素晴らしいということ。つまり、マイケルが作り上げてきた(それはまるで子供たちのような)楽曲は、いつの時代でも訴求力を持つ、普遍の名曲だということだ。それは何故かと言えば、それぞれの楽曲には“愛”が込められているからに他ならない。時は流れても、しっかりとメッセージが込められている歌はしっかりと残っていくということなのだ。マイケルの偉大さを改めて思い知らされた一夜となった。

◇◇◇

 マイケル去りし今、我々がなすべきことはなにか。“マイケル、ありがとう”だけで終わらせてはならないのではないか。マイケルへの敬愛の念、感謝、憧れ……人々はさまざまな感情を持って彼に接するだろう。だが、肝心なのはそのような想いを表明することだけではなくて、彼が歌に刻んだメッセージをそれぞれが咀嚼して、そのメッセージを読み取り、日々に活かすことなのではないだろうか。ピュアでありすぎたゆえ、時には揶揄もされたマイケルだが、彼がそこまで純粋に子供のように“どうして”を問うたのはなぜか。何の利害も狡猾さも持たずに育っていた日々の気持ちを大人になって忘れてはいないか。彼がもたらした愛のメッセージをいま一度紐解くことが、必要なのかもしれない。

 ただ、それでも彼はいうだろう。深く考えなくてもいい。そこに“LOVE”さえあれば、と。

 人生は続く。愛すべきマイケルのナンバーとともに。

◇◇◇


<SET LIST>
“Opening Declaration”by TRAVIS PAYNE

【DANCE STAGE】Produced by KENTO MORI
RETURNS A KING
2000WATTS
HEARTBREAKER
JAM
ANOTHER PART OF ME
MORPHINE
I WANT YOU BACK
THE LOVE YOU SAVE
DANCING MACHINE
OFF THE WALL
HUMAN NATURE
THRILLER
THREATENED
GHOST
BAD
BEAT IT
SMOOTH CRIMINAL
THE WAY YOU MAKE ME FEEL
BLACK OR WHITE
WE ARE HERE TO CHANGE THE WORLD
SCREAM
BILLIE JEAN
IN THE CLOSET
THE DRILL
WANNA BE STARTIN' SOMETHIN'


and more!!

~“AI miss Michael Jackson”(VIDEO)~

【SONG STAGE】
01 HOLD MY HAND(福原美穂)
02 UNBREAKABLE(松下優也×DEALZ / with special guest SIGGY)
03 YOU ARE NOT ALONE(Crystal Kay)
04 SMILE(トータス松本)
05 WILL YOU BE THERE(Skoop On Somebody with GOSPEL QUIRE)
06 REMEMBER THE TIME(JUJU×YUKO SUMIDA JACKSON)
07 BLACK OR WHITE(JAY'DE×WISE)
08 I JUST CAN'T STOP LOVING YOU(JUDITH HILL)
09 MAN IN THE MIRROR(川畑要 from CHEMISTRY)
10 THE WAY YOU MAKE ME FEEL(MACY GRAY)
11 SHE'S OUT OF MY LIFE(久保田利伸)  

~“AI miss Michael Jackson”(VIDEO)~

【THE JACKSONS STAGE】
00 Marching BAND Drum Intro
01 CAN YOU FEEL IT(THE JACKSONS&AI)
02 BLAME IT ON THE BOOGIE(THE JACKSONS&AI)
03 I WANNA BE WHERE YOU ARE(THE JACKSONS&AI)
04 ROCK WITH YOU(THE JACKSONS&AI)
05 MEDLEY:I WANT YOU BACK~ABC~STOP THE LOVE YOU SAVE(THE JACKSONS&AI)
06 I'LL BE THERE(THE JACKSONS&AI)
07 HEARTBREAK HOTEL(THIS PLACE HOTEL)(THE JACKSONS)
08 DON'T STOP TILL YOU GET ENOUGH(THE JACKSONS&AI)
≪ENCORE≫
(I'll Be There by Audience)
09 SHAKE YOUR BODY(DOWN TO THE GROUND)(THE JACKSONS&AI)

【MAKE TOMORROW】
01 BEN(小林慧斗)

Mj_make_tomorrow
 

<MEMBERS>
【DANCE STAGE】
KENTO MORI
STACY WALKER
TRAVIS PAYNE
YUKO SUMIDA JACKSON
仲宗根梨乃
MICHAEL JACKSON TRIBUTE LIVE SPECIAL DANCERS

【SONG STAGE】
Crystal Kay
DEALZ
JAY'DE
JUDITH HILL
JUJU
MACY GRAY
Skoop On Somebody
WISE
川畑要(CHEMISTRY)
久保田利伸
トータス松本
福原美穂
松下優也

KALEB JAMES(Key)
PENNY-K(Key)
TAKUYA TANAKA(G)
ALBERT MARTIN(G)
TAKAHIRO SOKUSAI(B)
LORENZO BRACEFUL(Dr)
ROBBIE DANZIE(Back Vo)
OLIVIA BURRELL(Back Vo)
MAGGIE QS(Back Vo)

SKY WALKER BIG QUIRE

【THE JACKSONS STAGE】
THE JACKSONS
AI

THOMAS LEROY, ORGAN(G)
KYLE JASON, BOLDEN
BRANDON KENNETH, BROWN(B)
JUAN PABLO, CASTILLO GARCIA(Per/Vo)
CHARLES O'BRIAN, STREETER(Dr)
DANIEL EDWARD, MOORE III(2nd Key)
JOEY, DIGGS(Back Vo)
YVETTE MARINE, BARIOWE BOIKESS(Back Vo)
KENNETH LEON, TOWNSEND(Key/Musical Director)

REX ALAN SALAS(Musical Director)
DAVID BRUNSON(Stage Manager/Tech Roadie)
KEVIN CHRISTOPHER, TEASLEY(Pro Tools Operator)
GREGORY ARTHUR, BARKULIS(Monitor PA)
JOHN ALFRED, BAKER(Main PA)

THE JACSONS BACK DANCERS(HANA)

Yokohama Inspires Drum Line

小林慧斗

≪EVENT SUPERVISING EDITOR≫
西寺郷太(NONA REEVES)


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