シュート数は東京の13本に対して徳島は2本。前半は徳島の引いた守備を打開できず、なかなかシュートまで持ち込めなかった東京だったが、それでも33分に羽生からの速いパスをエリア前右で受けたエドゥーが徳島のDF藤原を一気に置き去りにして縦へ突進、エリア内中央へえぐるように侵入してグラウンダーのパスを河野へ送ると、フリーの河野が合わせて先制。後半、序盤にエドゥーがエリア内で背後からふくらはぎ辺りを蹴られてPKを獲得すると、これを冷静に決めて2対0に。徳島はエステバンが奮闘するも、この得点でがっくりと質量ともに落ち、ほぼ東京の時間帯へと移行。その後、武藤、渡邉とゴールを決めたFC東京が5試合ぶりに勝ち点3を獲得した。
ただ、徳島には申し訳ないが、相手は現在最下位のチーム。高崎、津田ら前線に3枚を置いて、最終ラインは4バックというより5バック気味に守る戦術もあまり機能せず、ほとんど危険な場面はなかった。FC東京が食いつくも中途半端に終わったり、ボールを奪った次にパスミスしたりして、相手ボールにしてしまうこともあったが、それも活かせずに終わっていたところをみると、結果としては4対0で、FW陣がそれぞれゴールを決めた良い結果に思いがちだが、仮に徳島が先制していたらどうなっていたか。また、上位チームが相手であったらと考えると、全体的なパフォーマンスとしてはそこまで褒められるものではない。
攻めあぐねはじめると、強引に狭いところを突破しようとして奪われたり、シュートのタイミングを逃して打ち切れなかったり、フリーランニングがなく、足元ばかりにボールを散らすだけで前線へ向けての突破力が欠如していたりと次第にリズムが悪化。攻撃が停滞して悪循環と陥る場面は、これまで多くあった。その兆候はまだ完全に消し去られていない。今回も羽生、米本の動きが目立ったが、前線から最終ラインまで含めて、メリハリを利かせながら、動き回って相手を攪乱させることは重要だ。その意味では、相手にボールを獲られた後にすぐさま追いかけていき、ボールを奪い返した河野の動きは、しっかりとそれを意識しての表われでもあった。後は、それを周囲と連動させて、継続して行なえるかだ。
エドゥーは川崎戦での決定機を外すなど、ゴール前で少々心理的ストレスがかかってしまっているのかもしれない。いまいち思い切りの良さが足らない。だが、PKではあったがゴールを決めたことで、その余計な意識を払拭してもらいたいところ。ただ、累積警告停止まであとイエローカード1枚という状況なので、そこは細心の注意を払わなければならない(イエローを貰うと、次は2試合出場停止となってしまう)。平山がいない今、前線でボールを収めるタイプはいないし、現在の東京の攻撃の起点となっているエドゥーの存在は非常に大きなものとなっている。
今季、なかなかスランプから抜け出せない渡邉千真もようやく2ゴール目。やはり中央で活きるタイプではあるが、どのポジションであろうと貪欲にゴールへの執念を燃やし続けることが肝要だ。
また、梶山の存在も大きい。徐々にではあるが、長い時間のプレーも可能になってきた。この試合では通常の中盤ではなくトップ下的な位置にも顔を出して渡邉の得点をお膳立てするスルーパスを出していたが、東京の1つのピースとして終盤には欠かせないものとなってくる。
さらに、新たな可能性として佐々木渉がJ1初出場。羽生とのコンビで一瞬エリア内でシュートを放てるかという場面も創出したが、最後は打ち切れず。失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてもらいたい。
チャレンジという意味では、徳島はやや怖がっているのか、いい意味での開き直りがなく縮こまっている感じがした。ゴール裏には“できないと言われている事をやってやろう 思い出作りにJ1来たんじゃない”という熱い横断幕でのメッセージが掲げられていたが、これ以上のミスを犯せないという恐れがプレーへのチャレンジや大胆さを殺しているような気がした。厳しい状況には変わりはないが、失敗を恐れずに残りのJ1を戦ってもらいたい。
戻って、東京。徳島戦は結果は出た。ただ、これはあくまでも徳島戦でのもの。賞金圏内、さらにACL圏内へ生き残っていくためには、次の試合にこの結果を活かせるかどうかだ。中位も下位も勝ち点差はそれほどなく詰まっている状態が続く。一度リズムを崩すと一気に降格圏へというのもあり得ない話ではない。その逆も同様。上位陣との対戦がほぼないという意味では確かに厳しいが、上位同士の星のつぶし合いも考えられる。それまでひたすら勝ち点3を継続していけるかどうか。上位に食らいつくためにも、この週末のホーム柏戦で結果を見せてもらいたい。
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≪J1 第25節≫
【日時】2014/09/23 15:03
【会場】味の素スタジアム
【観衆】22,187人
【天候】晴、弱風
【気温】25.0度
【湿度】35%
【審判】(主審)山本雄大(副審)三原純、宮部範久
【結果】
FC東京 4(1-0、3-0)0 徳島
【得点】
(東):河野(33分)、エドゥー(52分、PK)、武藤(77分)、渡邉(90+1分)
(徳):
【FC東京メンバー】
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 29 吉本一謙
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 22 羽生直剛
FW 17 河野広貴 → MF 10 梶山陽平(78分)
FW 11 エドゥー → FW 09 渡邉千真(73分)
FW 14 武藤嘉紀 → MF 41 佐々木渉(87分)
GK 01 塩田仁史
DF 30 カニーニ
DF 33 椋原健太
DF 50 松田陸
監督 マッシモ・フィッカデンティ
◇◇◇
≪FC東京 2014 J1日程≫
01 03月01日 △FC東京 1-1 柏(A)
02 03月08日 △FC東京 1-1 甲府(H)
03 03月15日 ×FC東京 1-2 神戸(A)
04 03月23日 ×FC東京 0-4 川崎(H)
05 03月29日 ○FC東京 3-1 清水(A)
06 04月06日 ○FC東京 2-1 鳥栖(H)
07 04月12日 ×FC東京 0-1 広島(A)
08 04月19日 ○FC東京 2-0 C大阪(H)
09 04月26日 ○FC東京 1-0 横浜FM(A)
10 04月29日 ×FC東京 0-1 名古屋(H)
11 05月03日 ×FC東京 0-1 浦和(A)
12 05月06日 ×FC東京 0-1 大宮(H)
13 05月10日 △FC東京 0-0 徳島(A)
14 05月17日 ○FC東京 3-0 G大阪(H)
15 07月19日 △FC東京 1-1 鹿島(H)
16 07月23日 ○FC東京 1-0 新潟(A)
17 07月27日 ○FC東京 3-0 仙台(H)
18 08月02日 ○FC東京 4-0 清水(H)
19 08月09日 △FC東京 0-0 C大阪(A)
20 08月16日 ○FC東京 2-0 鳥栖(A)
21 08月23日 △FC東京 4-4 浦和(H)
22 08月30日 △FC東京 2-2 鹿島(A)
23 09月13日 △FC東京 1-1 神戸(H)
24 09月20日 △FC東京 0-0 川崎(A)
25 09月23日 ○FC東京 4-0 徳島(H)
26 09月27日 FC東京×柏(H)
27 10月05日 FC東京×仙台(A)
28 10月18日 FC東京×大宮(A)
29 10月22日 FC東京×広島(H)
30 10月26日 FC東京×G大阪(A)
31 11月02日 FC東京×名古屋(A)
32 11月22日 FC東京×新潟(H)
33 11月29日 FC東京×甲府(A)
34 12月06日 FC東京×横浜FM(H)
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どアップドロンパ。
相変わらず人気者のドロンパ。
徳島からはすだちくんが来場。
徳島サポーター、味スタへようこそ。
“ユルネヴァ中”。
少ないながらも鼓舞する徳島ゴール裏。
選手整列。
残留を諦めない徳島サポーター。
花束贈呈。なかなか集まった東京ゴール裏。
河野ゴール!
エドゥー!! PKをしっかり決める。
味スタ上空の飛行機雲。
夕焼けと飛行機と味スタ。
武藤ゴール!!!
最後は千真がゴール!!!!
4-0で終了。
肩を落とす徳島ゴール裏。
徳島サポーターに挨拶する徳島の選手たち。
ヒーローインタビューその1は森重。
バックスタンドに挨拶する東京の選手たち。
バックスタンドから声援を送るサポーター。
バックスタンド中央でも挨拶。
ヒーローインタビューその2は河野。
勝利にご機嫌なドロンパ。
森重と河野。
ゴール裏へ向かう森重と河野を見送るドロンパ。
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ちなみに、FC東京の下部組織(U-15深川、U-18)に所属し、現在徳島ヴォルティスに在籍する藤原広太朗は、高校の後輩だったりします。(だから何?っていう)