FC東京が岐阜を4対0で圧倒した。同日、千葉が湘南に敗れたため、ようやく東京が勝点32で首位に立った。草津戦で負けて以降、湘南戦から10戦無敗。調子が上がらない相手に、しっかりと大量点&無失点で試合を終えた。FWのセザーがPKを含む2ゴール、先日チームに復帰したルーカスも途中出場し、存在感のあるプレイを披露した。
結果としては、納得出来るものだ。ただし、後半は3得点を重ねたものの、前半の試合内容は諸手を挙げて褒められるものとは必ずしも言い難かった。
こういってはなんだが、相手の岐阜は試合前まで2勝2分11敗の勝点8で最下位。前節は東京Vに0-3で敗れ、この東京戦を含め、3失点以上で負けた試合が5試合。16試合を終え、約3分の1が3失点以上のチームだ。また、経営状況が著しく悪く、今季での黒字化、債務超過の解消が最優先のために補強が出来ない状況。さらに、J経験も浅い選手が多く、ポジション争いが少ないなど、現状では勝つことはなかなか厳しい状態だ。
その岐阜相手にほとんどの部分で東京は圧倒していた。だが、それは東京の実力で圧倒していたというより、相手の実力不足から圧倒的な攻撃をさせてもらっていた、といった方がいいのかもしれない。
その原因の一つは、相手のサッカーに合わせてしまったこと。細かい、ちょっとした部分ではあるが、こちらがミスを犯しても相手もミスを犯したりして、助かったところが少なくなかった。つまり、岐阜相手には通用したが、今後同じようなサッカーをしても上位相手に通用するかは甚だ疑問だからだ。バックラインからのビルドアップをするといっても、速い球回しをせず、相手を引きつけて交わすような球離れの遅いリスクを負ったプレイをしたり、安易なパススピードが遅い横パスをするなど、リスク意識の低さが散見された。
そして、何といっても不満なのが、“シュートを打たない”ということだ。何度も岐阜のゴールを脅かすシーンは作るものの、前半は確実なシュートを狙ったのか、打てるタイミングで打たず、パスやすらすなどして、結局相手に詰められてシュートコースを消されるということを繰り返していた。後半、田邉が2点目を決めてからは、相手のスタミナもガクッと落ちてハーフコートマッチな様相だったが、サッカーは1点差では何が起こるかわからない。ワンチャンスで追いつかれる危険性もあるし、長いシーズン、また消耗が激しい夏場の試合が続くということも考えると、早い段階で試合を決定づけられる試合を多く作っておくことはチームにとってプラスになるはずだ。消耗が激しい選手を休ませ、まだ試合経験が少ない選手を起用することも可能になる。いかなる状況をも予測したゲームコントロールをすることが必要なのだ。
また、シュートに関していえば、決定力といってはそれまでだが、枠へ飛ばないシュートの多いこと。どんなに強烈なシュートであっても、枠へ飛ばなければゴールを決められる可能性はほとんどない。相手が強くないからこそ、意識を高く持って自らのバイオリズムを崩さないパフォーマンスをしなければ、続けて好調を維持することはそう簡単ではなくなってくるのだ。
この試合も羽生のフリーランニングや運動量は目を見張るものがあった。ただ、それに続くものがいないのも現状だ。セザーと周囲との相性も決していいとはいえなかった(その中でゴールを決めたことは価値のあることではあるが)。常に高い意識を持って、一戦一戦に向かってもらいたいところだ。
昇格すればいいだけではなく、優勝し、さらにJ1でも戦えるチームになるためには、このあたりで満足してはいられないのだから。
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Jリーグディビジョン2 第21節
2011/07/17 味の素スタジアム
FC東京 4(1-0、3-0)0 岐阜
【得点】
(東):徳永(22分)、田邉(52分)、ロベルト セザー(75分)、ロベルト セザー(80分、PK)
観衆: 17,183人
天気: 晴、弱風
<メンバー>
≪FC東京≫
01 GK 塩田仁史
02 DF 徳永悠平 → 33 DF 椋原健太(72分)
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
14 DF 中村北斗
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
27 MF 田邉草民 → 49 FW ルーカス(76分)
39 MF 谷澤達也
22 FW 羽生直剛 → 19 MF 大竹洋平(85分)
09 FW ロベルト セザー
20 GK 権田修一
26 DF 阿部巧
32 MF 上里一将
11 FW 鈴木達也
◇◇◇

岐阜のみなさま、味スタへようこそ。
入籍した染矢に対して「おめでとう染矢」の横断幕が。

キーポイントになれるか、田邉。

夕陽が落ちる味スタ。

岐阜ゴール裏。

選手整列。

岐阜ゴール裏。

前半開始直前。

徳永ゴール後の歓喜。

後半開始。

田邉ゴール。

セザーゴール。

試合終了。

スコアは4-0。

ゴール裏へ挨拶する岐阜の選手たち。

失点が続いても応援を止めなかった岐阜ゴール裏に拍手。

バックスタンドに挨拶する東京の選手たち。

セザー&ルーカスのインタヴュー。

おかえり!ルーカス。

バックスタンドに愛嬌を振り撒くドロンパ。

バックスタンドに挨拶するブラジル人コンビ、ルーカス&セザー。

