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*** june typhoon tokyo ***

Perfume@幕張メッセ




 以下にはライヴの詳細についての多くの記述が含まれています。その旨ご承知の上、自己責任において閲覧ください。

◇◇◇

≪これまでのPerfumeライヴ関連記事≫
2008/11/06 Perfume@日本武道館
2012/01/28 Perfume@さいたまスーパーアリーナ
2013/12/25 Perfume@東京ドーム
2014/09/18 Perfume@代々木第一
2015/09/29 Perfume@日本武道館

※参考記事 Perfumeにおけるディスコ論?(2010/02/13)

◇◇◇

 進化しか知らない“トライアングル”が幕張で起こしたドリームストーリー。

 観客約3万人。本人たちが“ドーム級”と称した数多くのPerfumeのファンたちと創出したのは、“夢”だと語っていたスタンディングでのビッグルーム・ディスコ。時折モニターに映し出されるグルーヴに揺れる群集を見て思ったのは、彼女たちもステージ上からこの景色を眺めながら音と熱に包まれて歌い踊っていたのだろうか、ということ。パフォーマンスの節々で見せる満ち足りた表情には、歓喜と躍動、興奮に恍惚、そして何よりも感謝が溢れていたようだった。それらに呼応するように、各自が最強のPerfumeマニアと言わんばかりの群集も身体を揺らし、飛び交うレーザービームに狂喜乱舞する。それらを共感することが、彼女らのライヴの最大の魅力だ。

 個人的にハイライトと感じたのは、中盤に据えられた「Navigate」から「Cosmic Explorer」への大ががりなステージ移動と、前半に置かれてライヴの沸騰点への加速度を高めた「寄せ集メドレー」だ。

 センターのメインステージから上部にリングのデザインがなされたセットの下にあるサブステージへ3人が花道を通ってたどり着くと、バキバキのサウンドと赤をラインを基調にした映像を背景に「NIGHT FLIGHT」を披露。直接サブステージを見ても赤いラインと彼女たちのダンスとのコントラストが映えていたのだが、この光景を上部にある大型モニターで見ると、より楽曲とのシンクロ率が高まる絵面となっていた。360度観客に囲まれた中央のメインステージではなく、背面をヴィジョンに使えるこのサブステージだからこそ可能となった演出に思わず唸っていると、荒涼とした地に佇む巨大なスペースシャトルへ向かう3人の姿を映し出したヴィデオへ。その後に登場したのは、映画『スターウォーズ』の世界観を持ち込んだかのような宇宙船のセットに乗る3人。新作アルバム『COSMIC EXPLORER』のタイトル曲「Cosmic Explorer」とともに中央のメインステージを越えて“宇宙航海士”さながらにフロアを雄大に浮遊するかのように、東側にあるもう一つのサブステージへゆっくりと移動。そのサブステージ上にある電飾リングが間隔を開けながら一つずつ分かれてステージを釣鐘状に包むように連なる様子は、何だか空中に浮いたUFOが地面にいる地球人を吸い上げる様子を想起させる。すると、メインステージには四方を囲むプレートが現れ、そのプレートにCGの3人の映像がちらつくうちに、衣装チェンジを終えた“実物”の3人が登場。東側サブステージから中央のメインステージへの“瞬間移動”を約3万人の前でやってのけた。やおら始まった「Pick Me Up」で会場にはさらなる熱量とうねりが巻き起こったのは言うまでもない。

 “寄せ集メドレー”は非常にいい企画だ。彼女たちはライヴ中にも非常に丁寧なファンとの触れ合いを行なうため、MCが冗長となることがもはや定番化している。その触れ合いを楽しみにしているファンも多くいると思うが、個人的には(MCで時間をとることを否定はしないが)その時間を一曲でも多く演じて欲しいと考えるタイプゆえ、これまでのライヴのMC(「P.T.A.のコーナー」を含めて)では少々それまでの高揚が失われることもあった。だが、今回はMCを短めにとどめて、彼女らがこれまで発表してきた多くの楽曲のなかから8曲ほどセレクトした“ダイジェスト版”を組み込んできた。楽曲によってはほんの僅かな時間のパフォーマンスとなってしまったものもあるが、限られた時間の中で最大のものを見せたいという心意気が嬉しい。また、メドレー仕様のダンサブルなアレンジもオーディエンスの熱をさらに上昇気流に乗せていたと感じた瞬間だった。

 もう一つの目玉コーナーとしては“3569(すごろく)コーナー”があった。これはすごろくの要領でそれぞれ3人が10面体ダイスを振って出た目を進み、止まったマス目に示してある楽曲を“指示書”の元にパフォーマンスするというもの。日本武道館のライヴで採り入れられ、今回再び復活した企画だ。「ジェニーはご機嫌ななめ」「FAKE IT」「ワンルーム・ディスコ」「チョコレイト・ディスコ」「Spring of Life」「GLITTER」「ポリリズム」「Handy Man」「エレクトロ・ワールド」「Party Maker」の中で選ばれたのは、「Spring of Life」「ワンルーム・ディスコ」「Spring of Life」の3曲。3曲目の「Spring of Life」がダブったので、改めて選んだのが「チョコレイト・ディスコ」。だが、これまでやっていない曲があり、その曲のためにスタッフがさまざまな苦心をしたのを知っているゆえ、埋もれさせたくないとのことで、再々度「GLITTER」に変更。“〈チョコレイト・ディスコ〉はまたやる機会はいくらでもあるから、ね”と茶目っ気たっぷりに語っていたのが印象的だった。
 楽曲の繋ぎや音の入り、照明、立ち位置、マイクなど楽曲の組み合わせだけパターンがあり、非常に緊張を強いられる難易度の高い演目。そのパフォーマンスについての流れを確認する3人のコミカルなやり取りは、作品を完成させるまでの経過や仕上げなどいつもは窺えないステージの“裏側”を覗くことが出来たようにも思えて、ダンスやステージを創り上げる彼女らの日常を疑似体験出来たという意味で、愉しませながらもなかなか貴重な時間だったように思う。

 終盤は「Puppy love」から中田ヤスタカが書き下ろした彼女らのこれまでとこれからのストーリーを描いたような「STAR TRAIN」(彼女たちのドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』主題歌)で本編の演目は幕。彼女らが進むべき未来や夢を宇宙に置き換え、その宇宙の探検家=“Cosmic Explorer”として描いた壮大な一大エレクトロ・ミュージック絵巻は、モニターに映画のようなエンドロールが流れてから終わった。彼女たちの物語はこれからも続いていく、その成長や進化を見守ってほしいと語りかけているようにも思えた。



 この巨大なスペースに集った人たちの多くは、彼女たちが繰り出す見事にシンクロしたダンスと数々のスペクタクルな演出の前に圧倒的な多幸感を覚えたに違いない。決して歌唱力が群を抜いているとはいえないPerfumeが多くの支持や賛辞を得るのは、やはりライヴにおける類まれなる快哉の充溢にほかならない。

 だからこそ、言っておきたいのはその音質や音量。広大なスペースの隅々までに音を響かせようとしてか、多大な音量で高音がつぶれた感じになってしまった序盤、それを修正しようとしてか、かえって音圧が抑えられたかのような中盤(「Pick Me Up」「Cling Cling」あたりなど)など、やや不安定なサウンドが見受けられた。
 また、フロアの構造の問題も。元来、展示場の3エリアをぶち抜いて作り出した“簡易的”なライヴ・スペースゆえ、上述のサウンド面はもちろん、一部エリアが柱で見づらかったり、天井を支える剥き出しの鉄骨によってレーザーや照明など映像効果が最大限に活かされなかったりと、細かい部分だが気になる点は散見された。そして、最大のデメリットは幕張メッセという会場へのアクセス。当日は最寄り駅を走る京葉線がトラブルによって遅延を繰り返していたが、脆弱性がなかなか解消されないままでは、ライヴへ向かうモチベーションの低下にも繋がりかねない。もちろん、これは幕張メッセの問題であって彼女らの問題ではないのだが、会場へ駆けつける観客心理を考えると、あながち無視することは出来ない課題といえるだろう。

 今後2年以内にアメリカのマジソン・スクウェア・ガーデンでのライヴを達成すること。輝く星のようなその夢へに向かう列車=“STAR TRAIN”に乗って走り出そうとするPerfumeが、そのスタートライン(START“RAIN(=LINE)”)を踏みしめながら多くのオーディエンスが放つ声援やグルーヴによって後押しされた2時間半。とめどない成長が導き出す次なる進化を期待しながら、いま一度アルバム『COSMIC EXPLORER』を愉しんでみたいと思う。


◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 STORY
02 FLASH
03 Dream Fighter
04 Next Stage with YOU
05 ~寄せ集メドレー~
 Relax in the City
 透明人間
 Spending all my time
 不自然なガール
 Twinkle Snow Powdery Snow
 コンピューターシティ
 イミテーションワールド
 Sweet Refrain
06 TOKIMEKI LIGHTS
07 Baby Face
(Movie Interlude)
08 NIGHT FLIGHT
09 Navigate
10 Cosmic Explorer
11 Pick Me Up
12 Cling Cling
13 Miracle Worker
14 ~Corner of P.T.A.~
 A Phrase of“マツケンサンバ”, etc.
15 ~3569 Section~
 Spring of Life
 ワンルーム・ディスコ
 GLITTER
16 Puppy love
17 STAR TRAIN
18 OUTRO(BGM by“Cosmic Explorer (Instrumental)”)


※ 反転推奨

<MEMBER>
Perfume are:
A-chan(Ayaka Nishiwaki/西脇綾香)
Kashiyuka(Yuka Kashino/樫野有香)
Nocchi(Ayano Omoto/大本彩乃)

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