*** june typhoon tokyo ***

ANGELA JOHNSON@BLUENOTE TOKYO

■ ANGELA JOHNSON with special guest CHRISTIAN URICH from TORTURED SOUL



 アンジェラ・ジョンソンがスペシャル・ゲストにクーリーズ・ホット・ボックスのクリスチャン・ユーリックを迎えての、<BROOKLYN PARLOR presents“GOOD MUSIC PARLOR”LIVE at BLUE NOTE TOKYO>公演、東京は3日目最終日の2ndショウを観賞。現在はトーチャード・ソウルのして活躍する、かつてのクーリーズ・ホット・ボックスの仲間、クリスチャン・ユーリックとのステージでの再会は、“クーリーズ”ミニ復活祭としての意味もあったか。
 アンジェラ・ジョンソンは、それこそ2002年にクーリーズ・ホットボックスとしてクリスチャンとともに来日しているが、それ以降は、アンジェラ単独名義で数回来日。2008年にはコットンクラブ(記事→「Angela Johnson@COTTON CLUB」)、2010年にはダリエンをゲストに呼んでコットンクラブで公演(記事→「Angela Johnson & Darien@COTTON CLUB」)。また、トーチャード・ソウルの2008年12月のブルーノート公演にはゲストとしてアンジェラ・ジョンソンが参加(記事→「TORTURED SOUL@BLUENOTE TOKYO」)している。
 今回もまたギター・レス編制のバンドだが、ドラムのラス・クリーヴランドとバック・ヴォーカルのリサラ・ベイティは、2010年の公演でもメンバーだった。

 開演前はステージ右横で、パリ生まれの東京育ち、NYや東京を拠点に活躍するDJ、ALEX from TOKYOが心地良い音楽をフロアに注入して、アンジェラたちの登場までによい雰囲気を作り出していた。

 ステージは、左奥からキーボードのエリック・パーカー、中央奥がドラムのラス・クリーヴランド、その右にベースのラショーン・トーマス。ステージ左前にバック・ヴォーカルのリサラ・ベイティ、その右にはアンジェラが時折奏でるキーボードが据えてあり、右前には途中で登場するクリスチャン・ユーリックのドラム・セットが設置されていた。

 ステージはバンド・メンバーが先に登場してから、リサラ・ベイティが呼び込む形でアンジェラ・ジョンソンが姿を表わした。赤のジャケットにシルバーのインナー、パンツは白という鮮やかないでたちだ。ヘアスタイルは『イッツ・パーソナル』のジャケットのような短めのドレッド。観客に笑顔をふりまいてから早速「ビー・マイセルフ」から幕を開けた。
 だが、低音は問題ないのだが、どうも高音の声量がない。オリジナルのメロディ・ラインとは異なるフェイクにして、メイン・コーラスはバック・ヴォーカルのリサラが担当する形に。しばらく聴いていると、アンジェラの声が枯れているようで、辛そうだった。これまでのライヴでの声とは全く違っていたのは、1日2ステージを3日間連続というハードなスケジュールが影響したか。ブルーノートがHPで発表していた初日のセット・リストと比べると、「リメンバー・ザ・タイム」のインストゥルメンタル・ヴァージョンやリサラの「テル・ミー・サムシン・グッド」が加わっていたり、本編ラストの「ベター」がなくなっていたのは、アンジェラの声の調子を考えてのセット・リスト変更だったのかもしれない。

 それでも、バンド・メンバーが、特にバック・ヴォーカルのリサラがアンジェラの不調を感じさせないような活躍でステージは、しっかりと熱を保っていく。「リメンバー・ザ・タイム」のインストでも、キーボードのエリック・パーカーの速弾きやベースのラショーン・トーマスの分厚くファンキーな音が、しっかりと心地良いムードを創っていく。この楽曲の前に「ニューヨークのスタイルを味わいたい?」との前フリがあったのだが、さすがにアンジェラのライヴを支えるメンバーたち。都会的なスタイリッシュなグルーヴを生み出して盛り上げていく。
 そこへ、クリスチャン・ユーリックが登場。おなじみの白のシャツに細いネクタイでおもむろにドラム・セットに腰掛けると、マーチング的なリズムからクーリーズ・ホット・ボックスの世界へと導いていく。トーチャード・ソウルの「フォーリン・ラヴ」ではクリスチャンが(顔に似合わず!?)甘く繊細なヴォーカルを披露、クーリーズ復活のメイン・ディッシュとなる「メイク・ミー・ハッピー」ではアンジェラのパートをリサラがしっかりとサポート。アンジェラはバック・ヴォーカルに引くだけでなくコール&レスポンスを仕掛けるなど熱度を落とさせない大人な対応で、クーリーズ復活に花を添えた。
 クリスチャンはスキンヘッドなので、頭部に汗を掻き出すと汗が髪で止まることなくそのまま瞼に落ちやすくなる。そうすると汗が目に入らないように瞼をパチクリさせるのだが、この日も目をパチクリさせながら、ひたむきにドラミングをしていた。実は、これはクリスチャンの演奏が熱を帯びている証拠でもあって、このパチクリ加減が増えれば増えるほど演奏にも力が入っているということなのだ。

 クリスチャンが一旦ステージを降りると、リサラがその興奮を受け取り、チャカ・カーンの「テル・ミー・サムシン・グッド」を熱唱。それまでの美しい声から一変してぶっとく唸るような声で観客を煽る。これには観客もやんやの喝采。かと思えば、アンジェラがリサラをフィーチャーした楽曲「ウォーキン」で艶やかな声色で魅惑的な夜の時間を生み出すなど、この人の引き出しは奥深い。その声を体感しやすいような強弱やメリハリを考えた過不足ないバンド・サウンドも効いていた。

 アンコール後には、マイケル・ジャクソンの「スタート・サムシング」を。アンジェラは声の不調をとり返そうとばかりに、それまで履いていたヒールを脱いで黒人らしい独特のリズミカルなダンスで会場を盛り立てる。それに観客はオール・スタンディングで応える。それぞれのバンド・ソロ・パートもあったが、ここで最後に盛り上げたのがドラムのラス・クリーヴランド。力感溢れるドラム捌きで喚声を呼ぶ。アンジェラも“ママセ、ママサ、ママクサ”のコール&レスポンスを促し、東京公演ラスト・ショウを締めくくるに相応しいヴォルテージで幕を閉じた。

 アンジェラの声の不調は残念だったが、それでも洒脱な空間と身体を委ねるに叶ったグルーヴを演出してくれた。この経験を糧にして、次回は万全のコンディションで、また美しい、自在に跳ねるようなヴォーカルを聴かせてもらいたいものだ。


◇◇◇

<SET LIST>
01 Be Myself
02 Days
03 They Don't Know
04 Hurts Like Hell
05 Remember The Time (Inst.ver)(Original by Michael Jackson)
06 Wasted Time (with Christian Urich)(*1)
07 Over & Over (with Christian Urich)(*1)
08 Friend Of Mine (with Christian Urich)(*1)
09 Fall In Love (with Christian Urich)(*2)
10 Make Me Happy (with Christian Urich)(*1)
11 Tell Me Something Good (Lisala Beatty)(Original by Rufus and Chaka Khan)
12 Walkin' (Lisala Beatty)
13 Wait 4 U
≪ENCORE≫
14 Wanna Be Startin' Something (with Christian Urich)(Original by Michael Jackson)

(*1)=(Original by Cooly's Hot Box)
(*2)=(Original by Tortured Soul)


<MEMBER>
Angela Johnson(vo)

Christian Urich(ds,vo)
Eric Parker(key)
Lashawn Thomas(b)
Las Cleveland(ds)
Lisala Beatty(back vo)

PRE STAGE:
ALEX from TOKYO (DJ)

◇◇◇

リサラをヴォーカルに迎えた「ウォーキン」
Angela Johnson - Walkin' feat. Lisala

今回披露されなかった「ベター」
Angela Johnson - Better 


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