
2008年最後のライヴはトーチャード・ソウル、“TORTURED SOUL with special guest ANGELA JOHNSON”をブルーノートで観賞してきた。25日のインコグニートがちょっと出遅れて行ったこともあり、受付開始の30分以上前に会場に行ったら、ほとんど並んでいる人がおらず、結果、最前列の席で観賞することに。クリスチャン・ユーリックとの距離、僅か1メートルである。それゆえ、クリスチャンが靴を脱いで(黒の靴下姿で)ドラミングしているのも目撃出来た。(笑)
トーチャード・ソウルはドラム兼ヴォーカルのジョン・クリスチャン・ユーリックを中心としたプロジェクトで、キーボードのイーサン・ホワイトとベースのジェイソン・クライヴロフを擁したダンス・ミュージック・ユニットだ。打ち込みやサンプリングなど電子機械に頼ることがほとんどだと思われるクラブ系アーティストにおいて、生バンド・スタイルでしっかりとサウンドを伝えられる彼らの強みは、数多く経験してきている“ライヴ力”だ。
まず、クリスチャンだが、ほぼメドレーかとも思われるくらいに曲間がほとんどないセット・リストながらも、ずっとスティックを叩き続けるパワフルさに感服。そのスキンヘッドにシェイプされた顔立ちがそう思わせるのかもしれないが、前をじっと凝視したり瞑想する僧のように目を閉じて寡黙に演奏しているかと思えば、額から汗を滴り落としながら多彩な表情で力強いビートを叩き続けたりする姿は、“生”を感じさせる躍動感に溢れている。キーボードのイーサンはクレヴァーな出で立ちで、ジャズ・ピアノ経験があると思しき雰囲気あるタッチを展開。前に出過ぎずそうでいてツボを押さえた印象をしっかりと残す、存在感ある演奏が魅力だ。そして、ベースのジェイソンだが、このベースがかなりファンキー。よく響く弾力の強いボトムを繰り出していて、実は彼の存在がこのユニットをファンキーでソウルフルなものへとさせている一つの大きな要素になっているのではないかと感じた。

アンジェラが加わり、クーリーズ・ホット・ボックスのナンバー「ドント・ビー・アフレイド」を披露すると、それまで比較的クールなビートで展開されてきた雰囲気にあっという間にパッと鮮やかさが増していく。特に目視でやりとりを頻繁にすることもなく入り込めるのは、クーリーズ・ホット・ボックスで培われてきたマッチングの良さに他ならない。タンバリンをリズミカルに鳴らしながら、“さぁ、今夜はダンス・パーティよ!”とアンジェラが言うと、待ってましたとばかりに立ち上がった。最前列の自分は、調子に乗って左右や後ろを向いて観客に“みんな立とうぜ”とジェスチャーでアピールしたのだが、その姿を見てクリスチャンが笑ってくれたのは何よりだった。(笑)
本編で一番の盛り上がりを見せた「スペシャル・レディ」ではあったが、アンジェラがステージ・アウト後に続けて演奏された「エピック」ではややディープかつスローに落とし込めてしまったため、立っていた多くのオーディエンスを座らせてしまったことは、ちょっと残念だったか。自分はそのムーディでディープなサウンドにもスタンディングで体を委ねていたのだが、本編ラストの「フォール・イン・ラヴ」ではコール&レスポンスもあり、再び多くが立ち上がりダンスしていただけに、クライマックスへの構成を日本人様に多少アレンジしても良かったのではとは感じた。

最後にクリスチャンが合掌しながら、“アリガトウゴザイマシタ、See you soon”と告げてステージ・アウト。欲を言えば、もう少し長い尺のセット・リストにしてもらって、是非実現してもらいたいものだ。
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<SET LIST>
01 ENJOY IT NOW
02 HOW'S YOUR LIFE
03 TIME TO MAKE UP YOUR MIND
04 DON'T BE AFRAID (with ANGELA JOHNSON)
05 CAN'T STOP (with ANGELA JOHNSON)
06 DID YOU MISS ME (with ANGELA JOHNSON)
07 SPECIAL LADY (with ANGELA JOHNSON)
08 EPIC
09 FALL IN LOVE
≪ENCORE≫
10 MAKE ME HAPPY
<MEMBER>
Christian Urich (Ds/Vo)
Jason Kriveloff (B/Back Vo)
Ethan White (Key/Back Vo)
Mark Tewarson (G)
Angela Johnson (Vo)