*** june typhoon tokyo ***

近況注意報 0214 音楽篇


 近況(注意報)は忘れた頃にやってくる。

 きまぐれオレンジロードにもほどがある気まぐれさに独断と偏見がプラスされているマイ・フェイヴァリットな音楽セレクト・エントリー「近況注意報 音楽篇」シリーズ。昨年はそれまで4年くらいご無沙汰ながら、コロナ禍に乗じてシレっと復活させ、第3弾ほどエントリーしたのだが、せっかく音楽を聴くクセが再びついてきたので、2021年も継続させていこうかと思う次第。といいながら、第1弾のみで続かず……ということは往々にしてあるのだが、とにもかくにも、まずは一歩を踏み出さないと、ということで、最近聴いたなかで気になった楽曲を10タイトルばかり列挙していこうと思う。

 なお、列挙した10タイトルは、自分が最近聴いた(知った)というだけで、必ずしも2021年の最新タイトルを集めたという訳ではないので、そこのところはよろしくメカドック。

 それでは、気楽に、どんと見据えて!(Don' miss it!)

◇◇◇

aimi / The Wave feat. Furui Riho
Amaria / Roses
Asiahn / My World
Chloe x Halle / Sending My Love
India Shawn - Movin' On(feat. Anderson .Paak)
Kara Marni / Trippin
Lucky Daye / Be Thankful For What You've Got(feat. Big Freedia, BJRNCK)
Ruti / My Sunrise
S. Fidelity / Mixed Signals feat. NDO 
vbnd / Slowly Starting to Take Form(feat. Katie Tupper, The Soulmate Collective)

◇◇◇

■ aimi / The Wave feat. Furui Riho



 aimiは、実は前回の「近況注意報 0619 音楽篇」で「Sorry」を紹介していたので、aimiの出自についてはそちらに譲るが、2021年にまた佳曲をリリースしてきた。1st EP『Water Me』に引き続き、日本のR&Bやヒップホップ・クリエイターの良心的なShingo.Sのプロデュースだが、本曲では北海道・札幌市出身のFurui Riho(フルイリホ)をフィーチャー。Furui RihoはLittle Glee Monsterらに楽曲提供をしていることでも知られ、ゴスペルをルーツに持つシンガー・ソングライター。ゴスペルを背景にしているとはいっても、アンニュイなポップ感も持ち合わせていて、aimiの微かにやさぐれ感あるネオソウルマナーのヴォーカルとも好相性。
 千葉県成田市出身のaimiが、“I was born and raised in NRT”と言うくだりは、なかなかクール。これまで地元のことをレペゼン~とか、横浜なら045などで表現するリリックはあったが、地元を空港コードで言えるのは強みか。そのうち首都圏出身のアーティストたちがこぞって“エリアHND”とか言い出すかも。という冗談はさておき、日本のR&Bシーンから抜け出てきてもらいたい存在といえる。


■ Amaria / Roses



 アマリアことアマリア・マギー(Amaria Mcgee)は、米・フロリダ州タンパを拠点とするR&B/ソウル歌手で、写真や動画撮影、編集も行なうクリエイティヴなアーティスト。2020年に「Morning」「Wating」「Twilight」「Moon」といったシングルを出していて、2021年に発表したのがこの「ローゼズ」となる。オールドスクールというかヴィンテージ・テイストのなかで、儚さを携えた艶のあるヴォーカルを披露していて、なかなかの好物。アルバムをどのような構成で創り上げるのか、これから注視したいところ。


■ Asiahn / My World



 米・ニュージャージー州パターソン生まれ、ノースカロライナ州シャーロット育ち、これまでにジェニファー・ロペスやピットブル、ドレイク、リル・ウェイン、ドクター・ドレー、マイリー・サイラスなどのソングライティングを務めた、“アージーヤン(Ahh-zee-yahn)”と発音するシンガー・ソングライター。アジアになぞらえたようなアーティスト名は、詳細は分からないが、マルチ・ハイフェネイト(複数のルーツを持つ外国人)とのことなので、南・東南アジア系がルーツにあるのかもしれない。
 2017年に『ラヴ・トレイン』(LOVE TRAIN)、2019年に『ラヴ・トレイン2』とアルバム2枚を出し、2021年のEP『ジ・インタールード』(THE INTERLUDE)の冒頭に収録されているのが、この「マイ・ワールド」。ミュージック・ヴィデオは酩酊を呼びそうな映像だが、スウィートでエレガントなヴォーカルとともに艶やかさを醸し出している。


■ Chloe x Halle / Sending My Love



 クロイ&ハリーは、米・ジョージア州アトランタ出身のクロイ・エリザベス・ベイリーとハリー・リン・ベイリーのベイリー姉妹によるデュオで、ビヨンセのレーベルと契約。2018年のデビュー・アルバム『ザ・キッズ・アー・オールライト』(The Kids Are Alright)がグラミー賞2部門ノミネート、2020年の『アンゴッドリー・アワー』(Ungodly Hour)がグラミー賞3部門ノミネートということで、ますます期待を抱かせる存在に。
 このデュオが2021年に発表したのが、ルネー・ヌーブルとジーン・ノリスによるR&B/ヒップホップソウル・デュオ、ジャネイ(Zhane)の「センディング・マイ・ラヴ」のカヴァー。ジャネイといえば、1993年に「Hey Mr. DJ」という全米6位のダンス・ヒットがあるのだが、そちらを選ばず、「グルーヴ・サング」(Groove Thang)でもなく、メロウなスムース・ミディアムなこの曲をチョイスしたところが、デュオという性質を活かしていて、特段恣意的にオリジナリティを発露させようとしてなくとも、美味。グラミー・ノミニーズだから、そのあたりのクオリティは当然といえば当然か。


■ India Shawn - Movin' On(feat. Anderson .Paak)



 こちらは昨夏2020年のリリースとなる、米・ロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター、インディア・ショーンの楽曲。クリス・ブラウン、エル・デバージ、モニカらへのソングライティングをしながら、2012年に『オリジン』(ORIGIN)でアルバム・デビュー。2015年に『アウター・リミッツ』(Outer Limits)を出した後は、アルバムはご無沙汰のようだが、本曲「ムーヴィン・オン」でも客演しているアンダーソン・パークのサポートや、アンダーソン・パークのバックバンドのザ・フリー・ナショナルズにヴォーカル参加するなど実力派として存在感を発揮している模様。
 2020年に「CALI LOVE」や、エラ・メイらの楽曲を手掛けたヴァーレン・ウェイド(Varren Wade)と制作したブラック(6LACK)客演の「NOT TOO DEEP」とともにリリースした本曲では、ダダッ、ダダッというキメフレーズのリフレインをアクセントに、軽快なヒップホップソウルを展開。スタイリッシュなヴォーカルもノリを加速させていて秀抜。


■ Kara Marni / Trippin



 カラ・マーニは英・ロンドン出身で、高校時代にミニ・リパートンの「ラヴィン・ユー」のカヴァー動画をYouTubeに投稿したところ、マネージャーの目に留まったという。2017年頃より始動し、当初はアンジー・ストーン「ウィッシュ・アイ・ディドゥント・ミス・ユー」(Wish I Didn't Miss You)などのカヴァーを出していたが、2018年に『ラヴ・ジャスト・エイント・イナフ』(Love Just Ain't Enough)、2019年に『ノー・ロジック』(No Logic)と2枚のEPをリリース。ダイアナ・ロスやチャカ・カーンなどの70年代ソウルとR&Bに大きな影響を受け、コンテンポラリーなエレクトロニックを融合させた作風が特色。リタ・オラやイギー・アゼリアらを手掛けるジ・インヴィジブル・マンや、アレッシア・カーラやジェニファー・ロペス作品を制作するセバスチャン・コール、ビヨンセ、リアーナ、フランク・オーシャン作品に名を連ねるシェイ・テイラーとも仕事をしている。
 で、2021年にリリースしたこの「トリッピン」だが、聴けば明白で、「トリッピン」というタイトルを冠したエイメリー「1シング」(1 Thing)のリメイク・カヴァーだ。エイメリーは原曲でダンサブルかつアグレッシヴなノリを披露しているが、ミュージック・ヴィデオにも描かれているように、カラ・マーニ版はスペーシーなアレンジを施しながら、バタースコッチのような優雅な甘さと滑らかさをもったヴォーカルで、フューチャリスティックなダンスソウルポップに仕立てている。美味。


■ Lucky Daye / Be Thankful For What You've Got(feat. Big Freedia, BJRNCK)



 ラッキー・デイことデヴィッド・デブランドン・ブラウンは1985年生まれ、米・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身。人気オーディション番組『アメリカン・アイドル』出場後、ソングライターやバッキングヴォーカルとして活動。キース・スウェット、ボーイズ・II・メン、エラ・メイ、トレイ・ソングス、メアリー・J.ブライジらの作品を担当し、2018年にデビュー。翌年のデビュー・アルバム『ペインテッド』(Painted)でグラミー賞最優秀R&Bアルバム賞にノミネートされたほか、グラミー賞計4部門にノミネートされ、一躍時の人に。
 2018年デビューといっても現在35歳と遅咲きだが、それゆえ醸成の度合いが高い、コクの深いヴォーカルワークが魅力(ちょっぴりナヨ系成分もあって、女性陣ウケも高いと推測)。
 「ビー・サンクフル・フォー・ホワット・ユーヴ・ゴット」は同郷のラッパーのビッグ・フリーディアと、シカゴのATSレコードとLAリードの〈ヒットコ〉と契約したロサンゼルスを拠点とする新鋭シンガー・ソングライター/モデルのBJRNCKを迎えて、軽快なソウル・グルーヴを展開。ビッグ・フリーディアの陽気でファットな合いの手が耳を惹くが、ほんのりハスキーなBJRNCKと微かなナヨ系ヴォーカルとの相性は抜群。


■ Ruti / My Sunrise



 「マイ・サンライズ」は2020年にリリースした「クローサー・トゥ・ユー」(Closer to You)に続く2021年のシングルで、歌うのは1999年生まれ、英・エセックス・サウスエンド=オン=シー出身のシンガー・ソングライター、ルティ(Ruti Olajugbagbe)。2018年に人気オーディション番組『ザ・ヴォイス』のシーズン7で優勝した後、2019年にデビューEP『レーシング・カーズ』(Racing Cars)がチャートのトップとなるも、トントン拍子とはならなかった模様。
 「マイ・サンライズ」は、レオナ・ルイスやビヨンセ、シャリースなどを手掛けるウェイン・ウィルキンスと制作したトラックの上を、人懐っこさを感じるヴォーカルと穏やかだがどこか哀愁が漂うメロディラインが進むネオソウルの薫りも含んだミディアム・チューン。オーガニックで牧歌的な彩りもあるが、ノスタルジーというか翳りが強く感じるのは、UKらしさなのかも。


■ S. Fidelity / Mixed Signals feat. NDO



 S.フィデリティはスイス・ザンクトガレン出身のトラックメイカー/プロデューサーで、独・ベルリンや英・ロンドンを拠点に活動を展開。2014年に『ファイヴ・トゥ・ナイン』(Five To Nine)、2017年にアンビエント・ヒップホップ/ネオソウル作『ア・セーフ・プレイス・トゥ・ビー・ネイキッド』(A Safe Place To Be Naked)を放ち、2018年には自身の名を“S.誠実“と漢字でジャケット・アートワークに取り込んだMC/DJ/プロデューサーのガルヴ(Galv)との共作『Shigeo』、2020年に盟友のベルリンのビートメイカー、ブルーステップとの共同プロジェクト、アンダーグラウンド・キャノピー(Underground Canopy)のデビュー作をリリース。ジャズやディスコ、エレクトロ、アンビエントなどを包含しながら、クラシカルかつモダンなビートメイキングを駆使した、派手やかというよりムードや中毒性のある作風が特色か。
 もちろんジェントルでクールな楽曲もいいのだが、それ以上に個人的には客演したNDO(en-dee-yo)に耳を寄せてしまう。2018年の「ユー・ノウ・ベッタ」(You Know Betta)、2019年のデビューEP『IDC』、2020年の「ユー・ノウ・ベッタ」をプロデュースした盟友的なプロデューサーともいえるラガウド(Rugawd)を迎えた「LA」といった楽曲を発表している米・フロリダのシンガー・ソングライター/DJだ。ソフィスティケートかつ可憐さを携えたヴォーカルは、サイ・スミスあたりを彷彿とさせていて、客演としての使い勝手も良さそうな、インテリジェンスも感じさせる。
 「Mixed Signals」は夜の気配を漂わせた小粋で甘美なムードとNDOのスウィートな声質により、リラクシンかつ芳醇な味わいをもたらしている。シックなスムース・メロウだ。


■ vbnd / Slowly Starting to Take Form(feat. Katie Tupper, The Soulmate Collective)



 「スローリー・スターティング・トゥ・テイク・フォーム」は、カナダ・サスカチュワン州サスカトゥーン出身のベーシスト/DJ/プロデューサーで、2021年に25歳になるvbndことデヴォン・ガンによる、ミニマルなビートと温かみあるサウンドで進行するソウル・ポップ。ガンは2019年までにフル・アルバム2枚とEP 3枚をリリース。2021年4月リリースのアルバム『スカム・ファンク』(Scum Funk)に「スローリー・スターティング・トゥ・テイク・フォーム」が収録される。
 客演のケイティ・タッパーは同郷の女性シンガー・ソングライターで、ガンの2018年の2ndアルバム『ドーター・オブ・ザ・サン』(Daughter of the Sun)のうち、3曲で作詞とヴォーカルで参加している。ザ・ソウルメイト・コレクティヴは、ガンが創設したバンド・プロジェクトで、ガンとタッパーのほか、ドラム、キーボード、ギター、サックスなどが加わるとのこと。安らぎや落ち着きが伝わるハートウォームなポップゆえ、ソウルメイトという名から推測されるようなネオソウルやファンクといった要素は多くはないが、ゆったりと身体を委ねられるような作風は、スルメ的な趣きを孕んでいる。

◇◇◇

 ひとまず、2021年の第1弾として紹介してみたが、実際詳細が分からないアーティストが多く、もしかしたら情報が間違っている可能性があるかもしれない(何せ英語が得意ではないのにほぼ英語のページをあたってるので)。その際はご容赦を。これらの楽曲が音楽ライフのひとときに加わることになればハッピーライフ、ハッピーホーム~DEATH。


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