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オリバー ストーン監督の日本への助言 (WSJ)

2013-09-05 | 政治経済


まずは隣国に謝罪を
 ―オリバー・ストーン氏の日本へのアドバイス

「ウォール・ストリート」「プラトーン」などの作品で知られる米国の社会派映画監督オリバー・ストーン氏は、何かと論議を巻き起こす発言でも有名だ。広島・長崎への原爆投下は必要なかったとして米国を非難したかと思うと、今度は中国などアジアの近隣諸国に対する日本の対応に批判的な見解を示した。

都内の日本外国特派員協会で12日に講演した際、日本は戦時中の行為についてもっとはっきりと謝罪する必要があり、また中国や北朝鮮といった隣国がもたらす安全保障上の脅威に対処する方策として軍事力に頼ることは慎むべきだと語った。

日本の歴代指導者はこれまで、日本がアジア諸国に及ぼした肉体的および精神的な被害に対して深い反省と遺憾の意を表明しているが、その一方で頻繁に東京の靖国神社の参拝を行ってきた。そのため、平和憲法の改正を巡る国内議論の高まりとともに、近隣国の間では日本が繰り返してきた声明の意図を懐疑的に見る動きも出てきている。

ストーン氏は講演の中で、「(戦時中の)中国での行為やそこで殺害した中国人について、謝罪することから始めるべきだ」と述べ、

日本がもっと率直に謝罪すれば、世界中から大きく脚光を浴びるだろうという見方を披露。さらに、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる中国との対立がこう着状態にある中で、「日本の長期的な国益は中国と非常に強く結びついている」と指摘、「中国を敵国と捉えてはいけない。違った視点から中国を見ることを始めたほうがよい」と日中関係をもっと広い目で見るべきだと語った。
 
そして中国と対立する日本については、「ケンカを始めておきながら、その収拾を兄に頼るやんちゃ坊主」のようだとも表現した。もちろん、兄というのは日本に対して安全保障上の義務のある米国を指している。

とにかく日本は平和的なやり方で紛争を解決する上で指導力を発揮すべきだというのがストーン氏の主張だ。「日本のビジョンを示しながら太平洋地域の紛争を解決し、より平和的な世界の構築において主役を演じてほしい」と、平和憲法をもつ日本に注文した。
 

権力への疑心が強いストーン氏は政治権力には抑制と均衡が必要だと信じており、これが同氏の観念の土台となっている。

そのため、国家安全保障上の極秘文書を暴露したとして訴追された米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者の逃亡事件については、

「中国が彼を逮捕しなかったのは喜ばしいことだ。
少なくとも、中国にはこのように(米国に)立ちはだかるだけの度胸がある」

と米国に容疑者の身柄を引き渡さなかった中国を称賛さえした。
 

ストーン氏は、自ら制作したドキュメンタリー作品「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史(原題:The Untold History of the United States)」がNHKで放映されたことに合わせて来日した。この作品は20世紀における米国史を通説とは違った角度から検証したもので、広島・長崎への原爆投下も取り上げられている。

作品を共同制作した米アメリカン大学の歴史学教授、ピーター・カズニック氏は、日本の被爆者や歴史学者、ジャーナリストに会えたことについて「われわれにとって学習体験となった」と語った。
 
また作品では、原爆投下は戦争を終結させるために必要だったという長年の定説は間違っており、ソ連の参戦なども日本の全面降伏を促した強力な要因だったとの主張が展開されている。

カズニック氏は「詳しく検証していけばいくほど、われわれにとって厄介な問題であることが分かってきた。そして、日本だけでなく米国や世界にとっても、日本がその過去について正面から取り組んでいくことがいかに重要であるかを実感するようになった」と述べ、

日本と米国が両国の歴史全てについて共謀してうそをついてきたと、過去に対する両国の姿勢に批判的な見解を示した。

記者: Mitsuru Obe
原文(英語):Oliver Stone’s Advice to Japan: Apologize

(WSJより引用)



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