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直壇寮@Net

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【対照表】順逆洒水

2006-11-12 00:04:01 | 『仏祖正伝菩薩戒作法』
〈 『行持規範』 〉

次に教授師は東より、引請師は西より壇前に至って問訊(合掌低頭)する。戒師は酒水器を香に熏じ、自頂の法性水を移すこと三度の後、教授師、次に引請師に渡す。二師は洒水器を受け南面して戒弟に向かい、中央、右、左にそれぞれ三度酒ぎ、それより東西に分かれ酒水しつつ、八尺間の中央に至る。二師北面して酒水すること三度し、酒水器を取り換え相揖して徐ろに酒水しながら往路を復る(酒水器を取り換えぬ法もある)。
戒壇の前方の中央に復って南面して酒水することまた、三度し、北面して酒水器を戒師に返す。順逆酒水の間、戒師は微音に五十七仏の尊号を唱える。酒水終わって一同三拝。

〈 『菩薩戒作法』 〉

次灑浄。〈 教授師勤之。〉
受者九拝訖時、和尚収合掌黙然而坐。唱偈亦止。教授師、受者礼拝之間、近交椅立見受者之拝、謂拝数失不等也。威儀亦指示。教授見受者之礼拝罷、先到灑水之処、向灑水問訊。
次仰左掌而安灑水器、右手把松枝、而向順灑水之路、還到発灑水之処。謂棹之東北辺也。転身向逆灑水之処、左転身而安灑水器。松枝之柄、向和尚之方。教授置灑水器了、右転身向交椅之坐歩到、右転身問訊、著交椅之坐、不収脚。灑水欲終之間、和尚予合掌黙誦七仏宝号、并迦葉・阿難・商那和修・優婆毱多等宝号、及菩提達磨尊者等六代之尊号、青原・石頭・薬山・雲巌・洞山等宝号。但我嗣法之先師尊号三唱。然後把松枝而順旋転器水三反、以右頭指大指屈、以把松枝之本端、無名指進之。先灑自頂三反、次灑受者三反。次灑右辺三反報答四恩、次灑左辺三反利潤一切衆生也。
次内松枝之柄於水器之内。

〈 備   忘 〉

蓮華台」に関する考察でも触れましたが、ここでの「受者の九拝し訖る時、和尚は合掌を収め、黙然として坐す。唱偈もまた止む」という部分は、「我れ今、盧舎那、方に蓮華台に坐す。周匝せる千華上に、復た千の釈迦を現ず …(中略)…… 灑水を発するの始に至って、合掌を収む」という部分と連動している事を確認しておきたいと思います。

つまり、ここで言う「唱偈」とは、既述した「我れ今、盧舎那、方に蓮華台に坐す。周匝せる千華上に、復た千の釈迦を現ず」という偈を指すもので、戒師は蓮華座に結跏趺坐してから受者の九拝が終わるまでこの偈を唱える事が明記されております。

現行授戒会の流れで言えば、戒弟入道場(遶匝)から蓮華台・四衆焼香・加行位復帰後の四衆三拝(『菩薩戒作法』では九拝)まで戒師は「我今盧舎那…」を唱える事となりましょう。

もちろん戒師の家風により異なる儀軌も出てきますが、『菩薩戒作法』に明記がある事なので参考までに触れておきたいと思います。

ここではまず「次に、灑浄。〈 教授師が之を勤む。〉」と示されますが、現行授戒会で順逆洒水を二師で勤める儀軌なども、ややもするとこの「教授師が之を勤む」という部分の記述に拠るものと推測されます(実際の授戒会では引請師もこれに加わり二師となる)。

『伝法室内密示聞記』(面山瑞方著)における「洒水口訣」では、洒水を教授師ではなく侍者が勤める例もあるらしいのですが、ここで重要な事は教授師(もしくは侍者)らの順逆洒水の後に戒師の洒水の儀が行われる点であります。

『行持軌範』では洒水に引請師も加わるため、さらに詳細なる進退の説明が施されておりますが、一つ注目しておきたい事は、二師による順逆洒水の前に「戒師は酒水器を香に熏じ、自頂の法性水を移すこと三度」と明記されている点であります。

つまりそれは、二師による順逆洒水の前に戒師の洒水が行われる事を意味し、その点のみが『菩薩戒作法』とは異なる点として挙げられます。

些細な事でありましょうが、両者(『菩薩戒作法』・『行持規範』)の比較検証が本企画の主題でもあるので指摘だけしておきたいと思います。

次の「然して後、松枝を把って順に器の水を旋転すること三反、右の頭指と大指とを屈し、もって松枝の本端を把り、無名指もて之を進む。先ず自らの頂に灑ぐこと三反、次に受者に灑ぐこと三反す。次に右辺に灑ぐこと三反して、四恩に報答し、次に左辺に灑ぐこと三反して、一切の衆生を利潤す。次に松枝の柄を水器の内にいる。」とはまさに戒師による洒水の儀の説明であり、「四恩に報答」「一切の衆生を利潤」という言葉まで用いて仔細なる洒水の意義を説明しています。

『行持規範』にある「灌頂終わって一同三拝。 …(中略)…… 右、左に酒水すること三度し」とあるのも、この「四恩に報答」「一切の衆生を利潤」の洒水の儀に当たる部分かと思われます。

また「次に受者に灑ぐこと三反す」という記述も確認できることから、この部分が順逆洒水罷の灌頂の起源になる部分かとも思われます。



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