
2004年の小説新人大賞で4冠を達成した日日日(「あきら」と読みます)のデビュー作。
うーむ天才と呼ばれているだけあってかなり良い作品ですな。読者を物語に引き込ませるだけの文章力が新人とは思えないほど備わっています。
序盤のあらすじはこんな感じ。
妖怪や幽霊が好きなちーちゃんが幼馴染の主人公と共に学園の七不思議の一つを調べることになって・・・
上の文だけを読むとよくある学園ホラーものかと思うでしょうが一味違います。確かにジャンルはホラーに分類されるでしょうがこの作品の本質はそこではありません。私が思うに、
「日常と非日常の表裏一体性」
ではないかと。家族関係や友人との繋がり、学園生活などのいわゆる「そこに在るのが当然だと信じて疑わないもの」は実は非常に微妙なバランスの上に成り立っています。ゆえに些細なきっかけで崩壊すると。そういった綱渡り的な世界をこの作品は上手く描ききっています。
読後にいろいろと考えさせること請け合いのこの作品。お薦めです。