バッシュー、パッシュー、規則正しくリズムをきざむ音。
私は、その音に深い眠りから目をさました。何の音だろう? ここは何処だ?
ぼんやりと、白い天井を眺めながら遠い記憶をたどっていた。
その時「あ、気がついたね!」主治医が話しかけてきた。
私は「あれ?先生どうしたんですか?」しかし、それは声にはならず金魚のように口をパクパクさせるだけでだった。
間もなくして、一晩中寝ないで待っていた家内が、主治医に呼ばれて入ってきた。
心配そうに私の顔を覗き込みながら、「お父さん、大丈夫? 昨日は大変だったのよ」
昨日??
私が不思議そうな顔をすると、「覚えてないの? 手術室から帰ってから間もなくして、息が苦しい、苦しいって騒ぎ出したんだけど、口をパクパクするだけで言っている事が分からなくて大変だったのよ!」
そこまで聞いたとき、私は悪夢のような出来事の全てを思い出していた。
あの時、医師や看護師がかけつけ、私のの名前を呼びかける声を遠くに聞きながら、余りの苦しさに意識を失ったのだ。
気管切開手術の直後、呼吸筋麻痺で呼吸困難に陥ったのだ。主治医の指示に従わなかった罰だと思った。
主治医が徹夜で人工呼吸器の調整に当たられていたことを、後で妻から知らされた。
空気がうまい! 生きているんだと実感した瞬間だった。
私は、その音に深い眠りから目をさました。何の音だろう? ここは何処だ?
ぼんやりと、白い天井を眺めながら遠い記憶をたどっていた。
その時「あ、気がついたね!」主治医が話しかけてきた。
私は「あれ?先生どうしたんですか?」しかし、それは声にはならず金魚のように口をパクパクさせるだけでだった。
間もなくして、一晩中寝ないで待っていた家内が、主治医に呼ばれて入ってきた。
心配そうに私の顔を覗き込みながら、「お父さん、大丈夫? 昨日は大変だったのよ」
昨日??
私が不思議そうな顔をすると、「覚えてないの? 手術室から帰ってから間もなくして、息が苦しい、苦しいって騒ぎ出したんだけど、口をパクパクするだけで言っている事が分からなくて大変だったのよ!」
そこまで聞いたとき、私は悪夢のような出来事の全てを思い出していた。
あの時、医師や看護師がかけつけ、私のの名前を呼びかける声を遠くに聞きながら、余りの苦しさに意識を失ったのだ。
気管切開手術の直後、呼吸筋麻痺で呼吸困難に陥ったのだ。主治医の指示に従わなかった罰だと思った。
主治医が徹夜で人工呼吸器の調整に当たられていたことを、後で妻から知らされた。
空気がうまい! 生きているんだと実感した瞬間だった。