しきりにセミが鳴く。
心地よい風に吹かれながらだと、うるさく聞こえない。
目の前に広がる景色のお陰だろうか。
いくつもの山並みが重なって、大洋を眺めているかの如き。
それが、農家の縁側からの眺めだという事実が、どうにもくつろがせる。
時折、風鈴がちりん、となる。
鶯が、かすかに聞こえてくる。
開け放たれた民家を、風が渡り、風景の一部になっている自分に気付く。
JR静岡駅から、わずかに1時間15分ほど。
古くから営みを続ける集落が、南アルプスの南端、七つ峰の中腹にある。
標高800メートルのこの地に人が住みついたのは、600年ほど前だという。
信州から落ち延びてきた3人が、その祖で、
頭領は「砂」と書いて「いさご」と読む苗字を抱く砂宮太夫、という伝説を持つ。
確かに、今でも砂家はあり、ほかに、中村、仲谷、森、丹所と、珍しい苗字が多い。
しかも、現在全世帯数七戸それぞれが、異なる苗字の家。
そして限界集落となっている。
山を開いてお茶を作る。
開いた土地に、野菜を植える。
裏の山には、大間のマグロに負けないという『山の大間』のどんこ椎茸。
標高があり、寒暖の差によって、いいお茶が出来る。
生産の茶畑を眺めながら、そのお茶で一服できたら、至極くつろげる幸せのひと時となるのではないか。
ないのなら、そういうところを作ろう、と静岡市葵区大川地区のここ大間に『縁側カフェ』が誕生した。
縁側を休憩場所にお貸しします。
お茶やお茶請けが入用でしたら、お出しします。
さあどうぞ、といわれても、知らない家の縁側に入りこむのは、いささか恐縮する。
借りるこちらも遠慮がないように、一回のお茶料金100円を定めた。
休んで100円、お茶で100円、お茶請けで100円。
ついでに、畑で時期に採れたものがあれば、おすそ分け農園として、販売もする。
と聞いたら、出かけてみようと思い立った。
静岡市に住んでいても、行った事のない地域だ。
懐を開いて待っていてくれるのなら、お邪魔してみよう。
国道362号線を北に走る。
安部川から、やがて藁科川に沿って、上流へ。
信号もなくなり、車の窓を開け放ちながら北上を続ける。
付近の川では、釣り客、バーベキューや川遊びの人々。
様々に川の景色、山の風情が変わって面白い。
静岡市は、標高3000メートル級の山にまで、上がっていける。
清沢地区に入りしばらく行き、八幡で、県道60号線にはいる。
その名も、南アルプス公園線だ。
道幅は、若干狭くなり、川は渓谷の顔つきになってくる。
看板にある、大川地区の湯之島温泉を目指す。
そしてここをも通り過ぎると、道に『縁側カフェ』の手描きの案内が見えた。
これを励みに、車を進める。
道は更に狭くなる。
そして、大間に到着した。
今までの木立の合間を縫う風景とはまるで違う、天空の里が、そこにあった。
藁科川の源流の地。
歩いて回っても、そうかかるわけではない。
近くの「福養の滝」の駐車場に車をおいて、縁側での一休みを楽しみに、歩いてみよう。
●天空の癒し里・静岡市大間集落の公式サイト 縁側カフェ
http://www.justmystage.com/home/tenkuu/
●農家カフェ、お茶で一服――静岡・大間、観光客に開放 日経WOMAN
http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20080407ax018n1
今度ゆっくり帰国できるときに
両親連れてドライブに行ってみようかな。
自然の中の田舎の景色。
私の心の原風景でもあります。
すっごくきつい静岡訛りで
興味深いお話聞かせてもらえそう!!
バスを使ってゆくと、その先の徒歩が山歩きになるくらいあるらしいので、マイカーがオススメではありますが。
山の斜面に集落なので、広くないところが歩き回れるよさかも。
伊豆の山の中、海岸沿いにも似ているかな。
途中の川も、ステキです。
車を置けるポイントも幾つかあったし。
楽しめるといいね。