続・サルの惑星の仲間たち

浅間山の噴火は、
東海地震の発生を予告されている静岡人にとっても、注目だった。
この群馬と長野の県境に、碓氷峠がある。

ニホンザルは、峠越えを、ある日決意した。
まるで、新天地を求めて
山の彼方の空遠くの幸いを求めるかのように。

彼らの直感は的中した。
数年かけて、越えた山の向こうには、別世界が、桃源郷が待ち受けていた。
軽井沢の別荘地。

今、ニホンザルが、ココをわが世の春と、過ごしている。
秋なのに。

栄養たっぷりの、人の捨てた食品が、畑の作物が、彼らを満たす。

今までは、年一回だった繁殖が、栄養のお陰で、二回に増えた。
安心と安定は、発情を促した。
大きな群れがいくつも出来上がる。

沢山の食べ物。彼らの知恵も加速する。

沢で、のどかな水浴びの現場を人に見せる。
そうしてひき付けておいて、別同部隊が畑を襲撃。

知恵があったとして、その作戦は、どうやって群れの皆に伝えられるのだろう。
30種ほどの音声でコミュニケートしているという彼ら、
どうやって、役割分担を相談するのだろう。
どうやって、選ばれているのだろう。
力の強いものだけが頂点である世界は、もはや、サルの中でも終息しつつあるのか。

一つの群れを駆除すれば、その群れの壊滅を狙う次の群れが、
まんまと、のさばるのだという。
勢力地図は、既に人並みだ。
ニホンザルよ、人の群れは、君たちにとって、別のサルの群れなのか。

同じ環境を分かち合って生きている動物の中では、
彼らはあまりにも、社会的に似ている。

女子供を狙うというのも、弱いものを脅して奪う構図。
ヒトのメス、ちゃんと見分けられるのだ。
ということは、彼らは私たちを、十分に観察し続けているということか。

彼らに対するヒトの作戦は、爆竹から、BB弾、エアライフルに移った。
山にお帰り願う作戦を遂行中。
しかし、味を占めた彼ら、あきらめてくれるのか。

季節は、秋。
実りの多い自然の味は、健康にいいよ、と伝えることができたなら。

伝わらない相手への、いいコミュニケーション方法は、ないものだろうか。
いよいよ、サルの惑星だ。