なんだか昨日ね、ひどい頭痛が止まなくて、早くから臥せったんだ。
しばらくして起きて表に出たら、下弦の月が、ぼんやりと滲む。
こっちもぼんやりと、ずきずきと、眺めていたら、
なんだったかなあ、
何か想念が出てきて、そのうち、はっと納得したんだ。
それはもう、納得以外の何者でもなく、
ひらめく、分かる、気付く、腑に落ちる、何でもいいんだけど、
とにかく、そうだよなあ、と頷いたんだ。心の底から。
”私は自分が何者なのか、何も知らない”ってね。
わたしは、わたしのことを、まるでしらない。
ってことが、まったくもって、自明の理、だと。
薄白い空に滲んだ半分の月が。
さて、どうしろと。
可笑しくて、痛い頭を抱えて、ずきずきと笑った。
なんだか嬉しくて、頭痛にまみれた乱れた暗闇を、すいすいと眠った。
不快な夜の、不可思議な軽やかさ。
あの月と自分が同じ何かの構成物だなんて、信じられないなぁ・・・
月も自分も何億年か前から存在している粒子の合成したものなので、強いて言えば月とか自分とか存在してると思っていたものが、それらの粒子の「歴史」の一部でしかないのかもしれませんよ。
他愛もないものたちの、たかが、されどなお話で。