J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

Go Seas

2008年05月13日 | 人にぞっこん

雨はないが、今日も風の強かった静岡市。
しかし、三保半島ではしけやうねりはなかっただろう。

駿河湾の西、清水港を抱えて静かに伸びる三保半島。
南は外洋、回りこんだ北は内海。
これがまた、面白いのだと、プロウィンドサーファーの合志明倫はいう。

熊本生まれで大阪育ちの合志明倫は、三保半島に構える大学に入学した。
目の前が海、しかも外海も内海も経験できて、年間を通じて暖か、つまり毎日海に入れる。
彼は、あっという間にウィンドサーフィンにのめり込み、在学中に大会で入賞。
http://www.j-wind.net/colum/column02.html

無事何とか卒業後、プロになって10年。
オリンピック選手としての選考にも選ばれるが、熟慮の末、北京を選ばずにプロに専念することにした。
北京オリンピック出場の富沢選手にエールを送っている。

母校の海洋楽部非常勤講師として、ウィンドサーフィンを教えてもいる。

5月末には、三保にショップも立ち上げる。
はっきりした日程が出ないのは、大工さんの都合なのだそうだ。

彼がプロとして三保にこだわるのは、日本でも稀なコンディションの場所だから。

◎合志明倫公式サイト
http://www.jpn1goshi.net/



風を読み、セイルを操り、海をすべる。
ふと見れば、そこに富士山。

試合で交流した海外のプロを連れてくれば、感動ひとしきり。
国内選手でも同様だ。

富士山のあまりの大きさに、始めは「どこにヤマがあるんだ」と尋ねる選手もいるというから面白い。
やっと目に入った富士山の美しさに、静岡の海は世界一だとみな口を揃える。

毎日違う波、空気、温度、景色、飽きることなく魅了する。

三保へ出かければ、すぐ分かる。
ウィンドだけでなく、マリンスポーツを楽しむ人々で一杯だ。

何人かのグループで、教えあったりもしている。
声の様子に振り向いてみると、60代の男女が、初心者の講座を受けていたりする。
合志明倫によれば、三保では、3歳から70代までのウィンドサーファーが来る。
最高齢70歳代の男性は、60の手習いだ、と始めていまだ現役で風を見切る。

風の吹き方、天候の移り変わりが予感できるようになる。

ウィンドサーフィンは、オリンピックの公式種目だ。
「セーリング」の中の一種目として、帆を操る競技なのだ。
のんびりと、海上を滑っていく快感は、きっと心躍るに違いない。

こんな風に、海の上に単身で立てる経験は、他では出来ない。
水上歩行術でも、風との対話は出来ないだろう。

競技ともなれば、100キロ近いスピードで走りぬける。
ヨットの様に、セイルさばきによって、緊張したスピードのあるスポーツにもなるのだ。

◎日本ウィンドサーフィン連盟
http://www.wf-j.org/member/info.html



魅力的な三保。

静岡県内には、プロ選手が集まり、いわばメッカだ。
そのなかでも、三保はちょっと足を伸ばせば、空っ風、風の強さで有名な遠州灘もある。
風景も良く、年間暖かく、変化に飛んだ海と、豊富な海洋生物も。

黄金週間の過ぎた今ころからは、更に増えてくる。

私も、たびたび行っては海岸で遊ぶ。
海辺にアメフラシ、ヒトデ、ウミウシ、なまこ、すぐそこにイカが泳いでいるのも見える。

ぐるりと周囲を海に囲まれた日本。
海洋国、海の民と山の民が分かち合う日本。

長い海岸線を有するのも特徴の静岡県にいて、案外子供たちも海で遊んでいないのではないか、と合志さん。

海に来て、海辺で走ったりお弁当を食べたり、のんびり座ったり、
もっと海に親しんでもいいのではないか、と合志明倫は思っている。
そのために、子供たちのための海のイベントも開く。

彼は、山と海が繋がっていることを知っている。
そして、海から山を守ろうとしてもいる。

それは、海から、命を護ろうとしている、ということなのだ。

今彼は、プロとしてワールドツアーの開催される韓国にいる。
その海も、みな繋がっている。
◎合志明倫ブログ
http://www.jpn1goshi.net/wp/



ウィンドサーファーのセイルには、認識番号が書かれている。
合志明倫は[JPNー1]。
日本、1番。

これは、若くして逝った先輩ウィンドサーファー飯島夏樹のセイル番号。
頭角を現してきた合志明倫を、可愛がってくれた先輩が、彼に、その番号を託してくれた。

大事な番号を背負って、恥ずかしくないように、レースに参加し、生きる。

飯島は余命を宣告された時、本を書いた。
それは、昨年映画公開された。
著書も、売れ続けている。

風になった、のだろうか。
それとも、風に乗って、今も海を滑っているだろうか。

合志明倫の操るセイルに、風を送ってくれているだろうか。


◎「Life天国で君に逢えたら」公式サイト
http://www.life-tenkimi.jp/index.html
◎飯島夏樹公認ブログ (現在、夫人が綴っている)
http://natsuki.air-nifty.com/
◎著書 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/natsuki/index.html



三保の海で、JPNー1を見かけたら、ゴウシ、と声を掛けて下さい。

ラジオを聴いているリスナーに、彼は呼びかけてくれた。

合志明倫はそういった。
晴れて気持ちのよい休日、韓国戦の様子を聞きがてら、また大工さんの様子をみがてら、でかけてみよう。


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