昨日の大阪はえらく寒い上、風も強く、出掛けるには手袋は必需品でしたほどです。
そんな真冬日、電車で出掛ける前に駅近くの銀行へ向かいましたが、途中のコンビニの横の道に黒い手袋の片方だけが落ちていました。割と目立つ感じで。
この時期の『あるある』ですね、そんな光景は。
このシーズンですでに一回出合った光景です。その時は、前を歩いていた高齢男性が何やら立ち止まったと思うと、賑やかに振り返って手袋を拾いに戻ってきました。
この人の手袋だったかと分かりやすいほどで、私も少し戻って拾うのを手伝ってあげました。この方の話によると、この前も落とされたとかで。
落としてまもない手袋って、形が落とし立て(?)と言って良いのか、ポンと置いたかのようなに見えますね。
それが時間が経つにつれ、人間の行き倒れのように、くたっとうっ伏した何となく哀しい形になっているように感じます。
ちょっと話が逸れましたが、今回落ちていた手袋をコンビニ建物沿いの細長い芝生スペースに置くか、
それとも並ぶ登りの土台に置くかしようかと考えましたが、ヘンに移動させると落とした人もわからなくなるといけないと思ったので、現状維持を貫きました。
そして私、銀行に到着。
ATMは人がすでに並んでいました。3台の内、真ん中が使用中止状態です。
左端のATMを使い終わったおばさんが去っていった後、列が動きましたが、その去っていったはずのおばさんが、今は他の人が使っているさっきのATMの左側の方を何やらウロウロし始めました。
ちょっと怪しい動きに見えます。
入口付近で、外に出る支度をしていたおばあさんがその様子を見て、「忘れ物でもしたの?」と問いかけると、そのおばさんは「手袋を落としたみたいで…。」と。その手には何と、黒っぽい手袋が。
もしかして…。私はとっさにあのコンビニ横の手袋を思い出しました。
列が私最後なら声を掛けようと思いましたが、私の後ろも結構人が並んでいて、銀行で声を出すのが気がひけました。
そして私にATMの番がすぐ回って来ると、そこは先程のおばさんが使用していた台。
操作していると、右隣り(全体的には中央ですね)の使用中止の人のいないはずのATMに人影を感じ、警戒するとなんとさっきのおばさんでした。
このおばさん、先程は自分の使用していたATMの左側を探したけれど、今度は右側に落とした可能性にかけて、探したようでした。
『あの手袋かも』と、声を掛けようと思いつつ、こんな所で見ず知らずの人に声を掛けるのはやはり気が引けたので、
もし私が用を済ませ外に出て、まだいたなら教えてあげようと決めて、自分の作業に集中しました。
割と早く作業を終えて、外に出ると、ちようど、先程のおばさんが自転車で走り出す寸前の後ろ姿に会いました。
声を掛けても聞こえず、そのまま行ってしまったらそれまでの縁と決め、「手袋探していた人ですか…」と声を掛けると、くるっとこちらに顔だけを向けたので、「○○(コンビニ名)の横に落ちてましたけど」と言うと、「ありがとう。」と笑顔で言って、そちらの方へ走り出しました。
その後ろ姿に「銀行で声掛けると怪しまれると思ったので、声を掛けませんでした」と聞こえてはいなかったでしょうが、言わずに済まない気が私にあり、そう投げかけました。
そのまま駅に向かう私ですが途中で、そのコンビニ横の道が見えました。
あのおばさんが自転車に乗ったまま、止まって黒い手袋を拾い上げているシーンを見ることができましたが、そのまま持ち帰ったかまでは見届けず、私は駅に向かいました。
夕方、電車で出掛けた後の帰り道、手袋があった付近にはもう手袋は落ちていません。
だからといって、あの手袋があのおばさんのものだったか、それとも他の人が落とした手袋で、見つけて持ち帰ったかは定かではありません。その他かもしれません。
ただ今思うと、もし私の思考に冷静な推理力なるものがあるのなら、そのおばさんが自転車で帰る様子を見かけたなら、その様子だけで声を掛けてはいけなかったように思います。
と言うのは、
あのおばさんが銀行内で手袋を探しているシーンを見たなら、それはおばさんは寒い今日、手袋をはめて、自転車でこの銀行に着いたと同時に、手袋をはずし、手袋をバックにしまったと考えられます。
なので
→ATMで用を済まし、さあ帰ろうと手袋をバックから取り出しはめようとすると、片方の手袋がない!
→もしかしてATM作業の時、落としたのかも?
→もうそのATMは他の人が使っているけど、戻って探そう!
しかし探してみるがない…
→もしかして自転車のところで落としたかもと一旦駐輪場に確認しに行くが、やはりない…
→先程はATMの左側を見たけど、右側は見ていなかった!
さぁ、また店内に戻って確認しに行こう!
ひょっとして見つかるかも…
という流れがおばさんの行動からわかるなら、
手袋の片方を落としたのは、銀行の駐輪場から、ATMまでの間という限定的な空間であるはず。
なのでまさか、例えたまたま落ちている黒い手袋をその前に見ていたとしても、銀行から20mくらい離れたところにあるコンビニ横にあのおばさんの手袋が落ちているはずはないと、私は推理しなければいけなかったように思います。
そして『あれはたまたま別の人が落とした手袋の片方だったのかもしれない…。』『声掛ける必要はなかった』『私の勘違い』と結論づけれたでしょう。
そう考えると銀行から出たばかりの不安なおばさんに声を掛けたことが、猛烈にすごく恥ずかしく思えました。
ただの怪しい男…。
その後すごく落ち込みました…。
余計なお世話だった…。
私、名探偵にはなれないようです…。
それでも、ナイル川で起こるような殺人事件の映画を観ながら、犯人を当てたい願望の私がいます。
私の気持ちはへこたれず元気なようです。
(たまたまの偶然が余計なお世話のテンションを爆上げさせたように思います。
でも案外、おばさんがすぐそこへ向かったということはまんざらでもなかったかもと密かに思ったりしています。)
長文にお付き合いいただきありがとうございました。