忘れられない釣り

2008-01-28 14:31:30 | 釣り
釣り人なら数多くの釣行の中に忘れられない釣りがあると思います
私も今でも忘れる事の出来ない釣りがあります

あれは十五年前の1993年の7月 そうあの奥尻島が大きな被害を出した北海道南西沖地震がおきる直前の日曜日でした

「北海道南西沖地震(ほっかいどうなんせいおきじしん)は、1993年(平成5年)7月12日午後10時17分12秒、
北海道奥尻郡奥尻町北方沖の日本海海底で発生した。
Mは7.8で、日本海側で発生した地震としては最大規模。
震源に近い奥尻島を中心に、火災や津波で大きな被害を出し、死者201名、行方不明者29名を出した。
さらに、ロシアでも行方不明者3名。」
(フリー百科事典『ウィキペディアホームページより抜粋)

札幌を出たのは前日の10日、仕事を終え用意を済ませ午後10時頃 
この頃の私達の釣りは先行者があるのを恐れ前の日に釣り場へ行きそこで朝を待つというのが多かった
同行者はKM氏 同じ会社の同僚で私と同じ道南出身ということでよく渓へと共に出かけていた
KM氏は私がフライやらルアーなどといろんな釣りに手を出していても彼は餌釣りオンリー 
「釣れた渓魚は食べて供養せにぁあかん!」とは言った事は無いがそんな考えを持っていた
私より年下で言葉づかいは荒いが人の面倒見が良く、釣行では必ずといっていいほど彼の車であった
ある日にはサイドブレーキを引き忘れていたのか車が無人で走り崖から落ちてしまったなんて事も・・・
クレーン車を呼び車を引き上げてもらいそのままよれたタイヤで札幌まで帰った事もあったなぁ

そんな彼との釣行1993年7月11日 渓は後志利別川上流
実は6月の連休に(前は札幌祭りは連休だったが今は無い)探渓に来ていたのである 私はその時に初めて岩魚の尺物を釣り上げた
6月という事もあり水量が多くあまり上流に遡行出来なかったこともありそこからの上流を探渓する事が今回の目標です

とにかく行ける所まで行く そんな強い意志でまだ薄暗い中彼と支度をし終え遡行を始める
7月という事もあり4時頃になれば薄っすらと夜が明け始めてくる しかし川の中はとても見づらく私は足元がふらつきさっぱり遡行がはかどらない
だが彼は持ち前の体格と体力でそんな事はまるで感じさせてはいない 時々振り返りニヤリと笑う
水量は前回の釣行時より幾分少ないようだ これなら前回足止めをくった函を突破出来そうだ
遡行をするにつれ随所に良いポイントが現れてくる ここは釣り人我慢出来るはずも無く早速竿を出す
自分の中でここしかない そう思う流れに餌を落とし水の流れに乗せながら全神経を竿を持つ手に集中させる
そこにググッと来た時にあわせと尺程の美しい岩魚が釣れた 宝石を散りばめたようなその白い斑点に暫し見とれるものの岩魚を流れに戻す
ふと振り返ると彼が又ニヤリと笑った

そうして二人で交互に釣り上がっていくうちに函に着いた やはり突破は難しそうだ
しかし彼はいきなり対岸へと渡りへつり始めたではないか・・・私はあわてて彼の後を追う(おいおい無茶しないでくれよ~)
彼の辿ったルートを通りなんとか突破出来たが落ちたら全身ずぶ濡れだった事だろう それだけですめばの事だが・・・
函から上は桃源郷とまではいかないものの随所で岩魚は遊んでくれる そのかわり遡行はいっこうに捗らないが
渓相は言う事無し もちろん釣り人の足跡などあるはずも無く我々は言葉にはしないがこの原始の釣りを十分に楽しんでいた
時折突破出来そうも無い難所が現れるが彼がルートを作り何とか突破する 本当に頼もしい奴である 年上の私ではあるがこんな場面では彼には頭が上がらないのである

ふと時計を見ると正午になろうとしている もう8時間も渓の中にいる
彼を見るとまだ1尾もキープしていない、まだ行くつもりらしい 帰りに不安があるが私も上を確かめたいので遡行を続ける
岩魚は型は8寸ほどが大半だが大場所では尺上が私達と遊んでくれる ここでは1時間がほんの数分ほどにしか感じられない、それだけ時間が経つのが早いのである
ある時には1時間が2,3時間に感じられるのにというのに不思議である

次第に渓は函状になり流れが細くなってきた時 先行していた彼が立ち止まりこちらを振り向き手招きをしている
急いで彼のもとへと行くとその先には滝が見えていた 落差は5メートルほどでその滝壺は深くいかにも岩魚の主が潜んでいるかのようだ

すぐにでも竿を出したかったが彼が見つけた事もあり彼に先に竿を出してもらって私は彼から数メートル下がり腰を下ろし見物する事にした
すぐにアタリがあるもののなかなか針掛りしない そんな事を繰り返しているうちに私も我慢出来なくなり右よりの方から竿を出す
慌てていたのか餌を付け替えるのも忘れ針に付いているのは柳虫の皮だけになった物だったと記憶している
しかし一投目から根掛のような強い引き、竿は満月になり糸は悲鳴を上げている 前回(50程の岩魚を掛けたが無理に上げて逃げられる)の失敗もあり時間をかけ弱らせる事に
心を落ち付かせるため煙草を取り出し火を付けるが心臓の動きは早くなる一方
時間をかけていると深い滝壺の中から岩魚が浮上した 私は思わず「鮭だー鮭が掛かった」と叫んでしまった ここに鮭などいる筈も無く勿論岩魚なのであるが本当に何故かその時はそう思ったのだ
充分岩魚が弱った頃に竿を彼にたくし軍手をはめた私が手掴みにすべく水の中に入り岩魚へと寄る(当時はタモなどは持っていなかった)
彼に合図を送り岩魚を寄せる 意を決して岩魚を鷲掴みにした「でけぇ~」メジャーをあてると47センチもあった

その後彼にも竿を出してもらうものの釣れるのは尺一寸程の岩魚 先ほどの岩魚を見てからか充分のサイズであっても彼はキープする事は無かった
時間も既に午後2時を過ぎていた もう限界だ名残惜しいが戻れなければならない

車にやっとの思いで付いたのは5時頃だったろう 急いで着替えをして車に乗り込み札幌へと車を走らせる、今日の渓遊びを語り合いながら・・・


実は私はこの時の事を少し後悔していた なぜあの時彼が一尾釣るまで待っていてあげられなかったのか
もしかしたら彼があの大岩魚を釣っていたかもしれない そうでなくてもせめて一尾釣れるまで待っていても良かったのではと
あの時私はこう思っていた 
彼があまりにも掛け損じるのでこのままでは場が荒れて釣れなくなるのではないかと・・・
今思うとその時の自分は自分の事しか頭に無かった もう少し彼の立場になって行動すべきだったのではないか
出来れば彼に大岩魚を釣らせてあげたかった

彼の無心に滝壺に竿を出す後姿が今でも忘れられないでいる

更新完了

2008-01-13 05:17:19 | 釣り
北海道でこの時期に渓流釣って大丈夫なの?ある人によれば「北海道の渓魚は冬、冬眠してて釣れないよ」とのこと・・・で確かめに行って来ました
今回の釣行を記録に残すのか迷いましたが、釣行記として本家サイトにUPする事にしました
結果は・・・・トホホン
あくまでちょい釣なのでわかりませんが私は春まで待つ事にしました でも又行っちゃうかもね・・・

新年

2008-01-01 07:02:39 | Weblog
新年明けましておめでとうございます

何時もコメントを頂いている皆様には本当に感謝しております そして観覧してくださる方々にもお礼を申し上げます
皆様に楽しんでもらえる様にともう少し気取った文章、又面白くと日々努力しておりますがやはり学生時の勉強不足の為かそれもままなりません
そんなサイト、又ブログですが本年も宜しくお願い申し上げます



シーズンまでまだ数ヶ月ありますが、今年の渓にはどんなドラマ待っているのか今からワクワクしております
皆様も今年は楽しい渓遊びが出来る事を願っております