130年~140年くらい前のフランス製のアームチェアを張り替えさせていただきました。
椅子や家具のアンティークの定義、本当にアンティークと呼んでいい物は100年以上のものとなっています。
背も、座もソク土手という古典的な製法で土手が形作られており、忠実に再現いたします。椅子の歴史を続けるために、使用できる材料は全て使用いたします。例えば、天然自然素材の椰子ファイバーや馬毛などの詰物はもとのものを使用し不足分を補充します。また、鋲もお客様のご希望に沿って、使用してあった鋲を今回は打ちなおします。
使用できない材料は交換します。今回の場合は、バネが一部折れていたり弱くなっていましたので、その分だけを同じフランスから輸入しました新しい鋼鉄のバネに交換いたしました。地球に還る天然素材100%の材料、麻糸、麻紐、ヘッシャン、綿で修復しました。
今回4脚でして、お客様はソファもお持ちです。ソファの方はあまり痛んでいないので、4脚張り替え前の背部分の生地を使用して、お客様宅にてソファの肘を張り替えました。
↓背裏の生地はそのまま使用し、ソファと統一感をだしております。また生地の節約にもなります(^^)
フランスをはじめとして、ヨーロッパでは、背裏の生地が背表、座と異なることが多々あります。日本人の感覚としては背表も背裏も同じ生地でないと納得のいかない場合が多いのですが、ヨーロッパでは普通にあることなのです。
↑修復前
バネ糸が切れて、バネが折れています。
↑修復後 バネを一部入れ替え、麻100%のバネ糸でバネをつります。
バネを3分の2程度に絞り、角度を放射状にして、どのような角度から腰掛けても垂直にバネが沈むようにつります。また、バネを絞る事で、バネは常に持ち上げようとする力が働きますので、長時間腰掛けていても腰に負担無く、快適です。
腰痛の方には今回のようなバラバネ入りの椅子がお勧めです。