メタキャストCVの日々雑感 <アーカイブ>

2005年7月~2009年1月までのアーカイブです

YouTubeがヤマダ電機になる時代

2008-10-10 13:21:21 | 日々雑記
久しぶりの更新です。

昨晩「テレビとネットの近未来カンファレンス」があり、Filmoの有田さん、勝手広告の神酒さん、コマーシャライザーの長友さん、芸者東京エンターテイメントの田中さんと共に、"CGA:Consumer Generated Ad"というテーマで色々とディスカッションしてきました。

(そのときに私が用いた資料はコチラ

カンファレンスと懇親会が終わった後に、KNN神田さんと改めてゆっくりと飲みながら話していてふと思いついたのが、今回のお題。


パネルディスカッションの時にも言及しましたが、


今週のニュースにあるようにYouTubeの動画ページ中に関連する商材の購買ボタン(アフィリエイトリンク)が設置された場合、その動画が持つ購買訴求力が如実に数字で分かってしまうことになる。
Youtubevertorial



という点と、


広告主からの事前許可(検閲)を経ていない勝手広告的な動画がYouTubeにアップされ、これらにもアフィリエイトリンクの設置が可能になり、さらにその中の一部でも爆発的な効果を発揮しはじめたら企業はこれにどういう反応をするんだろうか?



という疑問への回答が、


そっか、この構造って、メーカーとヤマダ電機(をはじめとする家電量販店)の関係と同じじゃん!



という風にすっきりと整理できそうな気がして、以下雑記メモ。




まず、実際に企業のブランディングコントロールが量販店とか街の電器屋さんに対してどこまで効いているかは私には分からんのですが、効果をあげているアフィリエイト付き勝手広告に対するスタンスの話は、例えばBraviaを矢沢永吉を本人に失礼な程滑稽に物真似しながら売り捌いている店員さんがいたとして、果たしてソニーがそれを問題にするのだろうかというのと「世の中には色んな売り子さんがいるよね」という部分で共通するところがあるかと思います。(あるいは「キョーレツ過ぎると誰にも手がつけられない」という点では、ジャパネットたかたの社長が商品をどうやって最終的にアピールするのかについてメーカーが殆ど口を挟めないところとも似ている)


多分ですが、企業の管理体系的には広告とか広報といった「会社発のメッセージング」にはそれ専門の部署があって、会社が決めたコードに対して粗相がないようにメッセージの内容やコミュニケーションをコントロールしようとする一方、自社以外の販売の現場で何が起こっているのかについては、製品が売れている限り、あるいは顧客からクレームが来ない限り、外販チャネルを管轄してる部署任せということになっているのではないでしょうか?(最近では顧客とのコンタクトポイントを統合的に管理して云々という話も聞きますが、実際はどーなんですかね)


そして今回のYouTubeのclick-to-buyのモデルでいうと、YouTubeに対応する企業内の部署は広告部門ではなく、アフィリエイト販売チャネルを管轄する営業部門ということになります。そしてアフィリエイト手数料以外に、例えば「この動画をもっと目立たせるために、一月○○万円でYouTubeのカテゴリTOPに表示しませんか?」とYouTubeが営業するメディアフィーが発生するとして、これも家電量販店で言う「棚取り代」同様、営業部の財布から販促費として捻出されるのでしょう。


なので「YouTubeやCGAで広告ビジネスはどう変わるのか?」というテーマは「企業の広告部門や広告代理店がYouTubeやCGAをメディアとしてどう扱うのか(認めるのか)」という問題以外に、「営業部の持つ販促費の支払先がどう変わるのか」という話であったりあるいは「企業戦略全体の中で広告費と販促費の軍資金配分比がどう変わるのか?」という話でもあるような気がします。


世界的な不景気に突入する中、企業が真っ先に削るのは費用対効果を説明しにくい広告費用と言われています。そんな中で「広告費用対効果(ROAS)がガラス張りに分かるモデルを動画共有サイトにも導入」という今回のYouTube・Googleの方針表明には偶然とは思えない空恐ろしいものがありますね。。


※2008.11.11追記
 カンファレンスの模様が当日取材に来ていただいてた「Web担当者Forum」さんに取り上げられました。
 非常に濃いレポートになっております。
 勝手広告/ユーザー作成広告 (CGA) 最前線 「ネット動画はCMの世界をどう変えるのか?」レポート