流星パズル

イナズマイレブンの愛を語りまくるブログ。
一部腐向けですので、苦手な方はお引取り下さい。

別れ ~灼熱~ (吹豪)

2010-03-15 22:07:58 | 小説
※腐向け(BL)小説ですので、苦手な方はご注意下さい。


―――夕焼けが町全体を橙色に染める頃、
キャプテンがぱっと鉄塔広場のベンチから立ち上がった。
「それじゃ、俺はもうそろそろ行くな」
「あ、キャプテンもう帰るの?じゃあ僕も帰るよ」
僕もキャプテンとほぼ同時に立ち上がった。
「吹雪と豪炎寺はゆっくりしとけよ。
最後なんだから、二人で喋ったらいいじゃん」
キャプテンは優しく笑いながら僕の腰を下ろした。
「キャプテン…。
じゃあ最後だから言っておくね。
今までありがとう。君に出会えて本当に良かった。
また会おうね」
「ああ!またな、吹雪」
キャプテンと僕はがっちりと熱い握手を交わし、
そのままキャプテンは去っていった。
そして僕は、豪炎寺君の隣に座りなおした。
「…豪炎寺君にも、最後だから言っておくね。
今までありが…、!」
僕は自分でも無意識に、声がぴたりと止まった。
いきなり真正面から抱きしめられてビックリしたから。
「ご、豪え…」
「最後なんか言わないでくれ。言葉なんかいらない。
欲しいのは…吹雪、お前だけだ」
「!」
僕の心臓がドクン、ドクンと高鳴り始める。
豪炎寺君の心臓も騒ぎ始めていた。
「…いいよ」
僕は聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で同意した。
豪炎寺君は強く抱きしめていた手を離し、僕の肩に手をやった。
そして唇と唇を重ねる。胸が熱くなった。
初めは触れるだけのキスのつもりが、お互い夢中になってしまい、
熱い舌をどちらからか差し込んでしまった。
互いの舌が絡み合い、口の中に唾液が溜まってごくんと飲み込んだ。
豪炎寺君の何かが僕の体内に入ってくるようで、何ともいえない感じがした。
飽きず舌と舌を絡み合わせていると、唾液の混ざり合った音がいらやしく感じたりもした。
だけど、僕はいきなり重ねていた唇を離した。
すると、今まで唾液を混ざり合わせていたので白い糸が僕と豪炎寺君の唇と唇の間で伸びた。
「…お前…いきなり離すな」
豪炎寺君は驚いた後、眉間に皺を寄せて白い糸を吸った。
「…ごめん。でもっ…辛いよ…」
「!」
豪炎寺君は目を見開いて驚き、その後色々考えている様子を見せた。
だけど僕は静かに頬に涙を伝わした。
泣いたのなんか、久しぶりだった。
今まで色んなことがあっても、泣かなかった。泣きたくなかった。
弱い自分を隠したかったというのもある。
そしてアツヤに「泣き虫」ともう言われないように、と。
一人でも、独りでも、泣かずに生きていけるんだと自分に言い聞かせたかったのもあるから。
「…どうして辛いんだ。どうして泣くんだ」
「…豪炎寺君と一緒に居られなくなるのが…辛い。
今はキスだって出来るんだよ。でも…もうすぐ会うことも出来なくて見ることも出来なくなるんだよ。
…それなら、今こんなことしたって…辛いだけだよ…」
僕は涙を流したけれど、拭いたくはなかった。
自分が泣いているという事実を、受け止めたくなかったから。
やっぱり自分は弱いんだ、と嫌でも現実が胸に突き刺さる。
結局一人でなんか生きれるはずはない。
自分の中に、アツヤという人格を作り、アツヤに何もかも頼り切っていた。
アツヤがいなければ生きていけない、と思う程になっていた。
泣かなかったのはアツヤがいたから。
僕よりも強いアツヤに負けたくないから、と自分に言い聞かせていただけだ。
アツヤの人格がなくなってから、良くも悪くも変わっていた。
やっぱり誰かに頼らないと生きていけないような人間ということには変わりない。
涙を流し、今も豪炎寺君を頼り、自分の隠しきれない弱さを豪炎寺君のせいにしている。
そんなことを考えながら泣いていると、豪炎寺君のはっきりとした声が聞こえてきた。
「守ってやりたいと思うんだ。誰よりも傍で、何よりも近くで」
今まで黙っていた豪炎寺君が言った言葉は、自然と耳にこびり付いた。
もしかしたら、この言葉が僕の求めていた言葉だったのかもしれない。
守ってほしかったのかもしれない。
「辛いことなら、いっぱいあるんだ。
俺もそうだけど、吹雪だって沢山経験してきただろう。
だけど…俺が痛い程思ったことは、
何よりも辛いことは諦めることだと。
だから、諦めたくないんだ。
どんなことがあったって、どんなに離れていたって、吹雪をずっと好きでいたいんだ」
豪炎寺君ははっきりと言ってくれる。
その声に迷いはない。それが羨ましくて仕方なかった。
「…豪炎寺君がいなきゃ、迷わずに帰れたのに…。
豪炎寺君…。帰りたくない…。北海道に…戻りたくないっ…」
僕は豪炎寺君に縋り付くように抱きついた。
誰かの手を借りないとここに居ることすら出来なくなるような気がして。
「もう…一人に…しないで…」
僕の本当の気持ちだった。だけど本当だからこそ、震えてきた。
怖かった。悲しかった。誰にも言えなかったことを、言ってはいけないことを、
声に出してしまった。
今まで独りぼっちだと自分に言い聞かせてきた。
“吹雪士郎”という存在は一体何なのかと考えても考えても、答えは出なかった。
寂しくて寂しくてたまらなかった。いつだって誰かと一緒にいたいと思っては、
周りの人は一人、二人、とどんどん消えていった。
「大丈夫だ。離れてても…」
「変わらない気持ちなんてないんだよ。
終わらないものなんてないんだよ」
僕は必死に言った。
大丈夫なんて言ってほしくなかった。
僕の愛する人は、必ず離れていく。
僕の手の届かない所へと行ってしまう。
追いかけても追いかけても届かなくなってしまう。
そのうち、追いかけることを諦めるようになってしまう。
それが怖いんだ。
豪炎寺君とこのまま離れて、もう会えなくなるんじゃないかって。
今までの経験が、その考えしか生み出せなくなってしまっている。
「俺を信じてくれ、吹雪」
「でもっ…」
「人を信じることは簡単じゃないと分かってる。
だけど、俺だけは信じてくれ」
僕は、その言葉を信じてしまった。
信じたくない、と思っていたわけではなかったからだ。
信じたい、と思ったからだ。
豪炎寺君を、豪炎寺君そのものを。
僕は抱きしめる腕の力を強くした。
「信じてる」のサイン。
見逃さないでほしい。
僕のどんな傷だって、癒してほしいと思うから。
その傷を癒す相手は、豪炎寺君だけだと信じたいから。
「別れなんかじゃ…ない」
豪炎寺君の声と、豪炎寺君の僕を抱きしめる腕の力が、僕の心を強くしてくれる。
例え二人の行く道が別れてしまっても。
別れは次の出会いと一緒で、また豪炎寺君と出会えると信じているから。
例え何かが終わってしまっても。
終わりがくればまた新たな始まりがくるのが、この世界で唯一変わらないもの。
それを気付かせてくれたのは、豪炎寺君だけだから。
この気持ちが壊れない限り、
豪炎寺君は僕だけのもの。僕は豪炎寺君だけのもの。
その隠された強さと優しさが誰かに汚されないように。
小さく願った。
――――――――――――――――――――――――――――――


勢いでバーッと書いてしまったので、
ちょっと納得出来てませんが更新します…。
ミッフィーさんからのリク&自分の書きたいものもあるので、
この吹雪ver.は早く更新させておきたかったんです。
豪炎寺のときと、吹雪のときと、
同じシチュエーションで、見方によっては全く同じように見えるかもしれませんが、
私にとっては全く違います。
豪炎寺と吹雪って正反対の人間に思うから。
でも、人って自分にない魅力がある人に惹かれるじゃないですか。
それってやっぱり豪炎寺と吹雪みたいだなーって思います。
まあ…こんな感じです(笑)。
吹雪ってあんまりテレビでは泣かなかったので、
本当は涙もろい子だといいなーって。
でもあんまり泣かないのは強い子だと思います。

だってさー…アニメの話だけども、フィクションだけども、
中学2年生で肉親が誰もいないとか悲しすぎる…。
誰でもノイローゼになるよ…。
っていうかまず肉親が皆いなくなったのって、吹雪が幼稚園とか小学生とかでしょ。
ああ…それ思うと泣けてくる。
そういう辛い過去があるのに、サッカーやってるのとか、
泣かずに生きてるのが強い子だって本当に思います。
大好きだぜ吹雪!!愛してる!!(同情とかじゃなく)
大好きなキャラが大好きな声優さんが声やってて良かったと思います。
宮野さん好きすぎてやばいです。
私が一番好きな声優さんは宮野さんです。
あの囁くような美声たまらない…!歌も上手すぎるし!!
でも、3期になって突然吹雪(宮野さん)目立たなくなったよね…^p^
虎丸・飛鷹・鬼道・豪炎寺・網海あたりが目立つ存在になってるな。
(キャプテンは主人公だから目立つのは当たり前として)
虎丸と飛鷹が目立つのは分かるけど。
まあ…吹雪は2期にめちゃくちゃ目立ったからしょうがないのかな…。
っていうか立向居とか小暮とか目立たなさすぎ大丈夫かorz
何故栗松のほうが目立つんだ…!
風丸も好きだけどもう少し大人しくてもいいんじゃ…。
まず夏未が全然出てこない時点で3期に絶望感じてる^p^
ああ…暗くなるな、私よ…。
大丈夫…。すぐに夏未出てくるわよおおおおおおおおお(多分)

…ということで、ミッフィーさん。
またすぐ吹円とか豪吹とか書きます。
リクエスト、期待に応えられるように頑張ります。

下手くそでぐっちゃぐちゃな小説ですが、
コメント下さる叶さんも本当にありがとうございます!
嬉しいです!そのコメントが私の原動力です(笑)。

そして3期のあの記事にはまだたくさんのコメントが…!
皆さん繋げて下さってありがとうございます(笑)。
何かあそこだけレスみたいになってる(笑)!
嬉しいです、皆さん本当にありがとうございます。
また新たな情報がばんばん入ってくるのが、
私たまらなく嬉しい!!(≧∀≦*)
また3期のことについては更新します。

まずはまた小説書くの頑張ります(´・ω・`)

では~

別れ ~薄氷~ (豪吹)

2010-03-13 10:16:33 | 小説
※腐向け(BL)小説ですので、苦手な方はご注意下さい。


――――夕焼けが町全体を橙色に染める頃、
円堂がぱっと鉄塔広場のベンチから立ち上がった。
「それじゃ、俺はもうそろそろ行くな」
「あ、キャプテンもう帰るの?じゃあ僕も帰るよ」
吹雪も円堂とほぼ同時に立ち上がった。
「吹雪と豪炎寺はゆっくりしとけよ。
最後なんだから、二人で喋ったらいいじゃん」
円堂は優しく笑いながら吹雪の腰を下ろした。
「キャプテン…。
じゃあ最後だから言っておくね。
今までありがとう。君に出会えて本当に良かった。
また会おうね」
「ああ!またな、吹雪」
円堂と吹雪はがっちりと熱い握手を交わし、
そのまま円堂は去っていった。
そして吹雪は、俺の隣に座りなおした。
「…豪炎寺君にも、最後だから言っておくね。
今までありが…、!」
吹雪の声がぴたりと止まった。
無理はない。いきなり真正面から抱きしめたのだから。
「ご、豪え…」
「最後なんか言わないでくれ。言葉なんかいらない。
欲しいのは…吹雪、お前だけだ」
「!」
吹雪の心臓がドクン、ドクンと高鳴り始める。
きっと俺の心臓も、うるさいだろう。
「…いいよ」
吹雪は聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で同意した。
俺は強く抱きしめていた手を離し、吹雪の肩に手をやった。
そして唇と唇を重ねる。胸が焦げるように熱い。
初めは触れるだけのキスのつもりが、お互い夢中になってしまい、
熱い舌をどちらからか差し込んでしまった。
互いの舌が絡み合い、口の中に唾液が溜まってごくんと飲み込んだ。
吹雪の何かが俺の体内に入ってくるようで、何ともいえない感じがした。
飽きず舌と舌を絡み合わせていると、
唾液の混ざり合った音がいらやしく感じたりもした。
すると、吹雪がいきなり唇を離した。
突然のことに驚き、しかも互いの唾が混ざり合っていたので白い糸が引いた。
「…お前…いきなり離すな」
俺はするっと糸を吸った。
「…ごめん。でもっ…辛いよ…」
「!」
まさかキスをして辛いと言われるなんて想定外だった。
もしかして舌を入れたのが間違いだったか。
けど俺から入れたっけ…などと色々考えていると、
吹雪は静かに頬に涙を伝わした。
「…どうして辛いんだ。どうして泣くんだ」
「…豪炎寺君と一緒に居られなくなるのが…辛い。
今はキスだって出来るんだよ。
でも…もうすぐ会うことも出来なくて見ることも出来なくなるんだよ。
…それなら、今こんなことしたって…辛いだけだよ…」
吹雪は、子供みたいに泣きじゃくるんじゃなくて、拭いもせずただ涙を流した。
その涙は切ないくらい綺麗で、きっと俺じゃこんな涙は流せないだろうと思った。
そうだ。夕香が笑顔を見せなくなったあの瞬間から、
俺は純粋な笑顔も涙も、他人に見せなくなってしまった。
今思えば、何て不器用な奴だろうと思うけど。
だから、正直に言えば吹雪が羨ましかったのかもしれない。
羨ましいのと同時に、守ってやりたいとも思う。
それを変な話だなと思った。吹雪はサッカーに関してはかなり強い。
元々才能がある奴だ。見た目は女みたいで白くて細くて、
大人しそうな奴だけど、サッカーをする時の吹雪を羨ましいと感じることは沢山あった。
だけどサッカー以外は、たまに笑顔がぎこちないと感じることもあったり、
支えてやらないとフラリと倒れそうに見える。
何でも一人で抱え込んでしまうような悪い癖があるとも思う。
だから…
「守ってやりたいと思うんだ。誰よりも傍で、何よりも近くで」
頭と心で考えていることが声となって吹雪まで届いた。
「辛いことなら、いっぱいあるんだ。
俺もそうだけど、吹雪だって沢山経験してきただろう。
だけど…俺が痛い程思ったことは、
何よりも辛いことは諦めることだと。
だから、諦めたくないんだ。
どんなことがあったって、どんなに離れていたって、
吹雪をずっと好きでいたいんだ」
俺ははっきりと言った。
自分も迷わないように。吹雪も迷わせたくなかったように。
「…豪炎寺君がいなきゃ、迷わずに帰れたのに…。
豪炎寺君…。帰りたくない…。北海道に…戻りたくないっ…」
吹雪は俺に縋り付くように抱きついた。
今にも溶けてしまいそうな、頼りない力で俺に縋り付く。
「もう…一人に…しないで…」
か細い声で言ったその言葉は、吹雪の素直な感傷から出る言葉だった。
きっとこれが本当の気持ちだろう。微かに声も体も震えている。
「大丈夫だ。離れてても…」
「変わらない気持ちなんてないんだよ。
終わらないものなんてないんだよ」
吹雪は俺の言葉を遮るようにして、必死に訴えかける。
「俺を信じてくれ、吹雪」
「でもっ…」
「人を信じることは簡単じゃないと分かってる。
だけど、俺だけは信じてくれ」
俺は吹雪を真っ直ぐ見て言った。
嘘なんかついてないと、分かってほしかったから。
すると、吹雪は俺を抱きしめる腕の力をより一層強くした。
だけど痛くなんかない。吹雪の心のほうが痛いはずだから。
吹雪のどんな傷だって、癒してあげたいと思うから。
その傷を癒す相手は、俺だけだと信じたいから。
「別れなんかじゃ…ない」
俺は吹雪を強く強く抱きしめて言った。
例え二人の行く道が別れてしまっても。
別れは次の出会いと一緒で、また吹雪と出会えると信じているから。
例え何かが終わってしまっても。
終わりがくればまた新たな始まりがくるのが、この世界で唯一変わらないもの。
それを気付かせてくれたのは、吹雪…お前だろう。
この気持ちが壊れない限り、
吹雪は俺だけのもの。俺は吹雪だけのもの。
その純粋な涙が汚されないように。
小さく願った。
――――――――――――――――――――――――――――――


っていう豪吹小説でした。
真面目に、とてもシリアスに書こうとしたのに、
途中でキス(しかもちょいディープ)させてしまったというバカヤローでごめんなさい。
このタイトル、~薄氷~がついてるということは、
豪炎寺から見た吹雪の印象がこんな感じかな~と思っております。
と い う こ と は !?
そうです。お察しの通り、吹雪から見た豪炎寺の印象をタイトルにして、
吹雪が北海道に帰る時のこの小説と同じシチュでの吹雪視点で小説書きます。
あー…つまりは、続編みたいな感じです。
吹雪の別れのシーン、円堂と吹雪や円堂と豪炎寺は喋って思い出に浸ってたけど、
豪炎寺と吹雪の二人のシーンが無かったのが悔しく、
今回の小説を書きました。
豪吹って今まであんまり触れたことがなかったので新鮮でした!
この二人って氷と炎で真逆だから結構小説書きやすいかも!!


Dear:ミッフィーさん
こ…こんな感じで宜しかったのでしょうか…ビクビク
本当に真面目に書きたかったんですけど、
キスまでさせちゃいましたすいませんごめんなさい。
満足はしてもらえないと初めから分かってます(笑)。
自分では満足なんか全く出来てません…。
「あー…こんなんじゃダメじゃん…えー何これ間違えてるし…(汗)」
ってなりながら書いてました。
書き始めた時、何書いたらいいか悩んでて、
結構時間かかりました。
結構時間かけた割には良い小説書けてなくてすいません!
もー本当にもうグダグダですいません…(失笑)。
なんかぐっちゃぐちゃな小説ですけど、頑張ったんで大目に見てやって下さい(笑)。

あと、これものすごく個人的な話なんですが、
驚いたのはミッフィーさんと同い年(笑)!
これってきっと運命(笑)!!
これからもこんな馬鹿で最後までグダグダな葵っちゅーモンですが、
よろしくお願いします!


では~

約束 (豪円)

2010-03-07 16:35:41 | 小説



―――何だ、この気持ち。
俺は一人で立ち竦んだ。
「…どうかしたのか、円堂」
後ろから声が聞こえた。
振り向かなくても分かる。鬼道だ。
「え、な…何もねぇぜ、別に」
俺は鬼道の方を振り向いて、にこりと笑った。
自分でも分かるんだ。
作り笑いが下手だってことくらいは。
だけどそうでもしなきゃ「何かあったのか」とか
聞かれるのが嫌だったから。
俺の気持ちを察したのか「…そうか」と鬼道は言い、
俺の肩をぽんと叩いた後その場を去った。
だけどゴーグル越しに鬼道の目が俺の後ろに向いたのが分かったんだ。
そう。俺が今まで見ていた景色。
俺はまた振り返り、ただ見た。
見ることしか出来なかった。
豪炎寺と土方が楽しそうに喋っている。
ただそれだけのことだ。
チームメイトが仲良く喋っているだけだ。
キャプテンとしてはすごく微笑ましい光景じゃないか。
…キャプテンとしては。
だけど、円堂守としては?
俺としては、何でか分かんないけどもやもやする。
豪炎寺は、俺と喋ってる時だって笑ってくれる。
だけど、土方と喋るときは俺と喋るときと違う笑い方をする。
そりゃあ、人なら誰だってそうだ。
だけど何でか、胸の奥の辺りがうずうずしてる。
俺は数ヶ月間は豪炎寺と一緒にいれなくて、
その間豪炎寺はずっと土方と一緒だった。
その過去の事実は変えられない。
それが悔しくて悔しくてたまらなかった。
俺は豪炎寺がいない間、サッカーで精一杯だったけど、
それでも頭の中は豪炎寺でいっぱいだった。
今までのこととか、
今豪炎寺はどこで何をしてるんだろうとか、
今豪炎寺は誰とどういう風に笑ってるんだろうとか、
少しでも俺のことを思い出してくれるのかなぁとか。
そんなことばっかり、考えてた。
だけど豪炎寺はどうだったんだろう。
今も二人の間に特別な何かがあるわけでもなく、
実際に今豪炎寺は土方と仲良さそうに喋っているから。
どうしたんだよ、俺。
前はこんな風に考えたことなんかなかったのに。
何か…心が狭くなった気がする。
俺以外の人と笑わないでほしい。
そんな言葉しか頭に浮かんでこなかった。
焼餅を焼いてるとか、嫉妬だとか、
そういう単純な感情に振り回される日が来るなんて思ってなかった。

そして練習が終わった後、俺は一人で帰った。
誰かと一緒に帰るのも何でか嫌だったし、
いつもみたいに練習が終わった後でも練習をする気もなかった。
誰にも見つからないように、早く。
「…何だ…これ…」
俺は橙色に染まりつつある街並をとぼとぼ歩きながらひとりごちた。
俺が、俺じゃないみたいだ。
いつもの俺じゃない。
俺は何度も何度も溜息をこぼしながらただ歩いた。
「円堂!」
すると、後ろから声が聞こえた。
その声が聞こえた瞬間、体全身の神経がぴたりと止まった気がした。
何でか分かんないけど、涙が出そうになった。
足が竦んで動けなくなった。
振り向きたい。だけど振り向けない。
振り向いてしまったら泣いてしまうような気がした。
その声を聞いただけで泣きそうになってる。
「…円堂。今日、どうしたんだ」
豪炎寺は俺の後ろ姿をじっと見つめて言った。
「…っ―…」
俺は何かを言おうとしたけど、何て言ったらいいのか分からなかった。
歯を食い縛った。力いっぱい拳を握った。
だけど俺の脳は怠け者で、いい言葉を出してくれない。
「…円堂?」
豪炎寺のいつもより優しい声が、ふわりとした感覚で耳に入ってくる。
だけど豪炎寺はそれ以上俺に何も聞かなかった。
それが豪炎寺らしいと俺は思った。いつも通りの豪炎寺。
俺が知ってる豪炎寺。
そんなことをぼんやり考えていると、豪炎寺が俺の腕を掴んだ。
「…えっ…?」
俺は驚いた。豪炎寺は無口のまま、俺を引いて歩き出す。
「…豪炎寺…?」
俺が豪炎寺の名前を呼んでみても、何の反応も示さない。
二人は何も言わずに歩き続けた。
すると、見覚えのある場所に来た。
鉄塔広場だ。
それが今はすごく良い時間帯で、夕日が綺麗に輝いていた。
「…なんで…」
俺はらしくもなく、小さい声で聞いてみた。
「お前が元気ないみたいだから。
街の中じゃ喋りにくいかと思ったんだ」
豪炎寺はそのままベンチに腰掛けた。
こういうさりげない優しさがあるのも、豪炎寺の性格の一つ。
豪炎寺の一つ一つを知っていく。
それはすごく嬉しい。
だけど、一つ一つ豪炎寺の知る部分が増えていくたび、
一つ一つ豪炎寺の小さな仕草も忘れていくんじゃないかって不安になる。
本当…何なんだろう。
こんなの俺じゃない。
「…何でもいい。何でも言ってみろ」
豪炎寺は夕日をじっと見つめたまま呟いた。
俺はどうしても言いにくかったけど、思い切って言ってみることにした。
「…お前が今日、土方と喋ってるときに思ったんだ。
お前が沖縄にいた間、俺はサッカーのことで精一杯だったけど、
頭の中は豪炎寺のことばっかだった。
どこで何してるんだろうとか、誰とどうやって笑ってるんだろうとか、
本当にもうそんなことばっかり。
だけど豪炎寺は沖縄にいる間、ずっと…。
土方と一緒だったんだろうな、って…」
俺はまた言葉に詰まった。
だけど、何だか自分が言った言葉に急に恥ずかしさを感じた。
「…あ、や、やっぱいい!今の、全部忘れて!」
俺は自分でも分かるくらい顔が赤くなっていた。
何言ってんだろ、すっごい恥ずかしい…。
「…」
豪炎寺は黙っていた。俺は豪炎寺の方を見ると、豪炎寺は少し顔を赤くして微笑んでいた。
何か…嬉しそう?
「ご、豪炎寺?」
「…何でもない」
豪炎寺はそっぽを向く。耳まで真っ赤にして。
「…豪炎寺、もしかして喜んでる?」
俺は豪炎寺の顔を覗き込んだ。
「見るな」
豪炎寺は自分の顔を手で覆い隠す。
「…豪炎寺」
俺は自分でも驚くほど急に真面目になって、豪炎寺に喋りかけた。
「何だ」
豪炎寺は相変わらずそっぽを向いてるけど返事はしてくれた。
「もう、どこにも行かない?」
俺がそう言うと、豪炎寺はこちらを振り向いた。
「…ああ」
豪炎寺は静かに頷いた。
それがどれだけ幸せか、前の俺なら全然知らずにいただろう。
「離れない?」
「ああ」
「俺の、ずっと傍にいてくれる?」
「ああ」
「俺と、ずっとサッカーやってくれる?」
「ああ」
「絶対に?」
「約束する」
そんな会話のキャッチボールをしながら、俺は幸せに浸っていた。
今、幸せなんだ。
豪炎寺とこうやって話せていることが。
豪炎寺とこうやって笑えてることが。
「豪炎寺…。好きだ。お前が一番好き」
「俺もだ、円堂」
きっとこの瞬間は誰にも邪魔されず、二人の思い出になる。
忘れられない、忘れたくない思い出になる。
もう絶対に、握り合ったこの手を二度と離さない。
二人の重なり合った唇が、約束の証であるように。
――――――――――――――――――――――――――――――

っていう豪円…え、これって円豪かな??
まぁ豪炎寺×円堂の小説でした。
つまり、何が書きたかったんだ、と聞かれるとしたら、
私は円堂が嫉妬する姿が書きたかったんです。
円堂って、綾瀬は○か級の天然だと思うんですよ。
そんな天然な子が、恋に気付き嫉妬とかやっちゃってくれたらおいしい!
と思ったのがきっかけです。
それに、二人がお互い離ればなれだった時のこととかも書きたかったし、
円堂に嫉妬されて内心嬉しいってなってる豪炎寺も書きたかったんです。
最終的にキスもさせたかったんですよね。(最後の一文だけだけど)
っていうか、昔からもそうなんですが、
最近豪円が好きすぎてたまらない。
(私の)イナズマの腐は、豪円から始まったんですけど。
何かさ、あの二人はまるで少女マンガだよねー。
始まりの出会いとか、初め豪炎寺は円堂を避けてたり(避けてはないけど)、
お互いの信頼関係とか、途中のすれ違いとか、また出会ったりとか…。
今までの歴史がね。イナイレの中で深いのはやっぱり豪円だよね。
この二人は最強夫婦だと思うんだ。夫婦だよ夫婦。
実はですね、何で突然豪円の小説が書きたくなったんだというと、
今まで撮っておいたイナイレをDVDに移そうとして、
CM編集をしてたんですよ。
そしたら、その回が丁度豪炎寺が帰ってくる話のときだったんです。
で、CM編集とかいっときながらじっくり内容を見てたら、(おい
やっぱりこの二人は最強夫婦だな~と思い。
お互いがお互いを信頼してる姿が、見てて微笑ましすぎます。
これからもずっと好きだよ!豪円!!

なんか汚く長い文章お見せし申し訳ありませんでした(汗)。

またね!!

甘い毒 (鬼円)

2010-02-27 10:23:30 | 小説

※腐向けですので、苦手な方はご注意下さい。



――――キーンコーンカーンコーン…
期末テストが今終わった。
俺の周りの奴らは大騒ぎして喜んでいる。
そんなにテストが終わったことが嬉しいのだろうか。
「テスト終了だー。ご苦労様。
提出物終わってない奴は残ってやれよ」
若い担任の男が、そう言い残して教室から去っていった。
皆は席を立ち、帰る準備を始めている。
俺も、今日はサッカー部の練習も無いし、もう何も用事は無いので帰ろうとした。
廊下へ出て靴箱まで行こうとすると、ばったりと校長に出会った。
「ああ、鬼道くん!
君と一度話がしたいと思っていたんだ」
校長は、愛想笑いを浮かべ、俺を校長室まで促した。
本当はあまり乗り気ではないが、今日は父さんも出張で家にいないし、
早く帰る程の用事も無いから校長室までついていった。

かれこれ1時間くらいは校長や学校の自慢話を聞かされている。
退屈ではあったが、俺は小さい頃から礼儀の話は嫌という程聞かされてきたので、
一応真面目に耳に入れていた。
そして校長は俺に対し褒め言葉を浴びせてきた。
「…鬼道くんと豪炎寺くんがいれば、サッカー部も安定だなぁ」
と、ぼそりと校長は呟いた。
そういえばそうだ。
雷門サッカー部といえば、弱小で有名だった。
ただ俺は、円堂がいればどうにでも変わったんじゃないかと思う。
どうしてあいつがいたのに、弱小チームだったんだろう。
気付けば、円堂のことばかり考えている。
校長の話が頭に入らなくなった頃、校長は仕事があると言って話は中断という形で終わった。
俺は校長室を出て、やっと帰ろうとした。
腕時計を見ると、もう2時だった。テストが終わったのが12時半だから1時間半は喋っていたということだ。
そんなことを考えながら、俺は靴箱の前まで来たところで、別のことを考えた。
電子辞書を机の中に忘れてしまった。
今、そういえば机の中に入れっぱなしだったのを思い出したのだ。
そう思うと、足は勝手に教室へと進んで行った。

教室に入り机の中を見ると、やはり電子辞書があった。
電子辞書を鞄に入れ、また帰ろうとした。
すると、円堂のクラスの教室を通り過ぎた時に足が止まった。
何故足を止める。
俺は自分自身に問いかけた。
そんな答えは、もう分かっているのだ。
オレンジのバンダナが見えたから。
教室の中を覗き込むと、円堂…らしき人は机に突っ伏せて寝ていた。
「…なっ…」
驚きを通り越して、呆れてしまった。
居残りをして居眠りをするとは。何て奴だ。
俺は迷わず円堂の傍まで寄り、勢いよく起こしてやろうと思った。
そう、思ったのに。
何故か円堂の寝ている顔を見ると、起こすに起こせなくなってしまった。
まるで昼寝をする幼稚園児かのように、寝息をたてて眠っている。
そんなに気持ち良さそうに寝られては、起こすほうが困ってしまう。
結局俺は起こすことが出来ず、円堂の隣の席に腰掛けた。
円堂の眠っている姿をじっと見た。
やがて、何故か触れたくなった。何故かは分からない。
ただ、無性に手を伸ばしたくなったんだ。
この気持ち良さそうに眠っている男に。
髪を撫でてみた。
あの、幼稚園児にやるような…いや、どちらかというと犬か。
いつの間にか俺は微笑んでいた。どうしてだろう。
「……んぅ……。…へ…、えっ!?鬼道、何でここに!?」
すると円堂が勢いよく眠りから目覚めた。
「何でここに、じゃない。お前提出物まだ全然終わってないんだろう。
早く済ませろ」
俺は厳しく言い放った。
本当は、円堂の髪を撫でていたことを取り繕う為でもあったが。
「え、あ…本当だ。やべぇ」
「手伝ってやるから。残ってるの円堂だけだろう」
「うん、多分…」
円堂はワークやら問題集やらプリントやらを机に広げて、シャーペンを持つ手を進め始めた。
「こんな量になるまで放っておいたのか」
「サッカーで精一杯でさ」
円堂は屈託の無い笑顔で笑う。その笑顔を見ると俺も笑いそうになってしまったが、
ここで引き下がってはいけない。
「学生の本分は勉強だ。勉強そっちのけで、サッカーだけやっていればいいという話にはならないんだぞ」
「分かってるよ。鬼道ならそういうこと言うと思った」
何故か俺が見抜かれてしまった。

「っわー!やっと終わったー!」
円堂は雄叫びを上げた。体を伸ばしている。
「本当にお前全然やってなかったんだな…」
「ああ!ありがとな、鬼道。助かったぜ」
円堂はまた笑う。全く俺もこの男には弱い。
そんな笑顔を見せられると、怒るにも怒れない。
結局俺はいつでも円堂に負けている気がしている。
「よっし、じゃあ帰るか」
「ああ」
俺たちは互いに教室を出て、学校からも出た。
二人で変わらない街の中を歩いていた。
いつか離れなければいけない道が来ると分かっているから、いつもより歩みが遅い。
「…なぁ!鬼道、サッカーやろうぜ」
いつの間にか鉄塔広場の近くまで来ていた。
「…お前は…。少しくらい休むことも考えたらどうなんだ」
俺がそう言ってみたって、円堂が聞く耳を持たないということは知っているが。
「あ、鬼道に時間がないならいいけど」
「いや、今日は大丈夫だ」
俺がそう言うと、円堂はまるで新しい玩具を買ってもらったばかりの子供のように目を光らせた。
「…はぁ…。分かった、付き合う」
俺と円堂は鉄塔広場まで来て、二人でサッカーをした。
いつもと変わらないようなサッカー。
だけど少しだけ違うように感じるのは、二人きりだからだ。
たった二人のサッカー。
だけど円堂はすごく楽しそうだ。実際、俺も楽しそうな顔をしているのだろう。

そしてついサッカーに夢中になってしまい、腕時計で時間を確認すると、
針はもう6時を指していた。
「もうそろそろ帰らなきゃな」
円堂も俺の腕時計を覗き込んで言った。
「ああ」
俺たちはボールを直して、また帰り道に向かって歩き出した。
やがて分かれ道が来る。進まなきゃいけない。進みたくない。
そんな思いが俺を支配する。
だけどそんな思いも、分かれ道が来るにつれ夕闇に溶け込んでしまう。
他愛も無い話をしていると、そんなことどうでもよくなってくるのだ。
そして、その分かれ道がきた。
「…じゃあな」
俺から別れを告げた。だって重くする必要などないから。
ただ中学生の男子二人が一緒に帰って、分かれ道が来ればあっさりと帰るのは普通なこと。
だけどその普通なことをするのに頭の中でどれだけ考えたことだろう。
一体、俺はどうしてしまったのだろうか。俺じゃないみたいだ。
「…あ、ああ。あの、今日はありがとな」
「いや、大したことはしてない。じゃあ」
俺は別れを急いだ。何故か後ろめたい気持ちを、どうしても隠したかったから。
「…鬼道っ」
「何だ、まだ用があるのか」
「…なんか…その…、えっと、何て言うんだろ…。
鬼道と、離れるのが嫌っていうか…」
俺がどうしても吐き出したくなかった言葉。聞きたくなかった言葉。
もしも“普通”を望むなら、「またすぐに会えるだろう」とか「子供かお前は」とか、何でも言えたはずだった。
ただそこで、円堂の手を握ってしまったことが罪なのだ。
引き離してしまった想いは、もう二度と閉じ込められない。
それはまるで甘い毒のようだった。
―――――――――――――――――――――――――――


…っていう小説です。
分かりやすいように、最初に鬼円と書いておきました。
あと、タイトルにも使い、最後にも書いた「甘い毒」というのを深く考えて頂けたら…と思いました。
甘い毒です。飲み込んじゃいけない毒だからこそ、甘くて飲み込みたくなってくる。
我慢すればするほど欲しくなってくる。
鬼道さんは苦しんでるわけだと思います。
実際何が書きたかったんだ、と聞かれると、
放課後の二人を書きたかった、しかないんですが(笑)。
この小説はずっと前から考えていたので、
早いとこ処理したかったというのも事実です(笑)。
とにかく無事書き終えてよかったです!
昨日書き終えて、昨日更新しようと思っていたら出来ませんでした(笑)。
えーっと、また、アニメ感想&小説載せていきます!
じゃあね!!


イナズマイレブン 腐向け BL 小説

叶わない願い

2010-02-06 19:42:56 | 小説

※腐向けです。苦手な方はご注意下さい。



―――僕は冷たい夜空の下、白い息を吐いた。
どうしても眠れなくて、イナズマキャラバンの天井にある屋上で蹲っている。
今が何時かも分からない。
だけど時間なんかどうでも良かった。
どうせ朝まで眠れないだろうし、日が昇れば皆が起きてそこに何気なく混ざればいい。
時間なんて考えてもないけど、不安が心に纏わりついて離れてくれない。
何が不安なんだろう。
自分のことなのに、全然分からない。
不安で不安で眠れない。
心に重いものが圧し掛かって、どうしても取れない。
…怖い。寂しい。
「…吹雪?お前、寝たんじゃねぇのかよ」
星の囁きさえ聞こえてきそうな静寂な空間に、突然僕の知っている声が流れてきた。
「染岡くん!?どうして…」
「別にどうしたって訳じゃねぇけどよ」
染岡くんは僕の隣まで来て、腰を下ろした。
「染岡くん、寝てたじゃない」
「寝てない。お前もか」
「ふふっ…二人とも狸寝入りだったんだね」
僕は笑顔をこぼした。きっと一人きりじゃこんなこと有り得なかっただろう。
「お前、どうかしたのか」
染岡くんはどこを見ているか定まらない眼差しで、僕に喋りかけた。
「え?」
「なんか…情けねぇ顔してるからよ」
染岡くんは僕の方を見た。染岡くんの視線が定まり、僕の視線と絡まり合う。
「…」
僕は黙り込んでしまった。うまく言葉が出ない。
今、この感情をどんな言葉にすれば上手く伝わるのか。
考えてるうちに、染岡くんが声を発した。
「お前、危なっかしいんだよ。
なんか…ふらふらしてて、今にも倒れそうな…」
染岡くんは脳を絞って言葉を紡ぎ出している。
染岡くんは僕に対して、もやもやする感情をどうにかすっきりさせようかと悩んでいるんだ。
僕も…何か伝えなきゃ。
「…確かに、そうだね。
ふらふらしてるよ。
なんか…不安なんだ」
「不安?何が」
「…分からない。自分のことなのに、分からないんだ。
ただ…心が重くなってるような気がして…。
不安で…。
…!」
僕が必死に言葉を繋いでいると、冷たい手に温もりが加わった。
見ると、僕の手の上に染岡くんの手が重なっている。
「…お前の手、冷てぇな」
「まあ…ずっと外にいたからね」
「…手まで、どこかに消えてっちまいそうだぜ」
「じゃあ染岡くんがずっと繋ぎ止めててくれれば大丈夫だね」
僕は冗談を言った。そう言えば染岡くんは笑って返してくれるような気がして。
「…お前が望むならな」
僕は目を丸くした。まさかそんな真面目な返事だなんて思わなかった。
「じゃあ…」
僕は染岡くんの首周りにそっと腕を伸ばした。
二人の顔の隙間が、本当に本当に少ししかなくなる。
染岡くんの息が顔にかかるくらいだ。きっと僕の息も染岡くんにかかっている。
「キスしてもいいの?」
僕は染岡くんの目を真っ直ぐ見つめて言った。もう二人の息の音しか耳に入らない。
「突き飛ばさないのは、いいっていう証拠だよね」
僕はそのまま顔を近づけた。もう隙間なんてない。
二人の唇が軽く触れるようなキスだった。
それでも中学生の男子同士にとっては大きい出来事で。
きっと忘れることなんて出来ないだろう。
だけどお互いその時間に夢中になった。二人の体全身の神経はこれだけに集中している。
他のことなんか頭に入らないくらいに。他の音なんか耳に入らないくらいに。
ねぇ、染岡くん。僕の寂しさで空いた心の隙間なんて、全部染岡くんで満たして。
もう朝なんか来なくていい。この時間がずっと続けばいい。
それは僕の叶わない願いだった。
――――――――――――――――――――――――――


…っていう100%妄想で出来上がった染吹小説です。
キスさせちゃいました。ここまでならまだセーフでしょうか…。
吹雪はかなり積極的だと思う。カワイイ顔して意外にやる(笑)!
染岡はツンデレ!筋金入りのツンデレ!!
この二人は好きです。ちょっと切ないのも好き。
ずっとイチャイチャラブラブさせるのもいいし、二人のすれ違いとかケンカとかもイイb
吹雪はよっぽどのことがないと照れない。
染岡はよっぽどのことがなくても照れまくり。
一度、吹雪が泣いてる小説とかも書きたい。
吹雪が怒鳴ったりするのとか、ね。
精神状態が不安になる子なのに、泣いたり怒ったりすることがなかなか無い。
やっぱり強い子だなーって思います。
ただ、染岡の前だけでは素の吹雪が在れば、と思うんです。
泣いたり怒ったり…そういう当たり前の感情表現を、染岡だけに示す吹雪…。
M O E !!最大のMOE!!!!!!
染吹の小説ももっと書いていきたいけど、
出来ればリュウジの小説が超書きたい!!!!!!!!!!!!!!!
リュウジ好きすぎるんだ…!!私の小説の中で生きるリュウジが欲しい…!!!!←変態
デザーム様と絡むリュウジとか萌え…!好き好き!!
ただアイディアが思い浮かばない!!!!!!!!!!←一番の問題点
だってさ…リュウジまだ1話分しか出てないもん…。
デザーム様なんかOPだけだもん…。
でも100%妄想で何とか小説作りたい…。
何あのポニテ組可愛すぎる好きすぎる愛してるよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

…何か本当にいつもすいません(汗)。
では~ノシ