田舎のエコノミスト

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異次元緩和への疑問

2023-07-21 14:12:18 | 日記
日本に今、ひょっとしたらスタグフレーションの入り口に差し掛かっているのではではないでしょうか。そう思えてなりません。
その主原因を、黒田東彦元日銀総裁の異次元緩和とゼロ金利政策が引き起こしたものと思えてなりません。
黒田元総裁の異次元緩和とは、貨幣数量説を自己都合に解釈して、マネーを供給したと思われますが、そこには中央銀行が保持しなければならない中立性を放棄しているのでないかと思われるのです。それは、財政法第5条の但し書きを利用して、財政規律を全く無視した第2次安倍政権以降のバラマキによる財政赤字をファイナンスするために、彼は日銀総裁になるために、そしてなってからはその保身のために実質直接引き受けを断行していた。
その理由は、長期にわたる経済の不況と、デフレからの脱出、インフレターゲットでした。
貨幣数量説ではいろいろな異論はあるとしても、少なくとも穏やかなインフレによる景気浮揚が目的でした。今回の異次元緩和は1990年代以降続くデフレスパイラルから続く経済の閉塞感は30年にも及ぶものでしたので、異次元緩和、ゼロ金利政策は許容されるものでしょう。異次元緩和は本来短期的な手段であり、それが民間金融機関から民間そのものに流れなければ物価は上がらない(貨幣数量説の理解に齟齬があるのかもしれません)はずで単なる金融元緩和によってだけでは物価は上がりません。市中にどれほどのもマネーが流通し回転するかだと思うのです(フィッシャーの交換方程式)。その意味で2013年 4月に「量的・質的金融緩和」2016年9月「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」異次元緩和は空振りに終ったと言えるでしょう。けれど、流動性の増加で株価は大きく上昇し、土地不動産価格は下げ止まったという事実はあります。
そして近年、安倍総理は今度は行政がベースアップをお願いすると言う官製春闘を試みました。しかし、賃金が上がったのは大企業だけであり日本企業全体の賃金は30年来そんなに上がっていません。30年間ではむしろ下がっています。その大きな原因は中小企業の給与が上がっていないのです。大半の国民の生活は決して向上はしていないとおもいます。
大事なことは、異次元の金融緩和や、イールドカーブコントロールを行い国債発行金利をゼロ近辺に財政規律を捨象し、官製春闘となりかねないベースアップを企業に依頼しても、すべてが空振りに終ったように思えます。
そして今、黒田元総裁の長期にわたる日銀政策が行った矛盾は外国金利の引き上げにより大幅な円安を迎えることになりました。勿論、輸入インフレ(コストプッシュインフレ)を招きました。
円安で給与を上げる事が出来るのは輸出関連企業、大企業だけとなり、低・中所得者層の生活を圧迫する事態になっています。行き過ぎた円安の是正には政策金利、イールドカーブの見直しがされなければならないのですが、国債の借換債の金利負担が増加すること、日銀の保有国債の大量の含み損が拡大し、前代未聞の中央銀行の債務超過にもなりかねません。
いわゆる、長期にわたり金融政策のみに頼ってデフレを食い止めようとしたことに間違いがあったのではないでしょうか。デフレはGDPの増加、個人消費の拡大によってしか回復しないということではないかと思えるのです。
経済成長のためには経済実態と乖離した生産様式を変革するいわゆるイノヴェーションを起こすことだったのではないでしょうか?行政がなすべきことはイノヴェーションの取り組みに力を入れサポートするべきだったと思えるのです。
その結果として、今日本で起きていることは正に(輸入)インフレの中の経済不況と言うスタグフレーションに突入しているように思えてなりません。輸入インフレは金利政策と経済のファンダメンタルズを改善しない限り改善しませんが、日銀の言うように「今この景気化ではイールドカーブコントロールの見直しが出来ない」とするなら、この悪性インフレが続くことになります。そんな意味で今日本経済がスタグフレーションの入り口にいるのではないかと懸念するのは、私一人でしょうか?そして、スタグフレーションがどれほど国民生活を脅かすのかを懸念するのは私一人でしょうか。
そして異次元緩和の是非に疑問を持つのは私一人でしょうか。
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