こんなことがありました。

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z6Ⅲのダイナミックレンジについて 追記 7/9

2024年07月08日 | 機材について
ニコンZ6Ⅲのセンサのダイナミックレンジの値が話題になっていました。
ニコン「Z6III」のダイナミックレンジと高感度ノイズの計測データ

このテストはISOを替えてRAWで撮影し、その撮影画像からダイナミックレンジを求めているようです。
こちらにいくつかの機種のデータをコピーしてみました。

どの機種のグラフでも、同じ角度の右下がりの線となっていますが、これは高ISOで撮影するとダイナミックレンジが下がることを意味しています。
イメージセンサは、まず各ピクセルのセンサに電荷を蓄積し、ADコンバータで読み出し、画処理エンジンのそのデジタル値を処理しているわけですが、センサ側で何らかの増感をおこなわなければ、ADコンバータで読み出した値は、光量が少なくなる(高ISOで撮影する)とともに小さくなりダイナミックレンジは小さくなります。なのでこの直線の傾きは、光量の変化に比例し、どの機種でも同じです。
ISO800以上の高感度領域ではダイナミックレンジはほぼセンササイズにより決まるようです。フジフィルムのGFX100は44×33mmと巨大なセンサですが1億画素もあるので1ピクセルごとのサイズはフルサイズの6000万画素相当でかなり小さい方ですが、こちらの測定ではあきらかにフルサイズセンサより良好です。
また最新のソニーセンサーでもAPS-Cではフルサイズセンサに及ぶことはなさそうです。余談ですが、ソニーはほとんどのセンサが裏面照射タイプですが、こちららもダイナミックレンジ的には特に広い訳ではなく、通常のタイプのキヤノンR5とほぼ同等です。
このグラフはところどころで折れ曲がっています。これはセンサ側でゲインを切り替えていると思われます。センサはある一定値以上は電荷を蓄積できないので、ISOの低感度側には限界があって、これ以上光量を増やしても(ISOを下げても)低照度部分は出てくるのですが、明るい側は白飛びが起きて結局ダイナミックレンジが伸びることはなくなります。これで設計上の低感度ISOは決まって光量が下がるごとに、ダイナミックレンジも低下してしまうのですが、これだと高感度側のダイナミックレンジが伸びないので、何らかの手段でADを行う前にゲインを上げてより高い電圧でADをおこなう仕組みになっています。2段階のものが多いのですが、これにより各センサーの個性が変わります。
Z6Ⅲのぐらふを見ると、高感度に切り替えた後は他のフルサイズセンサとほぼほぼ同じようですが、それより低感度側ではダイナミックレンジが下がって、APS-Cサイズのセンサ並みに落ちています。これは実写で確認した記事もありました。大幅にアンダーで撮影し、フォトショップ等で明るくした画像を見て比較すれば良いのですが、個人的には低感度で撮影した写真を5段も明るくするといった使い方は普通しないので、あまり気にしなくて良いように思います。夜景などそもそも光量が少ない場合は、大幅にアンダーな領域があることもありますが、この場合はある程度ISOを上げるのが普通でしょう。また物凄い輝度佐野ある被写体を表現するのであれば、HDR撮影する方が部分的にフォトショップで加工するより効果的なように思います。
ただなぜ低感度のダイナミックレンジが低い設計になっているのかは良くわかりません。高速化の弊害が考えられますが、高速でもADの精度は変わらないというのがZ6Ⅲの売りだったはずです。コストダウンのため裏面照射ではなく、通常センサになっているのかとも考えましたが、この程度のピクセル数で影響が出るとは考えられません、だいぶ前ですがソニーが言っていたのは2000万画素の1インチセンサーは裏面にした効果があったということだったので、フルサイズセンサだと1億6000万画素クラスであれば影響するかも知れませんが、これよりずっと少ない画素数、つまりセルサイズが大きいので影響がこのように明確に出ることはないように思います。
かなり穿った意見ですが、Z6Ⅲにはまだ使われていない静止画用の遅いモードがあり、低感度ISOの設計はそれに最適化されているのではという想像しています。ニコンがZ7Ⅲで最高画質に挑戦する可能性は高いと思います。その場合動画は10Kオバーサンプリング8K録画であれば、まあ最高画質でしょうし、16ビットADで6000万画素の画像もフルサイズとしてはもちろん最高画質と言えるはずです。16ビットADは当然14ビットADよりは低速になるはずですが、もともと8K対応できるスピードであれば従来機並みのレスポンスは期待できるはずです。これを見据えてz6Ⅲは開発されているのでは?というのが私の希望的観測です。
なので出るかどうか判らないZ7Ⅲを待っているのですが、その前にキヤノンR5Ⅱの発表があります。こちらも詳細が良く判らないまま噂が先行していますが、あまり重くならなければ良いのですが、価格はUS$でZ8と同じぐらいという噂ですし、安くはないとあきらめています。
【追記】2024/7/9
人の目のダイナミックレンジは、あまり広くないと思っていたのですがちょっとWebを調べていてわかったことがあったので、追記しておきます。
第25回 人の眼 と 器械(カメラ)の眼(その2)|CCS:シーシーエス株式会社
肉眼はセンサと違い、絶対的な明るさではなく、「視界の中での相対的輝度比(コントラスト)で明暗を認識」しているそうです。このため輝度差が極めて大きい室内と窓の外を見てもそれなりに両方が見えますが、写真に撮るとどちらかがつぶれてしまうか、極端に軟調な写真とするしかありません。なのでいずれにしてもそのような被写体では部分的に補正をおこなう必要があります。
コメント
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