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法隆寺聖霊院 聖徳太子太子座像 聖霊院御影 古代史探訪

2018-05-03 22:22:15 | 評論
法隆寺聖霊院の真実 古代史探訪

 法隆寺聖霊院(ほうりゅうじしょうりょういん)(国宝)は、法隆寺西院東室に隣接して建てれている。十二世紀初頭、東室が倒壊した後、「太子信仰」が盛んになる中で、1121年(保安2年)再建された際に、東室の南三房を改造して、聖徳太子の尊像(平安末期)を安置するために聖霊院を造立した。
 内部は、外陣・内陣・後陣に分かれ、内陣の奥には、三間幅の厨子が置かれ、中央の厨子には本尊の「聖徳太子太子座像」(国宝)、左の厨子には太子の長子・山背大兄皇子や殖栗皇子(えぐりのおうじ)の像(国宝)、右の厨子には太子の兄弟皇子・卒末呂皇子(そまろのおうじ)や高句麗僧・恵慈法師の像(国宝)が安置されている。
 聖霊院は、その後、1284年に全面改装され現在の姿になる。
 「聖徳太子太子座像」は、「侍者像」とともに秘仏で、毎年3月22日(旧暦2月22日)の「お会式」(御命日法要)の時に御開帳される。
 さらに10年に一度、「法隆寺聖霊会」と呼ばれる「大法要」(大会式)が華麗に催され、三方楽所南都方(さんぽがくそ)の伝統を受け継ぐ舞楽が奉納されるとともに、舞楽の調べにのせて、西院から東院へ境内を練り歩く行列が行われる。行列の 中心は、聖徳太子七歳像と南無仏舎利が乗せる神輿である。
 一方、四天王寺では、聖徳太子ゆかりの寺としての大法要、「聖霊会」が聖徳太子命日(旧暦2月22日)に催される。境内六時堂前にある石舞台では、三方楽所天王寺方の伝統を受け継ぐ舞楽が披露される。


法隆寺聖霊院 鎌倉時代 国宝

■ 聖徳太子座像(聖霊院御影)
  木造 造高 84.2cm 平安時代 国宝 法隆寺聖霊院

 法隆寺聖霊院には、「聖徳太子」四十五歳のときの姿を表したものと伝えられている「聖徳太子座像」(「聖霊院御影」)がある。
 「法隆寺別当次第」等の記事から、平安時代末期の1121年(保安2年)の造立、開眼とされ、平安時代前期を代表する聖徳太子彫像である。
 「聖徳太子座像」は、重要な神事の際に用いる冠、「巾子冠」(こじかん)を頭に着け、さらに頭頂には「冕冠」(べんかん)を戴き、儀式用の「笏」を両手で持ち、赤色の「袍」(ほう)を着用する束帯姿である。精緻で巧妙な技法で彫られている木彫で、静謐かつ威厳に満ちていている像である。
 こうした衣冠・把笏の姿は、「唐本御影」と極めて似た姿で、「唐本御影」を参考に造立されたと思われる。
この「座像」は、「冕冠」を被っているが、「冕冠」とは、中国に由来する冠の一種で、中国では皇帝から卿大夫以上が着用した。「冠」の頂から下がる「冕流」という玉飾りの本数に身分による違いがあり、位が下がるに従って本数が減るという。倭国では、天皇と皇太子のみ着用が許され、即位、朝拝、朝堂の儀に被るものとされた。
 「冕冠」を被っており、わずかに口を開いていることで、経典を講ずる壮年期の姿に比せられているため、「勝鬘経講讚太子」像とする説もある。
 顕真も「聖徳太子伝私記」の裏書で、これを太子三十四歳の「勝鬘経講讚御影」としている。
 しかし、通常の「勝鬘経講讃像」は、「「巾子冠」(祭冠)を戴き、「袍」(朝服)の上に「袈裟」(僧衣)を着し、「麈尾」(仏具)を執る姿であらわされているが、この「座像」は、「冕冠」を戴くが、「袍」のみを着し、両手で「笏」を執る姿で、通常の「勝鬘経講讃像」とは大いに異なっている。
 「聖徳太子座像」は、「勝鬘経講讃像」と「摂政像」がもつ要素が折衷された形で表され、聖霊院像がいかなる像であったのかについては、検討すべき余地を残していると思われる。
 像内には、蓬莱山形の台座の上に立つ白鳳時代の救世観音像や法華経、維摩経、勝鬘経を書写した三巻の経が納められていた。





2017年9月1日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
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