やぶにらみ抄

 世の中斜め向きの姿勢で生きてます

「かもつれっしゃのうた」にうそがあった

2008-01-20 19:15:47 | Weblog
 「かもつれっしゃのうた」をご存知だろうか?
 もう今から30年以上前に「おかあさんといっしょ」で歌われていた曲である。
 ここで運ばれていたものは、自分の記憶に間違いがなければ、牛、馬、石炭、大型バスだった。
 今まで、何の疑いもなく、これらを貨物列車で運んでいた、と思っていた。

 しかし、趣味の対象が鉄道からバスに移ったとき、この歌にはとんでもない間違いがあった、と言うことに気が付いた。
 牛や馬は家畜車で運んでいた。石炭は石炭車で運んでいた。で、大型バスは?
 車運車、大間違いである。車運車で運べる自動車はいいところ3ナンバークラスの普通乗用車だ。長物車。これではない。大物車。これも違う。

 結論から言えば、大型バスは鉄道でなんか運ばない。自走である。車体もちゃんと乗っかった状態はもちろん、シャーシメーカーから、車体メーカーに移送されるとき(一部の小型バスを除き、バスはシャーシと車体は別のメーカーが作る。今は車体メーカーもシャーシメーカーの系列化にあるところが多いが、あくまでも会社としては別)もだ。一見すると、骨組み丸見えで、運転手も吹きっさらし状態になるが、この状態でシャーシメーカーから車体メーカーへと移送されるのだ。
 なぜ鉄道で運ばないのかというと、工場への引込み線がないというのもあるが、それより大きな理由は鉄道には車両限界というものがあり、断面がこれ以上大きくなってはいけないよ、という基準を定めているからである。大型バスを鉄道で輸送しようとした場合、幅はともかく、高さはひっかかってしまう。というわけで、バスを鉄道車両で運ぶ、と言うわけにはいかないのであった。

 まあ、作詞者は何を入れるかあれこれ迷ったあげくに、大型バスにしたんだろうけど、その辺の知識があったら、たぶん別のものを選んだだろう。これ以上、あれこれ言うのも野暮だから、この辺はこれくらいにしておこう。

 でも、大型バスがどうのこうの言う前に、もうこの歌は封印しなければならなくなっていることはご存知だろうか?
 理由は
 
 家畜は今時鉄道輸送はしない。生きている状態ならトラックか船である。もし、牛とか馬が鉄道で運ばれるとしたら、それは生きている状態ではなく、肉などに加工された状態でである。
 石炭も今は日本の炭鉱がことごとく閉山となり、輸入炭が幅を利かせる時代では、船による輸送が主である。
 大型バスについては、すでに触れた。

 そしてこれが子供でもわかる極めつけの理由。
 今時の貨物列車には車掌車(あるいは車掌室付の貨車)は連結しない。つまり、車掌さんは一番後ではないのだ。

 あの歌は古きよき時代? の「かもつれっしゃのうた」であり、今時の子供には理解できない内容なのである。そもそも「貨物列車って何?」と言う子供も今では多いのではないだろうか?
 その子たちに聞かせても何がなんだかわからんだろうなぁ、この歌は…