ぼくんちの食事

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トップ・パティシェ

2011年07月12日 21時36分24秒 | グルメ・クッキング
トップ・パテシエ
いま日本の菓子市場は、世界の注目を集めている。
ヨーロッパの有名パティシエがこぞって日本に出店する一方で、日本人パティシエたちは、各国のコンクールで賞を総なめに。
本場ヨーロッパでも老舗の店と並ぶ有名店になっている日本人パティシエの店もある。
メディアに登場するパティシエたちは、色とりどりの菓子に囲まれ、女性にも大人気。
だがその裏側で繰り広げられる菓子作りは、体力勝負なうえに、鋭い味覚や材料・製法についての膨大な知識が求められる。
地道で、そして奥深い世界だ。
スイーツブームを牽引する人気パティシエ3人が、その創造性と知られざる努力を語る。


鎧塚俊彦
1965年生まれ。フランス・オーストリアなどで修行を積み、2000年、日本人初の三ツ星レストランのシェフ・パティシエに抜擢される。
2004年東京に出店。「出来たてをその場で食べてもらう」という独自のスタイルで、究極のおいしさを追求。
「マーケティングしちゃいけないと思う」鎧塚俊彦
長年の修業を経て独立し、複数の店を経営する人気パティシエたち。職人であると同時に経営者でもあるがゆえのジレンマを抱えているという。
高木は、原価計算をはじめとするお金のマネージメントをきっちりしなければいけないと言いながらも、どうしても使いたい素材に出会ったときには利益を度外視しても使ってしまうという。
一方サントスは、実力も経験も異なる18人のスタッフとともに、毎日同じ味で大量の菓子を作る苦労に言及。
‘比重を計る’など、客観的に味と品質を管理する様々なシステムを導入しているが、結局最後は自分の目と舌でチェックしなければ、味は守れないという。
そして、話は鎧塚が提案する‘デザートライブ’スタイル(お客さんの目の前でスイーツを作り、出来立てを食べてもらうスタイル)に展開。
菓子作りの裏側まで見せてしまう鎧塚のスタイルを、「商品をお客さんに買ってもらうためのマーケティング戦略」と受け止めた高木に対して、
鎧塚は強く反論。「儲かるか儲からないか」ではなく、あくまでおいしさを追求する職人のこだわりが生んだスタイルなのだと語った。時代を牽引するトップ・パティシエ3人の哲学がぶつかりあった。


高木康政
1966年生まれ。フランス・ベルギーなどで修行を積む。
1992年、フランスで伝統と権威を誇るコンクール「ガストロノミック アルパジョン」で日本人最年少優勝。2000年東京に出店。
豪華で独創的なスイーツを作り続ける、パティシエブームの先駆け。
「菓子屋にもエンターテインメントがなきゃいけない」高木康政
スイーツの味はもちろん、‘見た目の美しさ’も求められる今の時代。
お菓子には「ワクワク感やエンターテインメントが必要だ」と考える高木は、美しさに加えて人々を驚かせる独創的なアイディアのスイーツを生み出してきた。
新作のアイディアは、日々思いつくイメージをノートにデッサンして、蓄積しているという。一方、新作を作る時に「デッサンはしない」というサントスと鎧塚。
二人ともまず中身の構成を完成させてからでないと、飾り付けにとりかかれないという。
鎧塚は、本当に見るべき‘見た目の美しさ’とは、ケーキの切断面の美しさや、表面が乾燥していないかどうかなど、職人の仕事ぶりが垣間見れる部分だと力説。
さらに、見た目がよくてもおいしくなければお客さんは買わないのだ、と続けた。
これに対して高木も、一度つかんだお客さんを離さないために、本質的には味が大事だと同意。スイーツの見た目をどれくらい重視するかについて、3人の考え方の違いが浮き彫りになった。


サントス・アントワーヌ
1969年生まれ。フランスの名店でシェフ・パティシエを務めた後、1994年来日。
2003年、都内で製菓教室を兼ねた菓子店を開く。
2009年のパティシエ世界大会ではフランス代表の主将を務めた。
日本人好みのふんわり、しっとりしたスポンジにこだわる。
「ショートケーキ作りたくなかった」サントス・アントワーヌ
ケーキの中でも定番中の定番、ショートケーキ。欧米から伝わったものかと思いきや、実は日本生まれ。海外ではほとんど作られていない。
スイーツの本場ヨーロッパで腕を磨いた3人にとって、この日本独特のケーキに対する思いは複雑だ。独立当初、フランス仕込みのスイーツにこだわりショートケーキを作らなかったサントス。
しかし、ショーケースにショートケーキがないと客が帰ってしまうという事実を目の当たりにし、ショートケーキの開発に乗り出した、という苦いエピソードを語った。
一方、鎧塚は8年間のヨーロッパ修業から、(ショートケーキで使う)スポンジ生地以外にも、いろんな生地があることを日本で伝える使命感を感じながらも、ショートケーキのためにどうオリジナルのスポンジを生み出すか、試行錯誤していることを吐露した。
そして高木は顧客の希望に応えるために、経営者感覚ではショートケーキを作りたいが、実はパティシエとしては作りたくないという、職人の正直な胸のうちを明かした。


7月4日 (月曜日)22時~NHK放送 DEEP PEOPLEより。
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