IL VENTO since 2005

イタリア語で「風」を意味する30~60代を中心にした
バイシクルフリークたちのクラブチーム

投 錨 記

2007年12月22日 | レポート
 荒海にもまれ船体を痛めつけられた小船は、風と波を避け、港に投錨して、しばしの休息を得た後に、また大海原に乗り出して行く…

予兆
 この一年、早春に父の病気が悪化し、3月に入院した後僅か3週間ほどで亡くなって、以後何かと雑事が続いた。また、仕事の面でも、年齢的に転機を迎え、社内体制を根本的に見直す時期にもあり、いわば「経営革新」の実行を迫られていた。他にも、業界団体や行政からの区に関する懇話会の委嘱など、雑務も増えていた。
 それに追い討ちをかけるように、夏を過ぎる頃になり、事務所の移転もせざるを得なくなり、幸い適地も直ぐに見つかったものの、移転を11月末に決めたものの、その間も日々仕事に追われていた。
 しかし、自分ながらに、それほど切迫感はなく、スケジュールを淡々とこなしているという感じで、ストレスも貯めることもなく順調に仕事を進めることができた。
 その理由のひとつは、やはり週末の自転車のお陰であろう。夏以降、毎週末天候も順調で、毎月平均500kmは充分こなせていた。
そして、11月の事務所の移転も、予定通り無事終了し、それに関連する一連の手続きなども完了した。また、同時に進めてきた、社内体制の見直しの第一関門も、予定通り通り過ぎ、次へ駒を進める所まで到達できた。
 そのような中で、「師走ラ~~ン!」などという企画らしい企画でもないランを12月9日に実施して、久々にメンバー数人と湯ノ島方面を走ることができた。が、明けて10日以降、今思えば「予兆」が発信されていたのだった。

発症
 最初に気づいた僅かな異状な現象は、10日はジテ通だったが、帰宅時になぜかいつもよりペダリングが重いな、と感じたことからだった。
 翌11日は、400mほど離れた駐車場から事務所まで、いつもより遠く感じたこと、軽い咳が出たこと、でも発熱はないので、「風邪には気をつけよう」と心の中で思ったこと、等々何となく体調が思わしくないことを感じ始めていた。
 そして、その日の昼過ぎに、市役所に行ったついでに立ち寄った妹夫婦のところで、首筋から頭の辺りが重いと告げたら、「それはきっと血圧だ」と、簡便な血圧計を渡されて計測したところ、137だったが、歩いた後でその数値は、低いとは言えないが、驚くほど高いという数値でもないだろう、とは思ったが、それでも気になる点だった。夕方、帰宅してから、マッサージチェアに座って、首筋から肩、背中を揉みまくった。
 しかし、体調はますます不調を覚え、翌日は結局仕事を休むことに…

 その後、週末に向けて、一旦快方に向ったように思えた。週末には、BWの忘年会に妻と娘を同伴して参加することになっており、それまでには元気になるだろうとたかをくくっていたが、15日の朝、起きてびっくり、なんと身体の節々が痛み、歩くのもままならない。
 そう言えば、金曜日頃から、脚を中心に発疹が出てきたので、ネット検索して調べると、「帯状疱疹」の記事が引っかかったが、痛みの状態や発症場所などを考えると、帯状疱疹ではなさそうだった。
 日曜日の朝起きると、更に両足首、両膝周辺、左右腕から肘周辺、両手の親指など、関節周りが痛んで、ふとんから起き上がることも大変な状態になっていた。一旦立ち上がってしまえば、何とかなるのだが、とにかく関節周辺の痛みに、力が入らず往生する。
 月曜に、皮膚科で診察を受けることにして、その日は、自転車はおろか、何もできないまま日暮れて行った…
 
受診
 月曜日の朝、タクシーを呼んで、市内の皮膚科に向った。患部を一瞥して、「ここでは治療はできないので市立病院に紹介状を書きます」とのことで、幸い目と鼻の先の病院まで、何とか足を引きずって辿り着いた。
 診察の結果、血液検査の結果を見ても、大変な病気ではなく、説明によれば「皮膚が風邪を引いた状態」とのことで、ウィルスによる疾患のひとつらしい。「帯状疱疹」といえば、泣く子も黙るようなメジャーな病名はつかない、名もなきマイナーな病気ではあった。
 でも、変な病気ではなさそうで、内心ほっと一安心! 次回は、一日おいた19日が再診日と決定。
 それから、薬を受け取って帰宅したが、症状を改善するために、「アレグラ錠」、痛みを抑える「ロキソニン錠」と胃の粘膜を保護する「ムコスタ錠」を服用し、皮膚の炎症を抑える「メサデルムクリーム」を塗ることになる。

疑似体験
 「これで快方に向うだろう」と思ったのが甘かった!
 その日、寝付いて2時間後くらいしてから、身体の節々が痛んで眠れない。痛み止めを飲んだのに、と思ったのだが、考えたら「食後」ということで、早目の夕食の後に服用した痛み止めが、8時間ほど経過して、効果が切れたのだろうか? そのまま、痛みをこらえながら眠れないまま朝を迎えた。
 相変わらず、起き上がるのが非常に困難で、まず寝返りをうって、右ひざを布団に着く状態に持って行き、左足を左側に送り出し、イスラム教徒の祈りの姿勢のような形になる。ここから、右足裏を畳につけて痛みをこらえつつ立ち上がり左足を同調させる。スクワット状態になったら、両手を膝に当てて、グッと立ち上がる(このとき、痛みに耐えかねて、心の中で罵詈雑言を発している)。
 自分なりに分析すると、当然関節炎や筋肉痛ではないので、患部が痛むのではないのだが、立ち上がるために筋肉に指令が飛んで、筋肉が働き始めると、その力が皮膚に伝播し、皮膚が刺激を受けて痛みを発する。その結果、ちょうど関節やその周辺の筋肉が痛みを発しているように感じるのだろうと思われる。試しに、その動きの最中に関節や筋肉を指で押したり触ったりしても、別にどこもいたいわけではない。また皮膚そのものも、その時点で触れても痛みを感じることはない。まさに「バーチャル・ペイン」といった現象で、怪我などの痛みとはちょっと違う妙な感覚である。
 今回このことを通じて、痛切に感じたことは、今後どのような道を進むにせよ、身体が不自由になるということがどんなことなのか、そして普段何気なくできている、一挙手一投足が、実は大変微妙な筋肉と関節の働きで、あのようにスムースにできているわけで、何一つ欠けても、突然不自由な身体に陥ってしまうのだということだった。

出港準備
 今日は、22日土曜日、今朝起きたときに、大分快方に向かったことを実感。 まだ時間はかかるものの、この二日ほど、息子のベッドを使っていたのを、自分の布団に戻ったのだが、そこからなんとか立ち上がることができた。朝食後の痛み止めの服用も止めてみる。
 歩行も大分スムースにできるようになったが、自転車に跨るまでには回復していない。それに、四肢以外にも、舌の先にできた小さな腫れ物が、モノを食べたり喋ったりすると、時々しみて大変痛い!

 明日は雨の予報も出ているから、ここはしばらく焦らずじっと我慢を続けよう。
 三ヶ日まで往復してもさほど疲れることもなく、日々過ごすことができたいた頃が不思議なくらい、僅かな距離を歩くことさえ困難な日々のこの一週間だったが、「たまには休めよ」という指示なんだろうと、ここは潔く受け止め、しばらく自転車のない生活を味わっている。
 この充電が、また新たな気持ちをもたらしてくれるだろうと楽観の気持ちをもって、近づいてきた出港の日に備えて準備を始めよう。

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジックリ充電して下さいね(*^-^)b (たかまるき)
2007-12-22 16:08:41
Toshさん、今年一年、自分では気がつかないほどのストレスを溜めてしまったからではないでしょうか。お大事にしてくださいませ。ジックリ充電して、来年に備えましょう!!快方に向っているというコメントを見て、ホッとしております。(*^-^)b
オイラもナカナカ今月は乗れていません、まあ、しょうがないですね。でも、コレが案外体を休めることになっているのでしょうね。
今年最後のランを考えていますが、大晦日にちょこちょこ位になっちゃうのかな・・・。
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恵みの雨か? (ヨネーニョ)
2007-12-22 17:21:08
○ Toshさんへ「無理しなさんな ☆ 」 とでも
   言う様な雨が降ってます。

  たかまるきさんが仰る様に、自身でも気づかない
   うちに、心身に疲れが溜まったのでしょうネ


  ここは、ひとつ ゆっくりと休養なさって下さい
   決して、焦られる事などありません。

  Toshさんの休養中に、差をつけてやろう!
   などという大胆な策略も持ち合わせて
    おりませんので ・・・

  私も、那覇以降は、自転車はおろか ジョギング
   さえも行っておりません。

  毎年の事ながら、新年を迎えるための雑事に
   追われ、疲労も頂点を極めようかと・・・

  Toshさんが再出航できる状況になられましたら
   また、ご一緒させてください
                    ☆

  おっとと・・・その時は、当方が寝込んで
           いたりして ・・・・

   50歳代後半の同期として

  お互い、老体を労わりましょう

                 (^^)

                      ☆
  
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大変です (o)
2007-12-22 21:25:10
皮膚の感染症ですか。
原因は免疫力の低下でしょうか。
養生して下さい。
2~3週間休んだほうが筋肉と内臓の累積疲労がとれて登りが強くなる可能性がありますので、焦る必要はありません。
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リカバリーモード (Tosh)
2007-12-22 22:38:18
皆さん、暖かなお言葉を有難うございます!
今日になって、急速に快方に向かい出したことを実感しています。
この時間(22時過ぎ)になって、カーペットにぺったり座った状態から、片手を添える程度で立ち上がれるようになりました。
「這えば立て、立てば歩めの我が心」です。
夕方には、歩き過ぎて「保護材」が無くなってしまったクリートを交換したり、新しいシューズ(来シーズンの本チャン用)にもクリートを取り付けたりしながら、しばらく頭の中からも遠ざかっていた自転車との間合いを詰め始めました。
最初は、ローラーで脚の具合を見るところからスタートしようと思いますが、それがいつかは未定です。
今回は、自分でも不思議なほど、焦りはありません。
皆さんからのアドバイス通り、焦ることなく、身体を充分休ませ、気持ちの方も、「早く乗りてぇ!」と気分が高まって来るのを確かめながらスタートしたいと思います。
筋肉と内臓の蓄積疲労の取れた、改造ボディによるヒルクライムの結果を楽しみに・・・ふふふ
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>リカバリーモード (masa)
2007-12-25 09:03:17
Toshさん、だいぶ快方に向かっている様子、安心しました。事務所の引越、生活環境の変化など、精神的にお疲れだったのでしょうね。突然おきる体調の変化、こわいですね。健康の有難味を感じました。もう年末ですし、新年に向け、ぼちぼちやりましょう。ぼくは、元気ではいますが、毎年恒例大掃除をこの2週間やりまして、腰は痛いわで、自転車はオアズケでした。

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現場復帰 (Tosh)
2007-12-25 10:30:17
masaさん、どうも!大掃除でいろいろ大変のようで“同情”の念を禁じ得ません!

今日(25日)から、通常の時間に出社しました。
週末の三連休で、大分体調も戻ってきましたが、まだ自転車には殆ど(日曜の夕方、CVARAGGIOのタイヤにエアを入れた後に町内一周した程度)乗っていません。
昨日の午前中、天気が良いので、Madoneを引っ張り出して、チェーンをはじめ細部にいたるまでピカピカに掃除しました。申し訳程度に、リビングのエアコンのフィルター掃除もしましたが・・・
今週末は天気は良くなさそうですね。31日が乗り納めになるのかどうか、微妙なところですが、ここまできたら一刻は争わず、行けるところから始めたいと思っています。
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ご無沙汰です (GOBI)
2007-12-28 23:19:22
ご無沙汰しております。まことに勝手にという感じで本年は大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

Toshさん、あれっという感じでしたが、概ね良くなられているようでなによりです。まずはお大事にしてくださいませ。体が思うようにならないという感覚はわからないのですが、なにやら恐ろしいですね。

私の方はと申しますと、どうしたことか自転車に乗ること自体がますます楽しくなっておりまして、結構乗っております(またランニングも楽しくなってます)。
最近、となり町の上尾がブリヂストンサイクル、アンカーチームの本拠地なのだということを知りました。以前、飯島誠さんのような顔をして、アンカーのジャージ着てアンカーっぽい自転車に乗られた方とすれ違ったことがあったのですが、ご本人だったのでしょうね。間抜けな私は念のいったレプリカさんだなと苦笑しながら会釈したのであります(微笑み返してくださいました)。ブリヂストンサイクル本社、工場には、仕事にかこつけて乗り込もうかと画策中。

お互い、楽しい自転車ライフが続けられるとよいですね。
では!
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panta & HAL(知らないかな?) (OZ)
2007-12-29 08:01:33
Toshさんへ

錨をはずすぞぉ!、錨をはずすぞぉ!、錨をはずすぞぉ!
さあ、出かけるかっ、sailing!!

無理めの所でそろそろ行きましょう
BWの走り納めでお会いできたらいいですね。
GOBIさん、来年もよろしくお願いしまっす。
返信する
マラッカ (GOBI)
2007-12-30 00:00:14
OZさんへ

名作マラッカの「つれなのふりや」ですね。
(わからん人には何のことやら)
ルノー乗り同士ということでよろしくお願いいたします。
返信する
わからん! (Tosh)
2007-12-30 17:46:54
GOBIさん、OZさん、励ましを有難うございます!
明日のBW走り納めの準備として、ロードのテストライド(ディレーラーチェック)しました。取りあえず、錨上げのスタンバイOKです!

さて…
>panta & HAL ⇒ 分からない!

>名作マラッカの「つれなのふりや」⇒ ダブルで分からない!

>ルノー乗り同士 ⇒ へえ“カングー”仲間だったの!?
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