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真衣歌の心~蛸壺の中で

生きているとあれやこれやあるわねえ

ある日の出来事

2020-01-07 11:33:40 | 

見渡す限り広い野原

一面のたんぽぽの花

花が綿帽子を飛ばし始めた頃

この野原に来た

雪解けの後のやわらかい地面

靴が地面にめりこんでゆく

どんどんめり込んでゆき

首まで埋まってしまった


目の前でまだ綿帽子にならないたんぽぽの花が

私に囁いてきた

「お願いだからその暗い目を私に向けないで」

そうだね

こんな首なんかいらない

私は首を外して

代わりに電球を差し込んだ

あたりが明るくなって

たんぽぽは最後の綿帽子になって飛んで行った


外した首も転がって何処かへ行ってしまったが

やがて風に吹かれて帰ってきた

何処へ行っても同じだから

元のところに帰ってきたそうだ

首よ

私の首よ

2度と私の首にはならないんだ

だから持ち主を探しにお行き


あれから何年たったのか

落雷があって

電球は吹っ飛んで

私は地の中で暗闇を生きている

代わりの電球をあげようと言う人もいるけど

私には暗闇がお似合いだ

明るいからって幸せでもないよ

そうだよ

代わりの電球なんかいらないよ


回帰

2020-01-07 11:30:46 | 

うねる海の表を見る

いつもの海だ

このうねりがどこまで続くか

行く先を思う

このうねりに乗って

私は行けるか彼方の地へ


海はもぐるためにあるんじゃなくて

うねりに乗るためにあるんだ

一歩足を踏み入れてみようか

そしてこの地から出てゆこうか

良いことなんか何もなかったからね

悪いこともなかったけど


浜辺に立って海を見ていても

何も始まらない

誰も私を呼び戻してくれない

そうだよ

だからいいのだ

さようならを自分に言い聞かせて

いつかの私に帰ろう

今の私に飽きたからね

君にも飽きてしまったよ

飽きられるまえに言っておくね


合掌

2020-01-07 11:29:31 | 

さようなら 私の懐かしい顔

そして 見知らぬ懐かしい顔

あきらめざる得ないような状況で

別れの言葉すら告げられなかったね

言葉なんかいらないかも知れない

目覚めていても夢の中でも

君たちが呼びかけてくれるから


生まれてくるって言うのは

いずれ死んじまうって事だから

そのうち君たちの元へ

誰もが行くってわけだ

それが遅いか早いかって事だけだ

あれからどうなったか

いつか事後報告に行くからね

それとも 君たちは彼方の国から見ているのだろうか


さようなら 忘れないよ

ぶざまだろうが華麗だろうが

どんな生き様で生きてゆくのか

私には先が見えないけど

これだけは言える

その時その日を精一杯がんばるから

君たちも彼方の国でがんばってほしい

君たちが消滅したと私は思っていないんだから

眠る

2020-01-07 11:26:58 | 

午睡は倦怠を呼び

時は緩やかに止まってゆく

柔らかい砂が耳から鼻から忍び込み

息苦しさで僕は身悶える


現実の喧騒など知らない

現実から背を向けて生きてきた事の

悔悟の念など有るものか

現実はいつかどこかに捨ててきたからね

嘯いていても仕方はないが

それは本当の事だ


だから又眠ることにする

息苦しくとも

眠りの中こそ私が生きている場所だから



歯車

2020-01-07 11:25:37 | 

歯車がかみ合わないもどかしさ

君の心が分からず

私の心が君に届かなくなって久しい

いつか君は私を忘れてしまい

ある日出会った時

どなたでしたっけと言われて

歯車は分解してしまった

どうか思い出してくださいと願いつつ

諦めの境地に陥ってしまった


君は簡単に忘れられるんだね

私は今でも忘れられないでもがいているのに

君は次から次へと

新しい仲間の間を軽快に

飛び回っている

再び語り合うようになれたけど

私の心は宙を見つめている

君が簡単に忘れてしまった私が哀れで

素直になれないんだ


分解した歯車は元に戻らない

例え別の歯車があっても

それは本物じゃないさ

やっぱりきっぱりここいらで別れることにした

どうせ又簡単に

今の私を忘れてくれるんだろう

さようならは言わない