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真衣歌の心~蛸壺の中で

生きているとあれやこれやあるわねえ

乾杯

2020-08-22 21:55:57 | 
ずっと若い頃病んで
酒が飲めなくなった

今になってワインの香りを思い出す
数回だけほんの少しだけ
舐めるように味わった記憶があるワインだ

安物の白ワインだっけ
それとも赤ワインだっけ
出来ればもう一度味わってみたいもんだな

思い出したいなあの頃を
若かったけど
馬鹿飲みしかしなかった
本当の酒の味を知らなかったあの頃を

たかが酒
されど酒
一人になって酒を思う
日本酒も焼酎もウイスキーもビールも
飲みたいと思うほどではなかった
結局ワインぐらいだな
飲みたいのは

思いっきり飲んだくれてみたいものだ
それが最後の願望だから
最後は心残りのワインでいこうか
何かに乾杯だ

酒が恋しい

2020-05-09 23:02:14 | 
酒を飲んでいるわけでもないのに 
酒を飲んでいるような気分になる

酒が飲めるわけでもないのに
酒が飲めるような気分になる

そんな夜は
酒の事ばかり考えて
飲もうか
飲むまいか
自問自答を繰り返してしまう

そんな夜に限って
手元に酒を置いてないから
飲みたい飲みたい飲みたいのに

酒が無いいんだよ


誰かを恋しがればいいのに
酒が恋しいんだよ


旅立ちを決めた日

2020-04-07 19:22:21 | 
氷風を受けて立つ
季節の境界線の中
はるか向こうに見える
懐かしい友の顔
日ごとにかすんで消えてゆき
過去形で語るしかなくなってゆく心中を
自ら哀れんでいる

全ての友に別れを告げてから
何処へ行こうか
何処へ行って如何しようか

桜咲く季節に合わせて
咲くことのできぬ桜が涙を流している

旅立ちを決めた日
蓮氷を見た

季節のはざまで

2020-04-06 11:03:41 | 
長かった冬が終わり
待ち焦がれた春が来た
雪割草の顔を見せ
瞬く間に春はどこかへ行ってしまった
 
後に残されたのは
季節とは言えない季節だ
その季節の中で
春でも夏の始まりでもない冬の名残でもない
不愛想な時間だけが通り過ぎてゆく
 
人の感性なんて
取るに足りないものだね
そう私に言い聞かせて
 
家を出る
あぜ道を歩く
浜に行き海を見つめる
黒ずんだ砂を手に取る
 
指の間から
少しずつこぼれてゆく砂
 
結局何にも考えてはいないんだ私は
 
そんなことはないさ
そんなことはないけどさ

片耳

2020-01-30 11:58:01 | 
片耳を立てる
片耳で聞く
聞くに二つの耳はいらぬ

片耳が豊かな髪から見え隠れしている
耳たぶにピアスを付けている
重たそうに揺れている

片耳で会釈する
チョットね
恥じらっている

ところで
忘れられた片耳は
もう一つの片耳がどうしても思い出せないので
困惑しているようだ