囲碁の果樹園(囲碁の木がすくすく育つユートピアを目指して)

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続々々・囲碁AIの局面評価値

2017-12-24 06:15:55 | 実験

天頂の囲碁7を用いた実験の途中でした。

天頂の囲碁7どうしの自己対戦を、検討機能で十分な時間を使って手を選ぶという方法で実施したのでした。前回掲載した手順のうち、形勢が傾くきっかけとなった戦いは図1から始まりました。

黒Aと黒Bは、第1位と第2位を争う候補で、黒Aの探索回数が3万回の時点で黒Aの黒から見た評価値は49点、黒Bの評価値は48点でした。黒Aを選ぶと、図2の手順で進みます。

黒3のハネコミが強手ですが、白4から大きくして捨てるのが好手で、白6のツケからここをはみ出しては、白の不利は考えられないようです。このあたりの一手一手を検討機能で確認すると、この手順のなかのどの局面においても、第一候補の探索回数が3万回程度のときには黒から見て49点、白から見て51点の評価値になります。ところが、探索回数が10万回に近づくあたりで、黒から見て48点、白から見て52点の評価値に変わり、その後50万回の手前で探索が停止するまでこの評価で安定しているようです。たった1点2点の差なのですが、どうもこのあたりに実戦における黒の「誤算」があったように思われます。図2の時点で、第1と第2候補は黒Aと黒Bです。黒Aの評価は、探索回数数千までは黒から見て50点ですが、その後探索回数が増えるにつれて49点から48点へと下がっていきます。読めば読むほど評価が下がる理由のひとつは、図3から推測されます。

黒1から黒7まで進んだとき、白8がちょっとうるさい様子見です。黒Aならば、白Bと攻めどりを狙う手が魅力的です。左方を打ってがんばると、白Cのすべり、黒Dのツケではハネダシから一部が生きる手がのこり、黒Eでは白Fが追い落としの劫を見て半分利いているために無条件で殺すことはできません。

黒A白Bに黒Gあたりから頭を出して打つよりなさそうですが、その後の手順をいろいろ試してみると、白有利は否定できないようです。かといって、黒1で黒2のハイの実戦がこの進行に優るとも言えません。

結論として、図1の時点で考えたとき、黒Aでほぼ互角という判断はおそらく誤りで、探索回数を多くすればよりよい判断ができたかもしれないと考えます。囲碁AIの戦闘力が先読みの回数に依存するのは当然ですが、3万回でも十分とは言えない場合があることがわかりました。

なお、一般に囲碁AIは探索のなかで乱数を使用しているため、同じ手を評価しても完全に同じ結果になるとは限りません。実験に関するこの3回の記事で記した評価値は、あくまでそのときの実行で得られた値であることをお断りしておきます。



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