鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

庄内医師集談会

2017-11-27 10:14:50 | 日記
第36回 庄内医師集談会

日時:2017年11月26日 13:00-
場所:鶴岡地区医師会館 3F講堂


<小児科関連>

1、髄膜炎を繰り返した髄膜脳瘤の一例
 荘内病院小児科 新井 啓

 副鼻腔炎、→細菌性髄膜炎、→髄膜脳瘤、→手術へ
 鼻腔、髄液から、培養陽性、グラム陽性双球菌 肺炎球菌
 バイタルサイン (体温、呼吸数、心拍数)の診断のきっかけとして重要

2、当地区における食物アレルギー診療の現状と課題
 三井病院 小児科 三井 直弥

 食物経口負荷試験 100例
  卵白>乳>小麦
 庄内、アレルギー専門医がいない
 大人の食物アレルギーは、花粉症と関連していることが多い。

3、高校の海外修学旅行の現状と課題
 三井病院 小児科 三井 直弥

 海外への修学旅行における食物アレルギーや旅行者下痢症の対応について

<消化器科関連> 

4、早期胃がんの1例(ESD拡大切除の再発死亡例)
  ほんま内科胃腸科医院 本間 清明

 内視鏡、CTなどで表層のがんと診断、
 ESD拡大切除:病理、分化型の腺癌、深部、断端 陰性
 41か月後、肝転移、リンパ節腫大、→死亡
 病理の見直しで、一部にリンパ管内に浸潤

5、胃がん検診、胃X線によるハイリスク群集約の有用性と問題点
  ~ABC検診による集約と比較して~
  ほんま内科胃腸科医院 本間 清和

  胃がん検診受診率:山形県1位
  X線検診、みのがし例がある
  内視鏡で、胃癌の発見率が2倍に
  X線で異常なく、内視鏡で発見された35例に、襞(ひだ)の消失、襞の形状変化あり

6、2型糖尿病の悪化にて偶発的に発見された膵こう部原発神経鞘腫の1例
  荘内蟯院 外科 白幡 康弘

  まれな膵臓に発症した神経鞘腫の症例報告
  糖尿病の悪化例、Echo、CTを

<血管病変関連>

7、当院における下肢静脈瘤治療の現状
  ~血管内高周波焼却術導入から1年が経過して~
  庄内余目病院 圓本 剛司

  従来の治療、高位結節、ストリッピング
   →皮膚切開が必要

  血管内高周波焼却術(RFA)(+スタブ法)が主流
  小伏在静脈も可能に、
  90%以上がRFA
  60歳―70歳がピーク、高齢者が多い、若年層にも治療例増えている
  手術時間:40-50分、
  自覚症状消失:100%、膝の痛みの消失:40%、 

8、OCT血管内視鏡が有用であった冠動脈解離が原因であったACS症例  
  庄内余目病院 心臓センター 循環器内科 菊地 正

  42歳女性例、動画で紹介
     
<精神疾患その他、関連>

9、統合失調症の認知機能障害に対するアプローチ
  山容病院 精神科 渋谷 直史

  就労継続率 23-24% 援助付き50-60% 失職率も高い

  統合失調症の症状、陽性症状、陰性症状、

  認知機能障害が就労できない要因となっていることが多い
  認知機能:神経認知 と 社会認知 → 社会的行動障害

  VCAT-J,SCIT、プログラムを導入
   VCAT-J:PCのゲームを使ったプログラム
   SCIT:社会認知、対人関係のトレーニング
 
10、認知症診療における脳神経外科診療所の役割
   くろき脳神経クリニック 黒木 亮

   庄内地方の認知症 1.3万人
   脳神経外科医8名、全国平均の半分
   神経内科医6名、

   認知症:278例 アルツハイマー病212例を経験
   初診時、全員にHDS-R,MMSE,MRI、定期的なフォローアップを実施
   認知症症状の慢性硬膜下血腫の事例を経験した
   認知症治療前の画像診断は必要

11、医師に感染対策上の行動変容を促すための感染対策チーム(ICT)の役割
   荘内病院 鈴木 聡

   ビーフリード(アミノ酸製剤)による敗血症事例が発生 セルウス菌
    混注を禁
    点滴は8時間以内、

   以上のルールを守れるかのアンケート調査 → 概ね肯定的、
   以上、使用料は減少、
   1000mlのビーフリードは使用は禁止とした、
   
 <基調講演>

 2017年3月に発生した麻しんの対応・課題
 庄内保健所長 石川 仁 

  庄内地域に拡がった要因と対策
  追跡、緊急ワクチン対象者の選別、優先的に庄内地域に配備
  企業への協力要請
  ワクチン接種率は高かった    
  情報公開のあり方

 パネルディスカッション
  日本海総合病院 副院長    齋藤 宗一
  川口耳鼻咽喉科クリニック   川口 和浩
  荘内病院 感染管理認定看護師 若松 由紀子
  佐久間医院          佐久間 正幸

 発症(疑い)時の窓口は、保健所で良いのか、
   良いが、県健康福祉部や国立感染症研究所とも連携して対応することになる

 どのように報道するのかは、(保健所ではなく)県の担当者が決めている  

 情報公開の県間での違い
  情報はなるべく公開すべき、地域の意識の問題だと思う、
  情報提供におけるメール(メーリングリストなど)の活用は有効かも

 修飾型の診断
  確定診断には、PCRが有効
  
 パネラーから
  患者を診た医師は、保健所に連絡先を伝えておくことが大事
  麻しんワクチン接種に対するサポート体制の充実を望む
  小児に流行したらどうなる?
   小児はワクチン接種がほぼ完了しているが、問題は1歳未満の未接種児、
  2回接種で、発症例もあった(協立例)
  学校の職員へのワクチン接種の徹底
  
 アウトブレイク時のワクチン供給は十分か?
  国立感染症研究所を通して依頼することができるかもしれない

  

緩和ケア市民公開講座

2017-11-26 16:05:36 | 日記


第11回 緩和ケア市民公開講座
  庄内プロジェクト ~地域で支える緩和ケア~

日時:2017年11月25日 13:30 
場所:三川町 いろり火の里 「なの花ホール」

主催者あいさつ
 南庄内緩和ケア推進協議会会長 土田 兼史

   
来賓あいさつ 
 鶴岡市長 皆川 治
 三川町長 阿部 誠

緩和ケア「庄内プロジェクト」について
 緩和ケアサポートセンター鶴岡・三川 センター長 鈴木 聡

 緩和ケアについて
 庄内プロジェクトについて

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講演「悲しみを力に変える、家での看取り」
 終活ジャーナリスト 
  ライフ・ターミナルネットワーク 金子 稚子(わかこ) 氏
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夫・金子哲雄(流通ジャーナリスト) 
5年前の死 2012年10月2日(享年41歳)
肺カルチノイド(希な肺がん)10年以上前から病気はあった
気道の圧迫、いつ死んでもおかしくない 状態と宣告される
亡くなる2か月前、8月に危篤状態、「ぼくの死に方」 の執筆開始 40日 出版は死後
今日の講演は、夫とともに、ある

「自宅で看取るなんて無理」と思ったが・・
  家での看取りを大切にする
  病状を正確に把握する
  専門家への相談を躊躇しない
  本人の意思を尊重する
  家族の事情も大切に
  地域の情報は地域から得よう 在宅医療は地域で異なる
  他人の例は参考程度に
  緩和医療・緩和ケアについて基礎的なことを学ぼう
  人生の最終段階に起こることを知っておこう
 
発症から死まで課程
 この病院ではできることがありません (病院から出て行ってくれ感がある、)
 ホスピスはどうですか
 
死を前にした時の痛み(スピリチュアルペイン)
 「つらいよ。なんとも言えない苦しさなんだ。もう死にたい」
 「僕の人生はなんだったんだろう」
 「死にたくない。でも、もう死ぬんだよね」
 「これまでしたきたことは、すべて無意味だったってことが、わかったよ」
 という夫の言葉に、背中をさするだけで何も答えられなかった。

  生とは、前に進むこと
 「死ぬ」とは、前がなくなるということ

  これまでの 生き方 では、
  まったく対応できないのが
  「死ぬ」 ということ。
  積み重ねてきた 知識 経験 では、
  到底解決できない難問

  あらゆるつながりが絶たれてしまった痛み
 
 「死ぬ」ことに、懸命に取り組まざるを得ない
 
  お迎えの経験 30%あると言われている
  死の先がイメージできると楽になる
  夫とは、あの世での待ち合わせ場所を約束した
  死ぬまでの生き方の決定=ACP(Advanced Care Planning)
   もしもの時に備えて  
   最期に向けて、大切なことについて
   話し合って、伝えておく

  ◎気がかりなこと,大切にしていること,嫌なことは嫌と短い文章で表現する

 死生観
  死んだらどうなるの? に自分の言葉で答えられること
  大切な人は、どうやって、生き抜いた? 生きざま、逝きざま

 「死ぬことと、生きることは、同じ」


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座談会
  「ひとりじゃないよ、地域で、みんなで」
   
 県立こころの医療センター 看護主査 進行  三原 美雪
 ピンクリボン Tsuruoka代表         瀬尾  美穂
 鶴岡地区医師会 訪問看護ステーション
   ハローナース 訪問看護師        齋藤 典子
 荘内病院 緩和ケア認定看護師        阿部美和子
 コメンテーター               金子 雅子
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 瀬尾:子宮がん(28歳)、乳がん(32歳)から10年
    治療に専念しろと言われ仕事を辞めた、生活をどうするか不安がおおきかった
 
 阿部:治療の進歩があり、家族への支援も充実してきた、
    荘内病院には、サポートセンター(相談窓口)がある 
 
 三原:当地区では、がん患者の治療と就労の両立支援とした、
    からだ館、ほっと広場、ぶちたみ、など多くの活動がある
    
 
 瀬尾:全国の同じ境遇の仲間と励ましあった、我慢しなくて良い、看護師が相談相手、
 
 三原:(支援してくれる人や組織、団体があるので)声をだしてみることが大事、

 阿部:遠慮なく声をかけてもらいたい、

 瀬尾:長女(5年生)には、病気のことを伝えた、いろいろ支援してくれた
    がんばれと言われるのは嫌だった、
 
 金子:がんばれの感じ方は異なる、

 瀬尾:ピンクリボンの活動、
    乳がんで、全国の仲間と繋がった、
    ピンクリボン鶴岡の活動(自分だけががん患者)
    職場での理解が広がったことは良かった点
    羽黒山五重塔をライトアップ、
    自らが声を上げることが大事、身近な人に困っていることを話してみる
    (乳がん患者としての)浴場での辛い経験

 瀬尾:2年前に、夫が直腸がん、生活、治療費の不安、
    医療ソーシャルワーカーへ、生活面などの相談、安心した

 金子:訪問(在宅)医療で、自由な生活を享受できた。

 齋藤:訪問看護のサービスについて説明、声に出すことが大事

 阿部:荘内病院では退院前カンファレンスを行って居る。
    多職種で支える、患者さんが望む療養をサポートすることが目的。

 齋藤:病院と地域、多職種の連携に、Net4Uを活用し、連携がとりやすくなっている。
    
 齋藤:訪問看護では、患者や家族の思いを聞ける、想いを大事にしたいと思っている

 阿部:がん、死をイメージするのでは。最期を話することは、難しい、

 瀬尾:死生観について、夫とはよく話す。

 阿部:患者、家族の言葉は、重みがある。声をかけて欲しい
 
 齋藤:みんなで支え合える地域になればよい
 
 瀬尾:俺もがんばるから、おめも頑張れよ。皆がいて、自分がいる。
 
 金子:医療以外で、人との繋がり、ホントの繋がりに気づいた。
    声をだす、 繋がり、 お互いを支える!



医療情報学会学術大会シンポジウム

2017-11-23 13:33:44 | 日記



11月20-23日、大阪で行われた第37回医療情報学会学術大会のシンポジウムで、Net4Uの報告をしてきました。

実はこのシンポジウム、あじさいネットで有名な松本先生から、一緒にやらないかと声をかけてもらい応募した企画です。

以下、松本先生のSNSへの投稿から引用

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その中でも昨日、私が企画させていただいた公募企画シンポジウム「質の高い在宅医療、介護におけるICT活用の位置づけと課題」では、全国より、最も長いICT連携応用を誇る山形県鶴岡市Net4Uの前鶴岡市医師会長 三原一郎先生、初の島内全医療機関連携を成し遂げた新潟県佐渡市ひまわりネット佐渡総合病院院長の佐藤賢治先生、地域包括ケア幸手モデルでも有名な埼玉県とねっとの東埼玉病院地域連携室長の中野智紀先生、メディカルケアステーションの雄、栃木県とちまるネットの栃木県医師会 長島公之先生、そして我があじさいネットからは、長崎在宅Drネット理事で在宅医療の現場で最もあじさいネットの在宅医療機能を使われている奥平定之先生の早々たるメンバーに御発表いただきました!

これらの皆さん方は、お一人お一人が、皆、お一人での基調講演を依頼される方々ですので、なんとも付加価値の高いセッションですので、おかげさまで会場は立見ありの満員となりました。其々が18分という限られた持ち時間の中で充分に練られた各ネットの特徴と取組みを紹介いただきました。おそらく、全国に散財する各種ICTネットの中で、この5ネットが全てのネットを代表していると思われますので、其々のメリットと課題が明確化したものと思います。その後、30分間しっかり総合討論が確保でき、利便性、必要な機能、コスト、運用継続性の担保、普及に向けた方法等、多くの方々が知りたい情報を議論できたかと思います。

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シンポジウム 「質の高い在宅医療・介護におけるICTの活用の位置づけと課題」

1、地域医療連携システム「さどひまわりネット」を用いた医療介護統合提供体制の構築
  佐藤 賢治(佐渡総合病院)

  「さどひまわりネット」の概要

  病院、診療所、歯科診療所、保険薬局から下記の医療情報を自動収集
  ・レセプト情報より病名、手術含む処置名、院内処方の処方内容、注射内容
  ・外注含む検査システムより検体検査結果
  ・画像機器、PACSから放射線・内視鏡画像
  ・調剤薬局システムから院外処方の処方内容
  介護事業所から下記の介護関連情報を手動またはCSVファイルを介して収集
  ・バイタル、食事量など
  ・ADL、iADL
  ・その他フリーテキストとして記載する情報
  健診データも事業者健診、住民健診、特定健診から検体検査結果のみ収集

  これらは参加施設で双方向に参照可能で、さどひまわりネットには「情報提供施設」「情報参照施設」との概念はない。
  また、医療機関・介護事業所の区別もなく、システムから見ると参加施設はフラットに扱われる。

  参加施設は島内医療機関・介護事業所の約6割と行政(佐渡市)
  内訳は
  ・病院 6/6
  ・診療所 14/21
  ・歯科診療所 6/23
  ・保険薬局 12/20
  ・介護施設 37/57
  住民の同意数は14,716名で約25%です。

  コミュニケーションツール
  ・コミュニケーションボード:患者単位にLINE類似のI/Fでオンライン会話
  ・セキュアメール:通常のメール機能と同等、ケアマネと介護事業者・担当医との連絡に用いられることが多い
  ・生活指導:医師から介護側へ指示、連絡
  ・地域連携パス:項目設定の自由度が高く、職種問わない計画を作成

  費用
  ・初期導入費用:H21年度地域医療再生基金
  ・維持費用(保守、事務局運営):参加施設の利用料による自立運用が基本、佐渡市から限度額ある赤字補填

  課題
  ・医師、とくに当院の2/3を占める大学からの派遣医の多くは積極的に利用しようとはしません。
   当院でもっともアクセスする職種は看護師。佐渡全体でもっとも興味を持つ者が多い職種は介護
  ・全般に利用者は、連携システムを積極的に利用する一部の者と、ほとんど利用しないその他大勢に二分
   稼働後4年経過してもこの姿に変わらない。
  ・利用料が非常に高い。この利用料を他地域で理解してくれるかは疑問。とくに都市部では困難。
   佐渡でもパッケージ化とシステム更新の理由の一つが利用料軽減にあった。
   参加施設の増加やデータセンターを複数地域で利用するなどで利用料軽減は可能。
  ・佐渡では少ない資源を効率的に利用するために、そして人材を確保するために情報共有基盤を核とした体制を整えることが急務。


2、医療と介護を繋ぐ!ヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク「Net4U」
 三原一郎 (鶴岡地区医師会)

  Net4Uが17年間運用できた背景には、鶴岡地区医師会の存在とともに、多様な活動を継続してきたことがある。
  医療情報ネットワーク(2001年~)
   地域電子カルテ Net4U
   患者家族支援ツール Note4U
   2次医療圏を繋ぐ「ちょうかいネット」(ID-Link)
  庄内南部地域連携パス推進協議会(2006年~)
   6つの地域連携パスの運用
  南庄内緩和ケア推進協議会(2007年~)
   緩和ケア普及のための地域プロジェクト(庄内プロジェクト)
  慶応義塾大学生命先端科学研究所(2007年~)
   からだ館
  地域医療連携室「ほたる」(2011年~)
   地域の在宅医療介護連携の拠点
  みどりまち文庫(Midorimachi Lab)(2015年~)
   異業種連携のためのコワーキングスペースの提供
  Net4Uは、在宅医療の分野で着実に浸透している。
  今後は、Note4Uのような患者・家族参加型のシステムの普及が期待される。


3、地域包括ケア時代におけるとねっとの活用とこれからの可能性
  中野 智紀 (ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院)

  とねっと 行政と医師会とのコラボ
  カード(地域共有ID)の発行 救急、健康情報
  とねっと疾病管理MAP 糖尿病の層別化、
  とねっと健康記録 (自己管理)
  とねっととメディカルケアステーションとの統合
  生涯にわたる生活支援体制
  暮らしの保健室”菜のはな” 
  NPO元気スタンド ぷリズム
  おかあさんの知恵 X とねっと
  とねっとを活用した健康づくり
  薬剤師との連携 :調剤情報にとどまらない調剤薬局との連携
  地域防災での活用
  とねっと 2.0 
   生涯を支える公共プラットホームを期待
  会費、
  透析を生む仕組み
  診療情報算定可能
  在宅介護総合基金
 
4、栃木県における医療連携「とちまるネット」と医介連携SNS「どこでも連絡帳」の併用
  長島 公之 (栃木県医師会)

  とちまるネット X どこでも連絡帳(メディカルケアステーション) 

  運営体制栃木県医師会
  どこでも連絡帳
  安全なSNS、完全非公開型
  必要な患者、チームは、主治決定
  患者・家族の参加
  グループ、連絡網
  全国
  ・参加施設数:約27,000施設、
  ・正式採用郡市医師会:約200
  人と人との連携を目指す
  あくまでコミュニケーションツールであり、記録ではない
  顔の見える関係を基盤に
  つながり、チームが深まる
  一体感、即応性、
  医師間との連携が深まった
  まめな講習会
  普及の壁:読み書きの負担、ICTへの抵抗、医療介護連携自体の問題
  グループで、広く多職種を
  服薬適正化アプリ、褥瘡サポートアプリなどが開発元の収入源
 
5、在宅医療におけるあじさいネット利用の価値と課題
  奥平 定之 (奥平外科医院/長崎在宅Drネット)

  あじさいネットについて
  あじさいネットを在宅医療の他職種連携に活用
  かかわるスタッフをグループ登録
  書類などは写真の活用
  入院、在宅、外来記録が一画面で表示可能
  今後の課題、調剤情報システム
  課題、介護職の参加が少ない
  APCにもつかえる



ディスカッション


○機能としては十分か
  満点を求めない、70点で十分という発想が必要では
  Net4Uを電子カルテとして使うには、レセコンとの連動機能が欲しい
  機能よりは、どうユーザーを拡大するかの方が重要

○コストと事業継続性
  Net4Uは医師会負担も、今後はユーザ負担も考慮
  ベンダーが儲かることも必要、
  クラウド化でユーザーを増やすことでのスケールメリット
  とねっと、カネを生むシステム、
   疾病管理に利用することで、医療費の削減に寄与
   市町村がやらなければならないことをとねっとで(市町村からの補助金)   
  佐渡、パッケージ化で商品化 1200万の収入
  メディカルケアステーション、服薬支援のアプリで収入
   カスタマイズは医師会負担で開発→全部で使える
   患者もアクセス可能 →大きなメリットが生まれる
  あじさいネット、会費負担

○普及のために何が必要か  
  患者登録を増やす
   医師が同意をとるのが同意率が高い(佐渡)
   医療圏辺縁での加入率が低い(とねっと)
  ユーザーの参加を増やす
   医師の参加率:病院の意識向上を
   IT連携に対する診療報酬での大幅な加算


以下、松本先生

終わった後は、皆で、記念撮影後、北新地の明石屋で打上げ! 佐藤先生が都合が悪く参加できませんでしたが、代わりに新潟大学地域連携センターの鈴木一郎先生にもご参加いただき大盛会でした。今度、このメンバーで、他の学会でもシンポをやろうとのアイデアもでましたよ! 皆様、大変お疲れ様でした!」
  



からだ館10周年記念の集い:自分、仲間、地域をまるごと元気に!

2017-11-20 17:10:28 | 日記


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からだ館10周年記念
自分、仲間、地域をまるごと元気に!
鶴岡発のコミュニティヘルスをつくろう

日時:2017年11月19日13:30~15:30
場所:三川 いろり火の里 文化館なの花ホール
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10週年を迎えた「からだ館」の10周年記念の集いに参加してきました。
からだ館の各種イベントに関わってきた市民を中心に、さまざまな立場、職種、約100名が参加していました。

6名程度のテーブルには、飲み物やお菓子が用意された和やかなカフェ形式のなか、
からだ館の10年およぶ活動の歴史や全国的にも有名なコミュニティ活動を精力的に行っている3地域の活動を拝聴し、
最後のワールドカフェでは、鶴岡がからだもこころも元気なまちになるためには、というテーマでいろいろな方々との対話を楽しみました。


ごあいさつ(秋山さん)

 からだ館の目指してきたことは、
  楽しく学ぶ
  出会う・分かち合う
  調べる・探す・相談する

   →自発的な活動、自己実現 エンパワメント
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  からだ館10年の活動で見えてきたもの

○調べる・探す・相談する
 がん、生活習慣病、うつ病、認知症など 予防・治療、健康維持などに関する情報発信をワンストップで

 市民からのがん患者からの相談 →情報提供
  心配事を相談することで(話をするだけで)、解決できることも多い
 蔵書
  診療ガイドライン、解説書、闘病期、料理本、など約1500冊
  珍しい疾患の患者会の情報

○出会う分かち合う
  にこにこ倶楽部
   毎月第一金曜日 10:30~12:00
   2009年から、
   お茶、お菓子
   40-90代まで、
   お誕生会
   北風さん:乳癌患者、→編み物の会、
   体験の語り、体験を伝える
   折り紙の会
   
○楽しく学ぶ:自発的な活動・自己実現、エンパワメント
  からだ館健康大学
   食生活や身体活動
    楽しく学んで実践する
    寸劇、ディスカッション、
    排泄を話題に・・吸水パッドの実験、体験、体験型
   化学反応
    認知症を知る
   茨木会:自発的にできた会
    2015年から、農業、職、死生観、地域活動などに学び実践する
    「半学半教」

○これから10年どうする?
   他地域へも広げていきたい、からだ館が目標となるように、
   からだ館の活動を地域の中でさらに広げたい
   からだ館に出入りする人が増えた、市民への普及を目指したい
   もっと、多くの人と繋がりたい

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 「カフェ型コミュニケーションで健康に」


  報告者:
   孫 大輔さん、みんくるプロデュース代表(東京都)
   小泉 圭司さん、元気スタンドぷリズム代表(埼玉県幸手市)
   瀬尾 利加子さん、みどりまち文庫連携コーディネーター(鶴岡市)

  司会・進行:広石拓司さん(㈱エンパブリック代表取締役)
 
 広石氏
  地域活動、健康、
  想いのある人が仲間と協力して新しい仕事・活動を始めるのを応援する。
  いろいろな立場の人の、話し合いの場をつくる
  地域を知る、地域の人を知る、
  自分のテーマから、地域に役立つ新しい仕事をつくる
  ナリワイプロジェクト
  地域包括ケアシステム
  なぜ地域か
  一緒にくらしていくつながり
  気楽に相談できる、気づく、声かけ
  孤立しない安心感、今日用があるが大事
  治す、介護・支援するのではなく、地域のつながりがより重要
 
 孫氏 (そんそん)
  対話による地域の健康づくり
  みんくるカフェと様々な対話活動から

  対話 と 会話 の違い 平田 オリザ
   対話:親しくない人同士の価値観や情報の交換、
  日本における対話活動
   がん哲学外来
   哲学対話おんころカフェ
   みんくるカフェ(ワールドカフェ形式による医療者と市民の対話)
   認知症カフェ
   オープンダイアローグ (精神科領域)

   みんくるカフェの効果
    カフェで認知症に対する態度尺度の変化
    ヘルスリテラシー尺度の変化
    まちけん健康プロジェクト まちけんダイアログ
   バザーリアが行った病院での対話(イタリア) 
    病院のなかでの職員と患者との対話 毎日実施
    その効果
    ・合意形成
    ・他者視点の理解
    ・心配の緩和とケア
    ・エンパワメント:地域づくり、地域を変えていく


 小泉氏 幸手

  コミュニティカフェ「元気スタンドぷリズム」 
  定年退職による生活環境の変化
   居場所がない、孤立、
   交流がない、やることがない、でかけない、食欲がでない、
  知りたい情報として、交流の場の情報が1位、
  誰でも気楽にくつろげる交流の場所、つながる、介護・生活情報の発信、  
  押し付けない介護予防   
  普通の生活を支える仕組み、
  働ける場の提供、子育て支援、 多目的、
  「幸せ手伝い隊」 困りごと、生きがい、繋がり
  レンタルセニアカー
  住民の生活に伴走する役割 各職種へ繋ぐ!
  暮らしの保健室 健康相談 コミュニティーナースが対応 37か所
  コミュニティーデザイナー
   みんなのカンファ、Care Cafe☆幸せ杉
  緩やかなインフォーマルサービスステーション
  主体的な住民参加を促す
   市民勉強会、地域丸ごとアミューズメント
  たけのこ狩りツアーに参加することで、車椅子生活の人が立ち上がった!
  男性の参加を促す →キャバレー開催、歯科医によるパタカラ体操、作業療法士により歌謡ショー
  地域資源冊子「幸せのしおり」さまざまな(インフォーマル)サービスの情報提供
  知り合いがいる →やることがある、→でかける →食欲 →困ったときは直ぐにつながる
 
 瀬尾氏
  医療と地域をつなぐ
   みどりまち文庫の実践報告

  「私が母の生死を決めていいのでしょうか」が出発点
  (医療側は)発信しているが、医療情報は(市民に)届いていない
  鶴岡の社会連携に足りないもの →市民との連携
  みどりまち文庫、ヘルスケアと異業種を結ぶ 場
  ・医療連携ゼミ
  ・紅茶部・料理教室
  ・医療者と異業種交流
  ・管理栄養士X筋肉ジム・福祉用具
  ・超高齢社会Biz Med/carマッチングフォーラム
  ・薬剤師と産直のマッチング 健康ごはん、薬剤師X管理栄養士X産直X食育インストラクター
  ・ペンギンカフェ 認知症カフェ 2か月に1回
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精神医療とパスを学ぶ in 鶴岡

2017-11-20 10:18:28 | 日記



精神科医療とパスを学ぶ in 鶴岡
 身体科・精神科・介護スタッフ 合同研修会
日時:2017年11月18日(土)13:00~17:15
場所:山形県立こころの医療センター

杉浦地域医療振興助成による「精神医療とパスを学ぶ」研修会が、11月18日、こころの医療センターで行われました。
クリニカルパスの基礎的なな学習後、グループに別れ実際に風邪のパスを作ってみました。
休憩のあとは、精神疾患のパスの実践例の講義があり、最後にワールドカフェ形式で精神科医療の課題、身体科との連携における課題、その解決策についてみんなでディスカッション(対話)しました。

皆さんからは、精神疾患への偏見、精神科と他科との連携不足、スタッフの知識不足、患者側の経済的困窮、多職種を繋ぐキーパーソンの不在、などの意見が出されました。

私にとっては、市民を含む対話を通しての相互理解の必要性を痛感した会でした。

本研修会の趣旨(テキストの前文から引用)

精神科医療は、医療のみならず介護、福祉、行政、当事者など多くの人々がチームで関わることが求められています。
そためには、クリニカルパスの活用が多くの恩恵をもたらしてくれると期待されています。
一方で、精神科医療におけるクリニカルパスの理解や実践はまだ途についたばかりです。
身体科(精神科以外の診療科)スタッフ、介護スタッフ、精神科スタッフが共に、クリニカルパスを学ぶ過程を通してお互いの役割を理解し、協働することを目的に研修会を行うものです。

プログラム

・開会あいさつ (神田院長)

・アンケート実施

・クリニカルパス講座
 北里大学医学部精神科学 大石 智

・自己紹介タイム

・クリニカルパス演習
 北里大学医学部精神科学 下村裕美子

 咳の風を治そうパス を つくってみよう
  4人のグループで、パスをつくってみる!
 

・精神疾患クリニカルパス紹介 「服薬自己管理パス」
 山形県立こころの医療センター 三原美雪

・ワールドカフェ
 「退院支援、退院調整、在宅移行の課題」
 
 グループ毎に以下のテーマで自由に対話する

 ラウンド1 「精神科医療の課題」 
 ラウンド2「身体科との連携の課題」
 ラウンド3「精神疾患の患者を地域で支えるには」(解決策)

 以下がラウンド毎の参加者のコメント~意見




・特別発言 (こころの医療センター看護部長)

・事務局よりお知らせ

・集合写真



・閉会の挨拶

前夜祭(運営スタッフ+αで)


研修会後の懇親会




地域連携パス協議会:クリニカルパス学会予演会

2017-11-17 16:01:03 | 日記
第18回クリニカルパス学会が大阪で予定されていますが、
今年は、当地区から10題の演題を報告します。
その予演会を先日行いましたので、報告しておきます。

発表者分類では、
 こころの医療センター:3題
 荘内病院:3題
 協立病院:2題
 湯田川温泉リハ病院:1題、
 医師会:1題

内容的には、
 大腿骨近位部骨折:3題(ポスター)
 精神科:2題(パネルディスカッションと口演)
 院内パス(院内パス活動、脊椎圧迫骨折パス):2題(ポスター)
 脳卒中:1題(ポスター)
 口腔ケア~NST:1題(ポスター)
 5大がんパス:1題(口演)


以下、予演会からのメモです。

1、パネルディスカッション: 作って良かった!内科のパス
  精神科疾患別パス普及の工夫
  こころの医療センター 三原美雪

  統合失調症、気分障害、認知症のパスを導入
  322件のパスを運用、適応率は83%
  効果的に活用するためにさまざまな工夫をしてきた


2、脳卒中連携パスデータマイニングからみた再発例の特徴と課題
  荘内病院 渡部美穂

  脳卒中全体の30%に脳卒中の既往がある
  再発例61例を分析
  平均年齢:男、72.6歳、女、80.3歳
  初発から再発までの平均期間:611.2日(中央値445日)
  2年以内再発の30%が50-60代、男性の割合が高い
  併存疾患:高血圧75.4%、糖尿病29.5%、
   糖尿病は男性に多い傾向
   心房細動は、80代の高齢者に多い傾向
 

3、従来のNSTに口腔ケア・摂食嚥下・リハ栄養を導入した取り組み
  湯田川温泉リハ病院 成澤 真理

 ・口腔ケアの評価
 ・褥瘡における栄養管理
 ・ミールラウンド(食事の観察)
 ・リハビリ栄養の観点からのサルコペニアの判定
 
  などによる新たなNSTの活動を開始した。

4、山形県5大がん地域連携パスの課題:全県アンケート結果より
  こころの医療センター 三原美雪

  山形県統一がん地域連携パス:運用5年後のアンケート調査
  A:患者:回収率:68.8%、患者数:438
   役立っている:71%、
   今後も病院、かかりつけ医の二人主治医でみてもらいたい:80%
  B:医療機関:回収率:49.5%、医療機関数:262
   連携医療機関に登録していない 55%

5、全職種症例検討会での転倒予防に対する当院の取組
  鶴岡協立リハ病院 渡辺 香織

  骨折患者の高齢化、認知症、ADLの低下が進んでいる。
  再骨折予防が重要であり、
  全職種検討会(多職種100名程度が参加)で、検討した
  病院と施設との連携を通しての骨折予防が期待される。

6、パスリンクナースの活動と今後の課題
  荘内病院 小笠原 和希

  電子化パスへの移行1年後を経て、アンケート調査を行った  
  結果をもとにパス、パスファイル、マニュアルの改訂を行った。 


7、受傷前BIと認知症自立度による大腿骨近位部骨折マトリックス分類
  鶴岡地区医師会理事 三原一郎

  対象:1867例(2006年~2015年)
  受傷前の患者の状態をBIと認知症の程度により5群に分類
  受傷前のBIと認知症自立度による5分類は、居住環境や看護必要度の分析から、
  AからEの順に患者の介護必要度(重症度)の程度を表している。
  A、C群は、BIを10点程度喪失して退院すること、
  認知症があるB群はA群に比しBIを回復程度が低いこと、
  D、E群は受傷前のBI以上に回復し退院しており、
  本分類は予後の予測やアウトカム設定に有用と考えられた。


8、大腿骨近位部骨折地域連携パス登録患者の経年変化
  協立リハ病院 茂木 招良
 
  対象:1867例(2006年~2015年)
  女性の受傷年齢、83歳 → 85歳
  転院時看護必要度B:5点 → 8点
  受傷時の日常生活自立度の自立割合:40% → 30%
  受傷時の認知症日常生活自立度における自立の割合: 40% → 30%
  退院時BI:80点 → 65点

  8年間で、大腿骨近骨折女性患者の年齢は3歳上昇
  ADL低下、認知症の割合も増え、全体に重症化している。

  
9、脊椎圧迫骨折患者の転帰に関する要因分析
  荘内病院 難波 裕子

  脊椎圧迫骨折パス入院患者を自宅退院と転院で分類、比較検討した
  入院日数、年齢、離床時期に有意差を認めた。 

10、精神科疾患別パスにオレム・アンダーウッド理論を導入して
   こころの医療センター 三原美雪

  統合失調症、気分障害のパスへ、
  オレム・アンダーウッド理論を取り入れた独自のチェックシートと
  アセスメントシートを作成し、運用している。
  



 



 

釧路の多職種連携を考える会

2017-11-14 09:10:37 | 日記



11月11日(土曜日)、釧路の連携の会で妻共々、講演をしてきました。

今回は、2年前に北海道旅行をした際に知り合った釧路の杉元先生(杉元内科医院院長、釧路市医師会理事)に呼んで頂きました。

杉元先生が中心になって活動している釧路の連携の会くくるについては以下のHPをご覧ください。

釧路の連携の会 くくる

なお、杉元先生は今年4月に当地区を訪れ、土田会長、中村先生、また、ほたるの遠藤さんやみどりまち文庫の瀬尾さんらとも交友関係にあります。

その時の様子は以下のブログでどうぞ。

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今回はダブル講演の機会を頂き、多職種連携とITをテーマに以下の演題で話をしてきました。

○精神科こそ地域密着多職種連携
  こころの医療センター 看護主査 三原美雪

○チーム鶴岡:ITを活用し多職種協働で支える地域医療
  鶴岡地区医師会理事、三原皮膚科院長 三原一郎

以下は、鶴岡を紹介するために使った動画です。

https://youtu.be/EsSfzJAoSuY


講演会の後は、美味しい料理とワインで釧路の多職種の皆さんに歓待頂きました。



翌日は、杉元先生に厚岸、竹老園などを案内して頂きました。
右から2番目写真、竹老園で供された海苔巻きですが、そばを海苔で巻いたものです。
ちょっと病みつきになる美味しさでした。







Dementia Conference in Tsuruoka

2017-11-02 10:50:44 | 日記


某製薬会社主催の認知症関連の研修会に出席してきました。

小生、名ばかりですが、一応認知症サポート医ですので、認知症の講演は何度も聴いていますが、
今回の講演は、腑に落ちるところが多い内容でした。

とくに、

 80歳以上の記憶障害主体のアルツハイマー病は、
  病気と考えるのではなく加齢現象と考え、医療が介入する必要はない
  むしろ、行政、介護系職種、ボランティアなどによる地域全体での支援が重要

 認知症診療におけるかかりつけ医の役割は、
  治療の必要性の高い人をみつけ、専門医へ紹介すること 
  例:運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、若年性、多様な背景疾患、

 コリンエステラーゼ阻害剤は、
  進行を抑える作用はあまりなく、軽度~中等度で少しだけ有効、
  全員に投与すべきではない


Dementia Conference in Tsuruoka

日時:2017年11月2日
場所:こころの医療センター

認知症の診断と介入
東北大学病院高次脳機能障害科 西尾 慶之

日本の認知症の現状

認知症の社会経済負担
 日本における認知症の社会的費用 14.5兆
 医療以外に大きな負担がある。

診ないわけにはいかないが、何をしたら良いのだろう

専門医との連携

地域の事情によりいろいろなかたちがある。

そもそも 認知症とは何なのか?

 認知症という病気はない(疾患の多様性)
 症状でもない (症状の多様性)
 多くの疾患を含んだ概念である

様々な認知ドメインの集合体が「認知」
「非認知」症状

Neurocognitive disorders (NCSs) 神経認知障害

認知症、複雑な実態がある。

診断の流れ
 症状レベル(認知症状、精神、運動)、部位レベル、病理レベル
 症状と部位の組み合わせで診断する 

認知症障害と精神/行動症状(BPSD)
 認知障害 欠損症状 ・・ができない
 精神/行動症状 人格の変化

認知障害の評価
 記憶障害、書字計算障害、失語、・・・ 多彩

MMSE 点数だけでなくパターンもみる
長谷川式

精神/行動症状の評価
 
認知症各論
 アルツハイマー病
  認知症全体の60%
  アミロイド蛋白、タウ蛋白の沈着 普通の高齢者でも80%はプラス
  機能障害が強い
  複雑な作業能力の低下
  ものとられ妄想
  3単語再生が低い、書字・計算・描画障害
  80歳超の高齢者のアルツハイマーは、あまり心配しなくてよい(記憶障害が主)
  問題は、若年型
  
 レビー小体型の認知症
  重要な疾患
  高い死亡リスク 心血管系の合併症
  早期の入所
  高い医療関連費用
  認知症の15-20%、多くが専門医療機関を受診している
  診断基準
   疑うことが大事
   中核的臨床症状:変動、幻視、パーキンソンニズム、レム睡眠行動障害
   画像検査
   幻視テスト
   妄想性誤認
   変動:常に分からないわけではなく、分かるときと分からないときがある
   レム睡眠行動障害:寝言(叫ぶ、歌う、笑う)、手足の異常な動き、悪夢

 前頭側頭型認知症 (前頭葉が障害された症状、外傷でも生じる)
  常同行動:(例)毎日同じ味噌汁をつくる
  脱抑制:上半身裸、抑制がとれた行動     

 特発性正常圧水頭症
  ごろごろしている認知症
  3つの主症状:歩行障害、認知症臥位、頻尿・尿失禁
  特徴的画像所見
  iNPH:

認知症の介入
 根治療法
 疾患修飾療法
 対症療法  →認知症の治療の中心

コリンエステラーゼ阻害剤
 進行を抑える作用はあまりない
 軽度~中等度で少しだけ有効、
 全員に投与すべきではない

メマンチン
 有効な症例は限られる、軽症には無効
  
非定型抗精神病薬  

薬剤性せん妄 薬剤性認知障害

認知症診療におけるトリアージ
 かかりつけ医:治療が必要性の高い人をみつける 
   運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、
   若年性の患者、多様な背景疾患、
 専門医:鑑別疾患、BPSD

ものとられ妄想
 孤独な人が多い
 記憶の障害が背景にあるが、記憶障害の重症度とは相関しない
 環境調整が重要
 
介入が必要ない患者
 80歳以降に発症のアルツハイマー
 記憶障害のみ、BPSDなし
 同居者が多い
 80歳以上のアルツハイマーは、病気と考えるのではなく、加齢現象と考える

質疑

問題行動が多い患者の多くはレビー
レビーのスクリニーングテストはあるのか?
レビー、うつ病と診断されている人が多い
 レビーは、うつとして発症することが多い
 レビーは、身体的訴えも併発していることが多い

認知症は、欧米では、減少傾向
唯一、日本だけが増えている
高齢者の認知症が増えるとは思えない。
過剰診断ではないか?