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リウーを待ちながら 朱戸アオ

2020-03-11 | 漫画

自分の中で震災の日に読み返したい漫画の一つである。奇しくも今まさに新型コロナウイルス禍の真っ只中にいる日本、原発事故の後のあれこれと「排除」や「偏見」など社会の混乱ぶりも漫画表現の中で読者はそれを俯瞰して見られる。あの時どれだけ社会が混沌としていたかを。

「インハンド」の朱戸アオによる、肺ペスト=新型ペストに襲われる日本の地方都市とその収束までを描いた医療漫画。

富士山の麓の地方都市が隔離され、交通が遮断される。一巻は2014年刊行だが今新型コロナで話題の新型インフルエンザ等対策特別措置法もストーリーに出てくる。(特措法の成立は政権交代後の2013年)

現実日本でも2日後に出されるであろう『緊急事態宣言』も。

『リウー』の中に出てきたあれやこれや

・マスク売り切れ ・防護服 ・「横走菌」と名付けられた差別 ・「ペストは出て行け」という貼り紙 ・横走市民への容赦ない攻撃 ・過激化した外部の市民から追い詰められる横走市民

原発事故のその後にも似ているし今まさに日本を覆っている新型コロナ禍の騒動にもよく似ている。いずれも、本体が目に見えないからこその恐れが引き起こす混沌だ。

隔離された都市の中でラジオ番組の司会者が、カミュの「ペスト」を朗読している。

『ペストと戦う唯一の方法は誠実さということです』という一文も心に残る。主人公の玉木先生とタッグを組む疫研の原神先生のセリフはすべてが良いセリフばかりで選べない…


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