現状維持
サイトでの無料連載分を読んでいる最中。購読を検討中という段階。
「異性化」が起こるという世界の、とある夫婦とその周辺の物語。オメガバースという概念が漫画世界に導入されて久しいが、昨今は男が極端に少なくなった世界や逆転させて描く物語も多い。漫画表現でしか成し得ない「もしも」の世界がいっぱいある。異性化といえば「らんま2分の1」も異性化といえば異性化か…
「個人差あり〼」が描くのはエロ描写が目的の異性化=女体化ではなく、夫が、夫という役どころを演じられなくなった世界を描く。個人とは一体、夫婦とは一体…と読者にいくつもボールを投げてくる。女体化した夫本人の当惑。妻の戸惑い。
展開も「そうなっちゃうかー」って思わせるし、セリフもイイ。読者に刺さる。
妻の心の声「対して私は多数派の”女”?でも女装子さんにも多様性があった…”女”にだっていろんな人がいるはずで…自分が少数派でないとなぜ言い切れるの?」
道を歩くLGBTQパレードの人たちを見てふと考える妻「あの人たちは家に帰ったら同じベッドで寝て…」ハッと我に返って「 同性愛者を見てすぐ性的な方向に考えるなんて…最低…」と自戒する。「人に言葉を伝える職業なのに、こんなに視野が狭いなんて…両親を見て育ってきたし幼稚園に上がればそこには自然と男女差が存在していた
自分は女で 男を愛して生きる道以外考えたこともなかった
外側じゃない 内包された性別(インクルージョン)の可能性」
妻はとある女装子(夫の同僚)と仲良くなったのもあって色々考えが変わっていく
「セックスは男女間でしかできないと思ってた また決めつけてた まだ決めつけてた私…」
そして考え続ける「晶の異性化がなかったら立ち止まることも きっとなかった だから私が晶に出来ること…」
複雑化していく人間関係ももちろん漫画として相当に面白い。やっぱ買おうかなー