北の庄城 柴田勝家最後の酒宴 先日亡くなった中尾さんを彷彿します！柴田勝家はハマり役。

 

死を前にして　勝家がお市に告げた言葉は　果たして何だったのか

私の妄想で書いてみました

北の庄城内の最後の酒宴は　秀吉軍の総攻撃を明日に控えた、夜遅くに始められた。

柴田勝家は一族および 近臣80余人を本丸の天守に集め明け方まで行われた。

「皆の者、今まで・・よく戦ってくれた　もうこれまでよ、」

「今宵は飲み明かすのだ」と城内の酒すべてを、各々の櫓に配らせた。

各地の戦いに主君より受けた恩賜の品々を大広間に飾りたてよ、

この世の名残を告げるのだと、数々の錦繍綾羅、武具、茶器、文書、書画の類を所狭きまでに並べた。

勝家はその中から青磁の花器を取り上げ、

「これは信長公より、北の庄に赴く時、大国に任ずるしるしとして汝に与えるとて賜った蕪梨子の花入である。この名器を我と共に滅ぼすのは畏れ多い故、そちたちにとらせるゆえ、大切に伝えよ。」

と言って重臣たちに渡すと恭しく押戴き、縁の方に立つと、そこの柱にうって粉微塵に砕いてしまった。

「さてはそちたちは　この勝家と死を共にしてくれる気か」

「殿、今更何を仰せになります！主君亡き後に　われら生き残って花を活けるにはござりません」

「おお、よくぞ申した　わしは身に過ぎる家来を持ち　こんなうれしいことはない」

 

勝家は、余程嬉しかったのであろう、溢れる涙を浮かべながら　重臣に盃を差し出した。

お市も微笑みさえ　浮べながら輪になった重臣たちに一人ずつ酌をして回った

 

「勿体ないことです、お方様自らに一献頂けるなんて恐悦至極でございまする」

 

これが死を直前にした、勝家夫婦と重臣たちとは思えないくらい静かなものであった・・

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そして　いよいよ　総攻撃をうけるまで　一刻ほどになった

 

「お市、わしはのぉ　今の今まで　軽々は武士の恥と思い言わなかったが　実は　そなたがずっと好きであったのだ・・

 

早くに　お市殿を所望したいと　信長の殿に正直に言うべきであったかもしれぬ　」

 

「さすれば長政殿に嫁がせはしなかっただろう　今思えば口惜しいてな・・　だがこうして死出の旅を共にしてくれるという、そなたの気持ちが愛おしいてならぬ」

 

「そのお言葉、私とて同じ　どれほど　蔭ながら　勝家様を思っていたことか」

 

まことか！　なんと！　そうであったのか・・・わしは露ほども知らなんだ」

 

「だから３人の娘たちを送り、見届け再び城に戻ってくれたのだな・・・」

 

「お市！　勝家様！」

 

家来を前にして　二人の心が通じ合った瞬間だった　

 

感無量で抱き合う二人・・

 

それを見て　絞り出すように洩れる家来一同の慟哭と嗚咽は　月夜に浮かぶ天守閣を揺るがせた

 

「猿め、ここまでワシを追い詰めて　敵ながらあっぱれなやつよ・・

しかし　利家もかくもあっさり　ワシを裏切ったものよのう・・

あやつは　わしをオヤジ殿と　まつり上げよったがこのザマよ、」

勝家は自嘲気味に笑って見せたが　表情は穏やかだった

「まあ　この期に及んで、利家を責めまいぞ　

あいつの日和見を見定められなかったのは　ワシの器量じゃ　猿軍6万の前に怖気づいたのは　仕方あるまい」

「殿・・このさだめは　猿の器量が一枚上だっただけのこと　　

殿は勇猛果敢なれど　短絡にして先見の明というものが無かったのですよ」

「ｱﾊﾊ　市も言ってくれるのぉ・・・まあ確かにわしは　知恵が無かったのかも・・」　　

お市は　勝家に寄り添い盃を傾け、辞世の句を詠んだ

【さらぬだに　打ち寝る程もなつの夜の　わかれをさそう時鳥(ホトトギス)かな　】

【おう、わしもホトトギスを入れてみよう・・】

【夏の夜の　夢路はかなき跡の名を　雲井にあげよ　山ほととぎす　】　

【殿、雲井にあげよ　ではなくて　猿に捧げよ　に変えたらどう？】

あはは　そうか・・勝家は笑みを浮かべた　市の視線と合うと　何とも言えない気分だった

 

お市が鼓を手にし　打ち始めると　勝家は舞った　

 

～～人間50年　化天のうちに比ぶれば・・夢幻の如くなり・・～～

主君信長が本能寺の炎の中で　これを舞ったであろう・・　

 

おわり

 

※全ては私の妄想ですがこんなものだったろうと確信しています(^^)

再掲載です