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ホテリエ通信vol.7 ホテルの歴史(海外編)

2006年10月03日 | ホテリエ通信
今回は2回に分けてホテルの歴史を紹介します。今回は海外、次回は日本のホテルの誕生を、時代の背景と要因を検証しながら現代の代表的な
ホテルを紹介することになります。豪華ホテルが誕生したグランド・ホテルの時代、近代的ホテルが誕生したコマーシャル・ホテルの時代、ホテルチェーンの台頭と分けて紹介いたします。

 ●グランド・ホテルの時代
  19世紀中ごろにヨーロッパにおいてホテルという名称の宿泊施設が多数出現した。それまでの宿泊施設は「イン」と呼ばれていた。
16世紀から18世紀は各国の国王がいっさいの権力を握っていた。その象徴的存在が、ルイ14世の建設したベルサイユ宮殿であった。そのような社会体制はやがて財政的に破綻し、革命を誘発し、市民社会を基礎とする近代国家が設立されることになる。
19世紀に登場するホテルは上記のような歴史的背景の中で生まれたため、上流階級の洗練された生活様式を基礎とし、豪華な施設とサービスができあがっていった。かつての王侯貴族の生活様式を商業化したのがホテルであった。
  その時代の代表的な人物が、セザール・リッツ(1850~1918)である。「グランド・ホテルの時代」を完成させた人物であり、ホテル経営の創始者でもある。リッツは、スイスの羊飼いの貧しい家庭に生まれ、15才でホテルマンの修行を始める。17才でパリの最高級レストランに勤め王侯貴族達のプロのサービスに出会いメートル・ドテール(給仕長)となる。その後、1877年に27才でスイスの「ホテル・グランド・ナショナル」の支配人になり、ジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエ(フランス料理の創始者と言われ最も有名な料理人)と出会う。そして二人は1898年パリで「ホテル・リッツ」を開業し、1899年ロンドンで「カールトン」を開業させた。
リッツは1902年に神経衰弱で倒れるがその意志を受け継いだ会社が「リッツ・カールトン」であり、現在も最高級ホテルチェーンとして展開している。

●コマーシャル・ホテルの時代
  1830年から産業革命が進行したアメリカではヨーロッパをしのぐような豪華ホテルが誕生した。特に有名なのが1897年ニューヨークに完成した「ウォルドルフ・アストリア・ホテル」である。アメリカにおいてもヨーロッパの豪華ホテルが建設されていた。
 このころ、アメリカにおいても産業革命の影響で商用旅行の増大という、大きな市場構造の変化を迎えていた。そこで登場するのがエルウォス・M・スタットラー(1863~1928)である。彼はリッツのホテル経営とは異なり、一般庶民が負担できる価格で世界最高のサービスを提供することを目的とした。1908年バッファローに「1ドル半でバス付きの部屋を」という宣伝文句で「スタットラーホテル」を開業する。スタットラーのホテルは低価格にもかかわらず、採算ベースに乗せる科学的な管理方法、創造力、計数管理、合理化がある。その結果ホテル産業は広く一般庶民を対象とする産業となった。その後、1000室以上の大規模ホテルを建設、運営し7250室のホテルを経営するが65才で他界しスタットラー・チェーンをコンラッド・N・ヒルトンに売り渡す。
 
●2大ホテルチェーンの台頭
  コンラッド・N・ヒルトン(1887~1979)は1907年自宅を改造し宿泊経営を始める。1927年ダラスで「ダラス・ヒルトン」を開業し1949年「ウォルドルフ・アストリア」を買収。1954年「スタットラー・チェーン」を譲り受け、「マネジメント・コントラクト」方式で世界各国にチェーン展開していく。日本においても1963年「東京ヒルトン・ホテル」が外資系のホテルとして初めて開業している。
 もう一方では、シェラトンの創業者、アーネスト・ヘンダーソン(1897~1967)が大恐慌以降不動産としてホテルを次々に買収し、1939年に取得した「シェラトン」ホテルのネオン・サインが気に入り以降は全てのホテルをシェラトン・チェーンとして運営していく。1967年他界するまで154軒のホテルを所有するまでになっていた。その後、アメリカにおいて様々なホテルチェーンが台頭してくる。ケモンズ・ウィルソンが創設したモテル業界の「ホリディ・イン」、航空会社が設立した「インターコンティネンタル・ホテルズ」「ウェスタン・インターナショナル」、プリッツカー家が設立した「ハイヤット」、J.ウィラード・マリオットが設立した
「マリオット」などがある。
いずれもホテル業界の方は聞き慣れたホテル名ばかりだと思いますが、いかがでしたでしょうか?このようにホテルの歴史は現在の既存しているホテルの歴史でもあります。ホテルを利用してそのホテルの歴史を暫し赴くのも情緒がありますよね。
次回は日本のホテルの歴史を顧みますのでご期待ください。

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