chaos in hollow

雑多なものの感想

虐殺器官/伊藤計劃

2017-02-12 18:31:57 | 
映画化が決まる前から、友人に勧められていたのを図書館で借りて読んだ。

SFというものを小説で読んだことが無く、自殺した友人がハードSFとライトSFについて説明してくれたことも忘れていたが、そのどちらになるかに関わらず、新鮮な読書体験ができた。
とはいっても、読み進めていく上で刺激になったのはSF的な要素ではなく、ミステリの要素と人間・社会・国家などの問題に関しての洞察だった。
勿論それらは登場人物の口を借りて行われる訳だが、そこに違和感はあまりなかったし、何より話題は多岐にわたる。
話の引き出しとして文学作品や映画があり、それに加えて文学、進化生物学、何よりこの作品の核に寄り添う形では進化心理学がある。
加えて、SF的な要素を色づける情報工学(や分子生物学や脳科学)が自由や良心、罪、平和、といったテーマにも絡んでくるのが面白い。

ただ、結末には少し不満足感を覚えた。

作者が美大卒なのにも驚いたが、作中にあるように、思索は職業を選ばない、のだろう。

しかし、作者が没している中でこれは映画にまとめられるのだろうか。


Profusion/CROSS VEIN

2017-02-06 02:09:32 | CD
ボーカル代わりたての、メロスピ(シンフォニックメタル)バンドのミニアルバム。
ボーカル曲三曲とその内のインスト1曲。

実は、Red Star以外、速さはないが所々に技巧的な部分が光る。
良い面でのクサさがあるのだが、特筆すべきは、RedStarのキーの高さだろう。
音感がないので最高音は特定できないが、おそらく今まで聴いた全女性ボーカル曲より高い。下手したら、Ride the Skyより高い。
が、少し金切り声っぽくもあるので、嫌いな人は嫌いな音質。
時系列的にこちらが先だが、個人的に「ロイヤル・エタニティ」の方が先に聴いた。すると、ボーカルの更なる進化を感じることが出来た。

このまま、スピードとクサメロ、高いキーを維持して欲しい。楽しみなバンド。


ACIDMAN Fan's BEST YOUR SONG

2017-02-05 15:51:30 | CD
正式名称は長いので略。

ACIDMANとの付き合いは長いもので、もう11年目になる。
が、近頃は新譜が出たら買うくらいだ。
このアルバムもファンの投票で曲が決められたもの(らしいが)、その詳しいいきさつは知らない。

ファンの投票なら、一ファンが口出すべきでもない気がするが、最近のACIDMANは基本的に「酸」を失っている。
ポップスやバラードに近いものも多いし、大木さんの心境の変化によるものであるだろう。
(やたら、世界を終わらせたがるのは突っ込まないでおこう)

そこらを考慮したのか、このアルバムは、そういうスローテンポの最近の曲とは別に通常のアルバムに収録されていないもの-初期の独自色が出た尖った曲-も多く収録されている。
(培養スマッシュパーティーだとか酸化空だとか)

勿論、定番のイコールやFREE STARだとかも入っている。

・・・のだが、このアルバムに致命的に足りないものもある。
各アルバムの最初(inst除く)の曲に代表されるようなロックでアップテンポで人気がありそうな曲だ。
造花が笑う
飛光
world symphony
REMIND
±0
carve with the sense
under the rain
新世界
EVERLIGHT
数えたらキリがないが、シングルにもなった曲が多い中、これらが入っていないのはかなりの違和感である。
無論、このベストを出す前の普通のベストとの兼ね合いもあるが、そういう観点からすればミドルテンポの曲は両者に被っているのも多いので、やはり「変」である。。
(この枠だと、「ある証明」と「風、冴ゆる」しかない。


選ばれると思っていなかった一番好きな曲である「stay on land」と「and world」が入っていたのは嬉しいが、これからの方向性を考えるうえで、アップテンポな曲を減らしていくのなら悲しいことである。
せめて、古い曲は新録するくらいの気概を見せて欲しかった。