評価:C+
『SWAN SONG』、『キラ☆キラ』、『CARNIVAL』の三作(18禁)を手がけたライターによる文庫本。
個人的には上の三作と『電気サーカス』に次いでの作品となる。
以下、18禁ノベルゲーのネタバレ抜きで。
唐辺氏の作品には通奏低音として常に人と人との間にある距離への絶望感・諦念、そしてそれに対する抵抗(という名の希望)が流れていると思う。
また、そこでは主人公が内面にある種の空洞を持つ人物として描かれる。
こうした主人公は嫌み無く描かれ、個人的には好感を持って読めている。
18禁だから最後は希望を持たせる形で終わりにしなければならない、という訳ではないし、小説だからテーマを曖昧ないし明示しない終わり方がいいとも限らない。
むしろ、18禁の方が絶望的な最後が許される節はある。
それはユーザー(読者)層の違いもあり、また、絵というものを印象付けに用いることが出来るからだ。そして、ゲームという体裁をとる以上、娯楽的であればいいので、テーマ性は必要とされる部分が少ない。
だが、この二作の文庫本を読んだ限りでは、PCの三作に比べて、文庫本の方が逆に明確なテーマ性と意図を持って描かれていないように感じる。
私の読解力の問題かもしれないが、本作は何を伝えたいのか理解に苦しんでしまったのだ。
見える世界がその人物の世界だ、というものと、今を描かなければいけない。その二つは台詞にも出てくるように、明示されている。だが、それ、とりわけ前者に対する抵抗の形、を私は読みたいと期待していたのであった。
そして、それは叶わなかった。
とはいえ、筆力が衰えてる訳ではないので、台詞主体の物語進行もあって読みやすいので、この評価である。
今後も氏の作品は読むとは思うが、こういう形になるのであれば、別のタイプの主人公も読みたいと思うのであった。
『SWAN SONG』、『キラ☆キラ』、『CARNIVAL』の三作(18禁)を手がけたライターによる文庫本。
個人的には上の三作と『電気サーカス』に次いでの作品となる。
以下、18禁ノベルゲーのネタバレ抜きで。
唐辺氏の作品には通奏低音として常に人と人との間にある距離への絶望感・諦念、そしてそれに対する抵抗(という名の希望)が流れていると思う。
また、そこでは主人公が内面にある種の空洞を持つ人物として描かれる。
こうした主人公は嫌み無く描かれ、個人的には好感を持って読めている。
18禁だから最後は希望を持たせる形で終わりにしなければならない、という訳ではないし、小説だからテーマを曖昧ないし明示しない終わり方がいいとも限らない。
むしろ、18禁の方が絶望的な最後が許される節はある。
それはユーザー(読者)層の違いもあり、また、絵というものを印象付けに用いることが出来るからだ。そして、ゲームという体裁をとる以上、娯楽的であればいいので、テーマ性は必要とされる部分が少ない。
だが、この二作の文庫本を読んだ限りでは、PCの三作に比べて、文庫本の方が逆に明確なテーマ性と意図を持って描かれていないように感じる。
私の読解力の問題かもしれないが、本作は何を伝えたいのか理解に苦しんでしまったのだ。
見える世界がその人物の世界だ、というものと、今を描かなければいけない。その二つは台詞にも出てくるように、明示されている。だが、それ、とりわけ前者に対する抵抗の形、を私は読みたいと期待していたのであった。
そして、それは叶わなかった。
とはいえ、筆力が衰えてる訳ではないので、台詞主体の物語進行もあって読みやすいので、この評価である。
今後も氏の作品は読むとは思うが、こういう形になるのであれば、別のタイプの主人公も読みたいと思うのであった。